鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

12*

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 夕飯を堪能した後、窓際の座椅子に座った紅輝に跨がるように向かい合わせで座らされている。その手招きに従うとこの体勢になった。
 小柄な僕は紅輝の上に座っても視線が紅輝より上になることはない。跨がるように膝立ちすれば目線が少しだけ紅輝より上になる。

 覆い被さるように抱きすくめられている。紅輝の体温を感じているだけなのに、先程から燻っていた欲望の熱が頭をもたげ始めた。

 紅輝は分かっているのかいないのか、時折僕に刻まれている紋章の場所に顔を寄せて匂いを嗅ぐような仕草をしている。
 時折キスまでしてくるので身体がひくん、ひくんと反応してしまう。

 「フェロモンが濃くなってきたな」なんて嬉しそうに言うから『あ…、分かってやってるヤツだ』と確信する。
 紋章の辺りは紅輝に触られれば刺激の強い性感帯になる。
 声が出そうなのを我慢している僕の事を観察しながら悪戯な笑みを浮かべ楽しそうに紋章にキスしてくる。

 紋章以外触れられていないのに僕の息は一層熱く淫らになっていく。
 鼻から甘い息が漏れた時、紅輝が痛くはないが少し強めに紋章に噛みついて深く口付けるようなキスをする。首もとというのが酷くもどかしい。
 僕でも自覚するほど甘く熱をもった艶かしい声が我慢出来ずに口から漏れ出た。

「ぁ…ん…はぁ…」
「可愛い。もっと見せて?」

 耳元でそう囁いた紅輝はするりと片手を浴衣の袖から服の中に滑り込ませて来た。

 こんな所でダメだと思うのに口からは誘っているような声しか出ない。服の中に入ってる手がやらしい動きをしている。
 その動きに合わせて淫らにやらしく腰が動くのだ。
 まるで誘っているかのように…

 先程から身体に直接は触れてくるけど、口にキスをしてくれない…その事が凄く寂しい。

 酷くもどかしい気持ちで紅輝を見ていると。その視線に気がついているのだろう紅輝はフッと笑うと、痛くない力加減で僕の浴衣の帯を緩めた。

 帯が身頃を引っかけているので気持ち程度に下半身が隠れている。上に至っては紅輝が手を滑り込ませた方とは逆側が完全にはだけていて、肩からお腹までの半身がきれいに見えている。

 中途半端に脱がして満足したのか、紅輝が少し顔をずらし、僕の顔を見たので自然と視線が絡む。
 だが、僕の視線は直ぐに紅輝の唇に釘付けになる。
 キスして欲しいと強請ねだってしまおうかとも思ったが欠片ほど残った理性が邪魔をする。

「こぉきぃ…」

 自分で呼んでおきながら、気持ち悪いくらい甘ったるい声で紅輝の名前を呼んでしまった。
 紅輝は僕がして欲しいことが分かってるクセに分かってないような顔をする。意地悪だ。
 その間も愛撫は止めないので、理性がだんだん崩れていく。

「何だ?物欲しそうな顔をして。我慢できなくなるだろう?」

 まぁ、する気もないけど。何て言いながら妖艶な笑みを浮かべた。

「お、ねがぁい…んっ…はぁ…いじわるっしないでぇ…っキ、スしてぇ…やぁ…んっ…」

 我慢できずにお強請りした。出た声は甘ったるく、懇願に近かった。
 直後、呼吸さえ奪っていきそうな勢いで激しくて深いキスをくれた。

 紅輝の呼吸もいつもより熱くて荒い。その事実が嬉しくて気づけば自分から紅輝の首に抱きつき、舌を絡めにいっていた。
 紅輝の見よう見まねではあるが、慣れていないのでちゃんと気持ち良いのかは分からない。

 僕のしたいようにさせてくれている。紅輝は袖から侵入している手でそのまま僕の肩をしっかり抱き寄せ、その逆の手はゆっくり焦らすようにしたへとげていく。

 辿り着いたのは脚の付け根。中心部は既に濡れており、特有の滑りがある。
 足に被さっているだけの身頃の片方をたくし上げた。さらに乱れて、はだけた部分から僕の下着が見えるようになった。

 下着を脱がすのかと思って腰を上げようとしたが、上げるより先に隙間から長い指が入ってきて、躊躇ためらいなく後ろの浅いところに中指を挿れて、指の抜き挿しを始める。

 「ん…っ…まって…まってぇ…んぁ…っ!」

 その突然の刺激にぎょっとして腰を浮かそうとしたが紅輝の手がガッチリ僕の肩に回っているのでピクリともしなかった。

 それどころか「下着なら余分に入れてるから心配ない」なんて言ってくる始末…

 そっちの心配じゃない!という言葉は紅輝の口の中に消えた。直後、紅輝の指の本数が増え、中に入っている指はバラバラに動かされ、その指に翻弄されている。

 「ひっ…ん、ぁあっ!」

 凄く強い快楽に思わず顔を背けて縋り付くように抱き付いた。
グチュグチュと音を立てながら中を掻き回すようにイイところを刺激する。

 イヤイヤと首を振ることしかできず、開いたままの口から唾液が流れ出ているが拭く余裕もない。
 紅輝は僕の唾液を舐めとり、そのままの流れでキスをして容赦なく口内を蹂躙じゅうりんする。
 後ろをまさぐっている紅輝の指は知らない間に増えており、それを美味しそうに咥え込んでいる。

 既に準備万端で愛液で濡れきっているソコは今か今かと紅輝のモノを凄く欲して待っている。
 熱くて硬いモノで早く貫いて欲しいとヒクヒクしている。

「こ、うきぃ…ほしぃ…」

早く挿れてくれと腰を揺らして誘う。

 「っ…ん…はぁ…もう少し待て。俺も早くいつきの中に挿れたいの、っ…我慢してるんだ。」
 「が、まん…っ…し、しなくて…っいいからぁ…ぁあ!」

 お願い挿れて!挿れて!と懇願していると紅輝の喉がゴクリと鳴った。

 「一回、イっとけ!」
 「やらぁ…こうきと…ふぁ…いっしょが…ぁあっ…いいの、にぃ…」
 「…ぁ、やばっ…くっ…」

 紅輝は奥歯をギリッと噛み締め何かに耐えるような顔をしているが、僕を攻め立てる手は止まるどころか激しさを増す。
 イヤイヤと首を振り快楽に抗おうとするが無駄な抵抗に終わる。呆気なく下着の中に白濁を吐き出した。

 「ひっ…ぁあああ!!」

 目の前がチカチカと点滅して頭の中も目の前も真っ白に染まり、後ろが更に熱を帯びてうねるようにヒクついているのが分かった。

 息を整えている。下着が自身に張り付いてソコが生暖かいような何とも言い難い不快感に襲われた。
 愛液は白濁と混じり合いながら下着の間を流れ出て紅輝の浴衣を濡らし、濁った溜まりをつくっている。
 足が少し擦れただけで『ぬちゃぬちゃ』とやらしい音がする。

 「いつきが可愛すぎて挿れてもいないのにイクところだった。」

 危なかったと言って僕の目尻から流れた涙を舐め取った。

「んぁ…はぁ…はぁ…やぁ…」

 紅輝が少し身動みじろぐだけでやらしい吐息が漏れる。
 下着の中がぐちゃぐちゃだ。気持ち悪いし、挿れやすいように脱いでしまおうかと腰を上げた瞬間、あろうことか紅輝は脱がずに下腹部の身頃を寛げただけで自身を取り出すと、下着の隙間から己をムリヤリ捩じ込み一気に奥まで貫いてきたのだ。

 「ぁあああっ…!」

 イった直後の挿入はおかしくなりそうなほど強い快楽を呼び起こした。こんなの拷問だ。

 直後、大きく背中を仰け反らせて紅輝の頭を掻き抱くようにイってしまった。
 同時に精液ではないナニかがペニスから出たが、外に飛び散る事はなく、僕の下着に濃い染みをつくった。身体が痙攣し、ビクビクしている。

 紅輝はイって痙攣している僕の身体へ顔を近づけると、乳首を舐め回し、支えていない方の手で僕のペニスを少し強めに扱った。

 「ひ、ぁあ!…や、んっ…らめぇ!…イってりゅっ…こ、きぃ!あぁっ…イってっ、る…からぁあ!…ひっ…こぉきぃい!…こわれちゃ、っ…んはぁ…こわれ、ちゃうぁああ!」

 悲鳴に近い嬌声が部屋に響く。顔を上げた紅輝と視線が絡む。すると、欲望に揺れていた目が黄金に染まっていく…そして、妖しく煌めいた。

  紅輝は舌舐りをして僕に刻まれている紋章に強く吸い付いた。

 「ん…ぁあっ…ひっ…な、なんかっ…くるのぉ!」

 壊れてしまえ!と言わんばかりの愛撫に今まで以上の強い快楽が襲ってくる。
 程なくして腹の奥底から得たいの知れないナニかが凄いうねりとともに押し寄せた。
 

 
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【禁止次項】
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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