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第2章『新たな召喚獣、新たな世界/ファイントの章』
第64話 【妖狐】吸血鬼の能力
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3体目のレベルアップ可能な召喚獣、吸血鬼のココアを召喚した俺。
しかしながら、ココアは吸血鬼でありながら、【妖狐】という職業のせいなのか狐の性質の要素の方が強い、狐な吸血鬼として召喚された。
「で、そんなココアがあれだ」
と、俺は雪ん子とファイントの2人に、ダンジョンの隅で体育座りをするココアを指差す。
「おかしいのじゃ……妾の"あいでんてぇてぇ"たる吸血鬼よりも、狐なぞの方が強いなど……。
これは夢じゃ、悪夢なんじゃああああああ!」
「あらあら♡ 随分、個性的なのが出てきましたね♪」
「《主、うるサイ、殺す?》」
ファイントは楽しそうに笑っているから良いが、雪ん子、お前は剣を下ろせ。
ココアに向けてるんだろうが、振り回してるから俺の髪もほんの少しかするんだよ。
「こりゃあ、使える召喚獣かどうか以前の問題だな」
明らかにネタ枠、つまりは面白いだけで使える訳ではないタイプの召喚獣っぽい。
まぁ、今回は基となった物自体にルトナウムが浸っていたから、レベルアップできたようなものだし。
召喚してからレベルアップ可能にどうやってするかを考えていたから、結果オーライ?
「(というか、やっぱりルトナウムが関係してるんだな)」
ファイント、そしてココア。
2人ともレベルアップ可能になる条件として、ルトナウムが関係している。
ファイントの時は俺が直接手に入れて、ココアの時は物自体にルトナウムがかかっていて。
----じゃあ、雪ん子は?
そもそも、なんで【木こりの地縛霊】のドロップアイテムとして、"召喚獣をレベルアップできるようにする"なんてものが出てくるんだ?
「----待つのじゃ! 主殿!」
と、【木こりの地縛霊】の謎について考え始めていたら、吸血鬼のココアが大きな声でそう告げる。
「妾は確かに狐畜生なぞの身体にされて、戸惑っておったのじゃ。しかしながら、妾は主殿の召喚獣。
主殿の力となるため、妾は生み出されたんじゃ! 妾の力を見ずに、判断されるのは困るのじゃよ」
先程まで、うろたえていたとは思えない口調で、ココアはそう力強く言う。
「吸血鬼とは、誇り高く、その力を見せるのじゃ。そして、召喚獣とは【召喚士】たる主殿の力となる者。
誇り高く、"ぷらいどぉ"のある妾は、主殿のためにこの力を使うことを誓おう」
「ココア……」
もっふもふの尻尾をゆらゆら揺らしながら、「えぇい! 勝手に動くでないっ!!」と言っているので、どこか閉まらない感じもするのだが……。
「《ピィ! 主のため戦う、仲間っ!》」
「そうですねぇ、すっごく誇りが好きな娘みたい----って、あらぁ♪ 良い所に☆」
と、ファイントの見ている方向には、このダンジョンの魔物----【プリズンビスク】の姿があった。
===== ===== =====
【監獄人形】 レベル;Ⅱ
森や川などに捨てられたビスクドールに、怨みや怨念などが降り積もった結果生まれたとされる魔物。下半身に鳥籠のような硬い檻があり、この鳥籠の中には自らが殺した死体を入れている
鳥籠の中に心臓代わりの核があり、これを破壊することで討伐できる。この性質のため、同じく核を潰さないと討伐出来ないスライムの亜種という説がある
===== ===== =====
俺達の前に現れたのは、3mは軽くあろうかとも思えるくらいの巨大なビスクドールの魔物。
黒いゴシックドレスみたいな服に身を包んだ、端正な顔立ちのお人形さんは、ふわふわ浮かびながら、俺達を狙っている。
「あぁ、あいつは止めとこう。あれは雪ん子とファイント用の魔物だ」
仮想敵----この間の【機動要塞】のボス吸血鬼に似た、硬い魔物対策というべきか。
あの時はファイントの【ファイアーバレット】と、雪ん子の氷属性攻撃によって、硬い城壁鎧を破壊した。
熱して、冷まして、熱して、また冷まして----そう言った風にして、ボス吸血鬼の硬い城壁鎧を破壊したんだけど。
似たような敵が今後も出ないとは限らないので、練習用ということで、このプリズンビスクとの戦いを想定してみたのだ。
こいつも硬い鳥籠を破壊しないと、弱点である核に攻撃できないという意味では、ボス吸血鬼と似たような相手だからな。
「----ふむっ! しかしながら、妾ならばあんな相手、すぐに倒せるのじゃ!!」
と、俺が止めたのにも関わらず、ココアは魔法で炎の球を作り始める。
あれは火魔法の一番初歩的な魔法、確か【ファイアーボール】だったか?
「(ココアの持っているスキルの1つに、【五属性魔法】っていうスキルがあったな)」
なるほど、ココアは火の魔法、それに氷の魔法のどちらも使えるからな。
そんな彼女ならば、高熱と冷凍のどちらも出来るなら、確かに1人で大丈夫かもな。
「(そう言えば、【妖狐】の職業の特性ってなんなんだろう?)」
特に見てなかったのだが、いったいどういう職業で----
「《火よ! 球体となりて敵を倒せ! ファイアーボール!》」
ココアは火球を生み出す魔法、【ファイアーボール】の魔法を放った。
ココアが放った【ファイアーボール】は、うねうねと不安定に揺れていて、今にも消えそうな不安定な火球だった。
そんな不安定に揺れる【ファイアーボール】はプリズンビスクの鳥籠に当た----らずに、すり抜けた。
《----グヒッ??》
プリズンビスクの鳥籠のような檻をすり抜けた火球は、そのまま積み重なった人の死体の山にぶち当たっていた。
《グギャ?!》
プリズンビスクは驚いているようだった。
まぁ、本来は鳥籠という盾に守られている核に、盾を壊される事なく攻撃されたんだからな。
困惑して、当然かもしれない。
「これこそ妾の職業、【妖狐】の力じゃぞ? 放つ魔法属性の属性の部分を、変える事が出来る----これこそ、【妖狐】の能力じゃ!!」
===== ===== =====
【妖狐】 マナ系統職業
魔法を放つ際に、その魔法の属性を他の属性や種族に変更することが出来る。また他者のスキルの属性なども変更して使うことが出来る
ただし、別の属性や種族に変更した場合、威力は半減してしまう
===== ===== =====
「今のは【ファイアーボール】という魔法の、"火属性"の部分を"邪霊族"に変えてみたんじゃ。火のような燃え盛る力は消えたが、邪霊族を思わせるすり抜け能力を得た訳じゃな?」
----なるほど、それは便利だな。
【ファイアーボール】の亜種として、雷の球の【サンダーボール】、土の球の【クレイボール】といったモノもあるが……すり抜ける魔法ってのは、聞いたことがないな。
他にも、"戦士族"や"精霊族"での【ファイアーボール】ってのは、どういう能力に変化するのか、試してみたいところである。
「教えてやろう、主殿。妾達、吸血鬼にとって、弱点とは恥ずべき物ではない。
妾達、吸血鬼は血の繋がりを大切にする。吸血鬼は弱点が多い種族であるから、出来ないことが非常に多いんじゃ。だから、出来る者が出来る事をし、出来ない者は他に出来る事をする。それが吸血鬼にとっての、家族ということじゃ」
「家族……」
なるほど、なかなかに深い。
俺もうっかり、しみじみと感動してしまいそうである。
「感動したじゃろ、感動したじゃろ? ならば褒美として、妾の好物たる油あ----って、なんでじゃあああああ! 妾は血が"らぶぅ"なはずなんじゃああああああ!!」
ただ、このすぐ発狂する癖と、
「《ぴぃ! ぴぃぴぃ!!》」
「凄いよねぇ~、びっくりしたよ、すり抜けて♪ でも、倒してないのはちょっとねぇ♪」
ちゃんと倒したのかどうかくらいは、確認して欲しかったな……。
しかしながら、ココアは吸血鬼でありながら、【妖狐】という職業のせいなのか狐の性質の要素の方が強い、狐な吸血鬼として召喚された。
「で、そんなココアがあれだ」
と、俺は雪ん子とファイントの2人に、ダンジョンの隅で体育座りをするココアを指差す。
「おかしいのじゃ……妾の"あいでんてぇてぇ"たる吸血鬼よりも、狐なぞの方が強いなど……。
これは夢じゃ、悪夢なんじゃああああああ!」
「あらあら♡ 随分、個性的なのが出てきましたね♪」
「《主、うるサイ、殺す?》」
ファイントは楽しそうに笑っているから良いが、雪ん子、お前は剣を下ろせ。
ココアに向けてるんだろうが、振り回してるから俺の髪もほんの少しかするんだよ。
「こりゃあ、使える召喚獣かどうか以前の問題だな」
明らかにネタ枠、つまりは面白いだけで使える訳ではないタイプの召喚獣っぽい。
まぁ、今回は基となった物自体にルトナウムが浸っていたから、レベルアップできたようなものだし。
召喚してからレベルアップ可能にどうやってするかを考えていたから、結果オーライ?
「(というか、やっぱりルトナウムが関係してるんだな)」
ファイント、そしてココア。
2人ともレベルアップ可能になる条件として、ルトナウムが関係している。
ファイントの時は俺が直接手に入れて、ココアの時は物自体にルトナウムがかかっていて。
----じゃあ、雪ん子は?
そもそも、なんで【木こりの地縛霊】のドロップアイテムとして、"召喚獣をレベルアップできるようにする"なんてものが出てくるんだ?
「----待つのじゃ! 主殿!」
と、【木こりの地縛霊】の謎について考え始めていたら、吸血鬼のココアが大きな声でそう告げる。
「妾は確かに狐畜生なぞの身体にされて、戸惑っておったのじゃ。しかしながら、妾は主殿の召喚獣。
主殿の力となるため、妾は生み出されたんじゃ! 妾の力を見ずに、判断されるのは困るのじゃよ」
先程まで、うろたえていたとは思えない口調で、ココアはそう力強く言う。
「吸血鬼とは、誇り高く、その力を見せるのじゃ。そして、召喚獣とは【召喚士】たる主殿の力となる者。
誇り高く、"ぷらいどぉ"のある妾は、主殿のためにこの力を使うことを誓おう」
「ココア……」
もっふもふの尻尾をゆらゆら揺らしながら、「えぇい! 勝手に動くでないっ!!」と言っているので、どこか閉まらない感じもするのだが……。
「《ピィ! 主のため戦う、仲間っ!》」
「そうですねぇ、すっごく誇りが好きな娘みたい----って、あらぁ♪ 良い所に☆」
と、ファイントの見ている方向には、このダンジョンの魔物----【プリズンビスク】の姿があった。
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【監獄人形】 レベル;Ⅱ
森や川などに捨てられたビスクドールに、怨みや怨念などが降り積もった結果生まれたとされる魔物。下半身に鳥籠のような硬い檻があり、この鳥籠の中には自らが殺した死体を入れている
鳥籠の中に心臓代わりの核があり、これを破壊することで討伐できる。この性質のため、同じく核を潰さないと討伐出来ないスライムの亜種という説がある
===== ===== =====
俺達の前に現れたのは、3mは軽くあろうかとも思えるくらいの巨大なビスクドールの魔物。
黒いゴシックドレスみたいな服に身を包んだ、端正な顔立ちのお人形さんは、ふわふわ浮かびながら、俺達を狙っている。
「あぁ、あいつは止めとこう。あれは雪ん子とファイント用の魔物だ」
仮想敵----この間の【機動要塞】のボス吸血鬼に似た、硬い魔物対策というべきか。
あの時はファイントの【ファイアーバレット】と、雪ん子の氷属性攻撃によって、硬い城壁鎧を破壊した。
熱して、冷まして、熱して、また冷まして----そう言った風にして、ボス吸血鬼の硬い城壁鎧を破壊したんだけど。
似たような敵が今後も出ないとは限らないので、練習用ということで、このプリズンビスクとの戦いを想定してみたのだ。
こいつも硬い鳥籠を破壊しないと、弱点である核に攻撃できないという意味では、ボス吸血鬼と似たような相手だからな。
「----ふむっ! しかしながら、妾ならばあんな相手、すぐに倒せるのじゃ!!」
と、俺が止めたのにも関わらず、ココアは魔法で炎の球を作り始める。
あれは火魔法の一番初歩的な魔法、確か【ファイアーボール】だったか?
「(ココアの持っているスキルの1つに、【五属性魔法】っていうスキルがあったな)」
なるほど、ココアは火の魔法、それに氷の魔法のどちらも使えるからな。
そんな彼女ならば、高熱と冷凍のどちらも出来るなら、確かに1人で大丈夫かもな。
「(そう言えば、【妖狐】の職業の特性ってなんなんだろう?)」
特に見てなかったのだが、いったいどういう職業で----
「《火よ! 球体となりて敵を倒せ! ファイアーボール!》」
ココアは火球を生み出す魔法、【ファイアーボール】の魔法を放った。
ココアが放った【ファイアーボール】は、うねうねと不安定に揺れていて、今にも消えそうな不安定な火球だった。
そんな不安定に揺れる【ファイアーボール】はプリズンビスクの鳥籠に当た----らずに、すり抜けた。
《----グヒッ??》
プリズンビスクの鳥籠のような檻をすり抜けた火球は、そのまま積み重なった人の死体の山にぶち当たっていた。
《グギャ?!》
プリズンビスクは驚いているようだった。
まぁ、本来は鳥籠という盾に守られている核に、盾を壊される事なく攻撃されたんだからな。
困惑して、当然かもしれない。
「これこそ妾の職業、【妖狐】の力じゃぞ? 放つ魔法属性の属性の部分を、変える事が出来る----これこそ、【妖狐】の能力じゃ!!」
===== ===== =====
【妖狐】 マナ系統職業
魔法を放つ際に、その魔法の属性を他の属性や種族に変更することが出来る。また他者のスキルの属性なども変更して使うことが出来る
ただし、別の属性や種族に変更した場合、威力は半減してしまう
===== ===== =====
「今のは【ファイアーボール】という魔法の、"火属性"の部分を"邪霊族"に変えてみたんじゃ。火のような燃え盛る力は消えたが、邪霊族を思わせるすり抜け能力を得た訳じゃな?」
----なるほど、それは便利だな。
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他にも、"戦士族"や"精霊族"での【ファイアーボール】ってのは、どういう能力に変化するのか、試してみたいところである。
「教えてやろう、主殿。妾達、吸血鬼にとって、弱点とは恥ずべき物ではない。
妾達、吸血鬼は血の繋がりを大切にする。吸血鬼は弱点が多い種族であるから、出来ないことが非常に多いんじゃ。だから、出来る者が出来る事をし、出来ない者は他に出来る事をする。それが吸血鬼にとっての、家族ということじゃ」
「家族……」
なるほど、なかなかに深い。
俺もうっかり、しみじみと感動してしまいそうである。
「感動したじゃろ、感動したじゃろ? ならば褒美として、妾の好物たる油あ----って、なんでじゃあああああ! 妾は血が"らぶぅ"なはずなんじゃああああああ!!」
ただ、このすぐ発狂する癖と、
「《ぴぃ! ぴぃぴぃ!!》」
「凄いよねぇ~、びっくりしたよ、すり抜けて♪ でも、倒してないのはちょっとねぇ♪」
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