俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
48 / 354
第2章『新たな召喚獣、新たな世界/ファイントの章』

第47話 分断

しおりを挟む
 ----どうやら今日は、ドロップ品の出が悪いらしい。

「まさか、ボスの広間の前まで来るだなんてな」

 俺は《雪山の騎士城》に出てくる魔物----【アイシクル騎士団の亡霊】を倒して、3種類のドロップ品を合計5つ、集めようとしていた。


 ===== ===== =====
 【アイシクル騎士団の亡霊】 レベル;Ⅱ
 とある北方の地に左遷されたとされる、騎士団の亡霊。全員が氷属性の使い手で、手にした剣や盾を凍らせることで、武具の脆さをカバーした戦術を取ったとされる
 倒すことで、アイシクル騎士団の関連武具や装備を落とすこともある
 ===== ===== =====


 《雪山の騎士城》に出てくるこいつらは騎士の幽霊の魔物だが、武器を凍らせたりして攻撃力や守備力を上げてくるから、厄介なんだよな。
 ただ攻撃力を上げるだけでなく、全身を凍らせて即席の盾となって、他の騎士幽霊達が回復する時間稼ぎをしたり。
 とにかく倒すだけでも、厄介なのに、全然目的のがドロップしないのだ。
 
 5つ集めたら帰るぐらいに思っていたのに、頑張って30体ぐらい倒したのに、最後の1個だけがどうしても集まらないのである。


 ===== ===== =====
 依頼該当アイテム;
 ;アイシクル騎士団の胸当て ×2
 ;アイシクル騎士団の剣   ×0
 ;アイシクル騎士団の鎧   ×2
 ===== ===== =====


 アイテムのドロップ率が、妙に悪い気がする。
 情報屋の情報だと、30体も倒せば7個くらいは集まるという話だったのだが……これは情報が間違っているとして、情報屋に違約金を貰うべき案件だ。

「(一旦、戻るか? 挑むつもりはなかったから、このダンジョンのボスの情報は調べてないんだよな)」

 今のところ、【アイシクル騎士団の亡霊】は倒すのに時間こそかかっている面もあるが、戦力としては負けているとは思えない。
 この大きな扉を開けて、挑むべきか? それともボスに挑まずに、帰るべきか?

「悩みどころだな」

 俺が扉の前で入るかどうか悩んでいると、

「----よいしょ、っと。こうかなぁ?」

 その扉に手をかけて、ファイントが勝手に扉を開け始めたのだ。

「ちょっ! ファイント!!」
「大丈夫ですってば! 少なくともこの【アイシクル騎士団の亡霊】が数十人単位で襲い掛かって来たところで、時間はかかるとしても、ぜーったい負ける気がしませんし♪」
「《ピィ! 大丈夫、大丈夫!》」

 ファイントと雪ん子の2人は、この戦いも余裕でこなせると考えているみたいだ。
 まぁ、どんな敵が相手だとしても、【剣士】の雪ん子と、【青魔導士】のファイントの2人が居れば、近接遠距離どちらからでも攻撃できるし、問題ないだろう。
 それに【召喚士】のレベルがⅡになったから、新たにレベルⅡの召喚獣も自由に召喚できるようになった。

 それを機にMyTuberのマイマインさん発信の、動画で【レベルⅡになったら使うべき召喚獣ベスト5!!】というのを見てきた。
 だから、もし仮に2体だけだと心配だった時は、その召喚獣を召喚して乗り切れば良いし。

「よしっ! 入るか!」
「よし、行きましょ! 行きましょ! 冒険者として、挑むときは挑みましょうとも!
 そぉれ♪ やっちゃお、やっちゃお☆」
「《行きましょ! 行きましょ!》」

 そうして、俺は納得して、ボスの広間に足を踏み入れた。



 途端、俺の足元がぐらぐらっと揺れた。
 地震というよりも、足元が強制的に入れ替わったというか、転移されたっていうか。

 頭がぐらぐらと揺れて、立っているのもやっとな状況が数秒間続いたかと思うと。
 目の前に、画面が出てきた。


 ===== ===== =====
 Eランクダンジョン 《雪山の騎士城》 ボス広間に 侵入しました
 複数人 入ったため 《雪山の騎士城》 ボス広間 条件が 発生しました

 パーティーを 分断しました
 新たな者が出ないように 召喚獣の 《召喚》を 一時停止します

 《悪の手先》雪ん子 の前に 【アイシクル騎士団長スティーリア】が 出現します
 
 【召喚士】と 《聖霊》ファイント の前に 【アイシクル騎士団副長ニパス】が 出現します
 【召喚士】と 《聖霊》ファイント の前に 【アイシクル騎士団将校スリート】が 出現します

 ボス広間から 出るために 全員が ボスを 倒してください
 死んだ場合 ボスと共に 【アイシクル騎士団の亡霊】が 5体 出てくるので 注意してください
 ===== ===== =====


「あらら、こりゃちょっとヤバいかなぁ~? かなぁ~?」

 俺の隣には、ちょっぴり困惑している風を装うファイントの姿があり、代わりに雪ん子の姿はなかった。
 そして、目の前には2体の魔物の姿があった。

 1体は、氷の剣と水の剣の、2本の剣を持つ騎士。
 もう1体は、顔のない馬に跨った……というより、下半身が馬と一体化した、槍を持つ騎士。

 2体の騎士魔物は、俺達に得物を見せつけていた。

「あれが、ボスか」
「私達が倒されちゃうと、雪ん子ちゃんの方に魔物が増えるのかぁ~……よしっ、頑張っちゃうぞぉぉぉ! 
 行くよぉぉぉぉぉぉ!」

 ファイントはそう言って、2体の騎士に向かって行く。
 俺はと言うと、どうやら【召喚】が出来なくなったみたいで、さっきの召喚獣を増やすという戦術が使えない事を確認し、【優しい木こりの鞭】を使うタイミングを見計らっていた。

「(というか……雪ん子1体で、大丈夫だろうか?)」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

処理中です...