俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第1章『俺の召喚獣だけレベルアップする/雪ん子の章』

第29話 選べよスキル

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 俺は、赤坂先輩の提案を受けて、【女傑】のスキルを見ながらどうするか思案していた。

「(要らないレアスキルと言えば、これ、だろうな)」


 ===== ===== =====
 【女傑】 女性専用スキル
 女性のみが使用できるスキル。同行者1人につき攻撃力が0.1%アップし、自分より強い敵に対してさらに攻撃力が0.1%上がる。最大3%まで上昇する
 ===== ===== =====


 このスキルは、先程の赤坂先輩の四大力に当てはめると、恐らくはオーラに当たるスキルだろう。
 仲間が1人増えるごとに攻撃力が0.1%上昇し、格上だったらさらに0.1%上がって0.2%の上昇。
 たかが0.2%とは言え、これは仲間の数を増やせば、最大3%までどんどん増えていく。

 つまりは、大勢の仲間と共に、格上と戦う際に重宝するスキル。

「(非常に便利なスキルだな、【女傑】)」

 特に俺のような、大量の召喚獣と言う同行者を出せる【召喚士】などにとっては、チートスキルである。

「(けど男の俺には使えないし、だったら聖霊型召喚獣のために良いスキルを交換してもらうべきだろう)」

 ツリーアルラウネの仙丹の時は、他人への譲渡不可と書かれていたが、スキルとなった今なら譲渡できるみたいだな。
 戦略の幅を広げるという意味でも、新しい系統のスキルがあると良いかもしれないし。
 俺はゲームとかでも、職業固定パーティーより、色々な戦術を試すために色んな職業の人と冒険するようなプレイスタイルの人間なのだ。

 俺はそう思い、赤坂先輩に【女傑】のスキルを説明して、オーラ系ではないスキルが欲しいと伝えた。
 すると彼女は、「ぴったりのスキルがあるわ」と答えてくれた。

「さっき見せたパソコン上のスキルは、あくまでも見本のような物。このような上物のスキルがあるなら、こちらもとっておきとして用意していたスキルをお出しするべきなのですね」

 赤坂先輩は立ち上がると、パソコン部の部員に声をかける。
 声をかけられた部員さんは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに鞄からファイルを取り出して渡す。
 ファイルを受け取った赤坂先輩は、俺に開いた状態で渡してくれた。

「オーラ系統のスキルはこの辺なので、それ以外だとこの辺からでしょうか? まぁ、【女傑】のスキルなら、この中のどれか1つくらいなら、どれでも交換できるでしょう」
「どれどれ……っと」

 適当に、ファイルに書かれているスキルを見ていく。


 ===== ===== =====
 【高速神言】 マナ系スキル
 高速詠唱の最上位スキル。神言とは、神が魔術を使う際に使われる言葉で、全ての魔術言語よりも数ランク上の魔術が発動できる。
 神言は本来は神でしか使えないが、このスキルはそんな神言を使えるようになるだけではなく、高速で詠唱できるようになるスキルである

 【汚染魔術】 マナ系スキル
 神聖なる魔術に対し、悪意を持って自分の物として犯した者だけが使える、悪意の魔術。神聖属性以外の全ての魔術、敵に対して特攻を持つ
 全ての攻撃が汚染されているため、この攻撃には全て瘴気ミアズマ(※1)が付与される

 【キルケーの弟子】 マナ系スキル
 女神にして魔女であるキルケーの教え子という称号のようなスキル。精霊など異界の者達を用いての魔術に対して、親和属性がつき、詠唱速度と攻撃力、攻撃範囲がアップする
 キルケーから戯れにかけられた呪いによって、身体の一部が獣になるというおまけ付き

 【半熟勇者】 スピリット系スキル
 まだ完全には成長しきっていない、勇者が持ちしスキル。全ての攻撃に魔物特攻効果を付与し、その効果を10回に1回程度、発動させる
 本来勇者は、全ての魔物を殲滅できるほどの魔物特攻効果を持っているが、覚醒が十分ではないこのスキルでは、本来の性能の1割しか発揮できていない

 【おなかすいたー】 スピリット系スキル
 常に空腹になる代わりに、攻撃が全て、相手の体力を吸収する攻撃に変わる。また、相手は知能が低下して、しばらくの間言動を幼くさせる
 飢餓のせいで死んだ子供達の無念の集合体であり、時折その記憶が夢として現れる

 【ランプの貴婦人ナイチンゲール】 プラーナ系スキル
 かの看護師ナイチンゲールの来歴から生み出されたスキル。相手を癒し、労わるスキル
 自分以外に使うべき回復のスキルであり、誤ってこのスキルを自身に使った使い手は、全員悲劇に見舞われている
 ===== ===== =====


 ぱっと見て、気になったのはこのくらいだろうか。
 と言うか、さっきの【スキル交換リスト】というファイルには、回復系統のプラーナのスキルはないという話だったのに、ちょっとだけならあるじゃないか。

「……豊富なラインナップ。これ全部が、要らないスキルなんですか?」
「要らないスキルと言うか、使えないスキルと言う事。スキルは手に入っても、オーラ系統の【剣士】である人が、スピリット系スキルやプラーナ系スキルなど使えないスキルを後生大事にするよりも、使えるオーラ系スキルと交換した方が、有意義でしょう?」

 ……まぁ、確かに。
 どれだけ強力な効果があっても、使えないスキルなんて、なんの意味も持たない屑スキルと同じだしな。

「けど! スキル交換所という点から見ると、珍しい貴重なスキルを保有、もしくは交換したという経歴がある事は、美徳! つまりは、他を出し抜けるという事になります!
 故に、どうしても【女傑】なる、レアすぎるレアスキルが欲しい訳なので、どうにか譲ってもらうべく交換を申し出た訳なのですよ!」
「スキル交換も大変なんですね……」

 そんな箔をつけるために、俺はこのパソコン室まで連れてこられたわけか。

「ギルドの知り合いの話で、冴島渉という冒険者が、いくつものダンジョンの隠し要素を見つけたという情報を知ったので、隠れたレアスキルを持っているんじゃないかと思いましたが、読み通りでしたね!」
「情報屋っていうヤツですか」

 俺も良く利用しているので、情報屋の便利さは知っているつもりだったが、まさか自分が売り飛ばされる情報になるとは思っても見なかったぜ。

「おすすめとしては、私の経験上、【召喚士】はマナ系統に分類されるので、マナ系スキルだと使えるのでお勧めですよ? まぁ、別系統でも、交換用に取っておくと言うやり方もあると思いますけどね?」
「(マナ系統ではないスキルを取っても、不審ではないということか)」

 【召喚 レベルアップ可能】のレベルⅡは、スキルを1つ消失して聖霊型召喚獣という、特殊な召喚獣を召喚するというスキルだ。
 なので、別にマナ系スキルでなくても、スピリット系でも、プラーナ系でも、問題はない。
 どうせ、消失する前提なのだから。

「さて、どのスキルにすべきだろうか?」

 今後のパーティー活動を考え、スキルファイルをペラペラと読み進めていく。

 と、1つ気になるスキルを発見したのである。
 そして俺は、そのスキルを交換してもらうように頼んだのであった。




(※1)瘴気ミアズマ
 病気を引き起こすと考えられていた、"悪い空気"。古代から19世紀までと、長い間、ある一種の病気を引き起こすと考えられていた原因の物質
 気体または霧のような物質と考えられており、使用者の敵のみを的確に重病状態へと変える、強力なる病の元である
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