151 / 354
第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』
第143話(真実編) 因縁(3)
しおりを挟む
元々、"マスター"が私と共に外出した理由は、私に説教するためなんかではなく。
この世界に帰ってくるという勇者さんを迎えるために、外出することにしたんだそうだ。
「まぁ、帰って来る勇者さんが物騒すぎた場合、攻撃を受け止める役としてもダブルエムは良いからね」
「え? これから私、肉壁? #盾扱い されんの?」
「アハハ、冗談! じょうだぁ~ん!」
"マスター"の言葉は冗談に聞こえないから、本当に困るんだけど。
----まぁ、"マスター"に命令されたら普通にやるし、【不老不死】担当として【テセウスの船】という、物体があれば無限に復活するスキルはありますし、【三大堕落】で私以上に肉壁として相応しいのはいないでしょう。いや、いるはずがない。
「でも、"マスター"? どうしてその、勇者さん? とやらを #お出迎え するんです?」
「いやぁ、だって普通はそうでしょう? 勇者として異世界帰りって事は、この世界で暮らしていない時間があった、って事でしょ? そういう元勇者ってのは、色々と世間的に厳しかったりするんだよ。
なにせ、居ない時間があるから学歴が中退に終わってたり、あるいは居ない時期があるせいで仕事の雇用に問題が出たりね?」
まるで、自分自身の事を話しているかのような、そんな経験から"マスター"は語っているかのように見えた。
"マスター"も元勇者だったから、そういう事態になるかもしれないと知っているからこそ、元勇者の先輩として助けたいと思っているんだそうだ。
「まぁ、もし仮にいい人物だったら、私抜きにしても仲良くしなさいよね?」
「え? まぁ、そうですね……その時は……」
と、私はぐるりと辺りを見渡す。
すると、【美味しいスイカが入荷しました!】【夕張メロン、ギフトにいかがでしょうか?】と、スーパーのノボリが見えたので、思わずこう言った。
「----夕張萃香、とでも名乗って、優しく接しようかと」
その時である。
"マスター"の身体に、亀裂が走っていた。
石に傷が入る時のように、"マスター"の身体に亀裂が生まれて、そして----
【三大堕落】の"マスター"、赤坂帆波は死んだのである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「次元の亀裂って奴ですよ」と、夕張萃香は俺に、空海大地にそう語った。
「#地割れ みたいに、世界全体を襲った亀裂。我々の次元に生じた、亀裂。"マスター"は運悪く、その#亀裂 に巻き込まれて、身体をバラバラにして、殺された。
私はすぐさま、"マスター"を蘇生しようと思いました。私のスキル【テセウスの船】のスキルを使えば、どんなに深い傷であっても、なくなったのと同じ分だけの物体さえあれば治せるので」
夕張萃香は、ラーメンを一口すすりながら、そう話を続ける。
確かに【テセウスの船】は倫理道徳的な概念を無視すれば、最強の回復スキルである。
なにせ、なくなった身体と同じだけの量の物品を用意するだけで、どんなに深い傷だろうと治せるというスキルなのだから。
「----でも、治せませんでした」
残念そうに、萃香はそう告げた。
「"マスター"は次元の亀裂に巻き込まれ、その身体の各部分を別次元の彼方へと弾き飛ばされました。そして、世界は亀裂の存在を#なかった ことにしました。
世界の自浄作用----って奴ですかね? 血が出てもすぐ#かさぶた が出来て止まるように、世界が壊れると勝手に治る力が働くという感じで。
亀裂によって壊れたモノはそのままに。初めからそうであったと、定義されまして----すなわち、"マスター"は、初めからあの状態であった、と」
「【テセウスの船】で直せない状況にされた、って訳か」
【テセウスの船】は強力な回復スキルではあるが、あくまでも破損や傷を元の状態にまで持って行くというスキルである。
完全な状態で物を引っ付けてもスキルは発動せず、よって亀裂によって殺され、その後に亀裂をなかったことにする世界の自浄作用によって、"マスター"は永遠に死んだままにされた。
蘇生も出来ない、ただの肉の塊に。
「そして、その亀裂を引き起こしたのが----あなたです、#空海大地」
彼女はビシッと、俺を、空海大地を指差す。
「あなたは、この世界に帰ってきた。そう、地球という名の船に、あなたは別世界から四大力を全部、最上級にまで高めた状態で、帰ってきた。
あなたの存在は、この次元と比べると、あまりにも重かった。普通の世界なら、簡単に閉じ込める事が出来る【世界球体】が閉じ込められないくらい、あなたは重かった」
「そうか! あの時の佐鳥愛理の!」
俺はその時、北海道にて佐鳥愛理に【世界球体】に閉じ込められた時の出来事を思い返していた。
【世界球体】に閉じ込められてたはずなのに、何故かいきなり壊れて脱出できたのを見て、佐鳥愛理は笑っていた。
あの笑いは「やはりお前こそが、お前が重すぎたから次元が割れたのだ!」という意味での、確信を得たからこその、笑いだったのか……!
「【世界球体】に閉じ込められもしないくらい、存在が強すぎる人間。そんなあなたが、帰ってきたことで、この世界は耐えられずに、亀裂が生じた。脆くなった床に、重い人がジャンプして落ちてきた際に、壊れて亀裂が生じる時のように」
そして、その亀裂が、"マスター"を殺した。
萃香はそう、俺に告げるのであった。
「あなたの意図でないことも、あなたがわざとやったことでないことも、分かっています。あなたはただ単にこの世界に帰ってきただけで、この世界があなたという力を受け止めるにはあまりにも弱すぎた。そして、帰って来る際も、この世界に早く帰ろうとして、スピードがあったこともダメだった。
強力すぎる空海大地という存在、そしてこの世界に戻ろうとする時のスピード。それに耐えきれなかったこの世界----どれかがもう少しだけ良かったら、このような事態にはならなかったのかもしれません」
「でも、実際にもうそれは起こった」と、萃香が告げると、突然、店に居た人達が全員、立ち上がって、手を真っすぐに直立する。
ラーメンを食べていたお客さんも、テーブルを拭いていた従業員も、そして奥でラーメンを作っている店主も、全員が直立の状態で、俺の方を見ていた。
全員が同じタイミングで手を動かして、顔に手をかける。
----ベリベリベリッ!!
なにかを剥がす時の音が聞こえたかと思ったら、それは彼らが自分の顔の皮を剝いでいる時の音だった。
スパイ映画とかで良く見る、変装道具である変装用の顔マスクを外す時のように。
「「「「お前は帰って来るべきではなかった」」」」
そうして顔マスクを剥がして出てきたのは、全員同じ顔。
復讐心に燃える【三大堕落】の1人、佐鳥愛理の顔だった。
お客も、店員も、全員が佐鳥愛理の顔で、憎しみと共に俺を睨みつけている。
「「「「"マスター"を殺した野郎は始末する」」」」
「「「「お前さえいなければ」」」」
「「「「お前さえ帰って来なければ」」」」
「「「「永遠に、幸せに暮らしてたのに!!!!」」」」
そうして、大量の佐鳥愛理は刃物を持って襲い掛かって来た。
「後は、あなたにお任せしますよ。佐鳥愛理、私達【三大堕落】の中で最も彼に復讐心を抱く者。
----さーて、私はそろそろ日野シティーミティーちゃんの所に向かいませんとね。彼女に用がありますし」
大量の佐鳥愛理軍団の攻撃の最中、ダブルエムはこっそり店から抜け出していた。
後は佐鳥愛理に任せておけば良い、そう思って。
ダブルエムは急ぎ、日野シティーミティーの所へ向かうのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ダブルエムは急いでダンジョンに向かうために、身体の一部を変質させる事にした。
彼女の職業の【工場】を用いれば、自分の身体を変化させることなど容易だったからだ。
そして、ダブルエムは背中に、飛行能力に優れたハヤブサの翼を生やす。
まるで天使のような姿に、背中に翼を生やしたダブルエムはそのまま飛んで向かおうとして----
「【魔剣召還】!」
その背中を、佐鳥愛理が召喚した魔剣によって切り裂かれたのである。
「#あ~れ~」
背中の翼を斬られ、ダブルエムは地面へと落下する。
しかしながら、不老不死である彼女にとっては、さほど問題ではなかったらしく、すぐさまサッと立ち上がっていた。
彼女の背中を斬った魔剣は、その召喚主である佐鳥愛理の元へ駆け寄っていた。
そう、大量に居た佐鳥愛理の分身の1人が、ダブルエムに攻撃を仕掛けていたのである。
「……ダブルエム。あんたに話したいことが、1つだけある。
でも、あなたの今の行動から、確信に変わった」
佐鳥愛理は大量に魔剣を呼び出して、佐鳥愛理に突き付けていたのである。
「うちらは、仲良しこよしという訳ではありません。ただ、"マスター"である赤坂帆波様を崇める集団。"マスター"のために、行動するのが我々【三大堕落】。
そんな我らは、自分の攻撃も、"マスター"の好きな物に影響を及ぼされている」
例えば、佐鳥愛理が「〇〇三大」系統の技を使うのは、"マスター"がそういうトップ3の並びが好きだったから。
例えば、シーヴィーが【蕩ける声】を使うのは、彼女の声が褒められ、【甘言】の役割を与えられたから。
例えば、【青春】担当の日野シティーミティーの髪が青いのも、【"青"春】を担当しているから。
「私達は、"マスター"のために戦う。それこそが【三大堕落】。だから、あなたのその行動は可笑しい。
「様々な動物の部分を混ぜて、不老不死に近い生物へと変質させれば?」というのを秒で"マスター"に却下されていたダブルエムが、"マスター"が望まなかった考えが、
ダブルエム。あなたにそんな、動物の部分を身体につけるという技を生み出すはずがないっ!!」
「お前は何者だ!」と、佐鳥愛理は言い切り。
「さぁ、教えないね。でもまぁ、ダブルエムでないことは確かだよ。
----邪魔されると面倒だ、とっとと殺してしまおうか」
ダブルエムは、今まで見た事のないような殺意に満ちた目で、佐鳥愛理の始末を開始するのであった。
(※)空海大地による世界破壊事件
【天空世界】で、空海大地は色々な島から《オーラ》、《マナ》、《スピリット》、《プラーナ》の4つの四大力を最高水準、レベルⅩクラスまで高めていた
あまりにも強すぎるその力は、この世界へと帰還する際に、次元の亀裂を生み出した
世界は壊されるも、自浄作用で世界はゆっくりと元に戻る。その際の亀裂があった場所にダンジョンが入り込む。亀裂によって消された物や人間は、そのまま消された状態にて再構築されるのであった
----その犠牲となった人物の1人、それが【三大堕落】の主、赤坂帆波である
この世界に帰ってくるという勇者さんを迎えるために、外出することにしたんだそうだ。
「まぁ、帰って来る勇者さんが物騒すぎた場合、攻撃を受け止める役としてもダブルエムは良いからね」
「え? これから私、肉壁? #盾扱い されんの?」
「アハハ、冗談! じょうだぁ~ん!」
"マスター"の言葉は冗談に聞こえないから、本当に困るんだけど。
----まぁ、"マスター"に命令されたら普通にやるし、【不老不死】担当として【テセウスの船】という、物体があれば無限に復活するスキルはありますし、【三大堕落】で私以上に肉壁として相応しいのはいないでしょう。いや、いるはずがない。
「でも、"マスター"? どうしてその、勇者さん? とやらを #お出迎え するんです?」
「いやぁ、だって普通はそうでしょう? 勇者として異世界帰りって事は、この世界で暮らしていない時間があった、って事でしょ? そういう元勇者ってのは、色々と世間的に厳しかったりするんだよ。
なにせ、居ない時間があるから学歴が中退に終わってたり、あるいは居ない時期があるせいで仕事の雇用に問題が出たりね?」
まるで、自分自身の事を話しているかのような、そんな経験から"マスター"は語っているかのように見えた。
"マスター"も元勇者だったから、そういう事態になるかもしれないと知っているからこそ、元勇者の先輩として助けたいと思っているんだそうだ。
「まぁ、もし仮にいい人物だったら、私抜きにしても仲良くしなさいよね?」
「え? まぁ、そうですね……その時は……」
と、私はぐるりと辺りを見渡す。
すると、【美味しいスイカが入荷しました!】【夕張メロン、ギフトにいかがでしょうか?】と、スーパーのノボリが見えたので、思わずこう言った。
「----夕張萃香、とでも名乗って、優しく接しようかと」
その時である。
"マスター"の身体に、亀裂が走っていた。
石に傷が入る時のように、"マスター"の身体に亀裂が生まれて、そして----
【三大堕落】の"マスター"、赤坂帆波は死んだのである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「次元の亀裂って奴ですよ」と、夕張萃香は俺に、空海大地にそう語った。
「#地割れ みたいに、世界全体を襲った亀裂。我々の次元に生じた、亀裂。"マスター"は運悪く、その#亀裂 に巻き込まれて、身体をバラバラにして、殺された。
私はすぐさま、"マスター"を蘇生しようと思いました。私のスキル【テセウスの船】のスキルを使えば、どんなに深い傷であっても、なくなったのと同じ分だけの物体さえあれば治せるので」
夕張萃香は、ラーメンを一口すすりながら、そう話を続ける。
確かに【テセウスの船】は倫理道徳的な概念を無視すれば、最強の回復スキルである。
なにせ、なくなった身体と同じだけの量の物品を用意するだけで、どんなに深い傷だろうと治せるというスキルなのだから。
「----でも、治せませんでした」
残念そうに、萃香はそう告げた。
「"マスター"は次元の亀裂に巻き込まれ、その身体の各部分を別次元の彼方へと弾き飛ばされました。そして、世界は亀裂の存在を#なかった ことにしました。
世界の自浄作用----って奴ですかね? 血が出てもすぐ#かさぶた が出来て止まるように、世界が壊れると勝手に治る力が働くという感じで。
亀裂によって壊れたモノはそのままに。初めからそうであったと、定義されまして----すなわち、"マスター"は、初めからあの状態であった、と」
「【テセウスの船】で直せない状況にされた、って訳か」
【テセウスの船】は強力な回復スキルではあるが、あくまでも破損や傷を元の状態にまで持って行くというスキルである。
完全な状態で物を引っ付けてもスキルは発動せず、よって亀裂によって殺され、その後に亀裂をなかったことにする世界の自浄作用によって、"マスター"は永遠に死んだままにされた。
蘇生も出来ない、ただの肉の塊に。
「そして、その亀裂を引き起こしたのが----あなたです、#空海大地」
彼女はビシッと、俺を、空海大地を指差す。
「あなたは、この世界に帰ってきた。そう、地球という名の船に、あなたは別世界から四大力を全部、最上級にまで高めた状態で、帰ってきた。
あなたの存在は、この次元と比べると、あまりにも重かった。普通の世界なら、簡単に閉じ込める事が出来る【世界球体】が閉じ込められないくらい、あなたは重かった」
「そうか! あの時の佐鳥愛理の!」
俺はその時、北海道にて佐鳥愛理に【世界球体】に閉じ込められた時の出来事を思い返していた。
【世界球体】に閉じ込められてたはずなのに、何故かいきなり壊れて脱出できたのを見て、佐鳥愛理は笑っていた。
あの笑いは「やはりお前こそが、お前が重すぎたから次元が割れたのだ!」という意味での、確信を得たからこその、笑いだったのか……!
「【世界球体】に閉じ込められもしないくらい、存在が強すぎる人間。そんなあなたが、帰ってきたことで、この世界は耐えられずに、亀裂が生じた。脆くなった床に、重い人がジャンプして落ちてきた際に、壊れて亀裂が生じる時のように」
そして、その亀裂が、"マスター"を殺した。
萃香はそう、俺に告げるのであった。
「あなたの意図でないことも、あなたがわざとやったことでないことも、分かっています。あなたはただ単にこの世界に帰ってきただけで、この世界があなたという力を受け止めるにはあまりにも弱すぎた。そして、帰って来る際も、この世界に早く帰ろうとして、スピードがあったこともダメだった。
強力すぎる空海大地という存在、そしてこの世界に戻ろうとする時のスピード。それに耐えきれなかったこの世界----どれかがもう少しだけ良かったら、このような事態にはならなかったのかもしれません」
「でも、実際にもうそれは起こった」と、萃香が告げると、突然、店に居た人達が全員、立ち上がって、手を真っすぐに直立する。
ラーメンを食べていたお客さんも、テーブルを拭いていた従業員も、そして奥でラーメンを作っている店主も、全員が直立の状態で、俺の方を見ていた。
全員が同じタイミングで手を動かして、顔に手をかける。
----ベリベリベリッ!!
なにかを剥がす時の音が聞こえたかと思ったら、それは彼らが自分の顔の皮を剝いでいる時の音だった。
スパイ映画とかで良く見る、変装道具である変装用の顔マスクを外す時のように。
「「「「お前は帰って来るべきではなかった」」」」
そうして顔マスクを剥がして出てきたのは、全員同じ顔。
復讐心に燃える【三大堕落】の1人、佐鳥愛理の顔だった。
お客も、店員も、全員が佐鳥愛理の顔で、憎しみと共に俺を睨みつけている。
「「「「"マスター"を殺した野郎は始末する」」」」
「「「「お前さえいなければ」」」」
「「「「お前さえ帰って来なければ」」」」
「「「「永遠に、幸せに暮らしてたのに!!!!」」」」
そうして、大量の佐鳥愛理は刃物を持って襲い掛かって来た。
「後は、あなたにお任せしますよ。佐鳥愛理、私達【三大堕落】の中で最も彼に復讐心を抱く者。
----さーて、私はそろそろ日野シティーミティーちゃんの所に向かいませんとね。彼女に用がありますし」
大量の佐鳥愛理軍団の攻撃の最中、ダブルエムはこっそり店から抜け出していた。
後は佐鳥愛理に任せておけば良い、そう思って。
ダブルエムは急ぎ、日野シティーミティーの所へ向かうのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ダブルエムは急いでダンジョンに向かうために、身体の一部を変質させる事にした。
彼女の職業の【工場】を用いれば、自分の身体を変化させることなど容易だったからだ。
そして、ダブルエムは背中に、飛行能力に優れたハヤブサの翼を生やす。
まるで天使のような姿に、背中に翼を生やしたダブルエムはそのまま飛んで向かおうとして----
「【魔剣召還】!」
その背中を、佐鳥愛理が召喚した魔剣によって切り裂かれたのである。
「#あ~れ~」
背中の翼を斬られ、ダブルエムは地面へと落下する。
しかしながら、不老不死である彼女にとっては、さほど問題ではなかったらしく、すぐさまサッと立ち上がっていた。
彼女の背中を斬った魔剣は、その召喚主である佐鳥愛理の元へ駆け寄っていた。
そう、大量に居た佐鳥愛理の分身の1人が、ダブルエムに攻撃を仕掛けていたのである。
「……ダブルエム。あんたに話したいことが、1つだけある。
でも、あなたの今の行動から、確信に変わった」
佐鳥愛理は大量に魔剣を呼び出して、佐鳥愛理に突き付けていたのである。
「うちらは、仲良しこよしという訳ではありません。ただ、"マスター"である赤坂帆波様を崇める集団。"マスター"のために、行動するのが我々【三大堕落】。
そんな我らは、自分の攻撃も、"マスター"の好きな物に影響を及ぼされている」
例えば、佐鳥愛理が「〇〇三大」系統の技を使うのは、"マスター"がそういうトップ3の並びが好きだったから。
例えば、シーヴィーが【蕩ける声】を使うのは、彼女の声が褒められ、【甘言】の役割を与えられたから。
例えば、【青春】担当の日野シティーミティーの髪が青いのも、【"青"春】を担当しているから。
「私達は、"マスター"のために戦う。それこそが【三大堕落】。だから、あなたのその行動は可笑しい。
「様々な動物の部分を混ぜて、不老不死に近い生物へと変質させれば?」というのを秒で"マスター"に却下されていたダブルエムが、"マスター"が望まなかった考えが、
ダブルエム。あなたにそんな、動物の部分を身体につけるという技を生み出すはずがないっ!!」
「お前は何者だ!」と、佐鳥愛理は言い切り。
「さぁ、教えないね。でもまぁ、ダブルエムでないことは確かだよ。
----邪魔されると面倒だ、とっとと殺してしまおうか」
ダブルエムは、今まで見た事のないような殺意に満ちた目で、佐鳥愛理の始末を開始するのであった。
(※)空海大地による世界破壊事件
【天空世界】で、空海大地は色々な島から《オーラ》、《マナ》、《スピリット》、《プラーナ》の4つの四大力を最高水準、レベルⅩクラスまで高めていた
あまりにも強すぎるその力は、この世界へと帰還する際に、次元の亀裂を生み出した
世界は壊されるも、自浄作用で世界はゆっくりと元に戻る。その際の亀裂があった場所にダンジョンが入り込む。亀裂によって消された物や人間は、そのまま消された状態にて再構築されるのであった
----その犠牲となった人物の1人、それが【三大堕落】の主、赤坂帆波である
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説

異端の紅赤マギ
みどりのたぬき
ファンタジー
【なろう83000PV超え】
---------------------------------------------
その日、瀧田暖はいつもの様にコンビニへ夕食の調達に出掛けた。
いつもの街並みは、何故か真上から視線を感じて見上げた天上で暖を見る巨大な『眼』と視線を交わした瞬間激変した。
それまで見ていたいた街並みは巨大な『眼』を見た瞬間、全くの別物へと変貌を遂げていた。
「ここは異世界だ!!」
退屈な日常から解き放たれ、悠々自適の冒険者生活を期待した暖に襲いかかる絶望。
「冒険者なんて職業は存在しない!?」
「俺には魔力が無い!?」
これは自身の『能力』を使えばイージーモードなのに何故か超絶ヘルモードへと突き進む一人の人ならざる者の物語・・・
---------------------------------------------------------------------------
「初投稿作品」で色々と至らない点、文章も稚拙だったりするかもしれませんが、一生懸命書いていきます。
また、時間があれば表現等見直しを行っていきたいと思っています。※特に1章辺りは大幅に表現等変更予定です、時間があれば・・・
★次章執筆大幅に遅れています。
★なんやかんやありまして...

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。

異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる