鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

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 翌日、小幸から質問攻めにあった。その際、心配かけた事も詫びた。事のあらましも一通り話して、午後からの授業を受けられなかったので、ノートも借りて写した。

 よめたちからの視線も相変わらずだった。そして、変わった事といったら、学校では庇護鬼が必ず近くに控えている。椿や柊はもちろん、颯や夏樹も近くにいる。紅輝も近くにいると思うけれど、全く気配とかもないし姿も見かけないから分からない。

 でも、呼べば直ぐに来てくれる…あまりにも気配とか感じなくて不安で呼んだことがあるんだ。そしたら直ぐに現れたので、近くにいると考えて大丈夫だろう。

 紅輝は僕の高校生活を邪魔したくないようで、余程じゃないと出てこないみたいだ。
 「俺がいると、いつきが気を遣ってしまうだろ?」と言われた。
 でも、僕は紅輝とも高校生活を楽しく過ごしたいと思っているんだけど…とそれを言ったら紅輝は一瞬、嬉しそうな表情を浮かべたが、直ぐに苦笑いに変わった。

 「そんなこと言われたら四六時中引っ付いていたくなるし、周りのやつら全員を威嚇してしまうだろう。そうすれば、いつきは友だちが出来なくなって困るぞ」と苦笑いしながら言われてしまったので黙った。

 その言葉通り家では四六時中引っ付いている。トイレ以外はずっと一緒だ。僕も嫌じゃないので大人しく腕の中におさまっている。

 まぁ、あれから、紅輝の父は接触してきてない。家が瓦礫になったのでそれどころじゃないみたい。相当やったと聞いている。

 陽穂ようすいに従っている庇護鬼も数名、病院送りにしたらしく…
 あれから約半年経ってる今でもまだ、鬼の回復力でも、回復しきれていないらしい。それを聞いて戦慄せんりつした。



 そして、いろいろとあったけど、そろそろ2度目の発情期をむかえそうなので今日から15日間の休学届けを出した。紅輝も傍にいる。
 朝からせかせかと動いてくれている。妊婦じゃないんだからと苦笑いしたら何か怒られた。そういう問題じゃないんだとか…

 今日も朝から来客があったが全て紅輝が対応して玄関で済ませてしまった。舞さんや夏樹、颯も玄関までで帰っていく「上がらないの?」と聞いたが皆、首を振って帰ってしまった。

 持ってきた袋や段ボールの中身は食材やら発情期の時に使用するものであろうもの…シーツの替えなどが入っていた。
 
「発情期間近のつがいがいる部屋には誰も入らないし、入れない。もし、入ったヤツがいたなら―…それは死にたいヤツだけだ。」とさも当然といった顔で言ってのけた。

 鬼の常識らしい。例え緊急であっても外からしか紅輝に声をかけないらしい。もしくはスマホで連絡を取り合うのだとか。
 連絡を取り合ったとしても、指示などは出すが、部屋からは出ないらしい。

 舞さんが発情期の時も皆、入らないようだ。紅輝も夏樹に頼み事をしないと言っていた。
 他の庇護鬼のつがいが発情期になった時とかも同じ扱いになるので、戦力外になるんだって。
 緊急でもその鬼は召集しないらしく後日改めて「こんな事があった」的な報告はするようだ。

 その点、よめの発情期は配慮をあまりしないらしい。緊急なら召集かけると言っていた。
 少し可哀想に思うのがよめである。つがいが発情期に入ったら庇護鬼を付けて外に放り出すらしい。
 その際、ちゃんと部屋は取ってあるので心配いらないんだと。
 ちょっと複雑である。
 
 よめの発情期ならつがいはもちろんだが、発情期じゃないよめも部屋にいるらしい。

 世話も鬼自身はやらない事の方が多いのだと言っていた。
 他のよめが風呂にも入れて、シーツを替えるのとかも殆ど全部やるらしい。
 つがいはほぼ指示するだけ。よめの人数が少ないと手伝ったりするんだって。
 よめの発情期の時に鬼が部屋から一歩も出ないとかもあり得ないし、何よりつがいを部屋の外へ放り出す事が一番あり得ないんだとか……

 つがいの発情期は鬼がずっと付きっきりで世話をして、部屋から一歩も出ないし、誰も近づけさせないと言っていた。
 発情期間に必要な物があったら自分の庇護鬼を使って買い物をしてきてもらうけど、受け渡しとかは全て玄関の外でするんだと…

 紅輝はもちろんだけど、他の庇護鬼の誰に聞いても同じ答えが返ってきた。

 よめも大切にはするが、つがいとは度合いが全く異なるんだって。
 発情期のつがいを見られたら相手を殺さずにはいられない衝動に襲われるらしい。

 つがいよめの差らしい……発情期にその差が如実に現れる。
 
 それが分かっているから今までつがいの発情期に部屋へ入ってきた鬼は誰もいないと言っていた。庇護鬼以外の全ての鬼もだそうだ。

 僕の場合、まだ完全に発情期には入っていないので、玄関まではギリギリ許容範囲だったらしく。僕も舞さんとかに会わせてもらえたということだ…
 多分、もうすぐ発情期が終わるまで誰にも会わせてくれなくなるだろう。



 紅輝はまだ、動けるのにいつも以上に甘やかしてくる。移動するときは必ず抱っこ移動。これ、絶対。
 ご飯も3食全部、紅輝が作っている。
 僕は近くにいるけど危なくない場所に椅子を置いて座っており、その作る姿を見てキュンキュンして密かに悶えているのは秘密だ。

 ちなみに全て紅輝が食べさせてくれている。食べるときは紅輝の片膝の上に紅輝の方へ身体を向けて座らされている。
 凄く甘い表情で僕を見るので、近くに居るのは嬉しいのだけど、凄く恥ずかしかったりする。

 この期間の定位置のようだ。その上、スープとかも熱すぎないように絶妙な加減で冷ましてからくれるので、火傷もしないし丁度よい加減なのが凄いと思う。

 その他にも洗濯や掃除も全部してくれている。
 何も出来ない子になっちゃいそうで怖い……

 紅輝が嬉しそうにいろいろとやってくれるものだから何も言えない…
 普段の時は少し分担しているけど、発情期中と前後の15日間は全ての役割を免除されるらしい。やろうとしたら困ったように怒られた。

 紅輝曰く発情期中はもちろんたが、発情期前後も何が起こるか分からない。ということらしい。
 だから僕はその期間中は何もしなくて良いと、その場に居てくれるだけで十分、役割を果たしていると凄く良い笑顔で言われたら黙って大人しくするしかない。


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●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
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●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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