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第5章『夏だ! 海だ! 千山鯉だぁ~!/雪ん子の座を奪いし召喚獣・千山鯉の章』
第195話 エピローグ
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「うわっ、最悪だね」
目の前の光景に、赤坂帆波はそう評した。
Cランクダンジョン《東神話大陸》の出入り口から、徐々に周囲の環境が変わっていく。
大地は赤黒く腐り果ててしまっており、そんな不毛の大地から大量の死者が列を為して蘇ってくる。
空には気色が悪い悪魔達が獲物を求めて飛んでおり、水道管からは赤い血の水がドバドバと流れ出す。
人々は悲鳴と共に走って逃げ出しており、それを追うように鬼達が後を追って駆けだしていた。
----まさしく、地獄のような光景。
大きさは、およそ東京ドーム2個分。
小さな田舎町程度ならば余裕で飲み込めそうな広さの地域が、地獄へと変わっている。
「Cランクダンジョンの規模から考えれば、結構な広さが地獄と化してる状況だね。
流石は、悪天使ファイント----いや、地獄の主であるサタンの力だね」
「この結果を、予想していたのか? マイハニー?」
何故か、ダーリン面して会話に割り込んできた空海大地を、赤坂帆波はサッと悪魔の手で掴んで放り投げて、状況をさらに整理していく。
「どこかのバカが、ファイントちゃんの真名を解放したみたいだね。サタンともなれば、こうなる結果は予想できただろうに」
サタン、多くのゲームのラスボス級として名を連ねる悪魔の王。
つまりは、魔王みたいなものだ。
赤坂帆波が、雪ん子達を元の居場所へと戻そうと決めたのも、あのファイントの真名が【サタン】であると予想できたからだ。
----悪を司る天使。
----【反天使】という、天使にめちゃくちゃ嫌われているという性質。
----敵対者の単語。
それらから、【サタン】という真名を持つことは予想できた。
だから、力を貸した。
完璧な善意とかではなく、あくまでも世界を平和に保つには、彼女は今の状態のままで、あの【召喚士】冴島渉の召喚獣としていた方が良いと、そう判断したのだ。
何故ここに【サタン】が、ファイントという真名を隠した状態で召喚獣としているかなんて、赤坂帆波にはどうでも良かった。
ただ地獄の主である【サタン】として蘇られると、世界は危機的状況になるため、敢えて元鞘に収めようとしたのだ。
「それもまぁ、無駄な事だったみたいですが」
サタンは、レベルⅨの召喚獣。
レベルⅩで、帰って来ただけで世界に時空間の割れ目を生み出すような、そんな空海大地と比べれば、世界への干渉度は低い。
しかしながら、それでもあれだけの領土を、地獄へと変えられるのを、黙って見ている訳にはいかないだろう。
「----サタンを殺す方法、か。まぁ、それよりもいい方法があるっちゃ、あるんだけど」
「どんな方法だ? 教えてくれ、マイハニー」
「誰が、マイハニーだっての」
いつの間にか戻って来ていた空海大地の頭を物理的に押さえつけつつ、赤坂帆波は計画を練る。
「問題となるのは、サタンを倒す方法ってのがないって事。それとは逆に、あいつには私達を一撃で殺す方法があるって事」
「倒せないのに、こちらは一発で死ぬ……厄介すぎるな」
「あれは概念として、相手を殺す能力を持ち合わせてるから、厄介なのです」
ごく普通のレベルⅨの魔物であれば、こちらはレベルⅩの空海大地と赤坂帆波のペアならば、負ける要素は一つもない。
ただ、相手がサタンの場合は、別だ。
こちらが後いくら戦力を整えようとも、サタン相手に勝ち目はない。
何故ならば、サタンはレベルに捕らわれない別格の強さを持つ、召喚獣だから。
サタンには【究極殺害】という固有スキルがあり、レベル差をひっくり返すだけの価値があるスキルだ。
例えば"自分に関わる全ての攻撃"を【殺害】すれば相手はダメージを1つも受けない状態で、"レベルⅥ以上"を殺害とすれば大地達は強制的にレベルⅤまで戦力が落とされてしまう。
【究極殺害】----あのスキルがある限り、こちらに勝機はない。
地獄化の影響力ってだけで、ランクとしてはレベルⅨとして判定されてるだけであり、戦力として見た場合、レベルⅩ以上……勝ち目は一切ない。
恐らく、2人が異世界で倒した魔王よりも厄介な相手。
「そんな相手、どうやって倒すって言うんだ? マイハニー?」
「だから、誰がマイハニーだっての。……戦いに置いて、サタンを倒す手段ってのは存在しない」
そう、だからこそサタンをファイントという状態のままにして置きたかったのだ。
サタンになった時点で、世界は地獄と化し、戻す術はないのだから。
しかしながら、どこぞのバカ野郎のせいで、サタンの封印は解かれてしまった。
そうなった以上、どうにかしなくちゃならないのが、世界を救う運命を課せられた勇者の辛い所だ。
「----だから、倒す以外の方法を取るしかないんですよ」
赤坂帆波はそう言って、地獄から逃げおおせた少年を指差す。
恐らくは、サタンが意図的に逃げしたであろう、冴島渉の姿を。
「サタンをなんとかして地獄を止める鍵は、やはり召喚した彼にあります。
----彼には、あの地獄を元に戻す救世主になってもらいましょう」
《5章 完》
(※)隠しヒント
「第42話 コーヒーに何を入れるかというような話」にて、ファイントがコーヒーに何を入れるのかという話を、主人公に振っています
実は昔、コーヒーはその真っ黒の見た目と、あまりに簡単に早く中毒にしてしまう事から、当時『悪魔の飲み物』と言われておりました
この事から、ファイントの正体が「悪魔」だと判明しちゃうことも出来たり?
目の前の光景に、赤坂帆波はそう評した。
Cランクダンジョン《東神話大陸》の出入り口から、徐々に周囲の環境が変わっていく。
大地は赤黒く腐り果ててしまっており、そんな不毛の大地から大量の死者が列を為して蘇ってくる。
空には気色が悪い悪魔達が獲物を求めて飛んでおり、水道管からは赤い血の水がドバドバと流れ出す。
人々は悲鳴と共に走って逃げ出しており、それを追うように鬼達が後を追って駆けだしていた。
----まさしく、地獄のような光景。
大きさは、およそ東京ドーム2個分。
小さな田舎町程度ならば余裕で飲み込めそうな広さの地域が、地獄へと変わっている。
「Cランクダンジョンの規模から考えれば、結構な広さが地獄と化してる状況だね。
流石は、悪天使ファイント----いや、地獄の主であるサタンの力だね」
「この結果を、予想していたのか? マイハニー?」
何故か、ダーリン面して会話に割り込んできた空海大地を、赤坂帆波はサッと悪魔の手で掴んで放り投げて、状況をさらに整理していく。
「どこかのバカが、ファイントちゃんの真名を解放したみたいだね。サタンともなれば、こうなる結果は予想できただろうに」
サタン、多くのゲームのラスボス級として名を連ねる悪魔の王。
つまりは、魔王みたいなものだ。
赤坂帆波が、雪ん子達を元の居場所へと戻そうと決めたのも、あのファイントの真名が【サタン】であると予想できたからだ。
----悪を司る天使。
----【反天使】という、天使にめちゃくちゃ嫌われているという性質。
----敵対者の単語。
それらから、【サタン】という真名を持つことは予想できた。
だから、力を貸した。
完璧な善意とかではなく、あくまでも世界を平和に保つには、彼女は今の状態のままで、あの【召喚士】冴島渉の召喚獣としていた方が良いと、そう判断したのだ。
何故ここに【サタン】が、ファイントという真名を隠した状態で召喚獣としているかなんて、赤坂帆波にはどうでも良かった。
ただ地獄の主である【サタン】として蘇られると、世界は危機的状況になるため、敢えて元鞘に収めようとしたのだ。
「それもまぁ、無駄な事だったみたいですが」
サタンは、レベルⅨの召喚獣。
レベルⅩで、帰って来ただけで世界に時空間の割れ目を生み出すような、そんな空海大地と比べれば、世界への干渉度は低い。
しかしながら、それでもあれだけの領土を、地獄へと変えられるのを、黙って見ている訳にはいかないだろう。
「----サタンを殺す方法、か。まぁ、それよりもいい方法があるっちゃ、あるんだけど」
「どんな方法だ? 教えてくれ、マイハニー」
「誰が、マイハニーだっての」
いつの間にか戻って来ていた空海大地の頭を物理的に押さえつけつつ、赤坂帆波は計画を練る。
「問題となるのは、サタンを倒す方法ってのがないって事。それとは逆に、あいつには私達を一撃で殺す方法があるって事」
「倒せないのに、こちらは一発で死ぬ……厄介すぎるな」
「あれは概念として、相手を殺す能力を持ち合わせてるから、厄介なのです」
ごく普通のレベルⅨの魔物であれば、こちらはレベルⅩの空海大地と赤坂帆波のペアならば、負ける要素は一つもない。
ただ、相手がサタンの場合は、別だ。
こちらが後いくら戦力を整えようとも、サタン相手に勝ち目はない。
何故ならば、サタンはレベルに捕らわれない別格の強さを持つ、召喚獣だから。
サタンには【究極殺害】という固有スキルがあり、レベル差をひっくり返すだけの価値があるスキルだ。
例えば"自分に関わる全ての攻撃"を【殺害】すれば相手はダメージを1つも受けない状態で、"レベルⅥ以上"を殺害とすれば大地達は強制的にレベルⅤまで戦力が落とされてしまう。
【究極殺害】----あのスキルがある限り、こちらに勝機はない。
地獄化の影響力ってだけで、ランクとしてはレベルⅨとして判定されてるだけであり、戦力として見た場合、レベルⅩ以上……勝ち目は一切ない。
恐らく、2人が異世界で倒した魔王よりも厄介な相手。
「そんな相手、どうやって倒すって言うんだ? マイハニー?」
「だから、誰がマイハニーだっての。……戦いに置いて、サタンを倒す手段ってのは存在しない」
そう、だからこそサタンをファイントという状態のままにして置きたかったのだ。
サタンになった時点で、世界は地獄と化し、戻す術はないのだから。
しかしながら、どこぞのバカ野郎のせいで、サタンの封印は解かれてしまった。
そうなった以上、どうにかしなくちゃならないのが、世界を救う運命を課せられた勇者の辛い所だ。
「----だから、倒す以外の方法を取るしかないんですよ」
赤坂帆波はそう言って、地獄から逃げおおせた少年を指差す。
恐らくは、サタンが意図的に逃げしたであろう、冴島渉の姿を。
「サタンをなんとかして地獄を止める鍵は、やはり召喚した彼にあります。
----彼には、あの地獄を元に戻す救世主になってもらいましょう」
《5章 完》
(※)隠しヒント
「第42話 コーヒーに何を入れるかというような話」にて、ファイントがコーヒーに何を入れるのかという話を、主人公に振っています
実は昔、コーヒーはその真っ黒の見た目と、あまりに簡単に早く中毒にしてしまう事から、当時『悪魔の飲み物』と言われておりました
この事から、ファイントの正体が「悪魔」だと判明しちゃうことも出来たり?
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