鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

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 政夜は2歳になった。いろいろな事を吸収して成長している。
 見た目こそ普通の人の子どもと変わらないが…中身は全くの別物。
 顔つきが特に紅輝に似ている。紅輝曰く性格は何故かお義母さんに似ているんだって。仕草などは僕に似ているのだとか…

 「母さん!」という可愛い呼び掛けに振り向き、政夜の前にしゃがむと、ニコニコと笑いながらこちらに両手を差し出してきた。抱っこをしてほしいみたいなので、抱き上げる。

 これが人間のΩオメガだったなら直ぐに降ろしてしまうのだろうが、鬼のつがいである僕はそこそこ身体能力が向上している事もあり、暫くは抱っこ出来る。

 政夜は恐らくその事に気づいているので、いい頃合いで降りてくれる。良くできた子なんだ。
 その代わり紅輝には結構してる。強制終了されるまで絶対に降りない。

 遊びが格闘技に変わることもあった…2歳と大人がなにやってんの!?ってくらい凄かった。紅輝はかなり加減しているが、流石は2歳…加減を知らない。

 室内でやられた時はヤバかった。『乱闘でもあったのか!?』と思うくらいにヤバかった。
 机は大破、ソファーもバキバキに折れており、中身が出ていた。大きいテレビも粉々になっており、カーテンもビリビリ…床も凹み、壁も一部に穴が空いていた。下の階から夏樹たちが見に来たくらいヤバかった。

 部屋の惨状を見て「おお!これだけで済んでるのか!」と夏樹が凄く羨ましそうに言っていたが―…
 えっ、れんはこれ以上なの!?と吃驚したのも記憶に新しい…
 弟が出来たと椿と柊がはしゃいで収拾がつかなくなっているらしい。

 この前なんて、窓硝子ごとソファーが吹っ飛んだらしい。部屋の一部が消えたんだって…何それ怖い…

 「僕、知らなかった」

 なんて言ったら、3人でお義母さんたちの所に2泊3日のお泊まりに行った時にあったらしい。
 2日で直せる鬼たちの手腕に驚かされる事になった…

 まぁ、居たら居たでビビリまくってると思うけど…

 蓮も2人に感化されて早くも2人の片鱗を見せているんだって…
 舞さんも「どうしましょう」と困ったように笑みを浮かべていたが、本当に困っているかは分からなかった…

 どこか嬉しそうに面倒見が良すぎるのも困ったものだと舞さんと一緒に夏樹は笑っていた…笑い飛ばせるの凄い…

 言うほど困ってなかったってこと?

 ちなみに、大破した時、修繕するよりリフォームの方が安かったのでリフォームにした。ソファーもテレビも全て買い換えた。

 結構な金額が掛かったので、心配になり『神木かみきカード』の残高を確認したのは良いんだけど…

 お目にかかった事のないくらいゼロの数が多くて凄く吃驚して卒倒した…しかも、2日間熱で寝込んだ…

 紅輝と政夜が看病してくれた。恐らくそんな事もあり、政夜の中でも僕は脆弱な存在と位置付けられているようだ。結構、気にかけてくれる。2歳なのにできた子である。

 僕が怒ってから政夜は紅輝を遊びに誘う時は必ず外で遊ぶ。紅輝もそうしてくれている。でも、遠くでは遊ばない。マンション前にある広場で遊んでいる。
 紅輝が政夜を見てくれている間は舞さんとお茶をしたりしている。

 マンション前の広場で庇護鬼たちも混ざって遊んでくれていたりするので助かっている。
 蓮や翡翠ひすいも混ざって遊んでいるので、窓を開けていると楽しそうな声が聞こえてくる。
 2歳とは思えないくらいの遊びっぷりであり、凄い騒ぎようだ。

 これ、騒音でクレーム来ないよね?と心配していたが、全く来る気配がないので一応、安心した。

 政夜は僕とお留守番兼遊ぶときにはちゃんと僕のレベルに合わせてくれる…手伝いも遊びの一環に入っている。
 2歳で手伝いも出来るとか凄い!と驚いていると鬼なら普通に出来るらしい。お義母さんが言っていた。紅輝もしていたんだって。
 僕の感動は消えてしまったが、政夜を褒めまくった。
 このまま優しい子に育ってほしい。

 舞さんは褒めていた。蓮は破壊するだけで気が向いたら手伝ってくれるらしい…その分、椿と柊がつがいを連れて来て手伝ってくれているんだって。
 蓮も一応、つがいよめには気をつけてくれるんだって教えてくれた。
 椿と柊の時よりは育てやすいと言っていた。

 ちなみに颯のつがいさんとはまだ会えていない…
 どうやら、複雑な出生らしいく、なかなか外にも出ないんだって…颯が言っていた。
 颯と2人、もしくは翡翠も一緒で3人なら人気の無い場所に出てきてくれるんだって…
 会いたいが、無理やりはダメだと心に言い聞かせた。



 夕飯の時間になり紅輝に抱っこされて政夜が帰ってくる。
 先に政夜と一緒に風呂に入ってもらった。
 僕が入ろうとしたが、頑なにダメだと言って、首を横に振られた…
 例え実の子どもであっても、つがいである僕と入るのはダメらしい。

 政夜も紅輝と入るのに異論はないようで、紅輝が居ないときは「帰ってくるまで待ってる」と言って僕とはお風呂に入らない。
 その徹底ぶりに感服する。しかも、寝るときも徹底されており、政夜の寝相で僕が怪我をしてはダメだからと政夜は、もう1つの簡易ベッドで寝ている。

 政夜も文句を言わない。こういうものだと認識しているみたいだ。同じ空間で寝ている事で満足しているようだ。

 健気すぎて思わず抱き締めてしまったけど…その時の紅輝の顔が怖かった…

しかも、小さい声で「これが氷夜が言っていた感覚か…」なんて呟いていた…

 紅輝もお義母さんの近くでは寝ていたようだが、真横で寝ることはなかったんだって。
 鬼の習性だろうと言っていた。舞さんの所もそうみたいだ。

 ちなみに5歳から一人部屋で寝るんだって…
 紅輝はお義母さんの事もあったから、お義父さんが出来るまでは同じ部屋で寝食を共にしていたんだって。

 17歳になると、このマンションの一室を与えられて一人暮らしを始める事になる。
 紅輝は15歳に一人暮らしを始めたらしい。でも、大体17歳に一人暮らしなんだって。柊の下の階に引っ越す事になる。
蓮は政夜の下になり、翡翠は蓮の下の階になる。

 成人すると、庇護鬼でなければ、どこに行っても良いらしい。庇護鬼は従っている鬼の近くで生活をするのが通例。
 まぁ、従っている鬼が許可を出せば引っ越しても大丈夫だが、皆、このマンションが気に入っているらしく、引っ越しは要らないとの事…

 ここで新事実…紅輝に紋章を捧げている鬼が紅輝に呼ばれると、場所とか関係なく召喚されるんだって…
 夏樹も言っていた。
 立っている場所に何の前触れもなく紅輝の紋章が浮かび、1回だけ強く光り、光が収まったら紅輝の所に飛ばされているらしい。

 紅輝自身、何でそうなるのかは分かっていないようだ…
 庇護鬼を従えている夏樹たちも分かっていないから何とも言えない…


 例え引っ越しても部屋はそのまま残しておくのも可能なので、好きな時にこのマンションに帰ってくる事が出来る。
 掃除は定期的に自分でするか業者を手配するかして維持する必要があるだけ…






 
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●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
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●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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