鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―短編―

こんなはずじゃなかったバレンタイン【前編】*ーいつきSideー

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 「っ…ン…こ、紅輝!待って、危ないから待って!」

 僕の後ろには紅輝がピッタリくっつき作業の邪魔をしている。今、僕は紅輝のリクエストに応えて手作りのチョコケーキを作っている最中だ…

 「これじゃあ、作業が進まないよ!!」

 と言ってプンスカ怒っている僕を見て「やっぱり、いつきは怒っている顔可愛いな」なんて言って紋章にキスをしてくる始末である。

 「ぁ…んっ…」

 危うく生クリームとチョコが入っているボウルを落とすところだった…

 真っ赤になっているであろう顔で精一杯、紅輝を睨むと「誘ってるのか?」なんて聞いてくる。

 「誘ってないっ…ゃ…ン!!」

 口を開いて文句を言ってやろうと思った瞬間にまさかのディープキス…

 「ふぅんんっ…ぁふ…」

 スルリと服の中に手が入ってきそうになったので、思わず叩き落とす。紅輝が本気だったら先ず叩き落とす事は不可能だったので、まだ・・その気になっていない事を知る。が、それもいつまで保つかは分からない。
 それに、僕も紅輝に触られるとヤバい。そんな事は自分が一番知っているので叩き落としたのだが…

 悲しそうに見つめるのは止めてもらいたい…良心が凄~く痛む。

 「いつきを本気で怒らせるつもりは無かった。すまない。」そう言ってシュンとしてしまった。本気で怒ってはいない。というか、怒ってすらいない。

 しかし、紅輝は落ち込んでしまっている。

 自身の良心がズキズキと痛む。困り果てて紅輝を見つめると、紅輝はそっと身体を離し、僕から離れていこうとする。
 紅輝の行動に寂しさを感じる僕は突き放しておいてなんと自分勝手な奴なのだろうと自己嫌悪に陥る。

 その思いとは裏腹に行動はどこまでも浅慮であった…

 咄嗟に掴んだ紅輝の服を握りしめた。そこで『ハッ』となり『パッ』と手を離す。

 いや、離そうとした。が、それは紅輝本人によって阻止される。逆に掴まれたその手を引かれて紅輝の胸へとおさまる事になった。片腕でポンポンと背中を優しく叩かれながら紅輝の胸の辺りに擦り寄ると「もー、ホント、可愛すぎ。」という声が頭上から降ってくる。

 その声に何かが引っかかり・・・・・・・・顔を上げると紅輝の表情を確認する前に深い口付けをされる。

 「ン…んんっ…!!」

 深く絡み口内を縦横無尽に動き回り犯してくる紅輝の舌に翻弄されて腰が抜けた。

 紅輝は崩れ落ちそうになった僕の身体を軽々と支えた。そして、そのまま作業中であったはずのテーブルへ押し倒してきた。
 散らかっていたはずの物は邪魔にならない所へといつの間にか・・・・・・押しやられており、背中に当たることはなかった。

 「こぉき?」

 という情けない僕の声に返ってきたのは清々しいほどに眩しい笑顔だった…ニヤける顔を抑えきれていない紅輝を見て『計られた』咄嗟にそう理解した。

 「いつきは甘い匂いがするな」なんて言って僕の両手を片手で拘束し、顔を僕の首元に寄せてくると、なんの躊躇いもなく吸い付いてきた。

 途端に漏れ出る自身の甘さを含んだ声に羞恥が増した。紅輝はそんな僕に気を良くしたのか、どんどん行動がエスカレートしていく。
 最早、止める気はないのだろう。完全に・・・スイッチが入ったらしい…

 
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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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