チューベローズ

スメラギ

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本編

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 ハッと目覚めると腰とお尻に鈍い痛みが走る。首もヒリヒリと痛い。
 その痛みがあの・・行為が現実だった事を知らせてくる。
 動かない身体をムリヤリ動かし周りを見渡すと、寝室のベッドの上だった。
 キレイなシーツに変わっており、行為中に見た使用済みコンドームの山も無い。

 嘘みたいに身体のベタつきもない。ダルい腕を持ち上げると肘の辺りが赤くなっており、あの拘束具の跡が薄っすらと付いていた。
 どういう顔をして義輝を見たら良いのか分からなくなった。

 俺の気持ちを知ってか知らずか、遠慮なく扉が開いた。

 「あ~、起きたんだ?身体は大丈夫?」
 「だいじょうぶにみえるか?」
 「………ま、喋れるなら大丈夫でしょ」
 「喉も痛いし、身体も痛いんだけど?」

 と恨めしげに言った俺の顔を見てニッコリと笑った義輝は「初めてセックスしたんだから当然でしょ?」なんて言って俺を抱き起こした。

 「ぁ…っ…ちょ、まって…痛い!首が痛い!」
 「ん…あぁ…ごめーんね?噛んじゃった」

 と言って俺の顔を見たコイツの態度には反省の『は』の字も浮かんではいなかった。

 「反省してないだろ」
 「反省?俺が?何で?」

 という始末である。義輝の顔を見て溜め息をついた俺は悪くないと思う。ダルい腕を上げてヒリヒリする首へと手をやると、つるつるした革のような手触りがして首を傾げた。

 「あぁ、ソレね…気になる?」
 「何コレ…包帯じゃないんだけど?」
 「保護具だよ。『鬼』の『番』が首を保護する為の道具」

 と言った義輝の言葉に素っ頓狂な声が出た。

 「まだ、オメガじゃないんだけどね。番う事に変わりはないし…問題ないでしょ」

 そう言って鏡をこちらに向けてきた。その中に写った首元には高級感が半端なく…ひと目で上質な物である事が分かるほどだった。
 白い生地に紫に光る糸で刺繍された見慣れぬ模様を指でなぞる。

 「ソレ、俺の紋章だから。覚えておいてね~」

 と言ってあろう事か、俺の口の端にキスをしてきた。なんつーか…めっちゃ手慣れてるその行動に胸がツキリと痛んだ。

 「まだ、番えないけど…早くオメガになってね。」

 そう言ってやらしく俺のお尻を揉んできたので、その手を思わず叩いてしまった。

 「何?感じちゃうの?」とムカつく笑顔で笑ってる。頭を叩いておけば良かっただろうかと本気で悩んでしまった。

 「そんなわけねーだろ!バカ!」
 「ふふ、元気だねぇ。今ならもう1回シても大丈夫なんじゃー…痛っ…」

 聞き捨てならない不穏な言葉に今度は頭を叩いてしまったのは不可抗力だ。

 (俺は悪くない!悪くないんだ!!)

 「大丈夫じゃねーよ!俺、初めてなのにっ…あんな、あんな事を…」
 「拘束した事を言ってるの?でも、修兵が暴れるからダメなんだよ?」
 「ベータのアソコ・・・は本来、受け入れる場所じゃねーよ!」
 「知ってるよ。でもさぁ…修兵は遅かれ早かれ受け入れる事になってたんだけど?」
 「はぁ?何で?」
 「フェロモンだけじゃ限度があるから…『鬼』の体液使って少しでも早く君が『オメガ』になるように促進してるんだけど?」

 という義輝の台詞に俺は言葉を失った。
 
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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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