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第66話 私が工房で働いていた頃の配信(1)
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それはまだ、私、錬金術師ススリアが未熟な新米錬金術師だった頃。
その頃の私は、錬金術師としての大成を夢見て、王都で職探しをしていた。
そしてその中の求人票の中で、私が一番心惹かれたのが、メガロ錬金工房である。
従業員は20人にも満たず、そのほとんどが私とほぼ同い年くらいの若手錬金術師達。
ちょっとしたミスで吹き飛んで消えてしまうほどの新興錬金工房。
しかしながら、そのメガロ錬金工房は私にとっては、めちゃくちゃ魅力的だったのだ。
『人のためになる魔道具を作ろう』、『歴史に名を残そう』というその偉大なお題目。
そしてその工房長の【ラグドゥネーム】の凄さに、私は興味があった。
『抽出』、『合金』、『付与』、『錬成』----。
私が見た錬金術師達の中でも、その4つの要素が、他の錬金術師の誰よりも優れていた。
それこそ彼女、ラグドゥネームが工房の目標として掲げていた、『歴史に名を残そう』という名目に相応しいと言えるほどの、ものすごい錬金術師としての才能を秘めた錬金術師である。
そうして私は、メガロ錬金工房に就職したのであった。
メガロ錬金工房に就職した私は、前世の記憶を頼りにして、空調設備装置や、毛髪乾燥機などの便利な家電商品を魔道具として開発して、みんなの役に立って来た。
そして他の錬金術師達もまた、『一定時間の間、他種族になれる薬』や、『使ったら戻って来る弓矢』など、素晴らしい魔道具の開発を進めていった。
私は、そんな他の錬金術師達の活躍を、内心、羨ましく思っていた。
他の錬金術師達からしてみれば、私もしっかり便利な魔道具を開発している優秀なメンバーの1人として映っていただろう。
だけれども、前世の記憶や知識を使っている私としては、どこかズルしているという、劣等感みたいなモノを抱えていたのである。
だからこそ、私は----前世の記憶だけではない所を、どうしても見せたいという欲求に駆られていた。
ちょうどその頃の話である。
ゴーレムをサポートする【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の原型を思いついたのは。
ゴーレムは、指令を出すために魔術式を組み込む脳の役割をする部分を作る必要があった。
例えば『水を汲んで、運ぶ』というそれだけの役割のゴーレムだとしても、その命令式の魔術式を書きこむためにはそれなりの大きさを、ヒトの頭とほぼ同じか、それ以上の大きさを必要とした。
もちろん、ヒトのように感情を顔や身体で表現したり、さらに複雑な命令をこなすようにするとなると、ヒトという大きさでは絶対に対処できない。
だからこそ私は、2つに分けることにした。
ヒトの代わりをさせるゴーレムの方には、敢えて脳の役割を果たす部分は作らず、配信という通信機能を受信・送信するための装置を設置。
そしてその装置を通して、ゴーレムをヒトのように動かすための集積装置、アルファを開発する事にした。
これが上手く行けば、アルファと連結するだけで、ヒトの代わりとなるゴーレムが出来る。
ほぼ一からの錬金になるため、いつも以上に時間がかかったが、なんとか1つ、完成の目途がついた私は、ラグドゥネーム工房長に1か月近くの有休を頂いた。
別に仕事扱いでも良いとは言ってくれたが、有休も溜まっていたし、消化しようという意味でもちょうど良かった。
私が有休をもらった理由は、アルファの設置のためであった。
私渾身の作品であるアルファはかなりの大きさになってしまったため、王都におけるスペースはなかったのだ。
さらには、物理的な防御をどうしようかという問題もあった。
なので私は、土地を購入し、その土地にアルファを隠すことにしたのである。
1か月近くの有休はその隠す土地の選定、そして実際に設置する事が目的であった。
色々と選定した結果、私が選んだのが、辺境であるイスウッド。
そこの山を調査したところ、魔力の源流ともいえる霊脈が通っていることを確認した。
この霊脈と連結することが出来れば、ほぼロードなしでのスムーズな作業、そして自然災害でも動じない確かな防御性能を発揮できることが判明したのである。
私は早速、イスウッドの辺境の土地を購入。
辺境という土地柄にそのような価値があるなんて知らない人達から、かなりの格安で譲り受けた私は、作業用の家、つまりは現在の家を建築。
そして、無事、山の中にアルファを設置したのである。
----そうして、私はベータちゃん、つまりは家事が出来る人型二足歩行ゴーレムの開発に成功したのであった。
配信技術を用いているため、たとえイスウッドという辺境の土地であろうとも、王都であってもカバーできるし、今後はゴーレムの需要、受注も確実に増える。
この【アルファ・ゴーレムサポートシステム】のメインとなる技術は、私だけのブラックボックスにしておけば、今後、メガロ錬金工房の取引は私達だけが独占できる。
全てが順調に進んでいると思っていた私は、まさかメガロ錬金工房が存続の危機になっているだなんて、その時は知る由もなかった。
その頃の私は、錬金術師としての大成を夢見て、王都で職探しをしていた。
そしてその中の求人票の中で、私が一番心惹かれたのが、メガロ錬金工房である。
従業員は20人にも満たず、そのほとんどが私とほぼ同い年くらいの若手錬金術師達。
ちょっとしたミスで吹き飛んで消えてしまうほどの新興錬金工房。
しかしながら、そのメガロ錬金工房は私にとっては、めちゃくちゃ魅力的だったのだ。
『人のためになる魔道具を作ろう』、『歴史に名を残そう』というその偉大なお題目。
そしてその工房長の【ラグドゥネーム】の凄さに、私は興味があった。
『抽出』、『合金』、『付与』、『錬成』----。
私が見た錬金術師達の中でも、その4つの要素が、他の錬金術師の誰よりも優れていた。
それこそ彼女、ラグドゥネームが工房の目標として掲げていた、『歴史に名を残そう』という名目に相応しいと言えるほどの、ものすごい錬金術師としての才能を秘めた錬金術師である。
そうして私は、メガロ錬金工房に就職したのであった。
メガロ錬金工房に就職した私は、前世の記憶を頼りにして、空調設備装置や、毛髪乾燥機などの便利な家電商品を魔道具として開発して、みんなの役に立って来た。
そして他の錬金術師達もまた、『一定時間の間、他種族になれる薬』や、『使ったら戻って来る弓矢』など、素晴らしい魔道具の開発を進めていった。
私は、そんな他の錬金術師達の活躍を、内心、羨ましく思っていた。
他の錬金術師達からしてみれば、私もしっかり便利な魔道具を開発している優秀なメンバーの1人として映っていただろう。
だけれども、前世の記憶や知識を使っている私としては、どこかズルしているという、劣等感みたいなモノを抱えていたのである。
だからこそ、私は----前世の記憶だけではない所を、どうしても見せたいという欲求に駆られていた。
ちょうどその頃の話である。
ゴーレムをサポートする【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の原型を思いついたのは。
ゴーレムは、指令を出すために魔術式を組み込む脳の役割をする部分を作る必要があった。
例えば『水を汲んで、運ぶ』というそれだけの役割のゴーレムだとしても、その命令式の魔術式を書きこむためにはそれなりの大きさを、ヒトの頭とほぼ同じか、それ以上の大きさを必要とした。
もちろん、ヒトのように感情を顔や身体で表現したり、さらに複雑な命令をこなすようにするとなると、ヒトという大きさでは絶対に対処できない。
だからこそ私は、2つに分けることにした。
ヒトの代わりをさせるゴーレムの方には、敢えて脳の役割を果たす部分は作らず、配信という通信機能を受信・送信するための装置を設置。
そしてその装置を通して、ゴーレムをヒトのように動かすための集積装置、アルファを開発する事にした。
これが上手く行けば、アルファと連結するだけで、ヒトの代わりとなるゴーレムが出来る。
ほぼ一からの錬金になるため、いつも以上に時間がかかったが、なんとか1つ、完成の目途がついた私は、ラグドゥネーム工房長に1か月近くの有休を頂いた。
別に仕事扱いでも良いとは言ってくれたが、有休も溜まっていたし、消化しようという意味でもちょうど良かった。
私が有休をもらった理由は、アルファの設置のためであった。
私渾身の作品であるアルファはかなりの大きさになってしまったため、王都におけるスペースはなかったのだ。
さらには、物理的な防御をどうしようかという問題もあった。
なので私は、土地を購入し、その土地にアルファを隠すことにしたのである。
1か月近くの有休はその隠す土地の選定、そして実際に設置する事が目的であった。
色々と選定した結果、私が選んだのが、辺境であるイスウッド。
そこの山を調査したところ、魔力の源流ともいえる霊脈が通っていることを確認した。
この霊脈と連結することが出来れば、ほぼロードなしでのスムーズな作業、そして自然災害でも動じない確かな防御性能を発揮できることが判明したのである。
私は早速、イスウッドの辺境の土地を購入。
辺境という土地柄にそのような価値があるなんて知らない人達から、かなりの格安で譲り受けた私は、作業用の家、つまりは現在の家を建築。
そして、無事、山の中にアルファを設置したのである。
----そうして、私はベータちゃん、つまりは家事が出来る人型二足歩行ゴーレムの開発に成功したのであった。
配信技術を用いているため、たとえイスウッドという辺境の土地であろうとも、王都であってもカバーできるし、今後はゴーレムの需要、受注も確実に増える。
この【アルファ・ゴーレムサポートシステム】のメインとなる技術は、私だけのブラックボックスにしておけば、今後、メガロ錬金工房の取引は私達だけが独占できる。
全てが順調に進んでいると思っていた私は、まさかメガロ錬金工房が存続の危機になっているだなんて、その時は知る由もなかった。
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