鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―短編―

美味しく頂いたバレンタインー紅輝Sideー

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 「今回のバレンタインは何を作ろうか?何か食べたい物とかある?」

 といういつきの台詞に迷わず「お前」と言いたかった俺だが…ちゃんと空気を読んで真面目に答えた。「甘すぎないチョコケーキが食べたい」と…

 この数年でいつきの手作りスイーツのクオリティも凄く成長した。飾り付けも丁寧で細かい。1つの芸術と言えるだろう物までに成長している。
 それらは全て写真に撮ってある。番ってからずっと撮り溜めた物だ。

 まぁ、俺の携帯で初めて撮ったのは、いつきの寝顔なんだけどな…
 というか…いつき関連の物しかメモリーに入っていない。ちゃんとバックアップも取ってある。というのは本当の事だが…今はその話は置いておく…

 こういう・・・・イベント以外の時は俺も一緒に作るのだが…今のところバレンタインは絶対に一緒に作る事はない…いつきの強い希望によりそうなった。

 危ない物は使わないという条件付きでそうなっている。板チョコは手で細かく割り、レンジで溶かす。その際も、熱い物を持たなくて済むようにしっかりと・・・・・配慮をしてある。

 「心配性だなぁ」なんて呆れて笑っていたが…全く分かっていない。大掃除の時に横着して転倒した時には俺の寿命がどれだけ縮んだと思っているんだ。
 いや、実際は縮んでいないが、俺はそれくらい慌てふためいたのだ。義輝も呆れるほどに…

 稀にいつきの悪い癖が出そうになるが…しれっといつきの視界に入る辺りに俺が居るので『ハッ』としたように約束を守ってくれている…

 ちなみに「横着すればお仕置きだ。それにもうバレンタインも、もう1人では作らせないぞ」と言ってあるので、それもあってか…今のところ大丈夫そうだ。

 いつきは俺のお願い・・・でチョコケーキを作ってくれていた。けれど…その…忙しなく動く小さないつきの背中を眺めていると…こう…邪な心が芽生えてしまって…我慢できなくなったのだ…

 確実に・・・邪魔だろうなと思いながらもピッタリと後ろからくっついても邪険に扱わない。

 「もう!」と困ったように声を出すだけ、そんな可愛いくて、色っぽい表情に見えるいつきの態度に俺の欲望はムクムクと大きくなる。

 気づいていないのは本人だけだ…

 いつきを目の前にしたら、求めずにはいられなくなる…思春期のガキかよ…と何度も思ったが…コレだけは全く変わらなかった…いや、それどころか、毎日抱いても全然足りない。

 ガッつくガキのように求めてしまうのだ…毎度の事ながら加減をするのも一苦労である…無意識に煽ってくるからなかなか止まってやれない。

 いつも、次起きた時に動けるか動けないかのギリギリのラインだ…運が良ければ、暫くはぎこちない動きではあるが、一応、動ける。

 何て思いに浸っていると、いつきの指にチョコレートが付着した。

 思わず、その光景に見入ってしまった。そして、唐突に『指ごと舐めとったら、どれだけ可愛い顔をして見せてくれるのだろう』なんて思った瞬間に、俺の中でナニかが音を立てて崩れ去った。

 『もう、いつきの身体に生チョコを盛り美味しく頂いければ最高のバレンタインになるんじゃないのか?』という思考までが生まれ始める。

 確かにいつきの作るお菓子は美味い。しかし…俺にとってはいつき自身が最高のお菓子みたいなものである。

 いや、お菓子などでは言い表せないくらいに特別なモノなのだが…

 義輝に変態親父呼びをされても否定できないような気がしてきた…寧ろ『いつきを目の前にしたらそうなる・・・・ならない方が可笑しい…』と開き直ってしまいそうだ。

 その自覚はある。隠す気もない。ただ、いつきに悟られまいとはする。『気持ち悪い』とか『近寄って来ないで』なんて言われたら軽く死ねる。言い切れる。だからこんな浅ましい煩悩まみれの思考を絶対に悟られてはダメだ。

 いろいろ・・・・な邪心をひた隠し、悟られぬようにいつきへと悪戯を開始した。
 「むぅ。」っと怒る顔も可愛い。振り向いてきたいつきにすかさずキスをする。

 それだけでトロンとした表情になる。俺からすれば十分に襲って下さいと言っているようなものだが…いつき自身は全くそんな気持ちはない。

 (慌てるな、落ち着け…確実にいつきをその気にさせなくては意味がない)

 と心で自分を諌めつつ、早く落ちてほしい。そういう・・・・想いを込めて紋章に口付けると、可愛い声を出し、身体がヒクンと揺れた。
 俺は本能に従い…かと言って絶対に邪な心を悟られないように注意してスルリと服の中に手を入れようとする。

 叩き落としてくる事は分かっていたので、手に力なんて全く入れていない。なので、直ぐに叩き落された。大袈裟に落ちた手といつきの顔を交互に見て困ったように笑うのも忘れない…

 俺が悲しそうに見つめると、いつきは困ったような焦ったような顔をして俯いた。

 もう、この時点で勝ったようなものなのだが…もう一押しした。

 上がりそうになる口元を必死で抑えつつ名残惜しく見えるように身体を離そうとすると、思った通り、いつきは離れてほしくないというふうに俺の服を掴む。

 そのほくそ笑んだ顔を見られまいと、顔を上げてきたいつきにすかさず深~いキスをした。

 その後、俺に美味しく頂かれたいつきはグチャグチャになって意識を飛ばしてしまってた。意識を失ってもなお、可愛さとエロさが全く衰えないいつきを目の前に俺の腰は暫く止まらなかった。

 満足のいくまで堪能した俺はいつきの身体についた残りの生チョコも美味しく頂くと、これまたグチャグチャになったキッチンから出て浴室で全てをキレイに落とすと、寝室へと運んだ。

 キッチンの後片付けも済ませた俺は生チョコを使い切ってしまったお詫びに残りの材料でクッキーを焼きキレイにラッピングも済ませていつきの横で仮眠をとっていた…


 その後、ベッドで寝ていたはずのいつきが居らず、探すために寝室を出ると、キッチン前の廊下に両手、両膝をついて凄~く落ち込んでしまっているいつきを見つけて宥めすかすのに3時間以上かかる事になるなんて、この時の俺は知らなかった…

 
*END*
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**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


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