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第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』

第100話 VS堕落戦車サンダーイ&甘言のシーヴィー(1)

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『行くぞ、佐鳥愛理プレゼンツ!! 堕落戦車サンダーイのとっておき機能!
 本邦初公開!! 世界三大珍味の攻撃! キャビアマシンガン、ポチッとな!!』

 戦車の中からシーヴィーのそんな声が聞こえたかと思うと、堕落戦車サンダーイの車体に変化が訪れる。
 戦車の足回りキャタピラ部分からいきなり大量のチョウザメ型の機械が現れた。
 その現れた大量のチョウザメ型の機械達は、口を大きく開けてキャビア状のミサイルを大量に発射してきた。

 キャビアの大きさに作られた、小さなミサイル達は素早い動きで、到達点であるココアに全弾命中していた。

「ココアっ!!」
『そっちの生意気【召喚士】くんには、日本三大珍味攻撃です!! 喰らえ、このわたネット!!』

 戦車の搭乗口がパカッと開くと共に、大量のこのわた(なまこの腸を塩漬けにした珍味)が、こちらへ意思を持っているかのようにして向かって来る。
 大きな手の形となったかと思うと、そのまま俺を掴もうとして来て----


「----主殿はやらせんのじゃ」


 と、キャビアミサイルを受けたはずのココアが、雷鳴轟く稲妻と共に現れた。
 4本の尻尾が大量の雷に満ちており、相手の戦車から出てきたこのわたネットを雷にて燃やし尽くしていた。

「そして、これもじゃっ!!」

 と、彼女は堕落戦車サンダーイに雷鳴が落ちて、中から黒焦げとなったシーヴィーが現れていた。
 
「----?! 可愛かわいカッコいいフォームぅ!!」

 黒焦げとなっていたシーヴィーはクルリと一回転すると、背中からさらに2本の腕が現れる。
 4本腕となったシーヴィーの手には、銃のような物が全部の腕に握られており、いつでもその銃を放つ準備は出来ているようであった。

「ていうか、ラブホちゃんのその姿はいったい?!」

 雷鳴を纏った尻尾を持つココアの姿を見て、シーヴィーが驚いていたが----俺も、初めて見た時は驚いた。



 あの北海道での決戦以降、ココアは人が変わったようにダンジョン攻略に情熱を注ぎまくった。
 雪ん子とファイントの2人に経験値を渡したくないといった具合に、ココアは物凄く頑張って、だいぶレベルアップしたのである。


 ===== ===== =====
【《悪の手先》吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世】 レベル;Ⅲ+10
 個体レベル;06→10
 装備職業;妖狐
 攻撃力;B+9→B+15
 属性攻撃力;B+9→B+15
 防御力;B+9→B+15
 素早さ;B+9→B+15
 賢さ;B+9→B+15

 固有スキル;【吸血】;相手に嚙みついて血を吸って、回復するスキル。ただし吸った相手が死者の場合、ダメージを受ける
      ;【吸血鬼<狐】;吸血鬼の弱点が消えるスキル。ただし、狐の要素が強く反映される
          ;【悪の申し子】;全ての攻撃に対し、悪属性を付与する
      ;【憤怒の妖狐】(NEW!!);怒りにより覚醒した、妖狐のスキル。攻撃が常に2回攻撃として扱われる


 後天スキル;【五属性魔法】+10;火、水、土、雷、風を扱う魔法。レベルが上がると強力な魔法が使えるようになる
      ;【変化魔法(妖狐)】(NEW!!);妖狐に変身する魔法。尻尾の本数の10倍の秒数分、属性攻撃を付与できる状態へと変化する。自分にしか効果はない
      ;【魂鑑定】;魂そのものを鑑定する【鑑定】魔法の上位系。相手の魂を覗くことが出来る
      ;【発情期】;動物関連の魔物や召喚獣が稀に持つスキル。状態異常が効かなくなる代わりに、発情してしまう

(※)【変化魔法(妖狐)】と【憤怒の妖狐】の2つのスキルは、適正スキル【??】がないため、使用すればするほど魂が損傷します。魂の損傷は時間経過と特定アイテムにより修復されます
 ===== ===== =====


 今、ココアが使っているのは【変化魔法(妖狐)】のスキル。
 このスキルを使った時の彼女の尻尾は4本になるなので、40秒の間だけは雪ん子のように属性を付与した攻撃が出来るということなのだ。
 しかも、今回は4本とも雷属性を付与して4倍の雷攻撃をしているが、4本それぞれ別属性にしての攻撃なんかも出来るという、まさに超常現象的なスキルなのである。

 さらには【憤怒の妖狐】という特殊スキルにより、攻撃が常に2回攻撃として扱われるのだ。
 実質、今の彼女は常に8倍の雷攻撃を行っているのと同義だ。

「(まぁ、その分、ノーリスクという感じでもないみたいだけど)」

 と、俺はココアの足元を確認すると、ココアの脚のくるぶし辺りまでうっすらと黒くなっていた。
 ただ黒色に染まったとかではなく、それは燃え尽きて炭化した状態に見える。
 あれがどうやら魂の損傷とからしく、前に試した時は脚をほんのちょっと黒くする程度だったのだけれども----

「(ヤバいな……炭化が広がってる。我を忘れて2つのスキルを同時に、しかも使い続けているからか)」

 特定アイテムによって治るという、魂の損傷。
 しかしながら、そんな便利アイテムは持ってないどころか、存在すら未発見のため、時間経過しか直せないから、今までは極力使わないようにココアにお願いしてきた。
 脚がただ単に炭と化すという事でもヤバいのに、これが仮に心臓辺りまで来るとマズそうだから。

 いつもの彼女だったら、そう言うのを踏まえて使う頻度を考えていただろう。

 でも、シーヴィーとの戦いで、リスクを忘れて使いまくっている----!!

「ココアっ! 一旦、2人と合流しよう! 《死亡保険》赤鬼の撃破が優先だろう!?」

 雪ん子とファイントの2人には、この間シーヴィーを仕留めきれなかった元凶である《死亡保険》赤鬼とやらの対処に向かってもらっている。
 アイツさえ倒せれば、今度こそシーヴィーを倒せるのだから。

「むむっ?! 《死亡保険》赤鬼のピンチ?! ここはやはり、うちも加勢に----」
「行かせると思ったか?!」

 逃げようとしたシーヴィーに詰め寄って、ココアは拳で殴りかかる。
 それに対し、シーヴィーは4本腕の銃から、強力なビーム攻撃----【召喚銃《サモンショット》】で応戦していた。

 
「シーヴィーの方が優勢か……」

 ココアも押しているが、やはり身体の炭になっていく速度が、速すぎる。
 もう既に、膝の辺りまで、真っ黒な炭となってしまっているじゃないか!!

「ここは、召喚獣を出して応援するか……」

 そう思った時だった。

 ココアの身体が光と共に消え出したのは----。


「ようやく発動したようですね☆
 堕落戦車サンダーイにダブルエムが施した、【世界球体パンクスフィア】の力が!」


(※)世界三大珍味攻撃、日本三大珍味攻撃
〇世界三大珍味攻撃その1《キャビアマシンガン》
→キャビア状に加工したマシンガンで相手を攻撃する。キャビアの中には鮫型の召喚獣が入っており、キャビアが破裂すると共に爆死して相手に大ダメージを与える
〇世界三大珍味攻撃その2《トリュフハリケーン》
→香りが強いトリュフをモチーフにした竜巻攻撃。強すぎる香りは、相手に幻覚を植え付け、嗅覚と味覚を最大3日間使用不能とさせる
〇世界三大珍味攻撃その3《メタボリックフォアグラ》
→相手の口の中に直接入って行くフォアグラミサイルを発射する。フォアグラの美味しさにうっとりさせつつ、驚異の10億カロリーによって強制的に太らせて動けなくする

〇日本三大珍味攻撃その1《このわたネット》
→このわたとして加工した食品で、相手を絡め取る攻撃。とあるダンジョンに生息するなまこの魔物から抽出した腸を加工することで、戦車の中から操って相手を捕らえる事が出来るようになった
〇日本三大珍味攻撃その2《レーザーからすみ》
→からすみ型のレーザー射出装置から、相手をからすみと同じ縦長の形へと変更するレーザー攻撃。このレーザーは鏡などで屈折させることが出来ず、ただ真っすぐ何かにぶつかるまで放たれる
〇日本三大珍味攻撃その3《うにボール》
→うにの形を模した、棘だらけのボールを複数個発射する。地面に何度か跳ねると、棘が周囲に飛び散り、その棘に当たると身体機能の1割を麻痺状態にして使用不能とさせる
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