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episode1
ようこそラストプランへ
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「ちょっと!
約束した時間より3分もオーバーしてるんだけど?」
そう言った彼女はごめんと苦笑いしながら小走りする僕の頭に軽く拳をあてた
彼女はロジェ・ルフォン
小さい頃からの幼なじみで、家は隣同士
「何時のバスに乗るんだっけ、えーと」
「あと2分後のバスよ!
ほんっと予定時刻より早くバスが着いたら
どうするつもりだったのかしら」
「あははは……」
ロジェはリュックとキャリーケースの他に
もうひとつ大きめのカバンを肩から下げている
持とうか?と声を掛けたが
バスに入れば置くからいいと言われた
後ろに建っている並んだ2つの建物を振り返った
「ここともしばらくお別れだね」
「長期休暇に入ったらまた帰って来るけど
確かに、ちょっと寂しくなるわね」
「でも楽しみだな、"ラストプラン"」
「遊びに行く訳じゃないのよ」
「それは分かってるよ、
でも新しい生活が始まるんだなって思うと
ワクワクするものでしょ?」
「ほんとお気楽ね
……あ、バス」
他愛もない話をしている僕とロジェの前に
少し大きい黒を基調としたバスが止まった
「わあ、見てロジェ!
このバス2層構造だよ、僕2階がいい!」
「2層バスくらいではしゃいでどうするのよ…
っ分かったから手を引っ張らない!」
目を輝かせて手を引く僕に
呆れた顔をしながらもロジェは着いてきた
__今日から始まるのだ
__ずっと背中を追い続けた父さんの様に
__立派な本部の一員としての生活が
__________________________
「わあ、凄い大きい建物
ほらロジェも窓の外見てみなよ!」
「いちいち反応が大袈裟なのよ
当たり前でしょ、この世界で起こる魔法犯罪を
全て取り纏める大元の本部なんだから」
外に見えるのはとても大きくて、
一目見るだけで分かるような立派な造りの建物
目を輝かせてその壮大な光景を見ていると
バスは次第に減速していき、
やがて入口の大きな門の前に止まった
到着のアナウンスが入り、バスのドアが開く
「ほら、さっさと荷物持ちなさい
置いてかれるわよ」
「ちょ、ちょっと待ってよロジェ」
慌ててドアへ向かうロジェの背中を追いかける
門の前に立つと既に人だかりが出来ていた
案内の人かな?
僕らと同じ他の着任生に何かを手渡している
そして僕達の前に立つと優しく聞いてきた
「君たちもここの着任生だよね
名前を教えてくれるかな?」
「あ、はい!
ロジェ・ルフォンと」
「ベリー・ウィルソーです!」
「ご丁寧にどうもありがとうね~
……うん、確認が取れた
じゃあこれ迷うといけないから
ここの案内が書いてあるパンフレットと、それから部屋番号ね」
物腰柔らかそうな、片目が髪で隠れている人が
僕たちにそう言ってパンフレットを差し出した
頭を下げてお礼をするとがんばってね~
と、軽く手を振ってくれる
とてもいい人そうだった
「僕の部屋は……えーと512号室?」
「わたしは607号室よ
また後で、着任式で会いましょ」
「そうだね、一旦お別れ」
「じゃ、先いくわね
迷わないようにしなさいよ?
ただでさえベリーは危なっかしいんだから」
「うん、気をつける!
また後でねロジェ」
ロジェと宿舎の前で別れた
早速パンフレットを確認すると、どうやら5階らしい
頭の数字が5だからかな?
じゃあロジェは6階?
そんなことを考えながら、
エレベーターの上がりボタンを押した
__________________________
「ここかな?
失礼しまーす」
「あ、やあ」
「うわ!?君だれ?」
宿舎の1部屋とは思えない大きさの間取りにびっくりする暇もなく、
声を掛けてきた男の人を見た
その人は僕の反応に面白おかしそうに笑いながら言った
泣きぼくろが特徴の背の高い人だ
「俺はメルク
メルク・エントラっていうんだ
今日から君と同じ部屋、よろしくね」
「そうなんだぁ、びっくりした
僕はベリー・ウィルソー
こちらこそよろしくね!」
軽く握手を交わした後
改めて部屋を見渡すと
個人用のタンスやベッド、テーブルやチェアなど
必要な家具が最初から用意されていて
ほんとにいい設備、だけど……
「……凄いお金掛かってそうだなぁ」
「っふふ、
俺も部屋入った時ベリーと全く同じこと考えたよ」
「やっぱりそうだよね!?
シンプルだけど見るからに新品で高そうだもんね!」
__________________________
__…10時より集会場にて着任式を行います
__…移動していない着任生は、移動を開始して下さい
「あ、もう少しで着任式始まる時間みたい」
「場所は集会場か
ベリー、そろそろ行こう」
「うん!」
__________________________
集会場につくと、
門の前の時と同じように人だかりができている
壁には着任式の席順が書かれている紙が貼られているようだ
人だかりが少なくなった頃合に紙を見ると
メルクは僕の隣だった
指定された席に近づいていくと、隣の席に見覚えのある姿が見える
「あれ?ロジェも僕の隣だったんだね!」
「そうみたいね……あら?その人は?」
「俺かな?
メルク・エントラって言うんだ
よろしくね
んーと、ロジェさん?」
「あ、自己紹介が送れてごめんなさいね
ロジェ・ルフォンよ
ベリーの幼なじみなの」
そう言って2人も軽く握手をした
ロジェは私も紹介したい子が居たんだけど…と呟いたが
結局続きは自由時間の時に紹介しようという話になった
__________________________
集会場前のステージになっている場所には
予め用意されていた5つの席がある
そこへステージ裏から5人の人達が現れ、それぞれの席に座った
「魔法犯罪特別対策本部着任式を行います」
麦わら帽子を被っている人
眼鏡をかけている背の高い人
腰にベルトを巻いている真面目そうな人
片目が髪で隠れている人
そしてマリン帽をかぶった背の低い人
片目が髪で隠れている人は、
バスが到着した時にパンフレットを渡してくれた人だった
もしかしてお偉いさんなのかな?
ただ1番気になったのは、
真ん中の椅子に座るマリン帽が特徴の人だった
他の4人と比べ圧倒的に背が低く、子供に見える
「魔法犯罪特別対策総本部長のお言葉」
という声と共にすっと立ち上がった人を見て
僕は少なからず目を見開いた
さっきの背が低い人だったのだ
これには式場も少しどよめいた空気が流れる
小さな歩幅でステージ上のマイクの前に立った
「__ようこそ、魔法犯罪特別対策本部へ
魔法犯罪特別対策総本部長、最高責任者として
君たち913期生の着任を歓迎する
……レイン・ティアー」
決して長くない台詞の筈なのに
着任生に与えた影響は他の4人の人達と比べ
凄まじいものだった
レインと名乗ったその人は、一礼して席に戻った
__________________________
「ふう、着任式終わった」
「ずっと座ってたからちょっと疲れたね」
そう言ってメルクと話していると、
ロジェが小さく呟いた
「……なんなのかしら」
「ロジェ?」
「あんないかにも弱そうな子供が本部長なんて、
ここも大概ね」
「ちょっロジェ……!言い方が」
「実際そうじゃない
私はね、努力もしないで上に立ってる人が嫌いなのよ
子供が本部長なんて普通有り得ないわ
コネでも使ったんでしょ?きっとそうよ!」
ロジェは頭が良い、でもそれは才能じゃなくて努力の賜物
だからこそプライド的に許せなかったのかもしれない
でもそんな言い方は……
「あの人のことちゃんと知らないのに、
そんなこと言っちゃ駄目だよ!」
「……っ」
「あっロジェ!」
ロジェはムッとした表情になり、
そのまま集会場から走り去って行った
メルクが何か言っていたけど、今はそれよりも
慌ててロジェの後を追いかることに必死だった
「ベリー!
今はパンフレットがないから迷っちゃう……って」
__________________________
「ロジェ!どこ!?」
慌てて集会場の外に出たはいいものの、
ロジェはどこにも見当たらない
辺りを走り回っていると、
奥の通路で息を切らしているロジェの姿を見つけた
「ロジェ!」
「!」
僕の声に気づいたロジェは焦った顔をしてまた駆け出した
僕も負けじと声をかけながら追いかける
通路の角を曲がった彼女を見て僕も通路の角を曲がった
でもそこには誰も居なかった
「っどこ、いったの……?」
魔法で姿を隠してしまったのか
追い詰めるような事をして悪かったと反省しつつ
一刻も早くロジェを見つけないと、
そう思って僕はまた走りだした
「……行ったかしら」
物陰に隠れていたロジェの姿には気づかなかった
「……っ私は、
あんなに努力したのに……!」
__________________________
どれくらい走ったのか
息は切れ、額にはじっとり汗が滲んだ
外を見ると既に日が落ちそうになっている
早く、早く探さないと
「本当に、どこ、行ったんだろ……っわ!?」
「__だいじょうぶ?」
角を曲がった時ちょうど同じ角を曲がろうとしていた人に
ぶつかって、僕は尻もちをついてしまった
慌ててごめんなさいと謝ろうと顔を上げる僕の前に
すっと小さな黒革手袋をはめた手が差し出された
そこには……
「ここは913期生のフロアじゃないけど、
どうしたのウィルソー」
「っれ、レイン、本部長さん……!?」
「?」
マリン帽をかぶった背の低い人……
魔法犯罪特別対策総本部長、最高責任者の
レイン・ティアーさんがそこに立っていた
__________________________
「ふぅん」
「ご、ごめんなさいこんな話……
本人の前でするなんて」
「ううん、助かる」
「えっ……」
「言ってくれた方がわかりやすくていい」
今まであった事を洗いざらい話すと
考えるような仕草をするレイン本部長
表情こそ変わらないが、なんとなく様子で
しっかり考えてくれているんだなと感じた
「毎年、着任したばかりの人たちにはよく言われるから
何考えてるかわからない、冷たそうとか
だからがんばってるんだけど
みんな結局、直さなくていいって言う」
「……っふふ」
……なんとなく
この人が反発をくらわない理由がわかった気がした
話してみれば、ちょっと幼さの残る子供の様で
妹ができたような、そんな感じだ
__________________________
「まだ帰ってきてないの!?」
「うん……
あの時しっかり止めておけばよかった、
ごめんねロジェさん」
「私が悪いから別にいいの」
「……聞いてもいいかな?
なんであんなこと言ったのか」
「……」
「ごめん、やっぱり」
「いえ、言うわ」
__________________________
「レイン本部長は、
どうして本部長になったんですか?」
「?」
「えっと、どういう経緯で
本部長をやることになったのかなって」
「……前任の本部長に推薦されたから」
「そうなんですか!
前任の本部長ってどんな人だったんですか?」
「……いい人だった、よ
みんなから頼りにされてる人
わたしもあの人に恩があるから、本部長をやってる」
やっぱり無言のままは怖くて聞いてみたけど
前の本部長はどんな人何だろう、気になる
聞いてる限り凄くいい人みたいだけど
ちょっと会ってみたいなぁ
「ついた、ここの宿舎の512号室」
「ありがとうございました!
広くてまだ迷うので、
これからはちゃんと地図持っていきますね」
「うん、あと」
「はい?」
「レインでいい
本部長って呼ばれるのあんまり慣れない」
「えっ!?」
「わたしもベリーって呼ぶ」
「……はい、レインさん!」
返事をすると、レインさんのずっと今まで変わらなかった表情が緩み
軽くだけど笑った顔が見えた
思わず手を振ると、
戸惑った様子だったレインさんも
少し手を振り返してくれた
__________________________
私達がまだ子供の頃、近所の商店街のお祭りがあったの
その日、近くの地域で
1人の指名手配犯が逃走中だったから
親は行くなって言ってたんだけど
親の言いつけを破って、ベリーを連れてお祭りに行った
「ロジェちゃん、危ないよ
今からでもひきかえさない?」
「だいじょうぶよ!
商店街なんてすぐそこじゃない」
それが間違いだった
お祭りの灯りが近くに見えてきた頃
後ろから突然声をかけられて、
そのまま2人揃ってその魔法使いに拉致されたの
「ぼくらどうなっちゃうのかな」
「ごめんなさい、ベリー
わたしがいいつけまもらなかったから!」
「いいよ、泣かないでよロジェちゃん」
いつの間にか暗い何処かの廃屋に2人きりで
怖くて、自分をあそこまで愚かしいと思ったことはないわ
ベリーに泣きながら謝っていた時、
ラストプランが救助要請を受けて
私達を探しに来たの
「魔法犯罪特別対策本部だよ~
……君たちか、大丈夫?
どこか怪我はしてない?」
「してないです!」
「おにいさん、ラストプランのひと?」
「ん?知ってるの?そうだよ~
もう安心していいからね、
……あ、リーダー?うん、今保護した
りょーかい、任せて」
「……かっこいい」
「すごい!」
「あはは、照れる
君たちも大人になったらおいでよ、ラストプラン」
「いいの?」
「もちろん!
でも、ちょーっとお勉強頑張らないといけないけどね?」
「やる!」
「がんばる!」
「うん、おにーさんも応援してるよ
君たちがラストプランに入ってくれる時を
楽しみに待ってるから」
その日から、
私達は二人三脚でずっと
ラストプランに入るために勉強してきた
何よりも、もう私の愚かな考えで
ベリーを危険な目に合わせる訳にはいかないから
「……そんな中で、私よりも若いのに
既に私よりもずっと高い場所に居る
あの人が気に食わなかった、
こんなの……ただの嫉妬だわ……」
「そっか……」
「えっ……ベリー!?いつから居たのよ!?」
「え、さっきから居たよ
メルクも気づいてたでしょ?」
「まあね」
「ちょっ……な、何なのよ2人して!?
趣味が悪いわよ!」
「はははっ」
しばらくぷりぷりと怒っていたけど、
段々またさっきの様にしおらしくなってしまったロジェ
静かに口を開いた
「……改めて、ごめんなさい
カッとなって
ベリーにも迷惑かけたし
あの人に対しても、凄く酷いこと言った」
「ふは、別にいいよ
僕もレインさんも気にしてないし!」
「?何その言い方
まるでさっきまであの人と会ってたような……」
「あ」
「……」
「何でもないよ!」
「ちょ、何よそれ!?気になるじゃない、教えなさい!」
「いーやーだー!」
「教えないとベリーの筆記用具1本貰うわよ!?」
「何その絶妙に嫌な嫌がらせ!」
「はは、仲良いねぇ君たち」
__…コンコン
「ん?」
控えめに扉がノックされた
も、もしかしなくてもうるさかったからクレームかな……!?
慌ててドアを開けた
「ごめんなさい!うるさかったですよね!?」
「うひゃあ!?」
「うわぁあ!?」
「何よそんなに騒いで……って!
リーン!?どうして?」
「あ……、ロジェちゃん!
あの、あまりにも帰ってくるのが遅いから
何かあったら困るかもって思って……!」
「ロジェさんの知り合い?
あ、着任式の時に紹介しようと思ってた子って……」
「すっかり忘れてたわ!
リーン、私の知り合いなんだけど
自己紹介できる?」
「あ、うん!
リーン・メイラスです
ロジェちゃんと部屋が同じで、
本部医療班所属、です
よ、よろしくね……!」
そう言って丁寧に頭を下げた
髪の長い眼鏡をかけた女の子
ロジェと同じ部屋になった子らしい
物静かな雰囲気の子だけど、優しそうに見える
僕も続けて言った
「ロジェの幼なじみのベリー・ウィルソーです
よろしくね、リーンちゃん!」
「ベリーと同じ部屋のメルク・エントラっていうんだ
あ、あと本部設備班所属ね、
よろしく、リーンさん」
「は、はい!よろしくお願いします!
ベリーさんに、メルクさん」
そう言ってもう一度頭を下げたリーンちゃん
真面目な子だなと思いながら笑いかける
ロジェがリーンちゃんの手を握って口を開いた
「リーンのことも紹介できたし
私達はそろそろ帰るわ
夜更かししないで早く寝なさいよ!」
「分かってるよ~、お母さんみたいだねロジェ」
「誰がよ!」
「すぐそこだとは思うけど
気をつけて帰ってね」
「ええ」
「ありがとうございました!」
手を振って2人にお見送りをした
初日だけど、本当にに色んなことがあった
明日も楽しい日になるといいな
そう思いながら部屋のドアを閉めた
_____________________________
おまけストーリー
「ん?レインちゃん!
今日の演説よかったぞお~~お姉さん感動した!」
「演説って言うほどでもない気がするが……」
「でもがんばってたね、よかったよ~」
「よかった」
「お前たち集まって何やってるの?」
「リスターくんじゃん!」
「おおーリスター!
今日は着任式の後ずっと部屋引きこもってたのに出てきたのか~」
「語弊だぞ直せなんだ引きこもってたって
仕事が忙しくて外出れてないのになんつー言い方?」
「あ、忘れてた」
「ん?」
「これ、疲れてるかと思って」
「は、
これは今やってる資料作成終わったら
やろうとしてたダルいやつ……!」
「うん」
「ああ~~救われた俺は自由!
レイン本当にすまない、ありがとう」
「うん」
「どうしてレインはこんな素直なのに
うちの可愛い妹と言ったらあんなに生意気なのか
いやそれでも可愛いんだけど
よしレインお前もうちに来ないか?」
「それはむり」
「ぐはっ……」
「っっぶわっはっはっは!!
リスター秒で振られてんの面白すぎるw」
「レインちゃんっ、最高っw」
「?」
約束した時間より3分もオーバーしてるんだけど?」
そう言った彼女はごめんと苦笑いしながら小走りする僕の頭に軽く拳をあてた
彼女はロジェ・ルフォン
小さい頃からの幼なじみで、家は隣同士
「何時のバスに乗るんだっけ、えーと」
「あと2分後のバスよ!
ほんっと予定時刻より早くバスが着いたら
どうするつもりだったのかしら」
「あははは……」
ロジェはリュックとキャリーケースの他に
もうひとつ大きめのカバンを肩から下げている
持とうか?と声を掛けたが
バスに入れば置くからいいと言われた
後ろに建っている並んだ2つの建物を振り返った
「ここともしばらくお別れだね」
「長期休暇に入ったらまた帰って来るけど
確かに、ちょっと寂しくなるわね」
「でも楽しみだな、"ラストプラン"」
「遊びに行く訳じゃないのよ」
「それは分かってるよ、
でも新しい生活が始まるんだなって思うと
ワクワクするものでしょ?」
「ほんとお気楽ね
……あ、バス」
他愛もない話をしている僕とロジェの前に
少し大きい黒を基調としたバスが止まった
「わあ、見てロジェ!
このバス2層構造だよ、僕2階がいい!」
「2層バスくらいではしゃいでどうするのよ…
っ分かったから手を引っ張らない!」
目を輝かせて手を引く僕に
呆れた顔をしながらもロジェは着いてきた
__今日から始まるのだ
__ずっと背中を追い続けた父さんの様に
__立派な本部の一員としての生活が
__________________________
「わあ、凄い大きい建物
ほらロジェも窓の外見てみなよ!」
「いちいち反応が大袈裟なのよ
当たり前でしょ、この世界で起こる魔法犯罪を
全て取り纏める大元の本部なんだから」
外に見えるのはとても大きくて、
一目見るだけで分かるような立派な造りの建物
目を輝かせてその壮大な光景を見ていると
バスは次第に減速していき、
やがて入口の大きな門の前に止まった
到着のアナウンスが入り、バスのドアが開く
「ほら、さっさと荷物持ちなさい
置いてかれるわよ」
「ちょ、ちょっと待ってよロジェ」
慌ててドアへ向かうロジェの背中を追いかける
門の前に立つと既に人だかりが出来ていた
案内の人かな?
僕らと同じ他の着任生に何かを手渡している
そして僕達の前に立つと優しく聞いてきた
「君たちもここの着任生だよね
名前を教えてくれるかな?」
「あ、はい!
ロジェ・ルフォンと」
「ベリー・ウィルソーです!」
「ご丁寧にどうもありがとうね~
……うん、確認が取れた
じゃあこれ迷うといけないから
ここの案内が書いてあるパンフレットと、それから部屋番号ね」
物腰柔らかそうな、片目が髪で隠れている人が
僕たちにそう言ってパンフレットを差し出した
頭を下げてお礼をするとがんばってね~
と、軽く手を振ってくれる
とてもいい人そうだった
「僕の部屋は……えーと512号室?」
「わたしは607号室よ
また後で、着任式で会いましょ」
「そうだね、一旦お別れ」
「じゃ、先いくわね
迷わないようにしなさいよ?
ただでさえベリーは危なっかしいんだから」
「うん、気をつける!
また後でねロジェ」
ロジェと宿舎の前で別れた
早速パンフレットを確認すると、どうやら5階らしい
頭の数字が5だからかな?
じゃあロジェは6階?
そんなことを考えながら、
エレベーターの上がりボタンを押した
__________________________
「ここかな?
失礼しまーす」
「あ、やあ」
「うわ!?君だれ?」
宿舎の1部屋とは思えない大きさの間取りにびっくりする暇もなく、
声を掛けてきた男の人を見た
その人は僕の反応に面白おかしそうに笑いながら言った
泣きぼくろが特徴の背の高い人だ
「俺はメルク
メルク・エントラっていうんだ
今日から君と同じ部屋、よろしくね」
「そうなんだぁ、びっくりした
僕はベリー・ウィルソー
こちらこそよろしくね!」
軽く握手を交わした後
改めて部屋を見渡すと
個人用のタンスやベッド、テーブルやチェアなど
必要な家具が最初から用意されていて
ほんとにいい設備、だけど……
「……凄いお金掛かってそうだなぁ」
「っふふ、
俺も部屋入った時ベリーと全く同じこと考えたよ」
「やっぱりそうだよね!?
シンプルだけど見るからに新品で高そうだもんね!」
__________________________
__…10時より集会場にて着任式を行います
__…移動していない着任生は、移動を開始して下さい
「あ、もう少しで着任式始まる時間みたい」
「場所は集会場か
ベリー、そろそろ行こう」
「うん!」
__________________________
集会場につくと、
門の前の時と同じように人だかりができている
壁には着任式の席順が書かれている紙が貼られているようだ
人だかりが少なくなった頃合に紙を見ると
メルクは僕の隣だった
指定された席に近づいていくと、隣の席に見覚えのある姿が見える
「あれ?ロジェも僕の隣だったんだね!」
「そうみたいね……あら?その人は?」
「俺かな?
メルク・エントラって言うんだ
よろしくね
んーと、ロジェさん?」
「あ、自己紹介が送れてごめんなさいね
ロジェ・ルフォンよ
ベリーの幼なじみなの」
そう言って2人も軽く握手をした
ロジェは私も紹介したい子が居たんだけど…と呟いたが
結局続きは自由時間の時に紹介しようという話になった
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集会場前のステージになっている場所には
予め用意されていた5つの席がある
そこへステージ裏から5人の人達が現れ、それぞれの席に座った
「魔法犯罪特別対策本部着任式を行います」
麦わら帽子を被っている人
眼鏡をかけている背の高い人
腰にベルトを巻いている真面目そうな人
片目が髪で隠れている人
そしてマリン帽をかぶった背の低い人
片目が髪で隠れている人は、
バスが到着した時にパンフレットを渡してくれた人だった
もしかしてお偉いさんなのかな?
ただ1番気になったのは、
真ん中の椅子に座るマリン帽が特徴の人だった
他の4人と比べ圧倒的に背が低く、子供に見える
「魔法犯罪特別対策総本部長のお言葉」
という声と共にすっと立ち上がった人を見て
僕は少なからず目を見開いた
さっきの背が低い人だったのだ
これには式場も少しどよめいた空気が流れる
小さな歩幅でステージ上のマイクの前に立った
「__ようこそ、魔法犯罪特別対策本部へ
魔法犯罪特別対策総本部長、最高責任者として
君たち913期生の着任を歓迎する
……レイン・ティアー」
決して長くない台詞の筈なのに
着任生に与えた影響は他の4人の人達と比べ
凄まじいものだった
レインと名乗ったその人は、一礼して席に戻った
__________________________
「ふう、着任式終わった」
「ずっと座ってたからちょっと疲れたね」
そう言ってメルクと話していると、
ロジェが小さく呟いた
「……なんなのかしら」
「ロジェ?」
「あんないかにも弱そうな子供が本部長なんて、
ここも大概ね」
「ちょっロジェ……!言い方が」
「実際そうじゃない
私はね、努力もしないで上に立ってる人が嫌いなのよ
子供が本部長なんて普通有り得ないわ
コネでも使ったんでしょ?きっとそうよ!」
ロジェは頭が良い、でもそれは才能じゃなくて努力の賜物
だからこそプライド的に許せなかったのかもしれない
でもそんな言い方は……
「あの人のことちゃんと知らないのに、
そんなこと言っちゃ駄目だよ!」
「……っ」
「あっロジェ!」
ロジェはムッとした表情になり、
そのまま集会場から走り去って行った
メルクが何か言っていたけど、今はそれよりも
慌ててロジェの後を追いかることに必死だった
「ベリー!
今はパンフレットがないから迷っちゃう……って」
__________________________
「ロジェ!どこ!?」
慌てて集会場の外に出たはいいものの、
ロジェはどこにも見当たらない
辺りを走り回っていると、
奥の通路で息を切らしているロジェの姿を見つけた
「ロジェ!」
「!」
僕の声に気づいたロジェは焦った顔をしてまた駆け出した
僕も負けじと声をかけながら追いかける
通路の角を曲がった彼女を見て僕も通路の角を曲がった
でもそこには誰も居なかった
「っどこ、いったの……?」
魔法で姿を隠してしまったのか
追い詰めるような事をして悪かったと反省しつつ
一刻も早くロジェを見つけないと、
そう思って僕はまた走りだした
「……行ったかしら」
物陰に隠れていたロジェの姿には気づかなかった
「……っ私は、
あんなに努力したのに……!」
__________________________
どれくらい走ったのか
息は切れ、額にはじっとり汗が滲んだ
外を見ると既に日が落ちそうになっている
早く、早く探さないと
「本当に、どこ、行ったんだろ……っわ!?」
「__だいじょうぶ?」
角を曲がった時ちょうど同じ角を曲がろうとしていた人に
ぶつかって、僕は尻もちをついてしまった
慌ててごめんなさいと謝ろうと顔を上げる僕の前に
すっと小さな黒革手袋をはめた手が差し出された
そこには……
「ここは913期生のフロアじゃないけど、
どうしたのウィルソー」
「っれ、レイン、本部長さん……!?」
「?」
マリン帽をかぶった背の低い人……
魔法犯罪特別対策総本部長、最高責任者の
レイン・ティアーさんがそこに立っていた
__________________________
「ふぅん」
「ご、ごめんなさいこんな話……
本人の前でするなんて」
「ううん、助かる」
「えっ……」
「言ってくれた方がわかりやすくていい」
今まであった事を洗いざらい話すと
考えるような仕草をするレイン本部長
表情こそ変わらないが、なんとなく様子で
しっかり考えてくれているんだなと感じた
「毎年、着任したばかりの人たちにはよく言われるから
何考えてるかわからない、冷たそうとか
だからがんばってるんだけど
みんな結局、直さなくていいって言う」
「……っふふ」
……なんとなく
この人が反発をくらわない理由がわかった気がした
話してみれば、ちょっと幼さの残る子供の様で
妹ができたような、そんな感じだ
__________________________
「まだ帰ってきてないの!?」
「うん……
あの時しっかり止めておけばよかった、
ごめんねロジェさん」
「私が悪いから別にいいの」
「……聞いてもいいかな?
なんであんなこと言ったのか」
「……」
「ごめん、やっぱり」
「いえ、言うわ」
__________________________
「レイン本部長は、
どうして本部長になったんですか?」
「?」
「えっと、どういう経緯で
本部長をやることになったのかなって」
「……前任の本部長に推薦されたから」
「そうなんですか!
前任の本部長ってどんな人だったんですか?」
「……いい人だった、よ
みんなから頼りにされてる人
わたしもあの人に恩があるから、本部長をやってる」
やっぱり無言のままは怖くて聞いてみたけど
前の本部長はどんな人何だろう、気になる
聞いてる限り凄くいい人みたいだけど
ちょっと会ってみたいなぁ
「ついた、ここの宿舎の512号室」
「ありがとうございました!
広くてまだ迷うので、
これからはちゃんと地図持っていきますね」
「うん、あと」
「はい?」
「レインでいい
本部長って呼ばれるのあんまり慣れない」
「えっ!?」
「わたしもベリーって呼ぶ」
「……はい、レインさん!」
返事をすると、レインさんのずっと今まで変わらなかった表情が緩み
軽くだけど笑った顔が見えた
思わず手を振ると、
戸惑った様子だったレインさんも
少し手を振り返してくれた
__________________________
私達がまだ子供の頃、近所の商店街のお祭りがあったの
その日、近くの地域で
1人の指名手配犯が逃走中だったから
親は行くなって言ってたんだけど
親の言いつけを破って、ベリーを連れてお祭りに行った
「ロジェちゃん、危ないよ
今からでもひきかえさない?」
「だいじょうぶよ!
商店街なんてすぐそこじゃない」
それが間違いだった
お祭りの灯りが近くに見えてきた頃
後ろから突然声をかけられて、
そのまま2人揃ってその魔法使いに拉致されたの
「ぼくらどうなっちゃうのかな」
「ごめんなさい、ベリー
わたしがいいつけまもらなかったから!」
「いいよ、泣かないでよロジェちゃん」
いつの間にか暗い何処かの廃屋に2人きりで
怖くて、自分をあそこまで愚かしいと思ったことはないわ
ベリーに泣きながら謝っていた時、
ラストプランが救助要請を受けて
私達を探しに来たの
「魔法犯罪特別対策本部だよ~
……君たちか、大丈夫?
どこか怪我はしてない?」
「してないです!」
「おにいさん、ラストプランのひと?」
「ん?知ってるの?そうだよ~
もう安心していいからね、
……あ、リーダー?うん、今保護した
りょーかい、任せて」
「……かっこいい」
「すごい!」
「あはは、照れる
君たちも大人になったらおいでよ、ラストプラン」
「いいの?」
「もちろん!
でも、ちょーっとお勉強頑張らないといけないけどね?」
「やる!」
「がんばる!」
「うん、おにーさんも応援してるよ
君たちがラストプランに入ってくれる時を
楽しみに待ってるから」
その日から、
私達は二人三脚でずっと
ラストプランに入るために勉強してきた
何よりも、もう私の愚かな考えで
ベリーを危険な目に合わせる訳にはいかないから
「……そんな中で、私よりも若いのに
既に私よりもずっと高い場所に居る
あの人が気に食わなかった、
こんなの……ただの嫉妬だわ……」
「そっか……」
「えっ……ベリー!?いつから居たのよ!?」
「え、さっきから居たよ
メルクも気づいてたでしょ?」
「まあね」
「ちょっ……な、何なのよ2人して!?
趣味が悪いわよ!」
「はははっ」
しばらくぷりぷりと怒っていたけど、
段々またさっきの様にしおらしくなってしまったロジェ
静かに口を開いた
「……改めて、ごめんなさい
カッとなって
ベリーにも迷惑かけたし
あの人に対しても、凄く酷いこと言った」
「ふは、別にいいよ
僕もレインさんも気にしてないし!」
「?何その言い方
まるでさっきまであの人と会ってたような……」
「あ」
「……」
「何でもないよ!」
「ちょ、何よそれ!?気になるじゃない、教えなさい!」
「いーやーだー!」
「教えないとベリーの筆記用具1本貰うわよ!?」
「何その絶妙に嫌な嫌がらせ!」
「はは、仲良いねぇ君たち」
__…コンコン
「ん?」
控えめに扉がノックされた
も、もしかしなくてもうるさかったからクレームかな……!?
慌ててドアを開けた
「ごめんなさい!うるさかったですよね!?」
「うひゃあ!?」
「うわぁあ!?」
「何よそんなに騒いで……って!
リーン!?どうして?」
「あ……、ロジェちゃん!
あの、あまりにも帰ってくるのが遅いから
何かあったら困るかもって思って……!」
「ロジェさんの知り合い?
あ、着任式の時に紹介しようと思ってた子って……」
「すっかり忘れてたわ!
リーン、私の知り合いなんだけど
自己紹介できる?」
「あ、うん!
リーン・メイラスです
ロジェちゃんと部屋が同じで、
本部医療班所属、です
よ、よろしくね……!」
そう言って丁寧に頭を下げた
髪の長い眼鏡をかけた女の子
ロジェと同じ部屋になった子らしい
物静かな雰囲気の子だけど、優しそうに見える
僕も続けて言った
「ロジェの幼なじみのベリー・ウィルソーです
よろしくね、リーンちゃん!」
「ベリーと同じ部屋のメルク・エントラっていうんだ
あ、あと本部設備班所属ね、
よろしく、リーンさん」
「は、はい!よろしくお願いします!
ベリーさんに、メルクさん」
そう言ってもう一度頭を下げたリーンちゃん
真面目な子だなと思いながら笑いかける
ロジェがリーンちゃんの手を握って口を開いた
「リーンのことも紹介できたし
私達はそろそろ帰るわ
夜更かししないで早く寝なさいよ!」
「分かってるよ~、お母さんみたいだねロジェ」
「誰がよ!」
「すぐそこだとは思うけど
気をつけて帰ってね」
「ええ」
「ありがとうございました!」
手を振って2人にお見送りをした
初日だけど、本当にに色んなことがあった
明日も楽しい日になるといいな
そう思いながら部屋のドアを閉めた
_____________________________
おまけストーリー
「ん?レインちゃん!
今日の演説よかったぞお~~お姉さん感動した!」
「演説って言うほどでもない気がするが……」
「でもがんばってたね、よかったよ~」
「よかった」
「お前たち集まって何やってるの?」
「リスターくんじゃん!」
「おおーリスター!
今日は着任式の後ずっと部屋引きこもってたのに出てきたのか~」
「語弊だぞ直せなんだ引きこもってたって
仕事が忙しくて外出れてないのになんつー言い方?」
「あ、忘れてた」
「ん?」
「これ、疲れてるかと思って」
「は、
これは今やってる資料作成終わったら
やろうとしてたダルいやつ……!」
「うん」
「ああ~~救われた俺は自由!
レイン本当にすまない、ありがとう」
「うん」
「どうしてレインはこんな素直なのに
うちの可愛い妹と言ったらあんなに生意気なのか
いやそれでも可愛いんだけど
よしレインお前もうちに来ないか?」
「それはむり」
「ぐはっ……」
「っっぶわっはっはっは!!
リスター秒で振られてんの面白すぎるw」
「レインちゃんっ、最高っw」
「?」
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