113 / 354
第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』
第106話 妾とわっち、【妖狐】とヨーコ(3)
しおりを挟む
「だから妾は忘れぬ。妾に、"妾お姉ちゃん"と無邪気に呼んでくれたリョクチャの事を。
例え"でぇおちきゃら"だったとしても、の」
ココアは自分の今の気持ちを、ヨーコに正直に伝えていた。
たとえ相手が神だとしても、自分の妹として立派に戦ったリョクチャのことをバカにされて、姉として黙ってる事なんて、ココアには出来なかった。
「だからこそ、妾は、妾だけは、リョクチャを笑ってはならぬのじゃ。
----ヨーコ、お主が妾の顔で、リョクチャを笑う事を許せぬのはそういう道理じゃ」
ココアはそう言うと、ヨーコは『ふむ……』と考え込むようにしていた。
『なるほどでありんすなぁ。わっちも聞いたことがあるでありんす。
確か、子供が出来る前はそんなに実感はなかったのに、子供が出来たら親としての自覚が芽生え始める……そういう父親と同じ心境と似たような奴でありんす?』
「いや、妾は一応、性別的には女じゃが……まぁ、言いたい事は分かるんじゃが」
『ふむふむ。やはり直接話を聞くと、見方も変わってくるでありんすなぁ』
『よっ、と』と満足した様子のヨーコは、真っ黒の顔のまま、ココアにこう話しかけた。
さも今思い出した程度の他愛もない話程度のテンションで。
『そう言えば、お主の主殿----確か、【召喚士】の冴島渉でありんしたか?
今、彼はエルダードラゴンエッグと一緒におるようでありんすよ?』
「なんじゃと?!」
『えぇ、そうでありんす。あなたの仲間のファイントの力で、墓碑銘龍エピタフ・エルダーデスドラゴンとやらのドロップとして、出したみたいじゃよ?』
「ファイント……そうか、その手があったか!!」
ファイントの名を聞いて、ココアはようやくあの時の、幻覚の正体が判明した。
【武装乙女】の力で、【召喚士】冴島渉の武器として強制送還される際、ココアは甘言のシーヴィーの放った禍々しい光を防いだ小さな影を見た。
エルダードラゴンエッグに見えたのだが、あの時は「エルダードラゴンエッグは、シーヴィーに奪われた物」という考えだったので、ただの幻想だと納得してしまった。
けれども、ダンジョンを終わらせるほどの力を持つファイントならば、リョクチャの後に出てきたあのエピタフ・エルダーデスドラゴンのドロップアイテムを操作する事なんて、簡単だろう。
そしてそのドロップアイテムが、エルダードラゴンエッグ……。
「(なんじゃ、合点がいく話なのじゃ)」
エルダードラゴンエッグをドロップしたことを、ココアに教えなかったのは、ココアが怒りに支配されていたからだろう。
あの時に言ったって、ココアは信じなかっただろう。
「ははっ、しょせん妾の独り相撲だったという事じゃか」
ココアは納得して、そして愕然とうなだれた。
今さら気付いたところで、召喚されなければ意味がないのだから----。
『-----と、そんなわっちを楽しませてくれまくったココアに、面白い事を教えてやるでありんす』
と、うなだれているココアに、ヨーコが嬉しそうな顔をして話しかけてきたのだ。
『もーしも、わっちの言う事を聞いてくれるならば、わっちの神様的な頭脳から叡智を授けても良いでありんすよ?
----【融合召喚】をしても、副作用を失くす魔法のような方法をのぉ』
「-----っ!!」
ヨーコはそのまま話を続ける。
『実を言うと、わっちがお主をここに呼んだのは、スキルを回収する意味もあったでありんすが----これも重要な話だったのでありんすよ。【融合召喚】だなんて面白い物を見せて貰えたし、ちょっとばかり手を貸すのもアリ的なノリでありんす。
----ただ、ちょーっとばかし、わっちを楽しませてもらおうかなーって』
少しお耳を拝借と言わんばかりに、ヨーコはココアの耳元でごにょごにょっと囁く。
最初は神妙そうに聞いていたココアだったが、途中から顔を真っ赤にして、最終的には涙目でヨーコを睨んでいた。
「なっ、なんて事を提案するんじゃ! ヨーコ!!」
『別に人を殺せとか、そういう類の提案ではないでありんしょ? ただ、冴島渉の前で、ちょーっとすれば良い。たったそれだけで、【融合召喚】の副作用を消せるなら、安いもんでありんしょ?』
「…………」
破格の申し出であるにも関わらず、ココアはじーっと考え込む。
考えに、考えまくって、そして----
「分かったのじゃ。条件を飲む」
『よーし、では教えるでありんすよ?
【融合召喚】の副作用を消す方法、そしてエルダードラゴンエッグと真に相性が良い召喚獣を』
例え"でぇおちきゃら"だったとしても、の」
ココアは自分の今の気持ちを、ヨーコに正直に伝えていた。
たとえ相手が神だとしても、自分の妹として立派に戦ったリョクチャのことをバカにされて、姉として黙ってる事なんて、ココアには出来なかった。
「だからこそ、妾は、妾だけは、リョクチャを笑ってはならぬのじゃ。
----ヨーコ、お主が妾の顔で、リョクチャを笑う事を許せぬのはそういう道理じゃ」
ココアはそう言うと、ヨーコは『ふむ……』と考え込むようにしていた。
『なるほどでありんすなぁ。わっちも聞いたことがあるでありんす。
確か、子供が出来る前はそんなに実感はなかったのに、子供が出来たら親としての自覚が芽生え始める……そういう父親と同じ心境と似たような奴でありんす?』
「いや、妾は一応、性別的には女じゃが……まぁ、言いたい事は分かるんじゃが」
『ふむふむ。やはり直接話を聞くと、見方も変わってくるでありんすなぁ』
『よっ、と』と満足した様子のヨーコは、真っ黒の顔のまま、ココアにこう話しかけた。
さも今思い出した程度の他愛もない話程度のテンションで。
『そう言えば、お主の主殿----確か、【召喚士】の冴島渉でありんしたか?
今、彼はエルダードラゴンエッグと一緒におるようでありんすよ?』
「なんじゃと?!」
『えぇ、そうでありんす。あなたの仲間のファイントの力で、墓碑銘龍エピタフ・エルダーデスドラゴンとやらのドロップとして、出したみたいじゃよ?』
「ファイント……そうか、その手があったか!!」
ファイントの名を聞いて、ココアはようやくあの時の、幻覚の正体が判明した。
【武装乙女】の力で、【召喚士】冴島渉の武器として強制送還される際、ココアは甘言のシーヴィーの放った禍々しい光を防いだ小さな影を見た。
エルダードラゴンエッグに見えたのだが、あの時は「エルダードラゴンエッグは、シーヴィーに奪われた物」という考えだったので、ただの幻想だと納得してしまった。
けれども、ダンジョンを終わらせるほどの力を持つファイントならば、リョクチャの後に出てきたあのエピタフ・エルダーデスドラゴンのドロップアイテムを操作する事なんて、簡単だろう。
そしてそのドロップアイテムが、エルダードラゴンエッグ……。
「(なんじゃ、合点がいく話なのじゃ)」
エルダードラゴンエッグをドロップしたことを、ココアに教えなかったのは、ココアが怒りに支配されていたからだろう。
あの時に言ったって、ココアは信じなかっただろう。
「ははっ、しょせん妾の独り相撲だったという事じゃか」
ココアは納得して、そして愕然とうなだれた。
今さら気付いたところで、召喚されなければ意味がないのだから----。
『-----と、そんなわっちを楽しませてくれまくったココアに、面白い事を教えてやるでありんす』
と、うなだれているココアに、ヨーコが嬉しそうな顔をして話しかけてきたのだ。
『もーしも、わっちの言う事を聞いてくれるならば、わっちの神様的な頭脳から叡智を授けても良いでありんすよ?
----【融合召喚】をしても、副作用を失くす魔法のような方法をのぉ』
「-----っ!!」
ヨーコはそのまま話を続ける。
『実を言うと、わっちがお主をここに呼んだのは、スキルを回収する意味もあったでありんすが----これも重要な話だったのでありんすよ。【融合召喚】だなんて面白い物を見せて貰えたし、ちょっとばかり手を貸すのもアリ的なノリでありんす。
----ただ、ちょーっとばかし、わっちを楽しませてもらおうかなーって』
少しお耳を拝借と言わんばかりに、ヨーコはココアの耳元でごにょごにょっと囁く。
最初は神妙そうに聞いていたココアだったが、途中から顔を真っ赤にして、最終的には涙目でヨーコを睨んでいた。
「なっ、なんて事を提案するんじゃ! ヨーコ!!」
『別に人を殺せとか、そういう類の提案ではないでありんしょ? ただ、冴島渉の前で、ちょーっとすれば良い。たったそれだけで、【融合召喚】の副作用を消せるなら、安いもんでありんしょ?』
「…………」
破格の申し出であるにも関わらず、ココアはじーっと考え込む。
考えに、考えまくって、そして----
「分かったのじゃ。条件を飲む」
『よーし、では教えるでありんすよ?
【融合召喚】の副作用を消す方法、そしてエルダードラゴンエッグと真に相性が良い召喚獣を』
0
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】
早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる