配信スローライフをしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです

摂政

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第7話 リスナーのための、ベータちゃん絡み大作戦配信

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 ----最近、コメント欄がうるさい。

 なんというか、来るコメントの8割以上が、私とベータちゃんとの絡みを求めているらしい。
 元々、それが理由で、来た新規さんがめちゃくちゃいるからね。


「という訳で、今日の配信は、ベータちゃんと思いっきりイチャついて行きたいと思います」

(※)『ざわっ!!』『ざわっ!!』『ざわっ!!』『ざわっ!!』『これは、伝説の配信になりそうだぜ(キラッ』『ざわっ!!』『ざわっ!!』『遂に来たッ!!』『ざわっ!!』『ざわっ!!』

 おっ、コメントがめちゃくちゃザワついているね。
 それを予め意識しての配信なんだから、この結果は想定内なんだけど。

 いくら私が配信を趣味でやっているとは言えども、あくまでも私にとって配信はやっていて楽しいモノでないといけない。
 そのためには、ベータちゃんとの百合営業(らしき)配信もしなくちゃいけないなと思い、私はこの配信を始めた訳である。

「では、ベータちゃん! 私に思いっきり絡みなさいっ!」

(※)『指示が雑っww』『絡めww』『おいおい、我らのベータちゃんが困惑してるぜ』『ゴーレムちゃんの曇らせ顔からしか取れない栄養もあると思うのです』『ゴーレムは指示をちゃんとしないとフリーズするからなぁ』『あぁ、うちの祖母ちゃん所もそうだわ』

 私の「絡みなさいっ」という指示にどうして良いか困惑するベータちゃんと、それを見て嬉しがる視聴者リスナーたち。
 
「ごめんね、ベータちゃん。もっとちゃんとした指示を出さないと、分からないよね」

 そうだよね、『指と指を絡めて』とか、『おでこを合わせて熱を測って』とかの、分かりやすいポーズを指摘すれば良かったよね。
 
「いえ、マスター? 私はそれ以上に、今回の配信で分からないことがあります」
「えっ? 今回の、ベータちゃんと絡もう配信が?」

 企画を話した時は、了承してくれていたし、問題ないと思っていたんだけど?


「----私、マスターのことを信頼していますが、あのくらいの絡みはゴーレムと主人の間柄なら当然だと思います」


「……んー?」

(※)『んな訳あるかww』『それだったら、うちのゴーレムも俺に抱き着いてるよ』『すまんな、俺との関係を信じたばかりに』『←衛兵さん、うそつきはここですよ~』『この配信が特別である意味が崩れる~ww』『大丈夫? 言わされてない?』

 コメントに驚いているベータちゃんだが、こればっかりは私もコメントの皆に同意する。

 ゴーレムは、前世で言う所のロボットのようなモノ。
 それも、ただプログラミングした通りに動くだけの簡易的なモノであり、私のベータちゃんのように『話せるゴーレム』というだけでも貴重なのだ。
 ましてや、他の魔道具に嫉妬して押し倒すプチ嫉妬行為をするだなんて、余計に……。
 
「ベータちゃん、私達の関係は特別なんだよ」
「特別、ですか……」

(※)『おいおいおい』『今、ベータちゃんの顔、恋する乙女だったわ』『おいおいおいおい』『うちの妹が彼氏を見つけた時と一緒!!』『恋する乙女ゴーレム』『伝説だ! 恋愛ゴーレム伝説だ!』

「……まぁ、ベータちゃんが分からないなら、仕方ないよね。
 それじゃあ、次の配信の企画の時用のネタに作っておいた、この魔導圧力鍋を----」
「えいっ」
「あぁっ!? 魔導圧力鍋ちゃんがぁ~!!」

(※)『無表情で潰したぞ、このゴーレム』『やっぱ嫉妬してるのはデフォなんだよなぁ』『たぎってきましたぁ~!!』『圧力鍋……実に興味深い』『良いねぇ、やっぱベータちゃんはこうでないと』

 うぅ……せっかく、前世の知識を利用して、圧力鍋を再現したのに……。
 今までの半分くらいの時間で煮込みなどが終わる素晴らしい魔道具として、注目されたかったのになぁ……。

「マスター、安心してください。たとえ何時間かかろうと、私が煮込みます」
「うん、ありがとね」

 でも、それはそれとして、魔導圧力鍋はまた作るよ。
 今回は試作品、次の第二号機は改良してさらに良いモノへと、ブラッシュアップするつもりだから。

「(でも、本当にどうしよう)」

 魔道具の紹介は、さっきみたいにベータちゃんに潰されるリスクがあり。
 なおかつ、視聴者リスナーのためにも、ベータちゃんありきの配信をしなくてはならんし。

「こうなったら、仕方ないよね……」

 あんまり自信はない分野だけど、視聴者リスナーが求めているのはあくまでもベータちゃんとの絡みっ!!
 出来に関しては、それほど意識はしてないはずっ!!

視聴者リスナーの皆さん、では気を取り直しまして!
 今回はベータちゃんの新しい衣装、『メイド服』のお披露目配信にしたいと思います!!」

(※)『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『なにそれ、しらん』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』『メイド服?!』

 さぁ、今から錬金術を使って、この世界にはまだ存在していない衣服文化----メイド服を、作って行こうと思いますよ!
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