上 下
157 / 350
第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』

第149話 出でよ、私達の"マスター"

しおりを挟む
 ダンジョン《三日月の塔》の隠し通路の奥。
 超強力な《消しゴム付き鉛筆》黒鬼に守らせていた奥に、ダブルエムと日野シティーミティーの2人は居た。

 そこは、本来ならば隠しボスの間である。
 しかし、その隠しボスは2人の前に顔を出さない。

 圧倒的すぎる日野シティーミティーによって、何度も何度も殺されたことで、隠しボスの本能に危険人物として認識されたために、彼女がいる間は隠しボスは一切出てこないのだ。
 それだけの、単純な話である。

「----では、ダブルエム。"例の物"を」
「ほい来た、どうぞ」

 そう言って、ダブルエムが取り出したのは、"青白い魂"。
 ヒビだらけの、今にも崩れそうなボロボロの魂を、ダブルエムは慎重に取り出した。

「苦労しましたよ、#修復 には。その甲斐あってか、見かけ以上には頑丈な物になっておりますので、多少は揺らしたりしても壊れないかと」
「しませんよ、そんな事。なにせ、これは"マスター"の魂なのですから」


 ===== ===== =====
 【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】……次元の割れ目に巻き込まれた赤坂帆波の魂。修復されたことにより、彼女の魂として使用可能となった
 効果;使用すると、赤坂帆波(幻影)を召喚する。効果時間は1回につき30秒
 ===== ===== =====


 それは、元勇者である空海大地がこの世界へと帰ったために死んだ、赤坂帆波の魂であった。
 生じた次元の割れ目に入り込んで、散り散りになったそれらを、日野シティーミティーが根気よく集め、それを丁寧な処理でダブルエムが復元したものであった。
 
 アイテムとして復元されたそれは、使えば30秒の間に限り、赤坂帆波を幻影として呼び出せる。

 その事実に2人は喜んで早速使用したが、当てが外れた。
 なにせ、ただ単に赤坂帆波の"能力"だけをコピーした幻影が戦ってくれるだけだったからである。
 2人が会いたいのは、赤坂帆波その人であり、能力だけのただの幻影なんかに用がないからだ。

「それと、これもですかね」

 と、ダブルエムが2つ目として取り出したのは、液体が入った瓶。
 瓶の模様として、1対のからすが描かれている、特別な瓶である。


 ===== ===== =====
 【フギンとムニンの液体瓶(ダブルエム特別仕様)】……フギンとムニンという、北欧神話に登場するオーディン神に仕える一対のワタリガラスをモチーフに生み出された特殊液体の入った瓶。ダブルエムによって、特殊加工が施されている
 フギンとは「思考」、ムニンとは「記憶」を司る鴉であり、これを使用するとその者の持つ思考力と記憶力が回復する。記憶喪失や自信喪失などに効果がある。ダブルエムの特殊加工によって、世界中に散らばるその者に関する記憶を収集し、伝える効果が加えられた
 ===== ===== =====


 その液体の瓶は、元々、記憶喪失や自信喪失などに効果があるとされて、最近だと認知症の特効薬として重宝されている【フギンとムニンの液体瓶】であった。
 ダブルエムはこれに特殊な加工を施すことによって、使えば使用者が持っていない記憶すらも集められるようにしたのだ。

 端的に言えば、この液体をかけさえすれば、ただの幻影として呼び出された赤坂帆波に、記憶を与える事が出来る。
 最も、そもそも幻影の出現時間が30秒ぽっちだから、あまり意味はないのだが。

「で、ニチアサちゃん? 一応、言われた物は持ってきたつもりだけど、これからどうするつもり?」

 ダブルエムに問われ、日野シティーミティー……ニチアサちゃんは、【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】をゆっくりと持ちながら、こう答える。


「今からこの【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】を用いて、【黄金召喚】を行う。
 それによって、召喚獣として、赤坂帆波をこの世界に呼び出すのです」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 【黄金召喚】----それはアイテムを用いて、そのアイテムと最も縁深い存在を召喚するというスキルだ。

 スキルを用いて召喚すれば、そのスキルの来歴に近しい者を。
 アイテムを用いて召喚すれば、アイテムの効果に相応しい者を。

 当然ながら、【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】を用いて【黄金召喚】を行えば、このアイテムと最も縁深い者として、赤坂帆波が召喚されるのは当然の事だろう。

「しかしながら、ニチアサちゃん? 例え、それで召喚できたとしても、"マスター"は召喚できたとしても、"マスター"にはなりませんよ?
 それで召喚できるのは、身体を持つだけの"マスター"の幻影にすぎませんよ? 『召喚獣は経験できず、成長しない』のですから」

 日野シティーミティーにこの【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】の修復を頼まれた時点で、【黄金召喚】を用いるという方法は頭の中にあった。
 しかし、それで召喚できるのは、赤坂帆波の姿を模しただけの召喚獣。
 経験する事も出来ず、成長することないため、特殊加工を施した【フギンとムニンの液体瓶】で"マスター"の記憶を継承することもない。

 ただ、"マスター"の姿形を模しただけの召喚獣が出来上がるだけなのだ。

「ニチアサちゃん、あなたはそれで満足なんですか? ただの"マスター"の名と姿を模しただけのお相手がお望みなんですか?」
「ふふふっ! 確かに普通なら、そうでしょうね! 普通なら!」

 やけに自信たっぷりのニチアサちゃんは、ゆっくりと【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】を手にする。

「たった1人だけ、見つけ出したのです。ダンジョン化したこの世界で記憶して経験することが出来るというレアスキルを入手した【召喚士】が。
 その少年の名は、冴島渉。召喚獣に【記憶】と【経験】という概念を与える特殊スキル持ちです」

 すーっと、【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】を持つニチアサちゃんの手が、銀色に光り輝く。
 それは彼女の持つスキルの1つ、【貪欲なる右腕ムナガラー】というスキルが発動したことを意味していた。

 【貪欲なる右腕】は、他人のスキルを自分で使うスキルだ。
 発動条件は、自身で使う相手に触れなければならないというものだが、それさえ守れば相手とどれだけ距離が離れようとも、その相手のスキルを使うことが出来るというスキルだ。
 
 条件は既に、満たしている。
 第1回戦で負けた彼に、【執念蛇イグ】でお仕置きした際に、こっそりと【貪欲なる右腕】が発動できるようにしていたのである。

「私はダンジョンを人為的に作り出しました。世界各国に伝わる、特異な力を持つアイテムが登場する物語のダンジョンを。そして待ちわびていたのですよ、そんなダンジョンをクリアして、神から特異なスキルを手に入れる事となる者の存在を」
「そして、見事にお眼鏡にかかったのが、あの時に見せてくれた3名の冒険者であり。今からそのうちの1人のスキルを、無断で使って、【記憶】し、【経験】することが出来るようになる召喚獣として、"マスター"を呼び出すと」

 そうだとでも言わんばかりに、日野シティーミティーはスキルを発動する。
 冴島渉が持つ、【召喚 レベルアップ可能】を。
 愛しの"マスター"が【記憶】を継承できるようになる、召喚獣となるために。


「発動、【強欲なる右腕】! 【黄金召喚】と共に、"マスター"をこの世界へと呼び出すのですよ!!」


 ===== ===== =====
 【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】を使って 【黄金召喚】を 行います
 また 【強欲なる右腕】のスキルにて 【召喚士】冴島渉 所有のスキルを 強制発動

 召喚獣 【赤坂帆波】を レベルアップ可能状態で 召喚します

 また【フギンとムニンの液体瓶(ダブルエム特別仕様)】の 効果により "赤坂帆波"の記憶を 継承します
 ===== ===== =====


 そうして、【赤坂帆波の魂(亀裂あり)】は消えていき、代わりに1人の少女が召喚される。


 ===== ===== =====
 【赤坂帆波あかさかほなみ】 レベル;Ⅰ+1
 個体レベル;01
 装備職業;勇者/奴隷商人/召喚士
 攻撃力;(SS)B+1
 属性攻撃力;S+1
 防御力;SS+1
 素早さ;(SS)D+1
 賢さ;S+1
 >>攻撃力がSSを越えたため、特殊スキル【怪力】を取得しました
 >>素早さがSSを越えたため、特殊スキル【韋駄天】を取得しました

 固有スキル;【世界救済の勇者】;世界を救済した勇者のみが用いれる称号のようなスキル。全ての敵に対して、特攻スキルを得る
      ;【効率主義・神】;効率を重視する彼女の生き方が形となったスキル。戦闘以外で体力を消費しなくなる
      ;【三大堕落の主】;過去の絆が形となったスキル。【三大堕落】の関係者に対して命令を与える事が出来る

 後天スキル;【勇者スキル一式】;職業【勇者】の持つスキルをすべて手に入れて合わせたスキル。【勇者】の職業で出来る事は何でもできる
      ;【奴隷商人スキル一式】;職業【奴隷商人】の持つスキルをすべて手に入れて合わせたスキル。【奴隷商人】の職業で出来る事は何でもできる
      ;【召喚士スキル一式・零】;職号【召喚士】の持つスキル全てに、【召喚術・零】を合わせたスキル。【召喚士】の職業で出来る事、および【召喚術・零】を使用することができる
      ;【調教の掟】;魔物や奴隷などを使役する際、スキル習得率などを上げるスキル
      ;【怪力】;身体能力が格段に上がるスキル。攻撃力と素早さに上昇補正が入ります
      ;【韋駄天】;速力に優れた戦いの神を模したスキル。光速の速さを手にし、全ての武器に高い適性を与える
 ===== ===== =====


 赤い長髪に、藍色の瞳。
 女子高生らしい均一の取れた身体つきに、佐鳥愛理が入れた【稲妻模様】の刺青が刻み込まれていた。
 そして彼女は、いつものように、2人にこう話しかけた。
 
「やぁ、2人とも。久しぶり」


 そうして、【三大堕落】の主である赤坂帆波は、再びこの地に降り立ったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

異世界転移の……説明なし!

サイカ
ファンタジー
 神木冬華(かみきとうか)28才OL。動物大好き、ネコ大好き。 仕事帰りいつもの道を歩いているといつの間にか周りが真っ暗闇。 しばらくすると突然視界が開け辺りを見渡すとそこはお城の屋根の上!? 無慈悲にも頭からまっ逆さまに落ちていく。 落ちていく途中で王子っぽいイケメンと目が合ったけれど落ちていく。そして………… 聞いたことのない国の名前に見たこともない草花。そして魔獣化してしまう動物達。 ここは異世界かな? 異世界だと思うけれど……どうやってここにきたのかわからない。 召喚されたわけでもないみたいだし、神様にも会っていない。元の世界で私がどうなっているのかもわからない。 私も異世界モノは好きでいろいろ読んできたから多少の知識はあると思い目立たないように慎重に行動していたつもりなのに……王族やら騎士団長やら関わらない方がよさそうな人達とばかりそうとは知らずに知り合ってしまう。 ピンチになったら大剣の勇者が現れ…………ない! 教会に行って祈ると神様と話せたり…………しない! 森で一緒になった相棒の三毛猫さんと共に、何の説明もなく異世界での生活を始めることになったお話。 ※小説家になろうでも投稿しています。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

処理中です...