上 下
118 / 350
第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』

第111話 新・ココア姉妹による、巨大龍殺し

しおりを挟む
「----と言う訳で、リタちゃんの記念すべき1発目!
 行きます、『キュート』!!」

 すーっと、大きく息を吸ったマルガリータ……リタは手にした杖を巨大龍に向けていた。
 巨大龍に向けると共に、杖からハートマークたっぷりの『キュート』という文字が生まれ、巨大龍の手のスピーカーにぶつかり、スピーカーの1つが破壊された。

「はははっ! 見たですか、これがめちゃんこ可愛いリタちゃんの力なのですよ!」
「すげぇ……」

 なんか気付いたら、テレビの魔法少女が放つようなハートマークたっぷりの『キュート』という文字が、あの巨大な龍の持つスピーカーの1つを破壊していたのだから。

「ふふんっ! ボスよ、リタちゃんの力は凄かったでしょう?!
 なんなら、もーっと褒めてくれて良いのですよ! なにせ、ボクは可愛いので!」

 ドヤァーと、リタは頭を俺へと差し出してくる。
 まるで俺に頭を撫でろと言わんばかりに。

「(ちょっと我が強すぎない……?)」

 どうどうと、頭を俺へと押し付けてくるリタの頭を、おっかなびっくりしながらゆっくり頭を撫でる。

「あぅ~~~っ?! 良いですねぇ、ボスの撫で撫では、良い感じです!
 ……ボスのがダメだったら、可愛いボクの手で---ふふっ!!」
「怖いのじゃ?! なんか、色々とヤバイ事を考えてるのじゃが?!」

 ガシッと、ココアはリタの手を取る。

「ほら、あの巨大龍を妾達でぶち倒すよ! リタ!」
「わっ、分かってるんですよ、ココアの姉御……。行くですよ、ココアの姉御!」

 ココアとリタはまるで姉妹のように手を取ると、背中の蝙蝠に似た翼で、空へと飛ぶのであった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 ココアとリタが空へと舞うと共に、巨大龍----"声融解龍せいゆうかいりゅうオーゴショCVリヴァイアさん"の頭は、2人の方へと向けられていた。

『グォォォン! コロ、コロ、ボタ、ボタゥゥゥゥン!!』

 巨大龍は既に背中の部分は【融合召喚】の副作用で溶け始めているようだが、それでもまだまだ生き続けそうな、妙な存在感があった。

「シーヴィー……このような姿になってでも、妾達を倒したかったとはのぅ。同情こそせんが、副作用で溶ける前に倒すことで、妾の憎しみと共に手向けにしてやろうぞ!!」

 と、ココアがそう気持ちを新たに頑張ろうとしている中、もう一方の手----つまりは、リタを掴んでる手の方にいきなり重みがかかってきた。
 攻撃されたのかと思って見ると、そこにはぜぇぜぇ息を切らしながら、辛うじて飛んでいるリタの姿があった。

「ぜぇぜぇ……空を飛ぶのって……可愛いボクには重労働……なのですよ……」
「まだ飛んで1分も経っておらんが?!」

 あまりの体力のなさに、ココアが少しがっかりして、そのままゆっくりリタの身体を抱きかかえる。

「ほら、これでどうじゃ? 少しは疲れなくなるじゃろう?」
「あっ……ありがとうなの……です。ココアの姉御……」
「ココアの姉御、のぉ……」

 と、どうしてもココアの頭には、とある召喚獣の姿が浮かんでいた。
 そう、自分の事を「妾お姉ちゃん」と呼んでいた、同じくエルダードラゴンエッグから生まれた召喚獣のことを。

「のぉ、リタ。もし良かったらなのじゃが……"妾の姉御"と呼んでくれんかのう?」
「どういう……要求……ですか?」
「ははっ、なーに。ちょっとした狐の乱心じゃよ」

 忘れてという前に、リタはココアの顔をじーっと見つめる。


「良いですよ、"妾の姉御"。可愛いボクは、リタちゃんはファミリーのためにやるのは、当然なので」


 ニコッと、リタはそう笑い、ココアは一瞬うるっと来てしまったが、すぐさま巨大龍への攻撃へと移行する。

「良し、リタ! まずは、お主の声を、アイツに喰らわせるのじゃ!」
「了解だよ、妾の姉御! ボクの可愛い歌声を聞かせてあげましょう、『バースト』!!」

 と、リタはすーっと大きく息を吸い込むと、杖へと向かって言葉を発する。

 それと同時に、燃える炎のような効果エフェクト付きで『バースト』という文字が、巨大龍へと放たれる。
 それをココアは新たに得たスキル【管狐ノ支援】で、無属性のその魔法に『鑑定属性』を付与しておく。
 実際には『鑑定属性』というものはなく、それに近い事が出来る属性なのだが。

 【管狐ノ支援】の効果を受けた『バースト』の文字は、宙でいきなり大きくなると、巨大龍を飲み込んだ。

「おぉっ! 流石は妾の姉御、どうやったかは分からないけど、可愛いボクの声があんなに大きく!!
 あれで、めちゃくちゃ攻撃が効きますよね!!」
「いや、妾のアレは、ほとんどダメージにはならんじゃろうな」
「へっ……?」

 その言葉通り、巨大となった『バースト』の文字は巨大龍に一切ダメージを与える事はなく、そのまま消えて行った。

『グォォォォン! コロ、コロ、ボタ、ボタンゥゥゥゥン!!』
「ひぃ!! 妾の姉御、あれではダメージには……」
「いや、アレで良いんじゃ」

 と、ココアはガシッとリタを抱えると、さらに空高くへと飛んでいく。

「ど、どこまで飛ばす気ですかぁぁぁぁ!!」
「ここで良いじゃろうな! 狙いはあそこじゃよ、リタ」

 ココアは巨大龍の頭の上にある角----その中央部分で光る、ボタン型の"ダンジョンコア"を指差していた。

「アレじゃ、さっきの攻撃はあのダンジョンコアを炙り出すためのモノじゃよ。そして、それは上手く行って、弱点のダンジョンコアを見つけ出せたと言う訳じゃな」
「ぴっかぁぁん!! なるほど、マジ可愛いリタちゃんは理解しましたよ! よーし、ではボクの最強攻撃を発動するのですよ! 行きますよ、妾の姉御!」

 ガシッとこちらの手を強く握る手を、ココアはそれすらもうるっと来そうになるが、なんとか気を持ち直してダンジョンコア----巨大龍の弱点に狙いを定める。


「妾の最強の魔法を喰らうが良いのじゃよ! 《あらゆる雷は我が元に集いて、神の代理として妾の名に置いて、神敵を討ち滅ぼす裁きを喰らわす!!》」
「ハッピー・うれぴー・よろしくねっ! マジ可愛いリタちゃんのファーストバトル、こんなに速くてごめんちゃい! でもこれからも応援よろしくねっ!!」


 ココアの頭上に大量の雷が集まり、リタが口にすると共に彼女のテンションがどんどん上がっていく。


「喰らうが良いのじゃ! 《サンダーココア・バニッシュ》!!」
「最後はこの言葉でしめましょう! 『可愛くってごめんちゃい』ぃぃぃぃぃ!!」


 そして、ココアの雷魔法と、リタの放ったラブリマークいっぱいの『可愛くってごめんちゃい』の文字が混ざり合い----


 それは巨大龍の角の、ボタン型ダンジョンコアを撃ち抜く。

『コロ、コロ、ボタ、ボタンゥゥゥゥン! コロボタンコロボタコロン----ウグワーッ!!!』

 やはり大きな弱点だったらしく、巨大龍は消えていき、そして----


 ===== ===== =====
 Sランクダンジョン《ルベバの塔》 甘言のシーヴィーを 倒しました
 Sランクダンジョン《ルベバの塔》 声融解龍《せいゆうかいりゅう》オーゴショCVリヴァイアさんを 倒しました

 確定ドロップとして 【魔石(大)】が ドロップします
 確定ドロップとして 【甘言の仙丹】が ドロップします

 今回は 初回討伐特典は ありません


 【甘言の仙丹】……甘言のシーヴィーから取り出すことに成功した、ありがたい霊薬。飲むと甘く優しいイケメンボイスと美少女声を使い分ける事が出来るようになる
 効果;服用すると【蕩ける声スウィートボイス】の力を手に入れる
 ===== ===== =====


 ココアたちは無事、甘言のシーヴィーを倒すことに成功するのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

死んでないのに異世界に転生させられた

三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。 なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない) *冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。 *カクヨム、アルファポリスでも投降しております

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

処理中です...