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第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』
第140話 四次元の対決と、第3回戦の相手
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「まさか、本当にうちの空亡を倒せるだなんてね。とりあえずは、おめでとうと賛辞の言葉を伝えましょう」
パチパチパチッと、手を叩いて素直に賛辞を表現するニチアサちゃん。
そして、渦を生み出すと、その渦の中に手を突っ込んで、武器を手にしていた。
ニチアサちゃんが渦の中から取り出したのは、獅子の紋様を持つ聖剣。
刀身には青い炎がゆらゆらと揺らめいており、ニチアサちゃんはその聖剣を雑に振るう。
----キィィィィィィンッッッ!!
なにかとてつもなく巨大な音が聞こえたかと思っていたら、いつの間にか雪ん子が剣を片手に、虚空を薙ぎ払っていた。
何をしたんだと思っていると、突如として空が割れて、斬撃が降り注いできた。
「----?! 何が起こったんだ?!」
「へぇ、やっぱりそっちの雪ん子ちゃんは私の攻撃を防ぐ、いや見る事が出来るんだね」
ニチアサちゃんは嬉しそうに、さらに剣を振るう。
めちゃくちゃ大きな音が聞こえていたが、斬撃や衝撃波などは一切見えない。
そして、それに合わせるように雪ん子も、空中に剣を振るうのである。
「(なんだろう、これ?)」
俺には見えないのだが、どうやら2人で斬り合っているようだが、見えない以上----ただ虚空に向かって、2人で剣を振り合っているようにしか見えない。
「アハハっ!! こんなにも激しく攻め合ってるのに、冴島渉くんがバカを見るような眼をしているね!
実際は、雪ん子ちゃんが庇わなければ、既に1000回以上殺されてるというのに」
ニチアサちゃんが適当に剣を振るうと、彼女の頭上に大きな穴が現れた。
まるで空間を斬り刻んだ、とでも言わんばかりに。
「これは私の職業、【旧支配者】のスキルの効果。スキル名は【宇宙帝王】。スキル効果は、"四次元を斬る"というモノですよ。
私がこのスキルを使っている時は、時と空間----時空を越えて、斬るスキル。三次元までしか認識できてない冴島渉くんには、私と雪ん子ちゃんの戦いが見えてなかったようだね」
そう、先程まで、ニチアサちゃんと雪ん子は、四次元と呼ばれる場所で斬り合っていたのだ。
縦と横で表現して面上の二次元、そこに奥行きが加わった三次元が俺達が暮らしているこの世界。
そして今、ニチアサちゃんと雪ん子が斬り合っていたのは、そこに時間が加わることで生まれた、四次元----。
四次元での斬り合いというのは、文字通り異次元の斬り合い。
斬撃が未来の自分や、過去の自分へと、時間なんて概念をなくしての攻撃。
ニチアサちゃんはそのように過去の雪ん子や、未来の雪ん子へと、時間を飛び越えて斬撃を放ち、それを【オーバーロード】の四大力を用いて、雪ん子は防いでいたのだ。
「文字通り、この【宇宙帝王】は防ぐことが出来ない必殺の剣だった。いくら防御を固めようが、どの時間でも防御が硬いなんてことはなく、私の剣は相手に斬られた感触すら与えずに斬り伏せてきた。
----しかし、それを防ぐ相手が現れた」
「《ぴぴぴっ……》」
「まだ時間を飛ばしての攻撃は出来ないみたいだけど、防ぐことが出来るって事は、慣れてくれば良いって事か」
ニチアサちゃんと雪ん子は、互いにけん制し合いながらも、斬撃を四次元に飛ばし合って攻撃しているようだ。
しかし、俺はそれを認識する事すら出来ず、ただ2人の戦いを見ている事しか出来なかった。
「《倒す褒めてもらう……倒す褒めてもらう……倒す褒めてもらう……》」
「やる気のようだね、雪ん子ちゃん。実は私も、久方ぶりに自分の攻撃を防ぐことが出来る相手と出会って、すっごくワクワクしてるんだ! これがアレだね、『未熟なライバルを育てるために一緒に特訓する、"無駄な時間潰し"』----同じ力を持つ者同士のぶつかり合い! これが、これこそが青春というモノですか!!」
ニチアサちゃんは笑っているが、実際に彼女は喜んでいた。
正確には彼女の魂と結びついている、好戦的な魔王の魂が、好敵手なりうる存在の登場に喜んでいたのである。
好戦的な者にとって、好敵手なり得る相手と言うのは、とても喜ばしいモノだ。
その者達にとって欲しいのは勝利などではなく、自分とちゃんと戦い合いになれるだけの相手なのだから。
「《倒す----!!》」
雪ん子はそう言って、"消えた"。
「へぇ、四次元に入る事も出来るようになったんですか! それじゃあ、こちらも遠慮なく----!!」
そして、ニチアサちゃんも"消えた"。
2人の姿が消え、しかしながら戦いの音はすぐそこから聞こえてくる。
「あ~、これはアレですね♪ 私達が観測できない所で戦ってる、というパターンですなぁ!」
すっと、まるでさっきから居ましたとばかりに、横から現れたファイントがそう言う。
「ファイント、お前、分かるのか?」
「うんにゃ、全然☆ なんかこう、雰囲気的なもので----にしても、雪ん子ちゃんは偉い強くなったんですね☆ まさか、ダンジョンという異世界を越えて、異次元の世界で戦うだなんてね~☆
----まぁ、そうでもしないと戦えない相手がいるっていう事自体が、ヤバいんですけど♪」
言われてみれば、まぁ、そうだよな……。
四次元で戦えるようになった雪ん子よりも、そうでもしなければ戦えない相手である日野シティーミティーの方がヤバいのかもしれん。
「----さて、じゃあご主人! もうひと踏ん張り、頑張っちゃいましょうよ!」
「え? もうひと踏ん張り?」
「え~、忘れてんの、ご主人? 私達がここから出るためには、"あと1回勝たないと行けない"って」
と、そこでようやく俺はファイントが突如として現れた意味を理解した。
雪ん子とニチアサちゃんの、文字通り異次元な戦いを見ていたせいで、コロッと忘れていたのだが----
「そうだ、俺はこの場所から抜け出すために、あと1回、勝負に勝たなくてはならないんだった」
そう、召喚獣対決3回戦勝負ってやつを。
俺は今、ココアとマルガリータの2人が負け、雪ん子が勝ったという、1勝1敗。
3回戦勝負なので、次の勝利に勝てばここから出られて、負けたら永遠にこの世界に閉じ込められる……。
しかし、対戦相手----というか、召喚するニチアサちゃんは居なくなっており、どうすれば良いんだろう。
そう思っていた時である。
===== ===== =====
【世界球体】を使って 【黄金召喚】を 行います
===== ===== =====
次の対戦相手、正確にはその前の物体が現れたのは。
パチパチパチッと、手を叩いて素直に賛辞を表現するニチアサちゃん。
そして、渦を生み出すと、その渦の中に手を突っ込んで、武器を手にしていた。
ニチアサちゃんが渦の中から取り出したのは、獅子の紋様を持つ聖剣。
刀身には青い炎がゆらゆらと揺らめいており、ニチアサちゃんはその聖剣を雑に振るう。
----キィィィィィィンッッッ!!
なにかとてつもなく巨大な音が聞こえたかと思っていたら、いつの間にか雪ん子が剣を片手に、虚空を薙ぎ払っていた。
何をしたんだと思っていると、突如として空が割れて、斬撃が降り注いできた。
「----?! 何が起こったんだ?!」
「へぇ、やっぱりそっちの雪ん子ちゃんは私の攻撃を防ぐ、いや見る事が出来るんだね」
ニチアサちゃんは嬉しそうに、さらに剣を振るう。
めちゃくちゃ大きな音が聞こえていたが、斬撃や衝撃波などは一切見えない。
そして、それに合わせるように雪ん子も、空中に剣を振るうのである。
「(なんだろう、これ?)」
俺には見えないのだが、どうやら2人で斬り合っているようだが、見えない以上----ただ虚空に向かって、2人で剣を振り合っているようにしか見えない。
「アハハっ!! こんなにも激しく攻め合ってるのに、冴島渉くんがバカを見るような眼をしているね!
実際は、雪ん子ちゃんが庇わなければ、既に1000回以上殺されてるというのに」
ニチアサちゃんが適当に剣を振るうと、彼女の頭上に大きな穴が現れた。
まるで空間を斬り刻んだ、とでも言わんばかりに。
「これは私の職業、【旧支配者】のスキルの効果。スキル名は【宇宙帝王】。スキル効果は、"四次元を斬る"というモノですよ。
私がこのスキルを使っている時は、時と空間----時空を越えて、斬るスキル。三次元までしか認識できてない冴島渉くんには、私と雪ん子ちゃんの戦いが見えてなかったようだね」
そう、先程まで、ニチアサちゃんと雪ん子は、四次元と呼ばれる場所で斬り合っていたのだ。
縦と横で表現して面上の二次元、そこに奥行きが加わった三次元が俺達が暮らしているこの世界。
そして今、ニチアサちゃんと雪ん子が斬り合っていたのは、そこに時間が加わることで生まれた、四次元----。
四次元での斬り合いというのは、文字通り異次元の斬り合い。
斬撃が未来の自分や、過去の自分へと、時間なんて概念をなくしての攻撃。
ニチアサちゃんはそのように過去の雪ん子や、未来の雪ん子へと、時間を飛び越えて斬撃を放ち、それを【オーバーロード】の四大力を用いて、雪ん子は防いでいたのだ。
「文字通り、この【宇宙帝王】は防ぐことが出来ない必殺の剣だった。いくら防御を固めようが、どの時間でも防御が硬いなんてことはなく、私の剣は相手に斬られた感触すら与えずに斬り伏せてきた。
----しかし、それを防ぐ相手が現れた」
「《ぴぴぴっ……》」
「まだ時間を飛ばしての攻撃は出来ないみたいだけど、防ぐことが出来るって事は、慣れてくれば良いって事か」
ニチアサちゃんと雪ん子は、互いにけん制し合いながらも、斬撃を四次元に飛ばし合って攻撃しているようだ。
しかし、俺はそれを認識する事すら出来ず、ただ2人の戦いを見ている事しか出来なかった。
「《倒す褒めてもらう……倒す褒めてもらう……倒す褒めてもらう……》」
「やる気のようだね、雪ん子ちゃん。実は私も、久方ぶりに自分の攻撃を防ぐことが出来る相手と出会って、すっごくワクワクしてるんだ! これがアレだね、『未熟なライバルを育てるために一緒に特訓する、"無駄な時間潰し"』----同じ力を持つ者同士のぶつかり合い! これが、これこそが青春というモノですか!!」
ニチアサちゃんは笑っているが、実際に彼女は喜んでいた。
正確には彼女の魂と結びついている、好戦的な魔王の魂が、好敵手なりうる存在の登場に喜んでいたのである。
好戦的な者にとって、好敵手なり得る相手と言うのは、とても喜ばしいモノだ。
その者達にとって欲しいのは勝利などではなく、自分とちゃんと戦い合いになれるだけの相手なのだから。
「《倒す----!!》」
雪ん子はそう言って、"消えた"。
「へぇ、四次元に入る事も出来るようになったんですか! それじゃあ、こちらも遠慮なく----!!」
そして、ニチアサちゃんも"消えた"。
2人の姿が消え、しかしながら戦いの音はすぐそこから聞こえてくる。
「あ~、これはアレですね♪ 私達が観測できない所で戦ってる、というパターンですなぁ!」
すっと、まるでさっきから居ましたとばかりに、横から現れたファイントがそう言う。
「ファイント、お前、分かるのか?」
「うんにゃ、全然☆ なんかこう、雰囲気的なもので----にしても、雪ん子ちゃんは偉い強くなったんですね☆ まさか、ダンジョンという異世界を越えて、異次元の世界で戦うだなんてね~☆
----まぁ、そうでもしないと戦えない相手がいるっていう事自体が、ヤバいんですけど♪」
言われてみれば、まぁ、そうだよな……。
四次元で戦えるようになった雪ん子よりも、そうでもしなければ戦えない相手である日野シティーミティーの方がヤバいのかもしれん。
「----さて、じゃあご主人! もうひと踏ん張り、頑張っちゃいましょうよ!」
「え? もうひと踏ん張り?」
「え~、忘れてんの、ご主人? 私達がここから出るためには、"あと1回勝たないと行けない"って」
と、そこでようやく俺はファイントが突如として現れた意味を理解した。
雪ん子とニチアサちゃんの、文字通り異次元な戦いを見ていたせいで、コロッと忘れていたのだが----
「そうだ、俺はこの場所から抜け出すために、あと1回、勝負に勝たなくてはならないんだった」
そう、召喚獣対決3回戦勝負ってやつを。
俺は今、ココアとマルガリータの2人が負け、雪ん子が勝ったという、1勝1敗。
3回戦勝負なので、次の勝利に勝てばここから出られて、負けたら永遠にこの世界に閉じ込められる……。
しかし、対戦相手----というか、召喚するニチアサちゃんは居なくなっており、どうすれば良いんだろう。
そう思っていた時である。
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【世界球体】を使って 【黄金召喚】を 行います
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次の対戦相手、正確にはその前の物体が現れたのは。
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