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本編
12ー義輝Sideー
しおりを挟む「いや、俺たちは事実を述べただけだし…」
「それよりもどうするの?」
「今更連れてくるなんて何かあったんだろ…」
そう言いながら海斗と陽斗は簡易的な治療台を作り始めた。
「そうだな。先ずはこの子を浴室で身体も傷口も洗浄してキレイにしてくるから話はその後って事で…」
3人にそう言ってこの子を抱き直すと脱衣室へと向かうと鋏で服を裁断し、汚い服を取り去ると浴室へと入り身体を清めた。
治療を済ませベッドへと寝かすと再びリビングへと戻る。すると、後片付けをした2人がソファーで寛いでいる。
白蓮は赤ちゃんの世話で自分の部屋に戻っている。育てる事を許可し、白蓮の子どもとして特別に籍も作っている。まぁ、それは今はどうでも良い…
「それで?義輝にしては珍しく心変わりでもしたの?」
「何それ?興味無くして放置してたとでも?」
「普段の義輝ならそうでしょ?」
「否定はしない。2人には徹底的に調べ上げてほしい事があるんだけど?」
「あぁ…知らなかったとはいえ、お前の逆燐に触れたわけだからな」
「了解…ところで、あの子はどうするの?」
そう言って寝室の方を見ている。
「あぁ…その事。あの子は今後の態度次第かな。俺の事を完全に忘れてるならそれなりに対応して放り出すよ。勿論、それなりに保証はしてあげるけどね。困らない程度に」
「それって初恋の相手だから?」
という余計な事を言う海斗を無言で叩いて陽斗が準備していたお茶を飲む。
「その話だと…覚えていたらどうするの?」
「知らない方が良い事も世の中にはあるんだよ?それでも知りたい?」
陽斗の言葉にクスリと笑って返すとサッと顔色が変わった。
「あ~。やっぱり聞かないでおくわ。」
「『神木』が出てくる事態になったりしない?」
「あぁ、父さんは母さんに被害が及ばない限り静観してくれるみたいだな…」
そう言ってニッコリと笑うと引きつった笑みを返してきて、そそくさと立ち上がった。出て行こうとする双子にいつものように声をかけて見送る。
「調子に乗って好き勝手やってくれた奴らを地獄に叩き落としてやるつもりだから…海斗に陽斗、抜かり無くヨロシクね~」
そう言いながら後ろ姿に手を振っているとクルリと身体を反転し俺の方へ跪くと一礼をしてサッと姿が消えた。
一礼したその顔は既に仕事モードの庇護鬼のものだった。
2人を完全に見送った後、片付けをして寝室にいる彼の元へと向かった。
*
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