俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』

第109話 出でよ、妾だけの融合召喚獣(1)

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『グォォォォォンッッ!!』

 シーヴィー自身が融合して生まれた、その巨大な海蛇龍が大きく口を開けると、そこから全てを融かす音波を放っていた。
 腕と足に取り付けられていたスピーカーからも同じように、全てを融かす音波が放たれていた。

 海蛇龍は俺達のことを見れていないのか、身体中から放たれた音波は俺達を狙った訳ではなく、ダンジョンのあちこちに放たれていた。
 ただ威力が半端じゃなく、このままではダンジョン自体を崩壊させて、外に出て行ってしまうかもしれない。

「そうなると、普通にヤバイよな……」

 既にダンジョンの天井を突き破り、なんか外の青空が見えているのだ。
 このまま外に出られると、未曽有の大災害になる事は間違いないだろう。
 そうなると、世界がどうなることやら……。

 俺は別に正義感が強い人間ではないが、流石に自分が怒らせた相手が世界を滅ぼすかもしれないとなると、若干罪悪感かなにかで胃が穴に開いちゃうタイプだ。
 とりあえず、この巨大龍をどうにかせねば……。

「(さっき、【融合召喚】する際に、シーヴィーはダンジョンの魔力も取り込んでいたよな?
 だったら、もしかしてダンジョンコアがあるかもしれない)」

 ファイントの能力で、俺はダンジョンコアを何度も破壊して、ダンジョンを崩壊させている。
 ダンジョンの魔力を取り込んだのならば、ダンジョンとしての性質----ダンジョンコアも発現させているかもしれない。

「よし、じゃあファイントを----」
「ちょっと、待つのじゃ! 主殿!」

 雪ん子と共に《死亡保険》赤鬼を倒しに行ったファイントを呼び戻そうかと思っていると、急にガシッとココアに頭を掴まれていた。
 そしてグルっと、頭を後ろへと回されたため、首の骨がゴキっと嫌な音がしていた。

「~~~っ!!」
「主殿、実は頼みたいことがあるのじゃよ!!」

 と、ココアは黒い龍の卵----エルダードラゴンエッグ・アルターを指差していた。

「あぁ、そいつか……ファイントの力によって生まれた、もう1匹のエルダードラゴンエッグだ。
 けっこう意思疎通らしき物もしっかり出来るんだけど、あまり体力はなさそうでな」

 と、俺はエルダードラゴンエッグ・アルターを指差していた。
 「大丈夫か?」と聞くと、エルダードラゴンエッグ・アルターは分かりやすく頷いていたが、同時に息をぜぇぜぇ切らすかのように揺れていた。
 明らかに、疲れているみたいだった----。

 卵なのに意思疎通できるのって、こういう感覚なんだな……。
 ココアに言われた時は分からなかったのだが、龍の卵であろうとも、意思ってちゃーんと疎通できるんだなぁ、っと。

「あぁ、こっちは意思疎通できる・・・タイプなのじゃな……」
「ん……? できる?」
「いっ、いや?! 別に関係ないのじゃが! ----そっ、それよりも、聞いて欲しい事があるんじゃよ」

 ココアはエルダードラゴンエッグ・アルターを、そして俺を見る。

「前回、【融合召喚】してもらった時に、妾は神様から直接、知恵を授かったのじゃよ。
 主殿、もう一度、【融合召喚】を行うのじゃ」
「【融合召喚】を?!」

 でも、あれは時間制限つきで、終わったら溶けてしまう欠陥品で……。
 それに、俺よりも、アレがトラウマになってるのは、ココアのはずで----。

「……今度は失敗せんと、確信しておる」

 しかしながら、ココアは真剣な眼差しで、こちらを見つめていた。

「リョクチャの敵討ちじゃ。ファイントと雪ん子が居た方が楽なのは確かじゃろうが、アイツは、シーヴィーは妾が倒したいのじゃよ。
 あの巨大龍を、妾とそこのエルダードラゴンエッグと共に、活躍させてくれんかのう? 主殿?」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 ココアの必死の説得に応じて、俺は【融合召喚】を行う事にした。
 あいつがあれだけやりたいと懇願してるのだ、神様の知恵とやらにも期待してるぜ。

 まずは、両脇に召喚獣をセット。

「出でよ、【スレイブバット】」

 俺が召喚したのは、前回の【融合召喚】に使ったのとは違う、別の召喚獣----スレイブバット。
 ココアをドロップする事となった《風雲! ドラキュラブホ城!》で襲ってきた、催淫効果を持つレベルⅡの召喚獣である。


 ===== ===== =====
 【スレイブバット】 レベル;Ⅱ
 吸血鬼に従属の力を授かり、強大な力を与えられた蝙蝠型の魔物。口から超音波を放つことができ、超音波には主人に従わせる催淫効果を持っている
 ===== ===== =====


 そうやって召喚したスレイブバットを、《スピリット》の力で赤いスライムの形態へと変質させる。
 そして次は、エルダードラゴンエッグ・アルターの番である。


 ===== ===== =====
 【エルダードラゴンエッグ・アルター】 レベル;Ⅳ
 ドラゴンの中でも、長命種と呼ばれる超上位種の、ドラゴンの卵型の召喚獣。卵の中身はまだなんのドラゴンになるか定まっておらず、その身体は硬いドラゴンの卵の殻に覆われている
 条件を満たすまでは卵のままであり、長い時間を卵のまま生き残るために、別次元へと隠れ住む力と、普通のドラゴンと同等の力を手にしている
 ===== ===== =====


 ファイントの強制ドロップ効果によってドロップさせた、エルダードラゴンエッグの別次元の存在。
 黒い卵のエルダードラゴンエッグ・アルターを、《スピリット》の力によって、青いスライムの形態へと変質させていた。

「(ここまでは使っている召喚獣こそ違うが、やり方は全部一緒だ)」

 ココアからの指示は、もう1体の召喚獣をギルタブリル・ジンバーロックではなく、スレイブバットに変えるという事だけ。
 それ以外は、特に変更点はないのだ。

「(まさか、これが神様からの知恵、なのか? 別の召喚獣に変えたからって、あの副作用が消えるとはまるっきり思えないのだが----)」
「主殿、止まっておるぞ?」

 しかしながら、ココアは真剣な表情そのものだ。
 これで良い……のだろう。

「(えぇい、もうどうなっても知らないからなっ!)」

 そう言って、俺は2色のスライム状に変質させた召喚獣を合体させる。
 赤いスライムへと変質させた、スレイブバット。
 青いスライムへと変質させた、エルダードラゴンエッグ・アルター。

 2つのスライムが混ざり合い、紫色のスライム状の召喚獣が生まれるのであった----!!
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