チューベローズ

スメラギ

文字の大きさ
上 下
15 / 88
本編

12ー義輝Sideー

しおりを挟む
 
 「いや、俺たちは事実を述べただけだし…」
 「それよりもどうするの?」
 「今更連れてくるなんて何かあったんだろ…」

 そう言いながら海斗と陽斗は簡易的な治療台を作り始めた。

 「そうだな。先ずはこの子を浴室で身体も傷口も洗浄してキレイにしてくるから話はその後って事で…」

 3人にそう言ってこの子を抱き直すと脱衣室へと向かうと鋏で服を裁断し、汚い服を取り去ると浴室へと入り身体を清めた。

 治療を済ませベッドへと寝かすと再びリビングへと戻る。すると、後片付けをした2人がソファーで寛いでいる。

 白蓮は赤ちゃんの世話で自分の部屋に戻っている。育てる事を許可し、白蓮の子どもとして特別に籍も作っている。まぁ、それは今はどうでも良い…

 「それで?義輝にしては珍しく心変わりでもしたの?」
 「何それ?興味無くして放置してたとでも?」
 「普段の義輝ならそうでしょ?」
 「否定はしない。2人には徹底的に調べ上げてほしい事があるんだけど?」
 「あぁ…知らなかったとはいえ、お前の逆燐に触れたわけだからな」
 「了解…ところで、あの子はどうするの?」

 そう言って寝室の方を見ている。

 「あぁ…その事。あの子は今後の態度次第かな。俺の事を完全・・に忘れてるならそれなりに・・・・・対応して放り出すよ。勿論、それなりに・・・・・保証はしてあげるけどね。困らない程度に」
 「それって初恋の相手だから?」

 という余計な事を言う海斗を無言で叩いて陽斗が準備していたお茶を飲む。

 「その話だと…覚えていたらどうするの?」
 「知らない方が良い事も世の中にはあるんだよ?それでも知りたい?」

 陽斗の言葉にクスリと笑って返すとサッと顔色が変わった。

 「あ~。やっぱり聞かないでおくわ。」
 「『神木』が出てくる事態になったりしない?」
 「あぁ、父さんは母さんに被害が及ばない限り静観してくれるみたいだな…」

 そう言ってニッコリと笑うと引きつった笑みを返してきて、そそくさと立ち上がった。出て行こうとする双子にいつも・・・のように声をかけて見送る。

 「調子に乗って好き勝手やってくれた奴らを地獄に叩き落としてやるつもりだから…海斗に陽斗、抜かり無くヨロシクね~」

 そう言いながら後ろ姿に手を振っているとクルリと身体を反転し俺の方へ跪くと一礼をしてサッと姿が消えた。

 一礼したその顔は既に仕事モードの庇護鬼のものだった。

 2人を完全に見送った後、片付けをして寝室にいる彼の元へと向かった。
 
しおりを挟む
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


感想 5

あなたにおすすめの小説

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

なぜか大好きな親友に告白されました

結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。 ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。

処理中です...