俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
34 / 354
第1章『俺の召喚獣だけレベルアップする/雪ん子の章』

第34話 大会でも、無双する(2)

しおりを挟む
 1回戦同様に、2回戦もあっけなく終わった。
 いや、そもそも戦闘と呼ぶべきではないかもしれない。

『おおっと! 挑戦者の召喚獣2体! なんと今度は一歩も動かず、スキルも使用せずに全滅させたぞ!
 圧倒的な力! まるで大人が子供を、いや子猫をあやすかのような一方的な蹂躙だぁぁぁぁ!』

 大人が子猫をあやすなんて状況は、俺は一度も見た事がないが。
 実況の声と共に、戦いは既に終わっていた。

 ピッグキャップとピッグウイッチは、獣らしく、勇敢に攻めていったが、2人はそれらをただ指を鳴らすだけで対処していた。
 そしてもう1体のリザードマンはそれらを見て、震えていたが、なにもする事なく、雪ん子が投げた石に頭をぶつけて死んでしまっていた。

 アイテムなんて必要なかった。
 そう言ってしまえるくらい、こちらのパーティーは圧倒的な強さを誇っていた。

「(まぁ、レベルⅡになるための試練なら、相手もレベルⅠが多いだろうな。そんな中、レベルⅡとなった雪ん子と、特殊な召喚術携帯で召喚した聖霊型召喚獣のファイント----2人を相手にして、傷を負わせるほうが難しいのかもしれないな)」

 こりゃあ、わざわざシェルドリングを召喚なんてしなくても、2体だけで行けたな。
 俺に攻撃が来るような様子、全然ないし。

『さーて! 戦いは最・高・潮! ……と言うより、あまりの一方的すぎーる展開で、お客様達が引き気味だぜー!
 でもまぁ、そんな状況でーも、第3回戦に控えるアイツらなら、こんな状況だろうとも一方的な有利展開で、お客様を楽しませるに違いないぜー! なにせ、アイツらは俺らをあーんなにも楽しませた、エンターテイナーだからなぁ----!』

 その言葉に、お客様達もどっと盛り上がっていた。
 どうも言葉を聞くに、彼らが信じる、第3回戦の相手とやらは、よっぽど彼らに信頼されているようである。

 俺らのこの圧倒的な戦力差をみても、まだ勝てると思っているとは、よっぽどそいつは信頼されているようである。

『では、呼ぼうじゃないか! 我らが誇りし、第3回戦の相手!
 岡本・S・太郎の登場だぁぁぁぁ!』


 ----どかぁぁぁん!


 大きな爆発音と共に現れたのは、目の模様が描かれた両手を持つ、細身の男である。
 長い鼻と、闇を思わせる真っ黒の黒目が特徴のその男は、上げた手を振って、思いっきりファンサービスをしていた。


 ===== ===== =====
 【幽鬼オカモト・S・タロウ】 レベル;? 【ランクⅠ 召喚士ダンジョン大会】ボス魔物
 過去に活躍した冒険者の記憶を宿した、ダンジョンの試練として生み出された魔物。前大会で優勝した"岡本・S・太郎"という冒険者の戦法を用い、挑戦者に試練として立ち塞がる
 彼が使っていた魔物----"ばくだんいわ(ランクⅠ)"、"ばくだんいわ(ランクⅠ)"、"蜃(ランクⅠ)"の3体である
 ===== ===== =====


 ステータスの説明文から察するに、どうやら爆弾を使っての戦法みたいだな。
 名前も、恐らくは「芸術は爆発だ!」という名言を残している、岡本太郎を意識して名乗っているに違いない。

 【ばくだんいわ】は、爆発する岩のモンスターだ。
 普通にダンジョンなどで出てくる時は、いざとなったら爆発してくるくらいで、そこだけ注意してれば良いモンスターなのだが、これが召喚獣として出てくると厄介なのだ。
 なにせ、爆発の威力が下がる代わりに、召喚主さえ無事ならば何度でも爆発できるのだから。

「(まぁ、その爆発に召喚主も巻き込まれちゃうから、俺は使わないんだけど)」

 フレンドリーファイアなしだったら、めちゃくちゃ使えるモンスターであり、雪ん子の代わりにレベルアップ可能にしていたかもしれない。
 
 そして、【蜃】----アイツは、俺が一度召喚を試そうとした召喚獣である。
 確か、蜃気楼を生み出すだけの、貝の召喚獣だったはずだが……正直、"ばくだんいわ"と組み合わせるようなタイプの召喚獣だとは思わなかった。

 蜃気楼で視界を塞ぐ戦法だろうか?
 それだったら蜃気楼ではなくて、もっと視界をちゃんと塞ぐ煙を発生させる召喚獣の方が良いと思うのだが?

 わざわざ、ばくだんいわを2体召喚しておいて、3体目は蜃気楼を生み出す蜃……。
 コイツの戦い方は爆発系だとは思うのだが、それだと蜃が居る理由が分からない。


「人生は、爆発だぁぁぁぁ! おっしゃあ! 今日も元気に、大爆発エクスプロージョンだぁぁぁぁ!」

『『『『『イッェェェェェェェェ!!!!!!』』』』』


 岡本・S・太郎の言葉と共に、周囲の観客が「うわぁー!」と盛り上がっていく。
 ……どうやら、観客を盛り上げるのが上手い人だったみたいだな。

『さぁ! いつもの得意戦法で、今日も皆を楽しませてくれ、岡本・S・太郎!
 そして、挑戦者よ! 我々が信じる最強の優勝者を、今度も楽勝に倒すことが出来るのか!!!
 ドッキドキで、ワックワクなバトルが! いま、始まりだぁぁぁぁ!!!!』

 そうして、


「行くぜぇぇぇぇ!!! 大爆発エクスプロージョンだぜぇぇぇぇぇぇ!!!」


 皆の予想通りに、岡本・S・太郎の爆発攻撃から、第3回戦が始まるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異端の紅赤マギ

みどりのたぬき
ファンタジー
【なろう83000PV超え】 --------------------------------------------- その日、瀧田暖はいつもの様にコンビニへ夕食の調達に出掛けた。 いつもの街並みは、何故か真上から視線を感じて見上げた天上で暖を見る巨大な『眼』と視線を交わした瞬間激変した。 それまで見ていたいた街並みは巨大な『眼』を見た瞬間、全くの別物へと変貌を遂げていた。 「ここは異世界だ!!」 退屈な日常から解き放たれ、悠々自適の冒険者生活を期待した暖に襲いかかる絶望。 「冒険者なんて職業は存在しない!?」 「俺には魔力が無い!?」 これは自身の『能力』を使えばイージーモードなのに何故か超絶ヘルモードへと突き進む一人の人ならざる者の物語・・・ --------------------------------------------------------------------------- 「初投稿作品」で色々と至らない点、文章も稚拙だったりするかもしれませんが、一生懸命書いていきます。 また、時間があれば表現等見直しを行っていきたいと思っています。※特に1章辺りは大幅に表現等変更予定です、時間があれば・・・ ★次章執筆大幅に遅れています。 ★なんやかんやありまして...

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

処理中です...