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鬼の花嫁―本編―
07
しおりを挟む僕の本籍を独立させた後、仮の本籍の登録を済ませた後、家族カードというものを発行するために動いていたようだ。
手続きは同じ場所で出来るが、発行するまでに時間がかかるらしい。
家族カードとは『番専用のカード』なので、伴侶にはないものらしい。
「首の紋章以外で紅輝の家族だと証明できるカードだ。」と簡潔に言われた。これだけでは分からないと思ったが、一応、詳しく説明してくれるようだ。
自分の性別や誕生日など番となった日も詳細に記載されており、専用の機器にカードを通せば書き込まれている詳細な情報が閲覧できるみたいだ。ちなみにこのカードで紅輝の事も分かるらしい。
僕がこの鬼の番とはいえ、最高の鬼の情報をこんな雑に扱って良いのか?問題はないのか?と疑問に思って思わず聞いてしまった。
「全く問題ない。別に構わないし、見たければ見ろ。」という事らしい。
「何か勘違いしているな。」と言われてしまった。
「何を?」と聞くと、「俺の情報が他者に見られてソレが露見しようとも弱点にはなり得ない。
唯一、弱点というならば番である"お前"だ。いつきに何かあったらと思うと気が気じゃない」と言い切られたので、顔が赤くなって思わず目を反らしてしまった。
紅輝は僕の頭を撫でながらクスリと笑って、家族カードの説明の続きを話してくれた―…
家族カードには、もう1つ役割がある。
どの手続きをするにしてもカードが無いと、本籍を起こしたりしなくてはならないので手続きが非常に面倒なのだが、このカードですればそういう事をしなくても簡単に済むのだとか。
カードを発行した後の手続きは支部で出来るようになるのだが、初期登録は本部でやらなくてはならなかったらしい。本人である『番』と家族である『鬼』以外はこのカードの使用は出来ないらしい。
そのカードを僕に手渡した。カードは2枚あった。家族カードともう1枚。その謎のカードを手にとって「これは?」と紅輝に見せる。
『神木』に宛がわれている口座のカードらしい。欲しい物があるのならそこから引き落とせとの事。
「使えるものは使っとけ。」という事らしい。ちなみに紅輝自身が所有している口座もあるみたいだ。通帳ごと渡されたが、紅輝自身の口座の方は丁重にお返しした…
通帳の中身が見えてしまったのだ。その残高が高額すぎて目が飛び出そうになり、卒倒しそうになったので、丁重に返上したわけである。
受け取らないので不思議そうな顔をして見てきたが、そんな顔をされても困る。
どうやら紅輝は散財するタイプでもないらしい。頑なに受け取らない理由を聞かれたので、思ったことを言うと諦めてくれたようだが、ちょっと不貞腐れたみたいだ。
渡したものの紅輝自身の口座より神木の口座を選んだのが少し気に入らないらしい。
だが、それも一瞬の事で悪戯を思い付いたよう笑みを浮かべて口を開いた。「俺の口座を選ばなかったんだから、神木のカードは絶対に何があっても返してくるなよ」と釘をさされた。
嫌な予感はしたが、有無を言わさぬ声音だったので神妙に頷く他なかった…
全ての手続きを終えて帰路についた頃に"御披露目"が強行されることを知ったらしい。何でもスマホなんて普段あまり使ったりしないから充電が切れていたのだとか。
それで、慌てて会場に向かうと、不快な雰囲気に気分が低下し苛ついていた。
その上、会場に入ると、紅輝の許可なく"見るからに適当に誂えた"婚礼衣装を僕に着込ませ座らせており、巫山戯るな!と苛立ちが怒りに変わったらしい。
隣に座った後、暫くは威嚇して牽制していたらしい。
Ωには解りにくいが、強行したバカにはダイレクトに伝わったようだ。
騒いでたのが殆ど嫁候補だったので納得である。
首に紋章が刻まれているので余程の事がない限り、ちょっかいをかけてくるバカは居ないとの事。
思い出したら腹が立ってきたのか「いつきを蔑ろにした罪は重い………よし、償ってもらうか。」と言い始めた。
今にも行って血祭りに上げそうな勢いだったので必死で止めた僕をほめてほしい…
★
身体の感覚が戻ってきた頃、紅輝は顔を上げ唐突に「海外挙式にするか?」と言ってきたのだ。
"御披露目"の事を思ったよりも根に持っているようだ。
僕の頭を撫でながら優しい笑みを浮かべて「どうする?」なんて首を傾げながら聞いてくるので、少しむず痒い気持ちになった。
「気持ちは嬉しいけど学校があるよ?僕、行かないと!」と言うと忘れていたと言わんばかりに溜め息をついて「そんなに行きたいのか?行かなくても俺は全然、問題ないと思うが?」と落胆した声で返事が返ってきた。
義務教育なんて殆ど独学みたいなものだったし、しっかり教えてもらえるのなら学びたいという旨を紅輝に伝える。
一瞬、考えたが頷いて「いつきがそこまで言うなら、俺も通う」と返事が来た。『行かなくて良いだろ。』みたいに返ってくると思いきや、そうでもないらしく、僕の意思を尊重してくれるらしい。
「僕に合わせるの面倒なら紅輝は行かなくても良いよ」大変でしょ?と紅輝を見ると首を横に振って否定した。
「俺はお前と一緒に居たいし、それを面倒だとか大変だとか思わない」と言われれば黙るしかない。
不意打ちだ。こんなの狡い。照れてしまい赤くなった顔を見られまいと顔を背けたが、そのまま抱き締められて再びベッドに押し倒されたのはまた別の話………
*
2
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
*
【禁止次項】
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【注意次項】
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