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本編
22ー義輝Sideー
しおりを挟む「義輝、今更だけど…良いのか?」
真剣な顔を崩し、少し不安そうに言葉を発したのは陽斗だった。しかし、海斗も同じ考えなのか、陽斗の隣で頷いている。
「その質問は愚問だ。俺はあの子を傷つけたゴミどもに分からせているだけだ。自分が『外道』というのは自覚済みだし、今更止めてやるつもりもない。『鬼社会』の法に触れているのは分かっている。やり過ぎだという事もな。」
「俺たちは『鬼社会』ではなく、義輝に従っている。裁かれる時も一緒だ」
「俺たちにその覚悟はできているが…修兵君を一人にする事はあってはならない…それだけは覚えておいてほしい。」
そう言って頭を下げた2人に嘘はないのだろう。それは分かる。
「あの子を一人にするつもりは無いし…俺もお前らも裁かせるつもりなんて一切無い。上は『神木』が動いてから初めて動き始めるだろう。『神木』は『番』に被害が及ばない限り動く気はない。その一線を越えなければ問題ない話だ。」
そう言って双子を見返すと2人は頷いて頭を垂れた。
「それに…『鬼』とは『番』が害されれば怒り狂うモノ…俺はソレを体現して見せたまでの事…気に病む必要もない。」
「『番』って言っても…彼はベータ……っ!?まさか!!」
何かに気づいたらしい双子を『静かにしてね』のポーズで黙らせる。
「お前らは何も知らなかった。良いな?」
そう言って有無を言わせないように笑顔で威圧すると2人は脱力し諦めたように頷いた。
「分かってくれたようで、なによりだ。では、報告の続きを聞かせてもらおうか」
リビングから移動して双子を自室へと招き入れソファーへと誘導する。そして、「待っていろ」と言って一度退室し、お茶を準備してから再度入室する。
座っているのを確認してからガラステーブルに3人分のお茶とお菓子を置くと、テーブル挟んだ向かい側のソファーに腰を落ち着け2人と向かいあった。
「劣等種のアルファはどうなった?」
「相変わらずのようですが…修兵君の事を探していますね。どうやらオメガの女を見せつけて優越感に浸りたいようです。」
「……『運命(笑)』とやらは?」
「劣等種に選ばれた事を鼻にかけ、周りのオメガをこき下ろしているようです。」
その報告に流石、ゴミ同士…というのが俺の感想だった。
「なるほど、ね…」
「いかが致しますか?」
「そうだねぇ…取り敢えず、先ずはあの子の元父親を完全に潰してから…ゴミ2人は…あの場所から出れなくしておけば問題ないだろう。ゴミ2人に取り掛かるのは修兵が俺と番ってからにする。」
「了解しました。」
「後日また定期報告に来い。時間はー…そうだな…今日くらいで大丈夫だろう…」
そう言って2人を見ると一礼した。
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