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第5章『夏だ! 海だ! 千山鯉だぁ~!/雪ん子の座を奪いし召喚獣・千山鯉の章』
第183話 2つの夢をその身に抱き
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マルガリータは、ドラゴンである。
そして、ドラゴンには共通の夢がある。
それは、最強。
一番という、地位である。
寿命と言う概念を持たないドラゴンにとって、彼らが目指すは一番という地位のみ。
自分という存在を、他のドラゴンに見せつけ、オンリーワンである事を示すことこそが、ドラゴン達が本能に刻まれてるものである。
それは決して、好戦的と言う意味ではなく。
ただ彼らは、己が他者にはない"特別"な存在であることを、示したいのだ。
誰よりも、宝を集めたり。
誰よりも、高い空に巣を作ったり。
誰よりも、多くの死骸を山として築いたり。
悪癖龍マルガリータもまた、ドラゴンであるが故に、一番を目指していた。
それが、アイドルとしての一番----つまりは、トップアイドルである。
歌と踊り、そして魅力的なる美貌を持って、あらゆる者を虜にするアイドルという世界で一番になるというのが、マルガリータの夢であった。
それを、千山鯉の古代龍魔法が、覆した。
古代龍魔法を見たマルガリータは、アイドルで一番になるという夢を、一瞬だけ"忘れた"。
すぐさまアイドルになるという夢を思い出したが、この事がマルガリータにとっては、予想外の出来事だったのである。
そもそも夢を諦めるという事は、ドラゴンには行為として備わっていない。
なにせ、生物が夢を諦める理由の多くは、時間がないためであり、寿命がないドラゴンには夢を諦めること自体が、概念として存在していない。
文字通り『ナポレオンの辞書に不可能という文字がない』のと同じように、ドラゴンの脳に"夢を諦める"という言葉はない。
生まれた瞬間、ドラゴンは自身が見た夢を、永遠に忘れず、その夢に向かって生き続ける。
一番を取るために、一番であり続けるために。
そんな中、マルガリータは、『アイドル』と言う夢を忘れて、『古代龍魔法』の夢を見た。
別の夢を見る事、それ自体がマルガリータを始めとしたドラゴンにとっては、恐ろしい事なのである。
そして、彼女は千山鯉と言う存在によって、新たなドラゴンの地位へと辿り着く。
『アイドル』と『古代龍魔法』、その2つを夢見る、誰も辿り着けていない"夢を2つも持つドラゴン"という地位へ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そして今っ! その憧れを、形にしちゃうです!」
マルガリータは力強く宣言し、標的である佐鳥愛理に狙いを定める。
「(千山鯉が放ったあの凄まじい魔法は、今でもアイドルと言う夢と共に、可愛いボクの胸にしっかりと刻み込まれてるです)」
マルガリータが今からやろうとしているのは、あの時、千山鯉が使った魔法の再現である。
ただし、良くあるネット小説のように『頭の中で想像すれば、それが具現化できる』などというようなご都合主義はなく、ちゃんと理論に基づいて魔法を式として生み出さなくてはならない。
マルガリータの頭の中では、彼女がどうやって魔法を放っていたのか、ある程度の目星は出来ていた。
複数の魔法言語を1つにまとめ、それをしっかりとした魔術回路を通して、強大な魔力で放つ。
理論は分かるが、その方法までは分からない、だけれどもそれで十分だった。
「行くよっ!」
マルガリータは杖を構えたまま、自分の体内に魔力をどんどん送り込む。
龍であるマルガリータの魔術回路はしっかりと古代龍魔法を放てるくらい頑丈であり、魔力量に関してはココアが新しく入手したスキルでなんとかなっていた。
【強欲の妖狐】----周囲から入手した魔力量を100倍にするというチートスキルであり、これを【二人三脚】スキルを応用して、マルガリータは大量の魔力をその身に溜めこんでいた。
しっかりとした魔術回路、オーケー。
十分すぎる魔力量、オーケー。
残る問題は、複数の魔法言語を1つにまとめるという事。
これに関しては、勘でやれるほどマルガリータは自身を過大評価していなかった。
ひらがな全ての文字をたった1つの文字へと集約し、その集約の方法によって効果が変わって来る魔法だなんて、どうやれば良いか見当がつかない、分からない。
それだから、マルガリータは自分に出来る事をしていた。
「----- ---- ----!!」
マルガリータが放とうとしているのは、初級魔法の1つ、ファイアーボール。
魔法を扱う者が一番最初に放つともされる初級魔法であり、【魔法文字1文字で構成される魔法】。
ココアはファイアーボールを複数同時に発動させ、それらを1つに纏め上げていく。
集約させて、重ね合わせて、圧縮して----。
そして、完成させた、オリジナル魔法文字。
「行きますっ! 【古代龍再現魔法・マルガリータの息吹】っ!」
マルガリータが口から放ったその魔法は、千山鯉が放った古代龍魔法に比べれば、あまりにも稚拙で、弱々しく。
----だけれども、あの時と同じように見惚れるくらい、素敵な赤色の魔法だった。
(※)ドラゴン種
様々な生物の中でも、最強格と言っても良い種族。寿命がない上に、体力や攻撃力など各種ステータスがトップクラス
彼らは、既に夢を抱いた状態で生まれてくる。それは例えば戦闘であったり、あるいはアイドルとしてだったり、または魔術であったりと、多種多様ではあるが、ドラゴンはその夢を、その世界で一番になるという夢を全力で叶えようとして、そして絶対に諦めない
生まれた時から見た夢を絶対に叶えるべく存在する種族であり、諦める事を知らない。それが故にとある世界では"絶対に諦めずに努める"という意味のことわざで『ドラゴンのように生きる』という言葉もあるくらいである
そして、ドラゴンには共通の夢がある。
それは、最強。
一番という、地位である。
寿命と言う概念を持たないドラゴンにとって、彼らが目指すは一番という地位のみ。
自分という存在を、他のドラゴンに見せつけ、オンリーワンである事を示すことこそが、ドラゴン達が本能に刻まれてるものである。
それは決して、好戦的と言う意味ではなく。
ただ彼らは、己が他者にはない"特別"な存在であることを、示したいのだ。
誰よりも、宝を集めたり。
誰よりも、高い空に巣を作ったり。
誰よりも、多くの死骸を山として築いたり。
悪癖龍マルガリータもまた、ドラゴンであるが故に、一番を目指していた。
それが、アイドルとしての一番----つまりは、トップアイドルである。
歌と踊り、そして魅力的なる美貌を持って、あらゆる者を虜にするアイドルという世界で一番になるというのが、マルガリータの夢であった。
それを、千山鯉の古代龍魔法が、覆した。
古代龍魔法を見たマルガリータは、アイドルで一番になるという夢を、一瞬だけ"忘れた"。
すぐさまアイドルになるという夢を思い出したが、この事がマルガリータにとっては、予想外の出来事だったのである。
そもそも夢を諦めるという事は、ドラゴンには行為として備わっていない。
なにせ、生物が夢を諦める理由の多くは、時間がないためであり、寿命がないドラゴンには夢を諦めること自体が、概念として存在していない。
文字通り『ナポレオンの辞書に不可能という文字がない』のと同じように、ドラゴンの脳に"夢を諦める"という言葉はない。
生まれた瞬間、ドラゴンは自身が見た夢を、永遠に忘れず、その夢に向かって生き続ける。
一番を取るために、一番であり続けるために。
そんな中、マルガリータは、『アイドル』と言う夢を忘れて、『古代龍魔法』の夢を見た。
別の夢を見る事、それ自体がマルガリータを始めとしたドラゴンにとっては、恐ろしい事なのである。
そして、彼女は千山鯉と言う存在によって、新たなドラゴンの地位へと辿り着く。
『アイドル』と『古代龍魔法』、その2つを夢見る、誰も辿り着けていない"夢を2つも持つドラゴン"という地位へ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そして今っ! その憧れを、形にしちゃうです!」
マルガリータは力強く宣言し、標的である佐鳥愛理に狙いを定める。
「(千山鯉が放ったあの凄まじい魔法は、今でもアイドルと言う夢と共に、可愛いボクの胸にしっかりと刻み込まれてるです)」
マルガリータが今からやろうとしているのは、あの時、千山鯉が使った魔法の再現である。
ただし、良くあるネット小説のように『頭の中で想像すれば、それが具現化できる』などというようなご都合主義はなく、ちゃんと理論に基づいて魔法を式として生み出さなくてはならない。
マルガリータの頭の中では、彼女がどうやって魔法を放っていたのか、ある程度の目星は出来ていた。
複数の魔法言語を1つにまとめ、それをしっかりとした魔術回路を通して、強大な魔力で放つ。
理論は分かるが、その方法までは分からない、だけれどもそれで十分だった。
「行くよっ!」
マルガリータは杖を構えたまま、自分の体内に魔力をどんどん送り込む。
龍であるマルガリータの魔術回路はしっかりと古代龍魔法を放てるくらい頑丈であり、魔力量に関してはココアが新しく入手したスキルでなんとかなっていた。
【強欲の妖狐】----周囲から入手した魔力量を100倍にするというチートスキルであり、これを【二人三脚】スキルを応用して、マルガリータは大量の魔力をその身に溜めこんでいた。
しっかりとした魔術回路、オーケー。
十分すぎる魔力量、オーケー。
残る問題は、複数の魔法言語を1つにまとめるという事。
これに関しては、勘でやれるほどマルガリータは自身を過大評価していなかった。
ひらがな全ての文字をたった1つの文字へと集約し、その集約の方法によって効果が変わって来る魔法だなんて、どうやれば良いか見当がつかない、分からない。
それだから、マルガリータは自分に出来る事をしていた。
「----- ---- ----!!」
マルガリータが放とうとしているのは、初級魔法の1つ、ファイアーボール。
魔法を扱う者が一番最初に放つともされる初級魔法であり、【魔法文字1文字で構成される魔法】。
ココアはファイアーボールを複数同時に発動させ、それらを1つに纏め上げていく。
集約させて、重ね合わせて、圧縮して----。
そして、完成させた、オリジナル魔法文字。
「行きますっ! 【古代龍再現魔法・マルガリータの息吹】っ!」
マルガリータが口から放ったその魔法は、千山鯉が放った古代龍魔法に比べれば、あまりにも稚拙で、弱々しく。
----だけれども、あの時と同じように見惚れるくらい、素敵な赤色の魔法だった。
(※)ドラゴン種
様々な生物の中でも、最強格と言っても良い種族。寿命がない上に、体力や攻撃力など各種ステータスがトップクラス
彼らは、既に夢を抱いた状態で生まれてくる。それは例えば戦闘であったり、あるいはアイドルとしてだったり、または魔術であったりと、多種多様ではあるが、ドラゴンはその夢を、その世界で一番になるという夢を全力で叶えようとして、そして絶対に諦めない
生まれた時から見た夢を絶対に叶えるべく存在する種族であり、諦める事を知らない。それが故にとある世界では"絶対に諦めずに努める"という意味のことわざで『ドラゴンのように生きる』という言葉もあるくらいである
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