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第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』

第99話 暗躍するシーヴィー

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 幽霊船ホッカイドーでの戦いから、数週間後----。
 とあるダンジョンで、物騒な計画が動き出していた。


 Sランク、超高難易度ダンジョン《ルベバの塔》。
 このダンジョンはSランクという肩書きこそあるが、そのランクの高さはダンジョン内部の難解さを判断されての事ではなく、ダンジョンに入ること自体の難しさにある。
 
 元々、このダンジョンにはSランクに相応しい強力な魔物達の巣窟だった。
 しかし、とある冒険者の力によって魔物が掃討されて以来、魔物が出なくなって安全なダンジョンになったため、内部は安全だ。
 だがこのダンジョンは入る事、それ自体がとても難しいダンジョンなのである。

 ----ゴーラック遊園地にある巨大観覧車。
 108もあるゴンドラのうちのどれか1つが、この《ルベバの塔》のダンジョン入り口なのである。
 しかも、毎日毎日、入り口となっているゴンドラが変わってくるのだ。

 1日目は18番目、2日目は69番目、そして3日目は7番目----。
 しかも朝、昼、晩の3回でゴンドラの入り口が変化する。

 入ること自体が非常に難しい、超高難易度ダンジョン《ルベバの塔》。
 その奥地にて、とある美少女が君臨していた。

「あぁ……! 良いねぇ良いねぇ、良い調子で作戦が進んでますね」

 その美少女は修道女服シスター服を羽織るように着崩した、とっても綺麗なボタンの瞳を持つ【三大堕落】のメンバー。
 甘言のシーヴィー、その人である。

 彼女は、自身の左腕という肩書きを与えてある《死亡保険》赤鬼と共に、この入る事すら難しい《ルベバの塔》で、人知れず暗躍していたのである。
 そしてその日、シーヴィーの作戦準備が完了して、今から作戦を開始しようとしていた。

「《死亡保険》赤鬼! 例の作戦の進捗は、ちゃんと進んでるんですよね?」
「----まさしく」
「えっ、進んでるの? "まさしく"に、進行具合を確認する意味ってなかったよね?! うち、間違ってる?」
「----とにかく」

 さっきから、頭が墓石になっている《死亡保険》赤鬼はコクリと頷いていた。
 「まさしく」とか、「とにかく」とか、「わくわく」とか言いながら。

「……ダメですね、こいつ。《死亡保険》赤鬼は能力こそ気に入ってるけど、会話能力が壊滅的ですね。
 まぁ、うちは能力重視ですからね! サトエリちゃんも予定通り・・・・倒されちゃったし、死なない事こそが誇りみたいな【不老不死担当】のダブルエムちゃんもやられちゃったし……。
 ここは最強の【召喚士】、甘言のシーヴィー様の力を見せてやりますよ!!」
「みたく、みたく」
「……。では、作戦を説明しましょうか、《死亡保険》赤鬼」

 シーヴィーはそう言って、《死亡保険》赤鬼の手を引いて、奥地の特設広場に案内する。

 特設広場----それはシーヴィーがデザインし、ダブルエムが資材調達をして、佐鳥愛理が作り上げた、【三大堕落】の3人の力が集結して作り上げた広場でもある。
 ダブルエムと佐鳥愛理の2人は、「シーヴィーが一番働いてない」と文句を言われていたが。

 その特設広場の真ん中に、"それ"はあった。

「びっく、びっくっ!!」
「あぁ、とっても大きいですね。凄いでしょう、この【三大堕落】の力を集結させた【堕落戦車サンダーイ】!!」

 「じゃっ、じゃ~んっ!!」と、シーヴィーが《死亡保険》赤鬼に紹介したのは、10メートルはあろうかという巨大な戦車。
 左側の装甲に雷を司る神・雷神、そして右側の装甲には風を司る神・風神が描かれたその巨大戦車。
 これこそ、【三大堕落】の力を集結して作り上げた、堕落戦車サンダーイである。

 デザイン担当、シーヴィー!!
 資材調達担当、ダブルエム!!
 加工開発担当、佐鳥愛理!!

 まさしく、【三大堕落】の3人の全力が注ぎ込まれた、最強戦車である。

「このサンダーイの主砲の先に、特殊な音波増幅装置が内蔵されています!! その音波増幅装置から、うちの特殊スキル【蕩ける声スウィートボイス】を増幅して、拡散させる!!
 ----それによって、うちの計画が完遂される!! そう、世界を甘やかす、とろけるメルティープロジェクトがっ!!」
「とにかく! とにかく!」
「行くよ、《死亡保険》赤鬼! 世界を甘ーく、甘言で蕩かせましょう!!」

 ルンルン気分で、シーヴィーは《死亡保険》赤鬼の2人と共に、最強戦車のサンダーイに乗り込もうとして-----


「《ぴぃぃぃぃぃぃ!!》」
「いっくよぉぉぉぉ☆」

「いっ、いたく!?」

 
 《死亡保険》赤鬼は突如現れた、雪ん子とファイントの2人によって弾き飛ばされた。
 弾き飛ばされた《死亡保険》赤鬼は、そのままシーヴィーが認識できないくらい遠くへと飛ばされたのである。

「しゅっ、襲撃?! おかしい、うちのいるこのダンジョンは、入る事すら困難極まりない、高難易度ダンジョン!! それなのに、こんなタイミングで襲撃が来るだなんてっ?!」

 しかもシーヴィーが驚いたのは、それだけではない。
 襲撃してきた相手が、まさかの相手だったからである。

「……遂に見つけたのじゃ、シーヴィー!!」
「まさか、君がこのタイミングで来るとはねぇ。なぁ、ラブホちゃん?」

 そこに現れて、シーヴィーの邪魔をした相手。
 それは彼女がラブホちゃんと呼ぶ相手----冴島渉の召喚獣、吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世であった。
 ココアは怒り心頭と言った様子で、冴島渉と共に、シーヴィーの前に現れたのだった。

「このタイミングで、邪魔して来るだなんて……!!
 主砲の音波増幅装置を直す前に、あなたを倒してやりますよ! ラブホちゃん!」

 そう言って、シーヴィーは堕落戦車サンダーイに乗り込む。
 「ぶぅんっ!!」と、大きな機動音と共に、堕落戦車サンダーイが動き出す。

『なんでここに来れたかは知らないけど、このサンダーイの力! 今すぐ、見せてやりましょう!』
「……今の妾は怒っておる。主殿、ここは妾1人に任せて欲しいのじゃ、リョクチャを奪ったあ奴を妾1人でぶちのめしてやるのじゃ!!」

 今ここに、堕落戦車サンダーイと吸血鬼ココアの戦いが、始まろうとしていた----!!
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