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第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』
第97.5話(リクエスト) とあるおひとり様冒険者の諸事情(2)
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世界は、本当に醜い。
今のご時世、優雅にピクニックとかしていたら「こんなご時世に遊ぶなんて何事か!」とか、「ピクニックをするだなんて余裕ですなぁ」とか言われてしまう。
詫び錆びと言うか、風情を感じる余裕がない世の中だ。
「(ゴミとかを平気で捨てる奴らがやっぱり大勢いるため、やはりピクニックもダンジョンでするに限るというものだ)」
俺、源元はと言うと、Cランクダンジョン《血桜ノ廻廊》というダンジョンに、ピクニックに来ていた。
このダンジョンはおおよそ東京とほぼ同じ大きさを誇る、まぁまぁ広めのダンジョンなのだが、一番の特徴がこのダンジョンの木々は全て桜であり、そして実に美しいという事だ。
特にこのダンジョンに14体居るボス魔物のうちの1体、【血塗レノ大鯰】を倒した先にある場所が、絶景なのである。
水面に映る紅桜と蒼い月----そして風の音がそよそよと耳に伝わる、幻想的な風景。
うむ、実に良いピクニックロケーションじゃないか。
「うわぁ! 綺麗ですね、先輩!」
「えぇ、えぇ、本当に。王子様とのデートは、生涯忘れることなき、素晴らしい体験ばかりです」
……まぁ、勿論、俺1人でという絶対条件がつくが。
俺は後ろで、さも当然のようにレジャーシートを広げる2人をじっと睨みつける。
1人は、藍色の着物と豪華絢爛な装飾という、目立つために生まれてきた冒険者。
うちの学校の後輩である、【花魁】の与那国秋保である。
彼女は以前、別のダンジョンでトレイン行為という悪質犯罪紛いに近いところから助けて以来、結構な頻度で付き纏われている。
戦闘方法は信用できると言うか、そこそこ優秀なのだが----時折、無防備に服をぱたぱたさせたり、目の前で屈んで胸元を覗き込ませたりと、本当に誘惑が多くて困る。
彼女本人は無自覚でやってるっぽいのが、余計に性質が悪い。
そしてもう1人は、竹を思わせる緑色のロングヘア-に、ピンと長く伸びる兎耳を持つ彼女は、【かぐや姫】の大黒髪ばにら。
190はあろうかというスラッと伸びる身長と、モデル顔負けのボディラインを持つ----"小学校4年生"である。
彼女は偶然、通学路に出来ていたダンジョンに入ってしまい、【かぐや姫】の職業の影響ですくすく成長した小学生である。
彼女は、とあるダンジョンにボス魔物に囚われていたところを、助けて以来、何故か懐かれていて、本当に困っているのだ。
秋保は無自覚に俺の事を誘惑してくるが、ばにらは自分の可愛さを自覚して、迫ってくるから本当に困る。
あと、「ねぇ、王子様? 一緒に遊ばない、よ・る・の?」とか、「王子様はいつ私の両親に会ってくれますか?」などと、いちいち発言が重い。
「(……俺、本当に一人で良いんだけど)」
そう、俺が目指すは、おひとり様ライフ。
自分の好き勝手に、自分1人で楽しむのが俺流なのだから。
「ねぇ、先輩、ばにらちゃん。実は今日、ダンジョンで食べるように、サンドイッチを作って来たんですけど、一緒に食べます?」
「わぁ~、良いですねぇ。実は私も王子様のことを思って、ひつまぶしを作って来たんですけど。
あと、王子様? 関係はありませんが、小学生に手を出しても良いですからね? 最悪、子供は1人でも育てられますので、ねっ?」
ピクニックの食い合わせとしては最悪じゃないだろうか、『サンドイッチ』と『ひつまぶし』って。
あと、ばにら。お前は何が言いたいんだ? 本当に。
「----っと、敵が来たようだな」
俺は警戒用に張っておいたトラップ魔法に、なにか敵が引っかかったのを感じていた。
おひとり様である俺は、魔物の接近探知からなにまで自分でやるのがこだわりだ。
断じて仲間でもない彼女達に頼ることなく、俺の設置魔法で片付けてやる。
だから、その日は誤算だったのだ。
まさか相手が、おひとり様では倒せない、化け物だっただなんて。
「なんだ、こいつは……」
俺達の前に現れたのは、青い鬼の魔物。
普通と違うのはその青鬼が大量の魔物を引き連れており、真っ赤な毛皮のコートと藍色のクロッシェ(釣鐘状の帽子)を被った青鬼は、ニヤリと悪い笑みを浮かべていた。
===== ===== =====
【《女支配者》青鬼】 レベル;Ⅲ
10数体の専用奴隷を使役して戦う世界を閉じ込めた【世界球体=女支配者世界=】の力を与えられた、青鬼の魔物。倒すと、オーラ系職業の1つ、【女支配者】を使用することが出来るようになる
10数体のカスタマイズ可能な奴隷を自分の好きなように使うことが出来て、なおかつ自分の部下がいればいるほど武器適正が上がる
(※)このボス魔物を倒した場合、オーラ系統職業【女支配者】が解放されます
該当の四大力を持つ者に、職業変更の勧誘がありますので、了承した場合、その職業に変更できます
===== ===== =====
現れたそいつは、いきなり10数体の奴隷を放ってくる。
「(くっ……?! いきなり俺の弱点を?!)」
おひとり様な俺の唯一の弱点、それは複数体で攻められることに弱い事だ。
俺は魔法を複数個所に設置して、それを適宜発動することによって後衛の俺でも、普通に1人で戦えるようになる。
しかしながら、人間の対処能力には限界があり、複数体で一気に攻撃されることがこの俺の弱点なのである。
「(くそっ、こうなったら何発か喰らう事を覚悟で----)」
そう思った時だった。
「先輩! 今、やりますっ!!」
「ふふっ、王子に攻められるのは私だけですので」
秋保が斬りかかり、ばにらが重力魔法で押し潰してくれた。
複数体いた敵が、2人の力を借りる事によって、一瞬で倒されたのである。
2人に手伝ってもらったから、俺は危機を脱することが出来た。
「これが仲間の力ですよ!!」
「えぇ、えぇ。王子様、私役に立ちましたよね? ねっ? ねっ?」
2人の言う通り、確かに2人のおかげで助かった。
おひとり様だったら、確実にダメージを受けていたかもしれない。
確かに俺は、おひとり様が良いと思っている。
今もなお、おひとり様である方が良いという気持ちは1ミリたりとも変わってはいない。
----だがしかし、それと感謝しないのはまた別の話である。
「ありがと……2人とも」
俺が感謝すると、2人は嬉しそうに頷く。
「大丈夫ですよ、先輩! 私達は----」
「えぇ、仲間、ですので。お礼は今度、一緒に家の方まで来てくれれば良いので」
……いや、仲間ではないんだけどな。
そんな事を言いつつ、俺は《女支配者》青鬼をどう倒すか、考えるのであった。
===== ===== =====
【大黒髪 ばにら】
冒険者ランク;なし(小学生なので、冒険者登録できない)
クラス;かぐや姫
レベル;Ⅱ
戦闘方法;重力魔法を用いた攻撃で、相手の足止めと一方的な攻撃を得意とする。相手の体重が重ければ重いほど高い攻撃力を誇る。また自身に重力の結界を張ることで、相手の攻撃を防御することも出来る。ただ小学生だからなのか、攻撃と防御を同時に発動することは出来ない
備考;通学路の途中でダンジョンに偶然(と本人は証言している)迷い込み、【かぐや姫】の職業の加護を得た小学4年生。【かぐや姫】の影響か、小学生離れした急成長を遂げており、本人もその可愛さを自覚している。ダンジョンに囚われていた所を助けてくれた源元を「王子様」と呼んで慕っているが、いちいち発言が重い。最近、「できちゃった婚」と「資産運用」を覚えました☆
===== ===== =====
【おまけ】
【=もし、三日月三言が《女支配者》になったら=】
「はっ? いや、なんなのこの奴隷達? えっ、うちの命令で動かせんの?」
「あぁーもう……詰まってんじゃないのよ。うちがあんたらを放り出すタイプだったら、どうする気だったの」
「……ったく。ほら、ほつれてたから直しといたよ。いや、良いって。そんだけ頑張ってるって話でしょ?
職業の力だけどさ、一緒にがんばろ? なっ?」
……なんだかんだ、面倒見のいい三言ちゃんは、そうやって専用奴隷達から気に入られるのでした~。
今のご時世、優雅にピクニックとかしていたら「こんなご時世に遊ぶなんて何事か!」とか、「ピクニックをするだなんて余裕ですなぁ」とか言われてしまう。
詫び錆びと言うか、風情を感じる余裕がない世の中だ。
「(ゴミとかを平気で捨てる奴らがやっぱり大勢いるため、やはりピクニックもダンジョンでするに限るというものだ)」
俺、源元はと言うと、Cランクダンジョン《血桜ノ廻廊》というダンジョンに、ピクニックに来ていた。
このダンジョンはおおよそ東京とほぼ同じ大きさを誇る、まぁまぁ広めのダンジョンなのだが、一番の特徴がこのダンジョンの木々は全て桜であり、そして実に美しいという事だ。
特にこのダンジョンに14体居るボス魔物のうちの1体、【血塗レノ大鯰】を倒した先にある場所が、絶景なのである。
水面に映る紅桜と蒼い月----そして風の音がそよそよと耳に伝わる、幻想的な風景。
うむ、実に良いピクニックロケーションじゃないか。
「うわぁ! 綺麗ですね、先輩!」
「えぇ、えぇ、本当に。王子様とのデートは、生涯忘れることなき、素晴らしい体験ばかりです」
……まぁ、勿論、俺1人でという絶対条件がつくが。
俺は後ろで、さも当然のようにレジャーシートを広げる2人をじっと睨みつける。
1人は、藍色の着物と豪華絢爛な装飾という、目立つために生まれてきた冒険者。
うちの学校の後輩である、【花魁】の与那国秋保である。
彼女は以前、別のダンジョンでトレイン行為という悪質犯罪紛いに近いところから助けて以来、結構な頻度で付き纏われている。
戦闘方法は信用できると言うか、そこそこ優秀なのだが----時折、無防備に服をぱたぱたさせたり、目の前で屈んで胸元を覗き込ませたりと、本当に誘惑が多くて困る。
彼女本人は無自覚でやってるっぽいのが、余計に性質が悪い。
そしてもう1人は、竹を思わせる緑色のロングヘア-に、ピンと長く伸びる兎耳を持つ彼女は、【かぐや姫】の大黒髪ばにら。
190はあろうかというスラッと伸びる身長と、モデル顔負けのボディラインを持つ----"小学校4年生"である。
彼女は偶然、通学路に出来ていたダンジョンに入ってしまい、【かぐや姫】の職業の影響ですくすく成長した小学生である。
彼女は、とあるダンジョンにボス魔物に囚われていたところを、助けて以来、何故か懐かれていて、本当に困っているのだ。
秋保は無自覚に俺の事を誘惑してくるが、ばにらは自分の可愛さを自覚して、迫ってくるから本当に困る。
あと、「ねぇ、王子様? 一緒に遊ばない、よ・る・の?」とか、「王子様はいつ私の両親に会ってくれますか?」などと、いちいち発言が重い。
「(……俺、本当に一人で良いんだけど)」
そう、俺が目指すは、おひとり様ライフ。
自分の好き勝手に、自分1人で楽しむのが俺流なのだから。
「ねぇ、先輩、ばにらちゃん。実は今日、ダンジョンで食べるように、サンドイッチを作って来たんですけど、一緒に食べます?」
「わぁ~、良いですねぇ。実は私も王子様のことを思って、ひつまぶしを作って来たんですけど。
あと、王子様? 関係はありませんが、小学生に手を出しても良いですからね? 最悪、子供は1人でも育てられますので、ねっ?」
ピクニックの食い合わせとしては最悪じゃないだろうか、『サンドイッチ』と『ひつまぶし』って。
あと、ばにら。お前は何が言いたいんだ? 本当に。
「----っと、敵が来たようだな」
俺は警戒用に張っておいたトラップ魔法に、なにか敵が引っかかったのを感じていた。
おひとり様である俺は、魔物の接近探知からなにまで自分でやるのがこだわりだ。
断じて仲間でもない彼女達に頼ることなく、俺の設置魔法で片付けてやる。
だから、その日は誤算だったのだ。
まさか相手が、おひとり様では倒せない、化け物だっただなんて。
「なんだ、こいつは……」
俺達の前に現れたのは、青い鬼の魔物。
普通と違うのはその青鬼が大量の魔物を引き連れており、真っ赤な毛皮のコートと藍色のクロッシェ(釣鐘状の帽子)を被った青鬼は、ニヤリと悪い笑みを浮かべていた。
===== ===== =====
【《女支配者》青鬼】 レベル;Ⅲ
10数体の専用奴隷を使役して戦う世界を閉じ込めた【世界球体=女支配者世界=】の力を与えられた、青鬼の魔物。倒すと、オーラ系職業の1つ、【女支配者】を使用することが出来るようになる
10数体のカスタマイズ可能な奴隷を自分の好きなように使うことが出来て、なおかつ自分の部下がいればいるほど武器適正が上がる
(※)このボス魔物を倒した場合、オーラ系統職業【女支配者】が解放されます
該当の四大力を持つ者に、職業変更の勧誘がありますので、了承した場合、その職業に変更できます
===== ===== =====
現れたそいつは、いきなり10数体の奴隷を放ってくる。
「(くっ……?! いきなり俺の弱点を?!)」
おひとり様な俺の唯一の弱点、それは複数体で攻められることに弱い事だ。
俺は魔法を複数個所に設置して、それを適宜発動することによって後衛の俺でも、普通に1人で戦えるようになる。
しかしながら、人間の対処能力には限界があり、複数体で一気に攻撃されることがこの俺の弱点なのである。
「(くそっ、こうなったら何発か喰らう事を覚悟で----)」
そう思った時だった。
「先輩! 今、やりますっ!!」
「ふふっ、王子に攻められるのは私だけですので」
秋保が斬りかかり、ばにらが重力魔法で押し潰してくれた。
複数体いた敵が、2人の力を借りる事によって、一瞬で倒されたのである。
2人に手伝ってもらったから、俺は危機を脱することが出来た。
「これが仲間の力ですよ!!」
「えぇ、えぇ。王子様、私役に立ちましたよね? ねっ? ねっ?」
2人の言う通り、確かに2人のおかげで助かった。
おひとり様だったら、確実にダメージを受けていたかもしれない。
確かに俺は、おひとり様が良いと思っている。
今もなお、おひとり様である方が良いという気持ちは1ミリたりとも変わってはいない。
----だがしかし、それと感謝しないのはまた別の話である。
「ありがと……2人とも」
俺が感謝すると、2人は嬉しそうに頷く。
「大丈夫ですよ、先輩! 私達は----」
「えぇ、仲間、ですので。お礼は今度、一緒に家の方まで来てくれれば良いので」
……いや、仲間ではないんだけどな。
そんな事を言いつつ、俺は《女支配者》青鬼をどう倒すか、考えるのであった。
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【大黒髪 ばにら】
冒険者ランク;なし(小学生なので、冒険者登録できない)
クラス;かぐや姫
レベル;Ⅱ
戦闘方法;重力魔法を用いた攻撃で、相手の足止めと一方的な攻撃を得意とする。相手の体重が重ければ重いほど高い攻撃力を誇る。また自身に重力の結界を張ることで、相手の攻撃を防御することも出来る。ただ小学生だからなのか、攻撃と防御を同時に発動することは出来ない
備考;通学路の途中でダンジョンに偶然(と本人は証言している)迷い込み、【かぐや姫】の職業の加護を得た小学4年生。【かぐや姫】の影響か、小学生離れした急成長を遂げており、本人もその可愛さを自覚している。ダンジョンに囚われていた所を助けてくれた源元を「王子様」と呼んで慕っているが、いちいち発言が重い。最近、「できちゃった婚」と「資産運用」を覚えました☆
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【おまけ】
【=もし、三日月三言が《女支配者》になったら=】
「はっ? いや、なんなのこの奴隷達? えっ、うちの命令で動かせんの?」
「あぁーもう……詰まってんじゃないのよ。うちがあんたらを放り出すタイプだったら、どうする気だったの」
「……ったく。ほら、ほつれてたから直しといたよ。いや、良いって。そんだけ頑張ってるって話でしょ?
職業の力だけどさ、一緒にがんばろ? なっ?」
……なんだかんだ、面倒見のいい三言ちゃんは、そうやって専用奴隷達から気に入られるのでした~。
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