俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第3章『決戦の北海道と、最強の召喚士シーヴィー/吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世の章』

第83話 妾の妹、エルダードラゴンエッグ

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「じゃあ、行くぞ」

 俺の号令に3人がゴクリと、唾を飲み込む。

 雪ん子はハラハラと、ファイントはどこか楽しそうに。
 そして、吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世は、「頼むのじゃ……」とお祈りまでしていた。

「----【召喚登録】!!」

 そして俺は、レベルⅢになって覚えたスキル----魔力によって印を付けて、召喚獣として召喚できるようにするスキルである【召喚登録】を発動する。
 身体から急速に大量の魔力が失われるのを感じ、対象に注ぎ込まれ、そして----


 ===== ===== =====
 エラー!! エラー!!

 【召喚登録】スキルは 対象である 【エルダードラゴンエッグ】に 弾かれました!!
 スキルを 強制終了 いたします!!

 エラー!! エラー!!
 ===== ===== =====


「まだダメ、か」

 相変わらず、弾かれてしまうのだった。


 俺は今、ダンジョン内で、エルダードラゴンエッグを仲間にしようと、【召喚登録】というスキルで、正式な俺の召喚獣にしようとしているところなのである。

 1m半くらいのサイズの卵型召喚獣である、このエルダードラゴンエッグ。
 俺の家に入り込み、あまつさえどこだろうともついてくるストーカー的行為を繰り返し続ける卵型の召喚獣。
 どうやら、俺のことが気に入った(?)っぽいのだが、仲間にしようと【召喚登録】をしても、この有様だ。
 いくら魔力が多い俺でも、レベルが上のレベルⅣのエルダードラゴンエッグを【召喚登録】することは出来ないらしい。

 コイツ自身は、こんなにも俺達の仲間面して、冒険についてくるのに。

「《まただ~》」
「強情な子も嫌いではないわ♪ 染めがいがあるもの☆」
「お主が言うと、"じょおく"に聞こえんのじゃが」

 雪ん子達も、いつもの光景に、がっくりとしていた。
 日を置いたりして数十回はチャレンジしているのだが、うんともすんとも言わない。

「こいつ、本当に仲間になりたいのか?」
「それは主殿、間違いない事じゃ」

 返事をしないと分かっていても、俺はエルダードラゴンエッグに聞いたのに、返事をしたのはココアだった。
 ココアはエルダードラゴンエッグの前に出ると、「よし、リョクチャよ」と話しかけ始める。

「のう、リョクチャ。仲間になりたいのならば、その場で横に回って見たもれ」
「(コロンッ)」

 と、ココアの声に反応してなのか、コロンッと小さく、横に一回転するエルダードラゴンエッグ。

「「「おおっ!!」」」
「ついでじゃ、本当は今すぐにでも仲間になりたいのならば、ジャンプして縦に一回転してみせい」
「(グッ……コロンッ!!)」

 と、今度はその場で飛び上がると、縦にコロンッと転がって見せるエルダードラゴンエッグ。
 さっきの横回転ならまだしも、飛び上がって見せるとなると、流石に言葉が通じると考えて、間違いないだろう。

「よしよしよしっ!! 良い子じゃ良い子じゃ、流石は妾の妹、リョクチャじゃのう!!」

 「愛い奴め♡」と、嬉しそうに卵の殻を優しく撫でるココア。

「あらあら、ココアちゃんったら☆ そーんなに、その卵、気に入ったのかしら♪」
「卵じゃないわ、妾の妹! その名もリョクチャ・ガールハント・ヒアリング4世じゃ!! 名まで与えたのじゃ、既に妾の中では、仲間入り決定しとるわい!! 気に入っとるわい!!」

 さっきから言ってた"リョクチャ"って、そのエルダードラゴンエッグの名前だったのね……。
 なんでいきなり、緑茶の話になったんだろうって、思ったけど。

 ちなみに、なんで女の子か分かったかと言うと、【妖狐】の力を使って、【鑑定】魔法を邪霊族にしたところ、卵の中身を見る事が出来たそうらしい。
 あんなに嫌がってたのに……めちゃくちゃ使いこなしてるじゃん、【妖狐】の力。

「なんともまぁ、可愛らしい召喚獣じゃなかろうか。主殿に会うために、ダンジョンを越え、やってきたんじゃよ? 健気で、愛らしくて、なんとも愛いヤツじゃなかろうか!!
 よーしよし!! このココア・ガールハント・ヒアリング3世の名にかけ、お主を立派な妾が眷属かぞくにしてやるからのぉ~」

 よしよしっと、すっげぇ可愛がるココア。
 その姿を見て思ったのは、家にペットが出来て喜ぶ子供の姿そのものだった。
 いや、子供が連れ帰ってきてしまったペットを、最初は嫌々で反対してたのに、当の子供が世話しなくなっていって、結果的に自分が世話をしてたら、子供以上にハマってしまった母親……の方が正しいか。

「と言う訳で、リョクチャは妾が健全に、大切な眷属かぞくとして育てていくので、お主ら2人は接近禁止じゃからな?
 初見でゆで卵にしちゃい子ちゃんと、ごく普通に盾にしちゃうちゃんは、な」

「《ぴぃ~?》」

 と、初見でゆで卵にしちゃい子ちゃん、またの名を雪ん子ちゃんは、ぽかぁんと、謎マークを浮かべていた。

「えぇ~☆」

 と、ごく普通に盾にしちゃうちゃん、またの名をファイントちゃんは、うふふと、謎な笑みを浮かべていた。

「いやいやっ!! 雪ん子、覚えたばかりの炎でエルダードラゴンエッグを焼くんじゃなかろうが!!
 それからファイント、スキルとして【不滅長寿(卵限定)】を持ってるからって、盾にするんじゃないっ!!」

 ----良いから2人とも、そこに座るんじゃ!!

 と、謎のお説教ムーブが始まって、小一時間くらいココアは2人に説教をする。
 
「(というか、ダンジョン内でなにしてるんだこれ?)」

 一応ここ、魔物が出たりして、危険地帯なんだけど。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ぜぇ~ぜぇ~……忘れておった。この2人、悪意ない悪"きゃらぁ"じゃったわ」

 説教を受けてなお、雪ん子とファイントの2人は、いつも通りだった。
 全然、応えた様子はなく、平常通りだった。

 雪ん子は、そもそも質問の意味を理解している感じはなく。
 ファイントは、悪いと本当に思っていないようで。

 説教が終わったかと思ったら、すぐにダンジョン攻略を続けてしまった。

「まぁ、良い。それより主殿、1つ、リョクチャについて聞いて欲しい事があるのじゃ。
 実は、リョクチャに何か欲しい物がないかって、聞いた時の話なんじゃが」
「待って、それ。どうやって聞いたの? さっきの、転がるパターンでどこまで聞けるの?」

 エルダードラゴンエッグは喋れない。
 コイツに出来る事は卵なりに転がる事と、さっきみたいにジャンプする事だけ……。
 うん、本当にこれで良く、意思疎通できるな。本当に。

「そこでリョクチャから、召喚獣を1体召喚して欲しいと言われたのじゃよ。
 なので、出来ればこの召喚獣を、召喚して欲しいのじゃ」

 と、俺はココアから、エルダードラゴンエッグとやらの希望の召喚獣を聞く。


 ===== ===== =====
 【ギルタブリル・ジンバーロック】 レベル;Ⅲ
 人間の身体と蠍の身体の両方の性質を持つ、別名「蠍人間」であるギルタブリルの変異種。ギルタブリルはレベルⅡの召喚獣だが、様々な実験を施されることにより、自分の身体を滅ぼすかもしれないほどのエネルギーを秘めている
 あまりにも強すぎる力を制御するために、研究者によってジンバーロックと呼ばれる強力な鎧によって制御されている
 ===== ===== =====


「なんか、すっごい変な召喚獣を選択チョイスしてきたな」

 ギルタブリルは、バビロニア神話に登場する伝承を基にした召喚獣だ。
 アッカド語と呼ばれる謎言語で「蠍人間」という意味のギルタブリルは、その物ずばり、人間の上半身と蠍の尾を持つという、独特な姿をしている。
 まぁ、人間要素と蠍要素以外にも、鳥の下半身と鈎爪かぎつめを持ってたりするんだけど。

 レベルⅡの召喚獣であるギルタブリルの変異種が、エルダードラゴンエッグの要望したギルタブリル・ジンバーロックである。
 謎研究によって色々と力を与えられていて、それの制御のために、ジンバーロックなる鎧型の制御装置を付けているんだそうだ。

「いや、エルダードラゴンエッグとの関連要素ゼロなんだけど」
「そうじゃのぉ? まぁ、一応覚えておいて欲しいんじゃよな!!」

 満足したように、ココアはそう言って、雪ん子とファイントとのダンジョン攻略に戻って行った。


 ----と言うか、エルダードラゴンエッグは、どうやってこの召喚獣の事を伝えたのか、めちゃくちゃ気になるんだが。
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