鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―短編―

自業自得とはいえ…*―紅輝side―

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 微かにうめくような声に意識が浮上した。
 発生源は隣で寝ているいつきである。
 腕枕して抱き締めて寝ていたが…寝ている間に締めすぎたのだろうかと不安になり、覗き込むように体勢を変えて注視していると…
 どうにも違うらしいと思い至る…

 頬が上気し息が微かに上がっている…熱か何かかと思い触ったのがダメだった。

 「ぁ…」

 微かに喘ぐ可愛らしい唇に動きが止まる…どうやら夢の中でそういう・・・・事をヤっているらしい…
 途端に芽生える悪戯心…餓鬼かよと呆れる反面、自分の行動は思ったよりも素直だった…

 後々さらに後悔する事になるのだが―…


 「いつき?」と起こさないように気を付けながら耳元で囁いてみる。
 すると、いつきが情事中のような可愛らしい声で俺の名前を呼んだ…
 「ぁ…だめぇっ…こぉき…そこ、ヤだぁ」と、イヤイヤと軽く首を振っている。

 その様子に夢の中の相手は俺のようで安心した…
 夢の中とはいえ、他の誰かとなんて考えたくもない…

 もっとその声で俺を呼んで欲しくて、起こさないように細心の注意をはらいながら服の上から胸の頂を摘まむと可愛い声が若干、大きくなる。

 段々とエスカレートする悪戯に、いつきの身体は素直に反応し、誘っているかのように太股を擦り合わせ始める。

 起きたのかと思ったが―…思ったよりも眠りが深いらしい、いつきは快楽に顔を歪めながらも起きることはなかった。

 まぁ、当然と言えば当然なのだが―…その痴態に反応しない筈もなく…完全に勃起してしまっている己のソレにどう処理するべきか迷った。

 いつきを起こしてヤるべきか…久しぶりの自慰でおさめるべきなのかという二択で迷った…その中に出さないという選択肢はなかった。

 「自慰でイケるか?」という自問自答をしつつ、いつきに触れる手はそのままに、起こさないように気を付けながら身体をずらし、腕をいつきの下から引き抜いていく…
 そして、自身が纏う寝巻きのズボンを寛げ、ソレに手を伸ばす。

 痴態を晒しているとはいえ、寝ているいつきを起こすのは可哀想だと思い、取り敢えず自分で処理してみる事にした…





 自慰をするのはいつきの妊娠以来であり、久しぶりだ。
 強弱をつけてしごきあげているが、思ったよりも滑りが悪い…

 軽く溜め息が出た。仕方ないので寝ているいつきには悪いが、手伝ってもらうことにした…

 手っ取り早く触っていた手を移動させ、いつきの内股を我ながらやらしいと思う手つきでなぞるように上へと撫で上げる。
 すると、起きたんじゃないかと思うくらいに激しく反応した。
 それと平行するように情事中のいつきを思い浮かべる。

 「ぁあっ…んん…」
 「っ…これは…ヤバい…な…」

 という独り言がポツリと出る。その言葉通りに、いつきの声に反応し、さらに想像の中のいつきを犯しつつソレを強めにしごく…

 思っていたよりも興奮材料になったらしい…自分でも呆れるほど早くその時は来た。
 先端から先走りが流れ始めるほど興奮しているのだ。

 正直、いつきの声だけでイきそうになっている。
 その事実に何とも表し難い感情が生まれる…
 自慰行為を思うと早期決着は好ましいが―…俺にもそれなりにプライドというものがある…
 流石にもう少し粘れよと呆れている…

 そんな俺に追い討ちをかけてくるのも―…いつきだけだった…

 内股をヤワヤワと揉んでいた俺の手を足で挟み、擦り付けてくるのだ…
 その都度、微かに聞こえてくる『ぬちゃぬちゃ』という粘着音と微かに喘ぐ声に興奮がさらに増していく。

 難なくイケそうな自分に何とも言い難い感情が生まれるが、こんな痴態を目の当たりにし、尚且つ寝ているとはいえ、自身の掌に擦り付けるように動かし、まるで自慰をしているかのような光景に興奮しない方がおかしい…

 まぁ、相手がいつきなので性的興奮を覚えるのは仕方ないと自己完結しておく…

 チラリといつきの顔を覗き見ると上気したままであり、瞼は微かに震えているものの閉じられたままだ。
 夢の中であっても自分の声を聞かれるのは恥ずかしいのか、口元に手をやり『ふぅ…ふぅ…』と荒い息を繰り返し、時折喘いでいる。

 どこまで俺を興奮させれば気が済むのか…可愛いすぎるだろ…

 「んっ…はっ…こぉき…イくっ…」という言葉に思わず動きが止まり凝視してしまった。
 しごくのも忘れて、いつきを見つめる…意図せず喉がゴクリと鳴った。

 夢精するのか?俺と夢の中でヤりながら?その痴態を見れるのか?という思考に埋め尽くされ、いつきから目を離さず見ていると程なくして果てた。

 それはもう可愛く喘ぎながら果てた。

 布越しとはいえ、掌に伝わるのは紛れもなくいつきの体液の温もり…そして、鼻孔を擽るのはいつき特有のフェロモンの匂い…その香りが強くなった。

 自慰どころではなくなってしまった。これはもう、自分ではおさまりがつかないであろう事は十分に理解できた。

 さぁ、どうやって起こそうかと考えていると、さらに艶かしく喘ぎ始めた。

 「ふぅ…っ…んんっ…」どうやら夢の中の俺はまだ満足していないらしい…
 表情と身体の動きから伝わる微かな振動はそういう事らしい…

 俺もいつきのナカに挿れたい…という思いから、いつきを揺すり起こす。

 「いつき、起きてくれると助かるんだが―…」





 「んんっ、ぁあっ!こぉき…はげしぃのぉ!」

 寝ぼけ眼の状態から夢精してしまったと悟ったのだろう、その羞恥から一気に覚醒したいつきは今現在俺の上で腰を振っている…
 攻め立てられるまま理性が完全に飛んだらしい…

 「っ…ここが好きなんだろう?」そう聞きながら突き上げて後悔した。
 「ぁあんっ…!しゅき好きぃっ…もっとぉ!こぉき、もっとぉ!っ…んっ…」
 「くっ…」
 「はぁっ…ひんっぁあ!あ、あちゅい熱いでてりゅ出てるのぉ~」


 完全に快楽落ちしたような表情で言いながら妖しく腰を振るものだから思わずイってしまった。
 耐えられなかった…情けない話だが出てしまった。

 俺の後を追うように射精し、俺の腹を汚したいつきは未だに妖艶な笑みを浮かべ舌舐りをしながら俺を挑発してくる…

 「こぉき、もっとぉ!おく、おくがいいのぉっ…おくにだしてぇ!」
 「避妊具着けてないぞ」とは言ったものの…もう手遅れだと思うが―…念のため後で避妊薬を飲ませておく事にする…
 「ふぅ…んんっ…」

 決して早漏じゃないぞ!さっきイきそうになって止まっていたからなんだ!そういう事にしておく…

 俺は腰を掴むといつきがヨガるイイトコロを遠慮なく突き上げた。

 「ぁあっ!」

 ズチュンと入ったソレにいつきの身体はくねりながら仰け反り、少し白濁が飛ぶ。
 衝撃で軽くイったらしい…イった直後だが、容赦なく攻め立て始めると、全身を震わせ、艶かしく色づいた身体が揺さぶられながら美味しそうに俺を誘う。

 「はぁんっ…ふかいのぉっ…」
 「ここ・・も好きだもんっ…な!」
 「ひんっ…やぁあっ!」

 快楽が強すぎるのか首を振り乱しながらではあるが、いつきは縋るように手を伸ばして、腰を掴んでいる俺の手に重ねてきた。
 
 「あっ、あっんん!また、またぁあっ…こぉき!こぉき!も、ぼくぅ!」
 「ん~?」
 「ひっ…ぁあー!」

 グチュンと奥まで挿入された先端はいつきの子宮へと到達した。発情期ではないとはいえ、いつきと俺の身体の相性を考えれば、妊娠する確率の方が高いと考えられる…

 避妊薬は必ず飲ませるからと心の中で詫び、子宮に先端が侵入したというのが感覚でわかった。

 いつきは艶かしく腰をくねらせながら盛大にイくと、ぐったりと倒れかかってきた。
 ヤワヤワと背中を擦ってやると、それだけで今の・・いつきは感じてしまうらしく、甘い息を吐いている。

 「はぁっ…はぁっ…んんっ…ぁ…」

 俺の上に倒れかかり、ピクピク身体を痙攣させながら荒い息を繰り返している。
 挑発で調子に乗った俺は子宮から少し引いたとはいえ、いつきの子宮にグリグリと先端を擦り付けている始末である。

 やはりというべきか…その瞬間にいつきの最奥さいおうが蠢き、俺の精液を搾り取ろうとする。俺といつきの腹の間でピクリといつきの先端が動き、ビュクっと白濁が微量に出てきたのがわかった。

 「ぁあっ…こぉき、だめぇっ…」
 「大丈夫、大丈夫。まだ、イケるだろ?」
 「やぁ!らめらよダメだよぉ」
 「可愛い…ほら、もっとってお前が言ったんだろ?俺もいつきが欲しい」

 と言いながら腰を動かすと可愛い口から嬌声が上がる。俺の肩へと伏せて甘噛したり舐めたりしていた顔を上げたいつきが口を開いた。

 「ぁあんっ…んっ…はぁっ…こぉき、ぼく、しゅき好き?」

 感じながらも健気に聞いてくるいつきを軽く抱き締めながら「好きだ。愛してる」と返してやる。

 すると、その言葉に最奥がさらに締まる。それと殆んど同時に、快楽に溺れきり、上気した顔を懸命に上げてこちらを見ているいつきは『ふにゃり』と笑った。

 その顔を見た瞬間、プツンと完全に理性が飛んだ俺はいつきが失神するまで行為を止められず、我に返った時にはベッドの惨状に唖然とした程だった…


 もちろん、起きたいつきは全く覚えていなかった上にその日まる1日はベッドの住民と化していた。

 遊びに来た子どもたちに呆れられたのは言うまでもないだろう…



*end*
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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


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