俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
30 / 354
第1章『俺の召喚獣だけレベルアップする/雪ん子の章』

第30話 俺だけの聖霊型召喚獣

しおりを挟む
 赤坂先輩との、スキル交換会。
 俺は【女傑】のスキルと交換に、新たなスキルを手に入れた。

「それにしても、まさか冒険者証に、スキル交換機能があったのは知らなかった」

 スキル交換を可能とした、件の冒険者証を目にしても、未だに信じられない。
 赤坂先輩は「互いに交換の意思がある場合、冒険者証を通してスキルの交換が出来る」って説明してたが……赤外線通信ですか、まったく。

「でも、これでお目当てのスキルと交換できた」

 あのスキル交換会の翌日、俺はとあるダンジョンへ足を運んでいた。
 目的は交換会で手に入れたスキルの確認と、念願の聖霊型召喚獣の召喚である。

 機械的なメタリックなフロアという、今まで足を運んでこなかった、近未来的なダンジョン。
 そんな幻想的というよりも、未来的な光景には目もくれず、俺はさっそく、お目当てのスキルを取り出す。


 ===== ===== =====
 【青魔導をる者】 マナ系スキル
 青魔法を極めし者が得るスキル。相手の力を学習ラーニング(※1)し、魔法として再現する青魔法の深淵を獲得する
 このスキルを得た状態で、相手の力を学習ラーニングすると、その力を分析して理解し、別の魔法効果と複合して新しい魔法を生み出すことが出来るようになる
 ===== ===== =====


 これが【女傑】と交換して、俺が手に入れたスキルだ。

 青魔法というのは、魔法の中でも特殊な部類に入り、他の魔法とは違って、普通にレベルを上げても、いっさい新しい魔法を会得出来ないのだ。
 会得する方法は、相手が使っていた技を直で見る事で、初めて魔法として会得できるのだ。
 【ファイヤーボール】を受ければ【ファイヤーボール】を会得し、機械のレーザー攻撃を受ければ【レーザービーム】を会得できる。
 噂によると、この青魔法の力を使って、ボスだけが使えるスキルを魔法として再現した人なんてのも居るらしい。

 この【青魔導を識る者】というスキルは、その上位互換系である。
 このスキルがあれば、1つの技から無限の魔法を生み出すことだって出来るのだ。
 【ファイヤーボール】と【レーザービーム】を組み合わせて、【ファイヤーレーザー】なーんてのも出来るのだろう。

「(ただ、このスキルが使われなかったのにも理由はある)」

 スキルの説明文にはこうある、"青魔法のみ・・を極めし者が得るスキル"と。
 つまりは、このスキルを使うと、回復・援護を主体とする"白魔法"と、攻撃・相手の弱体化を主体とする"黒魔法"----そんな2つの魔法系統を使えなくなるという意味だろう。
 青魔法だけしか、魔法が使えないとなると、かなり使い所が難しい。
 だからこそ、スキル交換として出品されていたんだろうが。

「(大丈夫だ、このスキルは俺以外が使う)」

 これはあくまでも、聖霊型召喚獣を呼ぶための捧げもの。
 自分が使う訳ではないのなら、使用方法としては、これで問題はない。

「では、いかせてもらおう! 発動、【召喚 レベルアップ可能】レベルⅡ!」

 俺が宣言すると共に、おなじみのメッセージウインドウが現れる。


 ===== ===== =====
 【召喚 レベルアップ可能】 スキルレベルⅡを 発動します
 スキルを1つ 選択し 消費することで 聖霊型召喚獣を レベルアップ可能状態で 召喚します
 消費する スキルを 選択してください
 ===== ===== =====


 俺は迷うことなく、【青魔導を識る者】を選択する。


 ===== ===== =====
 【青魔導を識る者】が 選択されました
 該当する 聖霊型召喚獣を 検索します

 ……… ……… ………

 該当する 聖霊型召喚獣を 1件 発見しました

 該当する 聖霊型召喚獣を レベルアップ可能状態で 召喚して よろしいですか? はい/いいえ
 ===== ===== =====


 勿論、答えは"はい"である。
 なにせ、そのために【女傑】を手放して、この【青魔導を識る者】なるスキルを手に入れたんだから。


 ===== ===== =====
 召喚の 意思を 確認
 聖霊型召喚獣を レベルアップ可能状態で 召喚します
 ただし 召喚主の レベルが低いため 一部機能を 制限した状態で 召喚します
 ===== ===== =====

 
 すると、以前に雪ん子をレベルアップ可能状態にした時と同じ、あのドッとなにかが抜かれる感覚がしてくる。
 身体の奥の方から、今まで認識は出来ていなかった、なにか大切なモノが消えていくような。


 そして、目の前に現れた黒い召喚陣から、1人の美しい少女が現れる。

 現れたのは、黒い翼を背中に持つ、燃えるような赤い髪を持つ少女であった。
 着ている服は薄汚れたぼろいワンピース姿で、そのワンピース越しでも十二分に分かるほどの立派なモノをお持ちのようである。

 そこまでだと----ただのコスプレをした少女ではあるが、普通ではないことを、召喚獣じんがいであることを証明するかのように、両方の手の平にはケラケラ笑う口が1つずつ付いていた。

「はっろ、はろー! 召喚してくれて、マジさんきゅーっていう感じだよねぇ!
 私の名前は、ファイントって言うんですよね? これから末永く、シクヨロー!!」

 両方の手の平にある、ケラケラ笑う口と共に、彼女は笑いながらそう言うのであった。


 ===== ===== =====
 【《聖霊》ファイント】 レベル;Ⅰ+1 
 個体レベル;01
 装備職業;青魔導士
 攻撃力;G+1
 魔法攻撃力;A+12
 防御力;G+1
 素早さ;G+1
 賢さ;S+14

 固有スキル;【反天使】;天使から悪の道へと進んだ者。全ての聖属性の攻撃が闇属性に変換され、相手が聖属性だった場合、集中攻撃される
      ;【審偽眼】;嘘を見抜く力。相手が嘘を言っている場合、その隠している真実まで見抜く力であり、真実を見抜くスキルとも言える
      ;【???】;《対象のレベルが足りないため、スキルが使用できません》
      ;【???】;《対象のレベルが足りないため、スキルが使用できません》

 後天スキル;【青魔導をる者】;青魔法が使えるようになるスキル。複数の学習ラーニングしたスキルを組み合わせ、別の魔法効果と複合して新しい魔法を生み出すことが出来るようになる


 【ファイント】 レベル;Ⅰ(本来のレベルより低い状態で召喚されております)
 "敵"を意味するクラスの者で、真名は不明。攻撃対象への好感度が低ければ低いほど、戦闘能力が上昇する
 その者は悪を憎む立場でありながら、悪に美しさを感じていた。生まれ故郷や仲間を裏切り、自身の欲望のために行動している
 ===== ===== =====





(※1)学習ラーニング
 敵の技を盗み、自身の物とすること。主に青魔法で見られる行為
 短期間で相手の技をコピーするという意味でも用いられ、スキルがなくても才能次第で同様の行為が行えるであろう
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

処理中です...