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第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』

第147話 今から2世紀ほど前、ダンジョンは生まれた----(1)

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 雪ん子と日野シティーミティーの2人は、四次元で激しい戦闘を繰り広げていた。
 四次元の戦いがどういうモノかと言われれば、それはまさしく三次元までの戦いとは次元が違う戦いであった。


「【怒れる滅竜ボクルグ】!」
「《【すっごい剣撃】!》」

 日野シティーミティーが放ったのは、クトゥルフ神話の旧支配者のボクルグをイメージした破壊技。
 彼女が斧を振るうと、斧を振りかぶった線上にあるモノ全てが消え去る・・・・
 モノだけではなく、空間そのものがそこから消えて行ったのである。

 それに対して、雪ん子が放ったのは、超破壊的な威力を誇る剣技。
 四大力【オーバーロード】を無理やり剣の中に落とし込んだ、強力な剣は技でもなんでもなかったが、日野シティーミティーの【怒れる滅竜】とほぼ同等の力を発揮していた。

「さらには【潜伏者ロイガー】100連発!」

 日野シティーミティーは武器を斧から弓へと変え、弓矢を連発。
 連発された弓矢は空間に穴を開けて消え、あり得ない場所から弓矢が発射されたのである。
 いつ現れるかも分からない弓矢、それを雪ん子は本能で斬り結ぶ。

「アハハ! この【潜伏者】を本能で、全部斬り捨てるとは! それにさっきから、過去や未来へスキルを放っているのに、それまで防ぐとは!」

 日野シティーミティーは嬉しそうに笑っていた。
 先程から直接的な攻撃だけではなく、【旅立つ別次元アルワッサ】によって攻撃の一部を、時間軸を飛ばして攻撃していたのである。

 槍の突きを過去へと、短刀を未来へと飛ばして。
 
 時間軸という概念を吹き飛ばして、日野シティーミティーは攻撃しているのだ。
 普通ならば防御すら出来ないくらいの、次元を越えての一撃ではあったが、それすらも雪ん子は【オーバーロード】の力をすぐさま利用して対処していた。

「《【燃え尽きるくらい剣技】!!》」
「うわぁお! これも威力が滅茶苦茶デカいね! ----楽しい! この世界に来て初めて、戦いというのを感じてる気がしますよ!」

 ちゃんと戦闘になっていることに、日野シティーミティーは心の底から喜んでいた。
 今まではたった一発、それどころかスキルでもない一撃で、倒れる相手ばかりだったから。

「戦闘、これこそが戦闘! "マスター"、これが【青春】なんですね!
 競い合える相手! 同じ強さのぶつかり合い! ただの作業なんかではなく、自分で考える!
 ----あぁ、"マスター"……この出来事を、【青春】物語としてお伝えしたいですよ!」

 そうして、日野シティーミティーと雪ん子はさらに激しい戦いを続けて----


「----【休戦調停の杖】!!」


 急に、バトルが終了したのである。
 そして、雪ん子と日野シティーミティーは四次元から強制的に抜け出され、元のダンジョンへ----《三日月の塔》に強制的に転移させられれたのである。

「《ぴぴぴ?! スキル、無理?!》」
「……ダブルエム、ですか」

 雪ん子は攻撃をしようとするのに一切動かない事に困惑し、日野シティーミティーはこの状況を引き起こした人物に頭を抱えていた。

「えぇ、私ですよ。ニチアサちゃん。そろそろ#頃合い かと思いまして。
 ----おや? その召喚獣は?」

 大型スマホ型の顔の少女、【三大堕落】のダブルエムは不思議な杖を持ったまま、2人を迎えていた。
 日野シティーミティーは溜め息と共に、ダブルエムに事情を説明する。

「この子は、さっきまで私と競い合ってた召喚獣だよ」
「……? #ニチアサちゃん #競い合い ですって? 四大力【オーバーロード】という最強の力を持つ、#ニチアサちゃん に?」
「信じられないのは分かりますけど、本当の事なので。あと、彼女も【オーバーロード】持ちですよ」

 大型スマホに困惑した顔を映す、ダブルエム。
 それくらい、日野シティーミティーと競い合える相手がいる事が、信じられなかったのである。
 
「まぁ、ダブルエム----あんたがここまで来たって事は、準備が整ったって事ね。じゃあ、行きましょうか」
「えぇ、彼女には#即退場 してもらいましょうか」

 くるり、と日野シティーミティーとダブルエムの2人は、杖の力によって攻撃できないようになってる雪ん子を見つめていた。

「《ぐぐぐっ----!!》」
「凄いね、この召喚獣。#【休戦調停の杖】 に抗おうとしてますね。流石は最強の四大力、【オーバーロード】」

 ダブルエムが使ったのは、常に平和そのものという世界を閉じ込めた【世界球体】を加工して作り出した、どんな相手であろうとも強制的に戦闘させなくさせる杖。
 【休戦調停の杖】が効果を発動しているうちは、抗う事すら、普通は出来ないはずなのだ。

 それでも抗える四大力【オーバーロード】の力に、ダブルエムは賞賛さえ覚えていた。
 そして抗おうとする雪ん子に、ダブルエムは近付く。

「ねぇ、そこの召喚獣? 今、君は日野シティーミティーを、彼女を#殺そう としてない? 戦いを続けようとしてない? 
 ちょっとばかりスキルを見させてもらったけど、君はかなり殺意が強い#召喚獣 なんだね。
 私は不老不死なんだから殺そうとしても良いけど、彼女を----日野シティーミティーを殺してはダメだよ?」

 日野シティーミティーを指差しながら、ダブルエムは伝える。
 雪ん子に分かってもらうために、戦闘しようという気持ちを諦めてもらうために。


「彼女を殺したら、あなたは自身を召喚してくれた【召喚士】との縁を失うからですよ。
 日野シティーミティーを殺した時点で、あなたはこの世界から消え失せちゃいますから」
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