チューベローズ

スメラギ

文字の大きさ
上 下
81 / 88
本編

78

しおりを挟む
 
 背後にいる義輝へ凭れかかるとクスリと笑った気配があった。セックスしてる時とかその後とか特に甘えたくなる。こういう・・・・時は別…的な…

 「修兵、起きてる?」
 「うーん。おきてる…」

 という俺の返事に義輝は「ふふ」っと笑った。そして、ゆっくりとした動作で俺の頭を撫でてくる。

 「寝ても良いよ」
 「うーん」

 なんだか寝るのが勿体ない気持ちになったが…義輝に身を委ねていると、目蓋が重くなり始める。
 起きていたい思いとは裏腹に段々と落ちて行く目蓋を止める事はできなかった…


 目覚めると寝室で、見渡すとベッドは寝具ごと新しくなっていた。隣には義輝がおり、目を閉じている。俺が起きた事で恐らく義輝も起きてしまうだろうという事は容易に予想できた。

 人間と違って睡眠時間が短くても身体が不調になる事はないと言ってはいるが…
 起きるのは俺より早く、寝るのは俺より遅い…人間と同じにする事は、はばかられるが…心配になる…

 再び定位置に戻った俺は『さて、どうするか…』と本格的に考え始めた頃、ギュッと抱き締められる。
 それにビックリした俺は過剰に身体が反応した。直ぐに離れていった身体はそのままベッドを降りようとしている気配があった。

 条件反射でその服を掴んでしまった。

 「修兵?どうしたの?」と聞いてくる声にどうする事もできず、返事なんてせずに居ると…知らぬ間に掴んでいる手に力が入っていた。
 義輝は逡巡した後に再び隣へ横になった。その事に少なからず安堵した俺はその逞しい身体に抱きついた。

 「今日は特に甘えてくるねぇ…」
 「やだ?」
 「ううん。嫌じゃないよ」

 そう言って俺の頭にスリスリと頬擦りをしてくる。ちょっと擽ったい。クスクス笑っていると不意に義輝が顔を離した。そして、俺をジッと見つめている。

 「………」
 「よしき?」
 「ふふ、何でもなーいよ。」

 指の腹でフニフニと俺の頬を突きながらニンマリとした笑みを浮かべていた。

 その指を払い除けると、義輝へギュッと抱きついて目を閉じると、再びウトウトしだして知らぬ間に寝ていた。

 次に目覚めると隣に居たはずの義輝が居らず、代わりに義輝の枕を抱き締めている状態で寝ていた。

 焦りにも似た不安感に襲われてガバリと起き上がった俺は周りを見渡すが…やはり、義輝の姿はない。

 ベッドから降りると覚束ない足取りで廊下へと続く扉へと向かった。
 重く感じる扉を開くと思いの外、大きめの音が出た。そして、間を置かずに義輝の自室の扉が開く。

 「起きたんだ?」そう言って俺に近づいてくると、自然な流れで俺を抱き上げた。
 
しおりを挟む
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


感想 5

あなたにおすすめの小説

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

なぜか大好きな親友に告白されました

結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。 ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...