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鬼の花嫁―本編―
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しおりを挟む文化祭当日、1日目はクラスの出し物で、まずまずの出だしだった。
椿を始め咲哉までイケメン揃いなので客寄せパンダに持ってこいの物件だ。
「いや~、結構お客さん来てるね~」
「いつき様疲れていませんか?」
「僕は大丈夫だよ。咲哉も疲れてない?」
「えぇ。大丈夫ですよ。」
今、僕たちは受付で教室前に居る。椿と柊は驚かせ役で中に居る。
結構な頻度で悲鳴が聞こえてくるので、それなりに楽しんでいるようだ。
「如月!休憩だって!」という小幸の声に2人が反応した。
「いつき様、本当に2人で大丈夫ですか?」
「それな。」
いつの間に葉月と交代したのか椿が咲哉のとなりで頷いている。
「いつき様には申し訳ないと思いますが―…言わせて頂きますね。」少し申し訳なさそうに僕を見た咲哉が再度口を開く。
「小幸は信用できません。」というストレートすぎる言葉にフリーズしてしまった。
「申し訳ないんですけど俺も同じ意見ね。」多分、他の庇護鬼も同じ意見だと思いますけど。なんて言いながら椿は頭を掻いている。
そう言っている間に柊と葉月も姿を現した。
その場に4人が勢揃いしたことによって凄い事になってしまった。特にΩの視線が痛い…
「で、でも…良くしてくれてるよ?」
そう言って小幸を庇う僕に対して葉月は微かに目を細めてこちらを見る…
「ん~…何て言ったら良いのかな~」
なんてちょっと演技がかったわざとらしい素振りを見せ、言葉を探すような仕草をする。
『分からないのか?』と言いたげな声音である。
「何か周りを煽っているようにしか見えない。」
「あー、それ!俺もそれを言いたかったの!柊が言った通りだよ!いつき様!」
「付け足すならば―…Ωを焚き付けていつき様に危害を加えようとしているように思えて仕方ありません。」
紅輝も警戒しています。なんて言うものだから、どうして良いのか分からなくなった。
皆、僕を心配して言っているのが分かるので、邪険に扱う事も出来ない。
「で、でも…初めて出来た友だちだし…約束もしてるし…」
困り果ててモゴモゴしている。すると、葉月の視線に冷たさが混じり始めた。それを感じて居心地の悪さを感じている時だった。第三者の声が増えたのは…
「何を騒いでる?」
「あ、紅輝~、よく許可、出したね~」
「仕方ないだろ。俺だって本当は嫌だったんだ。」
なんて凄く感情が入った紅輝の台詞。流石にヤバいと感じたのか椿が小幸をチラリと見た後、話題を変えた。
「父さんたちはマンションの警護?」
「あぁ、そうだ。陽穂の庇護鬼が思いの外、多いからな。念のためにマンションに残しているし、夏樹とかの庇護鬼も待機している。」
「ま、一応、俺たちの庇護鬼も学校とマンションに1人ずつ待機させてるしね~」
紅輝がこの場に揃ってしまった事でさっきよりも注目を浴びることになってしまった。
「いつき…行きたいんだろ?」
「う、うん。でも、本当に良いの?」
「約束は覚えてるな?」
「うん。覚えてるよ!」
紅輝は僕を見て頷くと「よし、行ってこい」と背中を押してくれた。
★
背中を押されるまま小幸と合流した。小幸はニヤニヤしながら離れた所でこちらを見ていたようだ。
「よく来れたね~凄い騒ぎになってるよ」
「う、うん。皆凄く心配してて…」
「愛されてるね~」
神木先輩も如月の意見は尊重するのね。溺愛っぷりが凄いね。なんて騒ぐものだからいたたまれない…曖昧に笑うことしか出来なかった。
多分、あの会話は聞こえていたはずなんだけど、気まずさを感じさせない小幸に違和感を覚えた。
悶々と考え込んで居たのが悪かったのか、知らぬ間に小幸と共に人気の少ない所へ来ていた。
咄嗟にヤバいと思って小幸に引き返そうと言う前に影から数人の人が出てきた。
「あれ?神木先輩の番様じゃないの?」
「本当だ。何でこんな所に居るの?」
「何か狙われてるんでしょ?危ないよ?」
「ここは人通りが少ないから長居はしない方が良いかもね。」
恐らくβとΩの生徒だ。きょとんとしてこちらを見ている。てっきり罵倒されるのかと思いきや…そうでもない言葉に驚いた。
「あ、ちょっと驚いてるでしょ?」
「まぁ、仕方ないね。私たちはそういうの、どうでも良いけど…やっかみはあるもんね。」
「ちなみに私たちは葉月君に『こっちの校舎は人通りも無いしゆっくり出来るよ』って教えてもらったからここにいたんだからね。」
「確かにゆっくり出来たよね。」
快適だった。と笑っていたが何かに気づいたのか、『おや~?』といったような表情になった。
「私たちが来たあとΩ集団来たよね。」
「あぁ、あのΩ集団?あれも相当ヤバかったね。」
「鬼の番に危害を加えようとしてたしね。」
鬼の恐さ知らないのかなー。なんて和気あいあいとしていたが、何か思うところがあったのか…再びこちらを向いた。
「あれ?でも、タイミング的に神木先輩の番様狙いじゃない?」
「あー…本当だ。言われてみれば…そうだね。」
女子生徒たち会話がどんどん進んでいく…そして、その1人がが小幸を見ると怪訝な顔をした。恐らく彼女はΩだろう。
「あれ?貴女…嫁を解消されてない?されてるよね?」
「っ…」
Ωの子の言葉に小幸は息を飲む。聞き慣れぬ単語だったのか他の女子が『何それ』と疑問符を浮かべている。
「直訳すれば―…鬼に捨てられた花嫁ってところ?伴侶は必ず相手の鬼の紋章が入った物をその身に着けてるの…神木先輩の番様なら―…首の保護具がそうだよ。あ、ちなみに私は嫁だから保護具は要らないよ。」
そう言ってこちらを見て笑った。
「ちなみに私はこれね。」と袖を少し上げるときれいなブレスレットを見せてくれた。
「見える場所か直ぐに見せれる場所に着用する義務があるの。神木先輩の番様は嫁も居ないし、1人だから知らなくても仕方ないけど―…そちらは知っているはずだよね?」
そう言ったΩの女の子は鬼の嫁だと判明した。そして、その目は小幸を推し測ろうとしているようだ。
*
1
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
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**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
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●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
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