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10.素敵(?)な愛の巣
しおりを挟むアランはミシェルをお姫様抱っこしたまま、全く重さを感じられない優雅な足取りで宮殿内のある一角に位置する特別なエリアへと案内した。
『ミシェル、ここからが私たちが居住するエリアだよ。君に安全に過ごしてもらえるように、急いで整備したんだ。気に入ってくれるといいが。』
そのエリアに入るための重厚な扉があり、この世界に鉄があるかは定かでないが、何かの金属でできているようでとても分厚く強固に見える。
アラン様が手をかざすと、自動ドアのようにすっと扉が開いた。
魔法すごい!
『ここに入れる人間も、私が魔法で許可を付与したものしか入れないようにしているよ。』
「そんなことができるんですね・・・!オートロックなんかより断然すごい・・・」
エリアに入ると、通常の宮殿の厳粛な雰囲気とは異なり、柔らかな光が広がる穏やかな空間が広がっていた。
高い天井と繊細なシャンデリアが吊り下げられ、暖色の照明がエレガントな雰囲気を演出していた。床には花々の模様が織り込まれた美しい絨毯が敷かれていいる。
窓辺には重厚なカーテンが優雅に揺れ、外から差し込む自然光が室内を明るく照らしていた。
しかし、よく見ると部屋の窓にはすべて白く美しいが隔離感を与えるような格子が施されている。
「すごく素敵です!!!とても嬉しいです。ですが窓は格子ですか?」
『窓には光は通り抜けるが外部からの視線を遮る魔法をかけているんだ。誰も窓から室内を見ることができない。外部からの攻撃はすべて弾くが、中からはもろいから、念のため格子をしているんだよ。』
す・・・すごい高度な魔法と技術が使われている気がする・・・・・もしかして私を邪魔に思う人たちに狙われる可能性が高いとか・・・?絶対そうだ・・・さっそく私がいるだけで手間をかけさせている気がする・・・。
「私のためにいろいろ気を配っていただいてすいません・・・」しゅん・・・
『謝ることなんて何もないよ。君を何者からも守ると誓うよ。まあ、私のためが大きいからね・・・』
う~・・・何を言っても愛情で返してくれるアラン様・・・恥ずかしい////けどうれしい・・・・ 私も素直にその気持ちに答えたい。
私はアラン様の背に手を回し、ぎゅっとした。
「えっと・・・とっても嬉しいです。私もその気持ちに答えられるように・・・あなたの横に立てる私になりたいです!」
あ。アラン様のいい匂いが強くなった。くんくん。
『はあ・・・・こんなかわいい女神は罪だね・・・心配だからずっとこの手に閉じ込めておかないとね。』
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(宮殿執事長ブルート視点)
殿下が番を見つけられたと聞いた時は、心よりうれしかったが、相手が悪名名高い令嬢を妻に迎えると聞いて、愕然とした。
とはいえ、番の存在は絶対的と聞く。この帝国に、そして殿下に何か悪影響が出ないように私もフォローせねば。
ミシェル様とともに宮殿に起こしになるということと共に、宮殿の一角の改築を全精力をかけて行うよう連絡があった。
帝国中の職人を駆使して、あり得ないスケジュールで作業を進めた。
魔法付与による防御は殿下にしていただくしかないが、物理的な措置もかなり必要となる。
重工な扉に、窓の措置・・・指示内容を進める中で、これはとても美しい牢獄では?と思えてくる。
外からは見えない、受け入れない だけではない、この空間に閉じ込めるという意思を感じる。
もしや・・・ミシェル様は番とは言え、悪女である。彼女の素行を抑えるため被害を最小限にするための陛下の措置かもしれない。さすがでございます・・・・・
何とか急ピッチで進め、到着の日を迎えた。
そこで・・・ミシェル様の全くイメージと違う姿行に驚くのと同時に目を疑う別人の殿下・・・
この溺愛ぶりを見ると・・・殿下・・・この改築はただ殿下の過度な執着からくる囲い込み・・甘い牢獄に思えてならない。
ああ・・・めまいが・・・・・・
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