俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
127 / 354
第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』

第119話 ダンジョン研修の説明役に#ダブルエム

しおりを挟む
 次の日、俺は市役所で、他の冒険者達と共にダンジョン研修の説明を受けていた。
 部屋に入ると長机には今回の研修の資料が等間隔で置かれており、『ご自由に座ってください』と前のホワイトボードに書かれてあった。

 どうやら、先に資料を読んで待っておいてください、という話なのだろう。

 集まっていたのはレベルⅢとレベルⅣの冒険者が俺を含めて、およそ30名ほど。
 その多くが俺と同じような学生みたいで、やはり夏休みの期間にダンジョン研修を受けようという人は多いんだなと感じた。

 資料には期間の所が【( )月( )日~( )月( )日の、1か月の間に試練達成すること】と空欄になって書き込むようになっており、どうやらこの日付は自分で書きこむみたいである。
 担当員が来るまで暇だったので、先に書き込んで置こう。

「(えっと、【ダンジョン研修】に使うのは、Cランクダンジョン《三日月の塔》か。だったら、ボスは6種類くらいだろうか)」

 ダンジョンにはいくつか種類があり、『月』という言葉を冠するダンジョンも数多く存在する。
 そして、そこにいるボスの数は漢数字の数の倍だということも法則として明らかとなっている。

 例えば今回のダンジョンの名前によく似た《三日月の洞窟》の場合は漢数字が"三"で、出てくるボス魔物の数は6体。
 他に『月』という言葉を冠するダンジョンを例に挙げると、《一夜月の里》は2体、《十五夜の月見郷》は30体、《四月兎の王国》は8体……など。

 まぁ、だから今回の《三日月の塔》は、恐らく6体程度なのだろうな。



「はい、皆さま。#お集まり #感謝 致します」

 【ダンジョン攻略】について、俺がおおよその算段を立てていると、部屋に職員さんが入ってきた。

 入ってきたのは、眼鏡をかけたスーツ姿のお姉さんであり、「早く座ってくださいね」と着席を促していた。
 胸元に【W.М.】という名札を付けている彼女は、ホワイトボード前の職員関係者用の席に座っていた。

「この度、レベルⅢ、およびレベルⅣの冒険者様対象のダンジョン研修の説明を担当致します、市役所職員の【渡瀬橋瑞穂わたせばしみずほ】と申します。#どうぞ #よろしくお願いします」

 と、彼女は丁寧な挨拶にて、俺達に頭を下げるのであった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「(大丈夫なんだろうか、あれで……)」

 その一方で、渡瀬橋瑞穂……正確には【三大堕落】の【不老不死】担当のダブルエムの変装を見守る者がいた。
 その者の名は、空海大地----冒険者系MyTuberとして活動している、元勇者の冒険者である。

 【三大堕落】の1人、日野シティーミティーによってぼろクソに負けてしまった大地は、同じ【三大堕落】の1人、ダブルエムと行動を共にしている。
 本来ならば自分を打ち負かした日野シティーミティーと同じパーティーの仲間であるダブルエムと行動するなんて、とんでもない事だと思われるかもしれないのだが-----。

「(ダブルエムは、夕張萃香ゆうばりすいか----俺様のパーティーメンバーだったのだから)」

 ----夕張萃香、空海大地のパーティーメンバーの1人。
 そもそも佐鳥愛理に挑むこととなった原因は、彼女が殺されたからであり、大地にとって夕張萃香はそれだけ関りが深い人物だったのだ。

 日野シティーミティーとの戦いで、こちらを可愛そうに思ったのか、ダブルエムが自らが夕張萃香であることを教えてくれて、今は一緒に行動しているのである。

「(そんなダブルエムが、夕張萃香が市役所職員に成り代わって、説明すると言う。
 ……これは怪しい、なにかを企んでるに違いない)」

 空海大地が怪しんでいる中、渡瀬橋瑞穂----ダブルエムは淡々と話を進めて行く。


「今回、皆様に潜ってもらうダンジョンは《三日月の塔》と呼ばれるCランクダンジョンです。
 このダンジョンは、四国とほぼ同程度の広さがあり、#ダンジョン内に #いくつもの塔 が存在しております。この塔はそれぞれ同じ構造になっており、塔の中には6種類の入り口があり、それぞれに対応した6体のボスがおります」

 ダブルエムはそう言いながら、ホワイトボードにそれぞれのボスの情報を書き込んでいく。


【ボスを倒した時に入るポイントです
 なお、パーティーで倒した場合、1人で倒そうとも、100人で倒そうとも、同じだけのポイントが付与されます

 レベル1.月面切断兵器【カットムーン】 討伐ポイント=1pt
 レベル2.月鯰【ムーンキャットフィッシュ】 討伐ポイント=50pt
 レベル3.氷月の鬼【斬月鬼ざんげつき】 討伐ポイント=100pt
 レベル4.月猛牛【オックス・サンフレア】 討伐ポイント=200pt
 レベル5.月世界破壊神【ル・ナパーム】 討伐ポイント=500pt
 レベル6.三月の使徒【夜明けの三月】 討伐ポイント=1000pt
 レベル7.特殊ボス【????】 討伐ポイント=10000pt】


 名前だけしか書いてないが、これくらいで良いと大地は判断した。
 下手に情報をもっと書き込み過ぎたら、それこそダンジョン研修の本質----試練の部分がなくなるからだ。

「さて、皆さんにはこれらのポイント表基準にて、1か月以内に既定のポイントを達成することをお願い致します。後ほど、ポイント判定のための特殊装置----ダンジョン技術によって生み出されし、ポイント収集装置を#お渡し致します」


【1か月以内に、以下の条件を達成することで、レベルアップを可能と判断します

 ・【ボス討伐数が10体以下】もしくは【討伐ポイント総数1000pt以下】
 →レベルを1ダウン、またダンジョン講習10回分の受講
 ・【ボス討伐数が11体以上14体以下】もしくは【討伐ポイント総数1500pt以上】
 →レベル変更なし、またダンジョン講習5回分の受講
 ・【ボス討伐数が15体以上19体以下】かつ【討伐ポイント総数2000pt以上】
 →レベル1アップ
 ・【ボス討伐数が20体以上】かつ【討伐ポイント総数10000pt以上】
 →レベル2アップ
 →なおかつ、7体目の特殊ボスを1体以上倒していた場合、また特殊スキル授与】


 ホワイトボードに書かれていたのは、かなりシビアな条件である。
 レベルを上げようと思ったら、ボスを15体以上倒し、なおかつボスを倒して得るポイントが2000pt以上……。

 ただポイントだけを達成しようと思ったら、1000ptのレベル6.【夜明けの三月】を2体倒せば良い。
 しかしながら、それに時間をかけすぎると、1か月という期間の間にボス討伐数を稼ぐのは難しそうだ。

「(いかにポイントを稼ぎつつ、なおかつ討伐数を切り抜けるのか。
 レベルⅢやレベルⅣの冒険者にとっては、難しい問題だろう)」

 ----でも、これが冒険者という世界なのだ。
 これくらいの関門を越えなければ、冒険者として大成できないのだ。
 そういう意味で言えば、この試験にそれほど問題があるとは思えない。

「(問題があるとすれば、ダブルエムが口遊くちずさんでいたあの言葉)」

 この試練----【三大堕落】の1人、日野シティーミティーが絡んでいるという事。
 それが大地には、とても不穏な気配を感じさせるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

処理中です...