鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―短編―

年末年始【中編】*ーいつきSideー

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 お風呂に入った後、普段は飲まないが、年末のこの日だけは紅輝も僕も飲むと決めていた。
 晩酌をしながらテレビを見ていると、いい感じにフワフワとしてきた感覚がある。
 紅輝はお酒で酔った事はないし、他の物でも酔ったところを見た事はない。

 逆に僕は直ぐに酔う…

 平然とした顔をしている紅輝の服をクンっと引っ張ると、紅輝は僕の方へと顔を向け穏やかな瞳で見つめてくる。
 酔ったせいか視界が若干、ボヤけてはいるが…懸命に視線を合わし、少し恥ずかしくもあるが…自ら触れる程度のキスをする。

 そして、身体を離して元の位置に戻り紅輝へと甘えるように、もたれかかる。すると、毎年の事ながらソファーベッドへと押し倒された。

 横に座っている紅輝に触れる程度のキスをして、もたれかかるのは僕なりの『心の準備はできているよ』の意味を込めた合図である。

 毎年の行動なので、紅輝もその意味を履き違える事はない。

 その暗黙の了解に紅輝は応えて僕を押し倒し、僕は身体の力を抜き、紅輝を受け入れるための体勢を取る。

 まぁ、解しもせずに突っ込んでくるような鬼畜外道ではないので、その辺は安心している。

 いや…、鬼畜とまでは行かないが…意地悪なところはあるんだけど…

 「何だ?いつき、考え事か?」
 「考え事って程のものではないよ。でも、紅輝の事、考えてた」

 ものは言いようである。嘘はついていないが、内容を聞かれれば先ず間違いなく「そうか…どの辺が鬼畜…いや、意地悪なのか教えてくれるか?」なんて言って行為に雪崩れ込むだろう。
 そして、愛撫の途中とか後ろを解している最中の事ある毎に「コレは意地悪か?」なんて言って答えるまでイカしてはくれないだろう…その状況が目に浮かんでくる。

 「その質問とかが既に意地悪だ」と言おうものなら「潤んだ瞳で必死に耐えて答えようとしている姿も可愛くてな」なんて言って開き直ってくる状況まで見えてくる…

 予想とはいえ、ここまで鮮明に想像できるのは長年、紅輝と連れ添った賜物だろう。

 幸い紅輝は深く聞いてくる事はなく、「そうか」と言って、僕の口を優しく塞いでくる。が、それも直ぐに深いモノへと変わった。

 ソレに比例して僕のフェロモンも発情ヒートに近い甘いものへと変わったのか、紅輝のフェロモンも発情ラットに近い甘いものへと変わりつつあった。

 縋るように紅輝の首へと腕を回すと、さらに口を強く押し当てる。まだ、キスが足りない。もっとキスをしてほしい時に取る僕の行動の1つである。

 理性とは別に動くから、恐らく本能で勝手に動いているのだろう。そう理解してからは抗う事なく本能に身を任せている。

 少し恥ずかしくもあるが、紅輝とするのは嫌じゃない。僕自身、マンネリ化を感じてもないし…紅輝に対しての不満は全くない。寧ろ、長く繋がって居たくなる。

 ただ、いくら『鬼の番』といえど、限界はある。
 毎日のようにする事をシて体力が付き始めていたりだとか…シた後の復活も早いとは言っても鬼からすれば、人間に毛が生えたようなもの…根本的な作りは勿論、体力も全く違うから何度目かの絶頂で意識を失ってしまう。

 紅輝は気にした様子なんてない寧ろ毎回嬉しそうではあるが、僕にはソレが残念でならない。

 こんな想いは紅輝と長年一緒に過ごしてきたから湧いて来る想いであって、出会った当初の僕ならば恥ずかし過ぎて、それどころではなかったであろう変化だった…



 「ン…ふ…こぉき…まだぁ?」

 身体のあちこちを触ったり舐め回したりの愛撫に満足したのか紅輝は漸く僕の後ろを解し始めた。
 自分で解しても良かったが…紅輝がソレを許してくれず…いや、僕の意志の弱さで違う場所への愛撫が長引いたのかな…

 「あっ…も、いれて…」そう言うと紅輝は「もう少しだけ待って。こっちも可愛がってやりたいんだ」と言って胸の頂きをご丁寧に舐め回す。

 「ン…ぁ…じぶんでっ…やる」我慢できずに片手を後ろへと持っていこうとしたが、紅輝に阻止された。

「俺の楽しみの1つなのに」と凄~く残念そうな顔をしていたので「ぁ…んんっ…わかったぁ…でも、あんまりっ…まてないよ」と返すと心得たと言わんばかりに頷いて、嬉々として再び愛撫をし始めた。

 その時にボソッと「恥じらいながら俺を見つめつつ後ろを解している姿を見るべきだったか?」なんて自問自答していたのは聞かなかった事にした。

 
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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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