62 / 350
第2章『新たな召喚獣、新たな世界/ファイントの章』
第61話 風雲! ドラキュラブホ城!(2)
しおりを挟む
雪ん子とファイントと一緒に、俺は《風雲! ドラキュラブホ城!》のボス広間へと足を踏み入れた。
中は今までと変わらず、原色で彩られた目に悪そうな部屋で、壁には大量のハートマークが描かれていた。
そして、その中央に、この《風雲! ドラキュラブホ城!】のボスが居た。
居たのだが……なんだか、変なボスだった。
「来たな、お前ら! この城のボスたる余、【モカ・ガールハント・ヒアリング2世】様が引導を渡してくれようではないか!」
そいつは、大きな牙を見せつける、黒い高価そうなマントをひらひらとなびかせる男。
まさしく、アニメやドラマとかで見る【吸血鬼ドラキュラ】のイメージそのものと言った容姿の男である。
問題なのは、それ以外のヤツの恰好である。
鎧代わりに硬そうな城壁のような何かで身を包み、手の代わりに砲台が2つ、肩や腰のも合わせると10を超える。
背中の煙突からは絶えず黒い煙が絶えず出ており、光から目を守るためなのかサングラスを付けていた。
機動要塞そのものを身に纏った吸血鬼。
それがボスの間にいた、10mを大きく超える大型ボスの姿である。
===== ===== =====
【《機動要塞》《エッチな》吸血鬼モカ・ガールハント・ヒアリング2世】 ランク;? 《風雲! ドラキュラブホ城!》ボス魔物
機動要塞を相棒として戦う世界を閉じ込めた【世界球体=機動要塞世界=】の力を与えられた、吸血鬼のボス魔物。倒すと、マナ系職業の1つ、【機動要塞】を使用することが出来るようになる
既成の装備品を一切装備できない代わりに、建物を機動要塞化して装備できるようになる。また移動速度が遅くなる代わりに、魔法を専用スキル【チャージ】を用いる事で溜めて威力を大きく上昇させることが出来る
(※)このボス魔物を倒した場合、マナ系統職業【機動要塞】が解放されます
該当の四大力を持つ者に、職業変更の勧誘がありますので、了承した場合、その職業に変更できます
===== ===== =====
「【機動要塞】……?」
初めて聞く職業……と言うか、果たして【機動要塞】を職業の1つとして認めて良い物だろうか?
全体的にゴツゴツしていて、背中の煙突やら沢山の砲台なんかもあって、まるで機動要塞を身に纏っているという感じはするのだが、どうしてもこの《風雲! ドラキュラブホ城!》というダンジョンには合わない感じがする。
「(さっきまでは《エッチな》関連の魔物が出てたのに、ここに来ていきなり【機動要塞】? どういう関連で出てきたんだ?)」
まぁ、マナ系統は【魔法使い】やら【風水師】と言ったような後衛なのだから、近接系----つまりは雪ん子の使う【剣技】に弱いはず。
なのだが、あの硬そうな城壁のような鎧に阻まれるだろうから、まずはあの鎧をなんとかしないと。
「とりあえず雪ん子、あいつに攻めこめ! あいつは【魔法使い】のような遠距離から攻撃するタイプみたいだから、近距離に弱いはずだ!」
「《ピッ! 了解!》」
俺の命令を受けて、雪ん子は巨大なボス吸血鬼へと向かって行く。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ! ファイアーバレット!》」
敵のボス吸血鬼は、さっき戦った吸血鬼と同じ火炎の銃弾の魔法を放ってきた。
さっきと違う所と言えば、その火炎の魔法を奴のいくつもある砲台全てから放ってきたこと、そしてそれらが比べようがないくらい強かった事だ。
大きさ、速さ、それらがさっきまでの倍以上で放たれていた。
「【ハリケーンプロペラ=レーザービーム】!」
ボス吸血鬼が放った炎の弾丸----いや、砲弾たちに対して、ファイントは青魔法で対処する。
光線を放って相手に与える魔法を、【ハリケーンプロペラ】の力で回転力を加えて、だ。
「一発、一発が大きいので、雪ん子ちゃん早めにお願いよぉ!!」
「《ピィ! や・るっ!》」
ファイントが炎の砲弾を青魔法で対処する中、雪ん子は剣を大きく振って斬りつける。
しかしながら、レベルⅡの限界値のレベルまで達しているはずの雪ん子の剣技ですら、ボス吸血鬼の硬そうな城壁鎧に傷一つすら付けられなかった。
「《硬イっ!》」
「あぁ~ん☆ 【スキャン】してみたら、あそこら辺に弱点のコアがあるのにぃ~♪」
ファイントはそう言いながら、ボス吸血鬼の背中を指差す。
どうやらあそこに、敵の弱点があるみたいだ。
「(でも、その弱点コアを出すためには、あの硬い城壁鎧の装甲を破壊しなければならない。そして、雪ん子の力では不十分で----)」
考えろ、どうすればあの鎧を破壊することが出来るのかを。
「《水よ! 相手を押し流す波となれ、マジックウェーブ!》」
俺が考えているうちに、ボス吸血鬼は次の魔法を発動していた。
本来は相手全体に波による水魔法を与える技なはずだが、ボス吸血鬼の砲台から出てきたのは水のレーザー。
魔法の波を圧縮し、一直線にしてあらゆる物を切り裂く水のレーザー攻撃として、ボス吸血鬼は放ったみたいである。
「《ファイントっ!!》」
「はいはい、お任せあれ~!! ご主人! 逃げちゃいますよ! 【スキャン=マルチアーム】!」
驚いて指示が遅れる俺を救われたのは、雪ん子が代わりに指示をしてくれたからだ。
雪ん子が指示をして、ファイントが俺に青魔法をかけて、俺を逃がした。
「いやぁ~☆ 相手は固定砲台みたいに撃ちまくれるのに、こちらの攻撃は効かないとは~♪ で、どうすれば良いですか、ご主人?」
「……【スキャン】で、【ファイアーバレット】を【学習】して、弱点コアの方に投げろ」
ファイントはそれだけで、俺の言いたい事は理解してくれたようだ。
にんまりと笑ったファイントは、炎の銃弾魔法をいくつも生み出し始めた。
「雪ん子ちゃん、当たらないでね☆ 【マルチ=ファイアーバレット】!」
ファイントが放った大量の炎の銃弾魔法は、真っすぐにではなく、回り込むようにしてボス吸血鬼の背中へと放たれていた。
放たれた炎の銃弾魔法は、弱点コアを守る城壁鎧に当てて熱していた。
「雪ん子! そこを冷やせ!」
「《冷やしマス!》」
熱された場所に雪ん子は直接手を触れて、その場所を瞬間的に冷却する。
雪ん子の攻撃にピクリとも傷一つ付かなかった城壁の鎧が、ほんの少しだけひびがついた。
「急激に熱した後、冷ます! 岩を破裂させるための方法の1つだ!」
高温に熱した岩を、冷却すると体積が小さくなる。
その冷却の速度が速いと、表面は縮むのに、内部は膨張しているという状態になって、歪みが生じるのだが、そこで生じた歪みにより、岩は割れるか、小さなひびが入り割れやすくなる。
熱して、冷やして、硬い物を破壊する。
いつか試したいと思っていた戦い方の1つだ。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ! ファイアーバレット!》」
「こっちもいっぱい、行くよぉ~! 【マルチ=ファイアーバレット】!」
ボス吸血鬼が火炎魔法の砲弾を放ち、ファイントが合わせるようにたくさんの火炎魔法の銃弾で撃ち落とす。
ボス吸血鬼の攻撃を撃ち落としてなお、ファイントが放った火炎魔法の銃弾の方が多く、ボス吸血鬼の背中に何発も当てていた。
当然ながら、それ自体ではボス吸血鬼の分厚い装甲は傷一つ付かない。
しかしながら、その熱せられた所に、雪ん子の攻撃によって冷やされて、ひびが広がる。
「そろそろ壊れそうですね! 【マルチ=マルチ=ファイアーバレット】!」
「《ははっ……もうすグ! もうスグで、へへっ……!!》」
先程とは比にならないくらいの大量の火炎の銃弾魔法を放つファイントと、スキル【殺意の目】の影響によっておかしくなり始める雪ん子。
そんな2人の全力によって、ボス吸血鬼の背中の装甲は遂に限界を迎え、破裂して飛んで行った。
飛んで行った装甲の下からは、赤く丸いコアが剥き出しになっていた。
「あれが弱点か!」
「《これ、壊……殺スっ!》」
そして、丸いコアに雪ん子が攻撃を放とうかという瞬間----
----ボス吸血鬼の背中の煙突が外れ、そこから飛行装置を出して、空へと飛びあがる。
「飛ぶのか、あれは?!」
「《ピィ!! 届かないっ!》」
飛びあがったことで、雪ん子は悔しそうに地団太を踏んでいた。
近接系統である、【剣士】の雪ん子では、相手が悪い。
ボス吸血鬼は、背中のジェットパックを使って、その場に留まっていたから、下に降りてきそうな気配がまったくなかった。
「な・ら♡ ここは、私にお・ま・か・せ☆」
と、後ろでファイントがウインクをしていた。
ここは、自分に任せろ、と言わんばかりに。
----でもまぁ、ここは遠距離攻撃が得意なファイントの出番だろう。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ!》」
「ま~た、同じ手段で行くつもりぃ?」
ファイントが言うように、ジェットパックで空を飛んで制止したボス吸血鬼はと言うと、さっきと同じように炎の銃弾魔法を放とうとしていた。
「空を飛んでいても、一緒ですよ☆ ぜーんぶ、撃ち落としちゃいますねぇ☆」
そうして、ファイントは先程と同じように、【ファイアーバレット】の魔法で撃ち落とす準備を始めていた。
「《----ファイアーバレット!》」
「あれれぇ? 放たれ、ない?」
ボス吸血鬼の砲台からは、炎の砲弾魔法は……放たれなかった。
もしや、【鑑定】にあった、専用スキル【チャージ】というヤツだろうか?
「来ないなら、こっちから----」
と、ファイントが放とうとした、その時である。
彼女は、後ろから撃たれた。
ボス吸血鬼のいる方とは、まったくの逆方向から。
「後ろっ……!?」
振り返ると、そこにはボス吸血鬼の砲台と同じものが、地面から生えていた。
「あぁ……そうでしたね♪」
ファイントは撃たれたのに、どこか嬉しそうな声をしていた。
戦闘を楽しむ、そういう感じの声。
「《相手の背後に砲台を出現させて、魔法攻撃をする専用スキル》----確か、【射程無制限】でしたっけ?
……良いねぇ♡ やっぱ、戦いはこうじゃなくちゃ♡」
中は今までと変わらず、原色で彩られた目に悪そうな部屋で、壁には大量のハートマークが描かれていた。
そして、その中央に、この《風雲! ドラキュラブホ城!】のボスが居た。
居たのだが……なんだか、変なボスだった。
「来たな、お前ら! この城のボスたる余、【モカ・ガールハント・ヒアリング2世】様が引導を渡してくれようではないか!」
そいつは、大きな牙を見せつける、黒い高価そうなマントをひらひらとなびかせる男。
まさしく、アニメやドラマとかで見る【吸血鬼ドラキュラ】のイメージそのものと言った容姿の男である。
問題なのは、それ以外のヤツの恰好である。
鎧代わりに硬そうな城壁のような何かで身を包み、手の代わりに砲台が2つ、肩や腰のも合わせると10を超える。
背中の煙突からは絶えず黒い煙が絶えず出ており、光から目を守るためなのかサングラスを付けていた。
機動要塞そのものを身に纏った吸血鬼。
それがボスの間にいた、10mを大きく超える大型ボスの姿である。
===== ===== =====
【《機動要塞》《エッチな》吸血鬼モカ・ガールハント・ヒアリング2世】 ランク;? 《風雲! ドラキュラブホ城!》ボス魔物
機動要塞を相棒として戦う世界を閉じ込めた【世界球体=機動要塞世界=】の力を与えられた、吸血鬼のボス魔物。倒すと、マナ系職業の1つ、【機動要塞】を使用することが出来るようになる
既成の装備品を一切装備できない代わりに、建物を機動要塞化して装備できるようになる。また移動速度が遅くなる代わりに、魔法を専用スキル【チャージ】を用いる事で溜めて威力を大きく上昇させることが出来る
(※)このボス魔物を倒した場合、マナ系統職業【機動要塞】が解放されます
該当の四大力を持つ者に、職業変更の勧誘がありますので、了承した場合、その職業に変更できます
===== ===== =====
「【機動要塞】……?」
初めて聞く職業……と言うか、果たして【機動要塞】を職業の1つとして認めて良い物だろうか?
全体的にゴツゴツしていて、背中の煙突やら沢山の砲台なんかもあって、まるで機動要塞を身に纏っているという感じはするのだが、どうしてもこの《風雲! ドラキュラブホ城!》というダンジョンには合わない感じがする。
「(さっきまでは《エッチな》関連の魔物が出てたのに、ここに来ていきなり【機動要塞】? どういう関連で出てきたんだ?)」
まぁ、マナ系統は【魔法使い】やら【風水師】と言ったような後衛なのだから、近接系----つまりは雪ん子の使う【剣技】に弱いはず。
なのだが、あの硬そうな城壁のような鎧に阻まれるだろうから、まずはあの鎧をなんとかしないと。
「とりあえず雪ん子、あいつに攻めこめ! あいつは【魔法使い】のような遠距離から攻撃するタイプみたいだから、近距離に弱いはずだ!」
「《ピッ! 了解!》」
俺の命令を受けて、雪ん子は巨大なボス吸血鬼へと向かって行く。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ! ファイアーバレット!》」
敵のボス吸血鬼は、さっき戦った吸血鬼と同じ火炎の銃弾の魔法を放ってきた。
さっきと違う所と言えば、その火炎の魔法を奴のいくつもある砲台全てから放ってきたこと、そしてそれらが比べようがないくらい強かった事だ。
大きさ、速さ、それらがさっきまでの倍以上で放たれていた。
「【ハリケーンプロペラ=レーザービーム】!」
ボス吸血鬼が放った炎の弾丸----いや、砲弾たちに対して、ファイントは青魔法で対処する。
光線を放って相手に与える魔法を、【ハリケーンプロペラ】の力で回転力を加えて、だ。
「一発、一発が大きいので、雪ん子ちゃん早めにお願いよぉ!!」
「《ピィ! や・るっ!》」
ファイントが炎の砲弾を青魔法で対処する中、雪ん子は剣を大きく振って斬りつける。
しかしながら、レベルⅡの限界値のレベルまで達しているはずの雪ん子の剣技ですら、ボス吸血鬼の硬そうな城壁鎧に傷一つすら付けられなかった。
「《硬イっ!》」
「あぁ~ん☆ 【スキャン】してみたら、あそこら辺に弱点のコアがあるのにぃ~♪」
ファイントはそう言いながら、ボス吸血鬼の背中を指差す。
どうやらあそこに、敵の弱点があるみたいだ。
「(でも、その弱点コアを出すためには、あの硬い城壁鎧の装甲を破壊しなければならない。そして、雪ん子の力では不十分で----)」
考えろ、どうすればあの鎧を破壊することが出来るのかを。
「《水よ! 相手を押し流す波となれ、マジックウェーブ!》」
俺が考えているうちに、ボス吸血鬼は次の魔法を発動していた。
本来は相手全体に波による水魔法を与える技なはずだが、ボス吸血鬼の砲台から出てきたのは水のレーザー。
魔法の波を圧縮し、一直線にしてあらゆる物を切り裂く水のレーザー攻撃として、ボス吸血鬼は放ったみたいである。
「《ファイントっ!!》」
「はいはい、お任せあれ~!! ご主人! 逃げちゃいますよ! 【スキャン=マルチアーム】!」
驚いて指示が遅れる俺を救われたのは、雪ん子が代わりに指示をしてくれたからだ。
雪ん子が指示をして、ファイントが俺に青魔法をかけて、俺を逃がした。
「いやぁ~☆ 相手は固定砲台みたいに撃ちまくれるのに、こちらの攻撃は効かないとは~♪ で、どうすれば良いですか、ご主人?」
「……【スキャン】で、【ファイアーバレット】を【学習】して、弱点コアの方に投げろ」
ファイントはそれだけで、俺の言いたい事は理解してくれたようだ。
にんまりと笑ったファイントは、炎の銃弾魔法をいくつも生み出し始めた。
「雪ん子ちゃん、当たらないでね☆ 【マルチ=ファイアーバレット】!」
ファイントが放った大量の炎の銃弾魔法は、真っすぐにではなく、回り込むようにしてボス吸血鬼の背中へと放たれていた。
放たれた炎の銃弾魔法は、弱点コアを守る城壁鎧に当てて熱していた。
「雪ん子! そこを冷やせ!」
「《冷やしマス!》」
熱された場所に雪ん子は直接手を触れて、その場所を瞬間的に冷却する。
雪ん子の攻撃にピクリとも傷一つ付かなかった城壁の鎧が、ほんの少しだけひびがついた。
「急激に熱した後、冷ます! 岩を破裂させるための方法の1つだ!」
高温に熱した岩を、冷却すると体積が小さくなる。
その冷却の速度が速いと、表面は縮むのに、内部は膨張しているという状態になって、歪みが生じるのだが、そこで生じた歪みにより、岩は割れるか、小さなひびが入り割れやすくなる。
熱して、冷やして、硬い物を破壊する。
いつか試したいと思っていた戦い方の1つだ。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ! ファイアーバレット!》」
「こっちもいっぱい、行くよぉ~! 【マルチ=ファイアーバレット】!」
ボス吸血鬼が火炎魔法の砲弾を放ち、ファイントが合わせるようにたくさんの火炎魔法の銃弾で撃ち落とす。
ボス吸血鬼の攻撃を撃ち落としてなお、ファイントが放った火炎魔法の銃弾の方が多く、ボス吸血鬼の背中に何発も当てていた。
当然ながら、それ自体ではボス吸血鬼の分厚い装甲は傷一つ付かない。
しかしながら、その熱せられた所に、雪ん子の攻撃によって冷やされて、ひびが広がる。
「そろそろ壊れそうですね! 【マルチ=マルチ=ファイアーバレット】!」
「《ははっ……もうすグ! もうスグで、へへっ……!!》」
先程とは比にならないくらいの大量の火炎の銃弾魔法を放つファイントと、スキル【殺意の目】の影響によっておかしくなり始める雪ん子。
そんな2人の全力によって、ボス吸血鬼の背中の装甲は遂に限界を迎え、破裂して飛んで行った。
飛んで行った装甲の下からは、赤く丸いコアが剥き出しになっていた。
「あれが弱点か!」
「《これ、壊……殺スっ!》」
そして、丸いコアに雪ん子が攻撃を放とうかという瞬間----
----ボス吸血鬼の背中の煙突が外れ、そこから飛行装置を出して、空へと飛びあがる。
「飛ぶのか、あれは?!」
「《ピィ!! 届かないっ!》」
飛びあがったことで、雪ん子は悔しそうに地団太を踏んでいた。
近接系統である、【剣士】の雪ん子では、相手が悪い。
ボス吸血鬼は、背中のジェットパックを使って、その場に留まっていたから、下に降りてきそうな気配がまったくなかった。
「な・ら♡ ここは、私にお・ま・か・せ☆」
と、後ろでファイントがウインクをしていた。
ここは、自分に任せろ、と言わんばかりに。
----でもまぁ、ここは遠距離攻撃が得意なファイントの出番だろう。
「《火炎よ、相手を穿つ弾となれ!》」
「ま~た、同じ手段で行くつもりぃ?」
ファイントが言うように、ジェットパックで空を飛んで制止したボス吸血鬼はと言うと、さっきと同じように炎の銃弾魔法を放とうとしていた。
「空を飛んでいても、一緒ですよ☆ ぜーんぶ、撃ち落としちゃいますねぇ☆」
そうして、ファイントは先程と同じように、【ファイアーバレット】の魔法で撃ち落とす準備を始めていた。
「《----ファイアーバレット!》」
「あれれぇ? 放たれ、ない?」
ボス吸血鬼の砲台からは、炎の砲弾魔法は……放たれなかった。
もしや、【鑑定】にあった、専用スキル【チャージ】というヤツだろうか?
「来ないなら、こっちから----」
と、ファイントが放とうとした、その時である。
彼女は、後ろから撃たれた。
ボス吸血鬼のいる方とは、まったくの逆方向から。
「後ろっ……!?」
振り返ると、そこにはボス吸血鬼の砲台と同じものが、地面から生えていた。
「あぁ……そうでしたね♪」
ファイントは撃たれたのに、どこか嬉しそうな声をしていた。
戦闘を楽しむ、そういう感じの声。
「《相手の背後に砲台を出現させて、魔法攻撃をする専用スキル》----確か、【射程無制限】でしたっけ?
……良いねぇ♡ やっぱ、戦いはこうじゃなくちゃ♡」
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
異世界転移の……説明なし!
サイカ
ファンタジー
神木冬華(かみきとうか)28才OL。動物大好き、ネコ大好き。
仕事帰りいつもの道を歩いているといつの間にか周りが真っ暗闇。
しばらくすると突然視界が開け辺りを見渡すとそこはお城の屋根の上!? 無慈悲にも頭からまっ逆さまに落ちていく。
落ちていく途中で王子っぽいイケメンと目が合ったけれど落ちていく。そして…………
聞いたことのない国の名前に見たこともない草花。そして魔獣化してしまう動物達。
ここは異世界かな? 異世界だと思うけれど……どうやってここにきたのかわからない。
召喚されたわけでもないみたいだし、神様にも会っていない。元の世界で私がどうなっているのかもわからない。
私も異世界モノは好きでいろいろ読んできたから多少の知識はあると思い目立たないように慎重に行動していたつもりなのに……王族やら騎士団長やら関わらない方がよさそうな人達とばかりそうとは知らずに知り合ってしまう。
ピンチになったら大剣の勇者が現れ…………ない!
教会に行って祈ると神様と話せたり…………しない!
森で一緒になった相棒の三毛猫さんと共に、何の説明もなく異世界での生活を始めることになったお話。
※小説家になろうでも投稿しています。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
バイクごと異世界に転移したので美人店主と宅配弁当屋はじめました
福山陽士
ファンタジー
弁当屋でバイトをしていた大鳳正義《おおほうまさよし》は、突然宅配バイクごと異世界に転移してしまった。
現代日本とは何もかも違う世界に途方に暮れていた、その時。
「君、どうしたの?」
親切な女性、カルディナに助けてもらう。
カルディナは立地が悪すぎて今にも潰れそうになっている、定食屋の店主だった。
正義は助けてもらったお礼に「宅配をすればどう?」と提案。
カルディナの親友、魔法使いのララーベリントと共に店の再建に励むこととなったのだった。
『温かい料理を運ぶ』という概念がない世界で、みんなに美味しい料理を届けていく話。
※のんびり進行です
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる