56 / 88
鬼の花嫁―本編―
KOUKI side.09
しおりを挟む発情期も終わり、3週間くらいたった頃…いつきのフェロモンに違和感を感じ始めた。
他の庇護鬼たちは気づかない程度のものだった。
最初は微々たるもので、『勘違い?』やら『思い違いか?』と首を傾げる程度…
それから更に日が経ち、今までずっと、毎日抱き締めていたので、いつきの体温は低いと認識していたが―…ここ最近いつきの体温がいつもより高い気がしていた。
「身体がダルいとか身体が熱いとか無いか?」
そういつきに問うが…
「え?何で?元気だよ?」
なんて不思議そうな顔をして俺を見上げてくる。
自分の身体の事なのに、まるで分かっていない様子で『きょとん』としている…
その可愛い姿に襲いたくなったが、いつきの首もとに顔を埋めて深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
やはり、フェロモンの違和感が強くなっている…
その後も、いつきの様子を注意深く見つつ日常を送っていた。庇護鬼たちにも事情を話しておいたので、椿や柊、咲哉、葉月は特に気をつけてくれている。
やはり、4人ともいつきのフェロモンには首を傾げているし、分からないとの事…俺自体、決定的な何かが分かったわけではなかった。
でも、俺は何となく心当たりというか、疑っている―…
『いつき…お前、もしかしたら妊娠しているのではないか?』と…
いつきの様子には全く変わりはなかったが…フェロモンは如実に語っている…
違和感を…
★
卒業式の日が1ヶ月を切った頃…俺の庇護鬼にも分かるくらいフェロモンに変化がみられたので、翼を呼ぶことにした。
何が何だか状況を理解していない、いつきを見て妊娠しているであろう事を告げるとポカンとしている。
徐々に目を見開き驚愕の表情に変わった。その表情の変化も可愛いらしい…
そして、翼の勧めもあり鬼関係専門の医療機関へ行く事となり、いつきの妊娠が確定した。
『番と嫁の健康管理帳』なるものを渡されて記載することになった…
心配そうに俺を見ているいつきの視線に気がつく。安心させるために頷いた。
取り敢えず、家に帰ると今後の事について話す。手始めに家事全般は俺が担う事を言うと不満気な顔をしていたが、もう、1人の身体ではないからとムリヤリ納得してもらった。
適度な体操とストレッチには付き合った。その後のマッサージとかも忘れない。食事の内容も体温や血圧、体重の変化も漏れ無く記入漏れなく記載していく。
いつきからすればやり過ぎだろうと思っていても可笑しくはないが、それほどまでに鬼との間に子どもは出来にくい。
かなり貴重で重宝しなくてはならない存在。避けられる危険は避けるにこしたことはない。
ストレスにならないように適度に外へ連れ出し散歩もしているし、いつきのフェロモンも安定しているし、お腹の子のフェロモンも安定している。
一応、政義と氷夜にはいつきの妊娠の事を話しておいた。少し驚いた事に政義は知っていたようで、『あ~…アレか、力か』と納得していると…違った。いつきが連絡を取っていたようだ…
いつの間に?とも思ったが、いつきと政義は凄く仲が良い。たまに、妬きそうになるくらいには、な…
そして、俺の提案もあり、2人ともいつきの卒業式に合わせてこっちに来る事になった。
春風にはいつき本人から直接言いたいのだろう。電話で話はしていないようで、会えないかどうかの確認しているが…あちらも何やらバタバタしているみたいだ。
理由は言うまでもなく妊娠しているからなんだろうけど…どうせ夏樹が部屋から出さないからだろう。
この分だと暫く会うことは出来ないだろうな…
俺でもここまではしないが―…春風も享受しているので…口出すことでもない…
電話の後、いつきがいつも見せる残念そうな顔を見て少し考える…
どうにかしてやるか…と夏樹に連絡を取っておいた。
★
そして―…卒業式当日、政義と氷夜、春風と夏樹が揃っていた。
そこでいつきは自分の妊娠を改めて報告しており、さらに春風も妊娠している事を知る。
お互いに喜びあっている姿を見て和んでいると…夏樹と氷夜に引っ張られた…
「お前も父になるのか」
なんて言って感慨深そうに頷いている氷夜。
夏樹も何かニヤニヤとしている。
「身体の相性良かったんだな。標準より華奢なんだから気を付けてやれよ~」
なんて言って頭を叩いて来たので、監禁男に言われたくねーよ。という思いを込めて足を踏みつけてやった。
その後も時折、政義と氷夜はいつきの様子を見に来てくれている。いつきも良い感じに気晴らしを出来ているようなので安心した。
野菜や果物も持ってきてくれたりして、いつきも喜んでいるので俺も嬉しい。
そして、春風は夏樹によってまた軟禁状態になっているようだ。しかも、自分の庇護鬼を使って嫁を近づけさせない徹底ぶり…
椿と柊も呆れているが―…
夏樹の血が入っているので…お前らも予備軍だ。という言葉は飲み込んでおいた。
いつきのお腹も徐々に大きくなりつつある。順調に子どもが育っている証拠だ。
優しい顔をしてお腹を撫でる事が増えた。俺の方を見てフワリと笑むその顔は母親そのものだった。
寝るときもちゃんとお腹に気をつけているし、いつきの体勢も少し変えたりしている。
体調にもムラがあるが…悪阻で吐いたりという事はない。
多少、熱が出て、食欲が落ちたり、暴食したりとその時々で違う。
一応、その調整もしているけどな…そのお陰か体重に変化はなく良好状態だ。
定期的な検診の時に凄く褒められたくらいだ。
夏樹に電話で自慢してやったら、舌打ちされたのは記憶に新しい…
夏樹も一応、基準的には合格ラインみたいだけどな…
★
その後も颯が訪ねてきたり、葉月も来たり、恭介や政も来たりと良い気分転換になっている。まぁ、颯と葉月はお互いに真逆の報告に来ただけだったけどな…
颯は一時的に庇護鬼の任務から外れた。
葉月は元番を施設に放り出し、しかも、番ってはいないようだが、番にしたい相手が出来たとか…
珍しい事もあるものだと吃驚したが…何か心の変化があったらしい。
逆に颯は番を迎える準備を整えたようだ。その上、妊娠しいるという…その事実に驚いたものの良かったと安堵した。
いつきも驚いていたが…
「舞さんの所と颯の所と同級生になるね!」
なんて言って喜んでいたので俺も「良かったな」と頭を撫でて抱き締めてしまったのは仕方ないと思う。
いや、寧ろ、抱き締めただけにとどまった事を褒めてほしいくらいだな…
*
0
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
*
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
*
お気に入りに追加
993
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺にとってはあなたが運命でした
ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会
βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂
彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。
その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。
それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる