鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

26*

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 暫く紅輝と話をしたり横になってじゃれついたりしていると息が上がり始めた。
 抑制されていた発情が振り返し始めたのだ。
 紅輝は時計を確認すると僕を見て大丈夫だというふうに頭を1回撫でると首に顔を近付けてきて紋章に強く吸い付いた。

 「ぁあっ…」
 「足、開いて?」

 紋章に吸い付かれた事が引き金になったのか一気に発情した僕は紅輝の甘い声で囁いてきた大胆なお強請りに従順に従った。
 手で身体を支えてM字で足を開いて紅輝の前に座っている状態だ。
 紅輝が近づいてきて、僕の顔を覗き込むと角度を変えながらキスをする。
 最初は啄むだけの軽いキス。徐々に深く口付けてきて、手は既にシャツの下から胸を弄り始めている。

 「んん…はぁ…んっんん…ふぁ…ん…」

 紅輝は僕の表情を見ながら攻め立ててくる。微かに残った羞恥心で理性を掻き集めて顔を隠そうとした瞬間、突然ナカに指が入ってきた。

 掻き混ぜられるたびに『ぐちゅぐちゅ、ぬちゃぬちゃ』と秘部からやらしい水音がしており、お尻を伝って愛液が止めどなく滴り落ちてシーツに溜まりを作っている。

 「んぁあっ!やら!な、なにぃ…んん…」
 「顔、見せて?いつきの可愛い顔をもっと見せて?」

 驚いて跳ねた僕の身体を優しく撫でながら、欲情している表情を浮かべて、耳元に近づくと低く掠れた声で囁いた。
 それは酷く危険な甘い声音だった…

 「あっ、あぁ…んん…こぉき、っあぁ!」
 「そのまま素直に感じてろ」
 「あぁっ!っ…んん…な、なんか…おかひぃ!ぁあっ…」
 「おかしくない…凄く可愛い。他の誰よりも、っ…いつきは魅力的だ。こんなにも俺を、俺だけを求めるお前を愛さずにはいられないほどに、な」
 「あっ!ひっ…ぁああー!」

 耳元で囁いた紅輝は切なげに僕を見つめて微笑むと、首もとに顔を寄せて、紋章に甘噛しながら強く吸い付き、僕の中のイイところを激しく的確に指で掻き混ぜ蹂躙した。
 呆気なくイった僕は止まらない紅輝の指によって透明な液体まで吹き出してしまった。

 盛大に紅輝の服と紅輝の身体を汚した僕は罪悪感からか、もしくは僕の体液・・・・で汚れている紅輝の姿を目の当たりにして興奮したのかは分からないが、身体の奥底からの得体の知れない熱に身体が震えた。
 紅輝とは何度も身体を重ねてきたがこの感覚は初めてだった。

 「んっ、んっ、んん…こぉきぃ!おくぅ…んん…はぁ…やぁ」
 「奥がどうした?」
 「おく、がぁ…んっ…おかひぃ、のぉっ…」
 「どうおかしい?俺には盛大にヨガってくれているようにしか見えないんだが?」
 「わ、わかんっ…ない、ふぅ…んん…あっ!」
 「……」
 「こぉき!っ…ぁ…あっ!ひぁああ!っ…んん」

 紅輝の視線が不意に僕から外れて鋭いものに変わった。窓の方を見ている。直後、外が騒がしくなる。
 一気に理性が戻り始め、紅輝から視線を外して窓を見た。何が何だか分からなくなって紅輝に何事かと聞く前に僕の方に視線が戻ってきていた紅輝のその瞳は鮮やかな黄金に染まっていた。

 「いつき…」
 「こぉき?」

 僕の名前を呟くと紅輝は軽く首を振り、目を閉じて顔を下げると首もとで匂いを嗅ぐ仕草を見せると、深く息をついた。
 不安になって僕も紅輝を呼んだが―…顔を上げた時にはいつものルビーのようなきれいな目に戻っていた。

 「何でもない…今は俺だけを感じてろ。他の何も見るな!気をとられないでくれ」
 「こ、ぉき…っ…あっ!んっ…んん…はぁ…んっんん」

 その声は懇願に近いような気がした。紅輝は僕の思考の全てを持っていく勢いで深く口付けて、優しくだけど、やや強引に愛撫を再開させる。
 痛くはないけれど、その姿が何だか捨てられた子どもの用で、切なくなる。

 「くそっ…もっと優しくしたいのに」という紅輝の言葉はちゃんと僕に届いた。夏樹の言っていた感覚はこれか…と呟き、再び奥に指を突き入れ、ぐちゃぐちゃにした後、そっと指を抜くと紅輝の指には当たり前だが僕の愛液がべったり付着している。

 その愛液を舐めとると僕の身体をひっくり返して、顔を伏せていき僕の後ろを今度は舌を使って解かしていく。
 外は相変わらず騒がしかった。快楽に溺れきれない僕に気がついているのだろう紅輝は許さないと言わんばかりに僕の前も手で扱い始める。

 「んぁあっ!あっ、あっ!んっんん…ひ、ぁあっ!」
 「っ…」
 「んっ…んっんん…はぁ…んっ、んっ…やらぁっ!」

 呆気なく舌と手でイかされた。紅輝が顔をあげると口の周りは僕の愛液でべたべたに濡れている。紅輝はそれを乱暴に拭うと、僕を仰向けに組み敷いて、深く口付けてきた。

 「いつき…」
 「おかひぃ!んぁあっ…おかひくなるぅぁあー!」
 「今はおかしくなってろ、俺だけ感じてろ。いつき…愛してる…っ…俺を愛して…いつき…」


 僕は息を整える間も無く、紋章に強く噛みついた瞬間、一気に紅輝自身に貫かれた。
 その衝撃でまた何度目かの白濁を飛ばす。

 何かを言っていた気がしたが、最早その声は僕には届かなかった。
 目の前に居る紅輝にしがみついて、嬌声を上げて喘ぐことしか出来なくなって、頭を振り乱して何度もイった。

 次第に声も出なくなって、声にならない嬌声を上げながらイってイってイきまくった。
 それでもまだ、止まらない紅輝の腰は僕の中を深く抉って貫いて掻き乱した。

 だらしなく口を開いて口から滴り落ちる唾液にすら気づかなくなって涙もたくさん流して、僕も腰を振り紅輝を求め続けた。
 もう、殆んど最後の方なんて何も覚えてはいない。



 再び意識を取り戻すと紅輝は僕を抱き締めて寝ていた。
 ただ、いつもと違ったのは僕の身体が汚れたままだった事、シーツも愛液なのか精液なのか分からない体液でぐちゃぐちゃに濡れており、不快な滑りがある。
 少し力むと秘部からナニかが流れ出てくるような感覚がある。

 声を出すと、掠れてはいるが、なんとか紅輝を呼ぶ声が出た。
 まぁ、直ぐに咳き込んでしまったんだけれど…

 紅輝は直ぐに目を覚ますと僕を一見し抱き起こして水を飲ませてくれた。いつもなら少し腕も上がるのだが全く上がらない。それどころか紅輝の支えを無くすと危なげに転がりそうだった。
 しかも、久々に感じた…あらぬ場所への痛み…
 そして、僕の後ろから流れ出る白濁の感覚を………

 抑制剤は服用していたが、今回、避妊具をつけていなかった事を知った。いつも、避妊具をしてくれているのに珍しい事もあるものだと思っていると…目覚めてから1回も声を聞いていないことに気づく。

 「紅輝?」

 一言も喋らない紅輝に不安になる。億劫だが、なんとか顔を上げてみると何か凄く落ち込んでる?傷ついている?といったような複雑な表情を浮かべている紅輝と視線が絡んだ。

 「紅輝?どうしたの?辛そうだよ?何かあったの?」
 「怒ってないのか?」
 「怒る?紅輝は何かに怒ってるの?」
 「違う。俺じゃなくて…いつき、お前が」
 「僕?別に怒る理由もないんだけど…」

 質問の意味が分からず「うーん、うーん」唸っていると、紅輝は僕を抱き締めて優しく身体を撫でる。
 紅輝の身体からは汗と行為セックスの他に紅輝自身のフェロモンであろう甘い匂いがした。
 まぁ、匂いがどちらの身体から漂ってきているのかは正直、分からない。

 「俺、いつきの中に出したんだぞ…しかも、許可なくな。俺、決めてたんだよ。」
 「決めてた?何を決めてたの?」
 「種付けするのはいつきの合意があってからって…」

 たったあれだけの事・・・・・・で理性を飛ばすとか…俺、何やってるんだ。と凄く自己嫌悪に陥っている。
 何か叱られた子どもみたいで凄く可愛く見えてしまって、思わず笑ってしまった。

 途端に怪訝そうな顔。僕が、僕だけが紅輝にそんな顔をさせているのだと思うと優越感に近い愛おしさも感じる。
 こんな僕は嫌なやつだと嫌われてしまうだろうか?

 「怒ってないよ。あれだけの事・・・・・・って何?」
 「……………教えたくない…」

 そう言って気疲れしたような表情を浮かべている。
 僕が怒ってない事に安心はしたが、荒れた理由を僕に教えるという事は気が滅入るといったところだろうか…

 「紅輝…」教えてくれという意味合いを込めて見つめていると…諦めたように溜め息をついて口を開いた。

 発情中に騒がしかったのは陽穂ようすいの所の庇護鬼が来ていたらしく、外で軽く乱闘騒ぎがあったらしい。
 邪魔されて凄くイラついて今にでも潰してやりたいと思もあったが、つがいと離れたくないという強い思いもあって、いつきを選んだんだって。

 その際、僕があちらに気を取られるものだから焦ったんだって。
 このまま、俺の目の前から消えてしまうんじゃないかと。
 有り得ない。僕が紅輝から離れるなんて有り得ないのに…


 紅輝は僕の様子を見ながらではあるが、お風呂へ連れていってくれた。






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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


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