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本編
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しおりを挟む情事中に意識が飛んだらしい…起きると腰に凄く違和感があった。
「痛ッ…」
動くと首が凄く痛い。触れると革の感触ではなく、包帯の感触があった。
ピリッとした痛みに俺の動きが著しく止まった。その時、寝室の扉が開いた。入ってきたのは上半身裸で下はスラックスを履いている義輝だった。頭にはタオルを被っており、髪の毛はしっとりと濡れている。
片手にはペットボトルを持っており俺に気づいたのか、意外そうな顔をして俺を見た。
「あれ?起きてたんだ~?」
「よしっ…ゲボゲボッ…」
義輝の名前を呼ぼうとして、思わず咳き込んだ。咳き込む俺へと近づいてくると、背中を優しく撫でられる。
「あー、よしよし。大丈夫、大丈夫。お水だよ~飲める?」
そう言ってペットボトルの蓋を開けると俺の口元へソレを近づけてきた。俺はされるがままに水を飲む。
ゴクゴクと飲んだ俺は『もう要らない』という意味を込めて義輝の手を掴んで口から離そうとする動作をした。
すると、義輝は傾けていたペットボトルを持ち直すと俺の口から離し、今度は自分がソレに口をつけて飲んだ。
水を飲む度に義輝の喉仏が上下する。その姿がなんだか無性に色っぽい。
食い入るように見つめていたのがバレたようで悪戯めいた笑みを浮かべて俺を見た。
「何?もしかして、見惚れてたの?それともー…シたくなっちゃった?」
なんて言って近寄ってくるから思わず睨んで少しでも距離を取ろうと動いた。
「ンなわけねーだろ。」
「本当に?」
お風呂上がりの色っぽい姿が目に毒である。自分の顔が赤くなるという現象を止めることができない。
距離を取ろうとした俺に構うことなく義輝はそのまま近づいてきて俺の耳朶を唇で食んできた。
鼻から抜けたような甘ったるい声が口から微かに漏れ、ピクリと反応した俺の身体に気を良くしたのか、今度は口へとキスをしてきた。
耳朶同様に唇を食んできた。ソレを数回繰り返してくる。俺はそうする事が当たり前かのように唇を薄く開いた。
義輝は『ふふ』っと笑うと間髪を入れずにスルリと舌を入れてくる。
気がつけば義輝の首に腕を回して夢中でキスをしていた。
息が上がった頃、ゆっくりと離れて行った。義輝の口の周りと俺の口の周りは2人の唾液でグッチョリと濡れていた。
酸欠でぼんやりとする頭で義輝を見ていると楽しそうに俺を見下ろしていた。
「義輝?」
呼びかける俺の声音は怪訝そうなものが出た。
「いや~。ふふ、良い傾向になってきたなって思っただけだよ。」
「良い傾向?」
「ふふ…気にしないで~」
そう言って俺の口についていた唾液を舐めとると妖しく笑った。その笑みにお腹の奥の方がズクンと疼いたような感覚があった。
薬を飲み始めてからあった違和感とは違い鮮明になっており、『鬼』の精液を受け入れる事でソレは徐々に強まっている気がした。
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