鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

05*

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 マンションに連れて帰られ、そのままベッドに押し倒された。展開が早すぎて正直、ついていけてません。
 ちょっと待ってくださいという間も無く、羽織も着込まされていた着物も剥ぎ取られてしまいベッドの下へ落とされてしまった。なんという手際のよさだ。思わず感服してしまう。

 「待って!待って!」

慌てて静止の声を上げる。それはもう必死に止めた。
 「何だ?」と不承不承ふしょうぶしょうではあったが止まってくれたので、不本意ながらパンツ以外なにも身に付けていない この情けない状態で話をすることになった―…

あの日、あの場に居合わせたのは偶然だったようだ。先代に従っていた鬼たちから強襲され、撃退はしたものの気が立っていたので、高ぶった気持ちを落ち着かせるためにあてもなく彷徨うろついていたらしい。

 暫く歩き回っていると鬼の臭覚が人間には分からない微量なΩオメガのフェロモンを嗅ぎ取り、考えるよりも先に身体が動いてあの場に行き着いたという。
 僕を視界に捉えた瞬間、全身が粟立ち、このΩオメガ以外あり得ない、このΩオメガが欲しいと強く思ったが、同時に初めての感覚だったので戸惑い殺してしまおうかとも思ったらしい。

 最後のは全く嬉しくない話だ、、、

 抱き起こした時に目が合って、このΩオメガは俺の『運命のつがい』だと確信したと言葉を続けた。
 そして、その思いはストンと心に落ちてきて、足りなかった何かが埋まった気がした。早まって殺さなくて良かったと話してくれた。

 確信したその後の行動は早かった、意識を失った僕を宛がわれた部屋に連れ込んでヤることをヤって僕につがいの証を刻んだのだとサラッと教えてくれた。
 『ちょっとそこまで行ってくるわ』のような軽口だった。言葉を失うとはこの事か、と思ったくらいだった。

 全く記憶に無いが、食べやすく消化によい食事を与えてくれていたらしい、生きているのがその証拠だろう。
 流石に悪いと思ったのか避妊薬も飲ませてくれたようだ。
せかせかとお世話をするという想像が全く出来ない男だなと思った。

 もう、どう反応して良いのか分からず、聞き流しそうになったが…
 ハッとして「意識ない時に行為セックスするなんて強姦だ。酷い!」と言った。
 「そうだな。」と普通に頷きながら肯定する返事が返ってきた。
 短い時間に二度も言葉を失う経験をするとは思わなかった。
 少しは悪びれて欲しいと思ったのも仕方ない事だろう。

「結構、いろいろと頑張ったんだ。今は大人しく抱かれてろ。傍に居なかった理由わけも後でゆっくりと話すから」と溜め息混じりにそう言って、ちょっと困ったような笑みを浮かべた。

 紅輝は僕の耳のすぐ横に顔を近づけると耳朶を甘噛しながら、身体を更に密着させてきた。欲を孕んだ熱い息を吐き出しながら甘い声で「もう限界だ」と囁いた。

 押し付けられた紅輝の股間は硬く勃起していた。その熱に驚いて身体がヒクンと反応してしまったので、とぼけたように「何が?」とは聞けなかった。
 真っ赤な顔をして、視線を泳がせていると、その隙を奪うかのように前触れもなく再開される愛撫。

 「っ…やぁ…ぁあっ…」

 それによって強制的に引き起こされる快楽に身体が予想以上に反応してしまい力が抜けた。

 それと比例するかのように自分の声とは思えない甘い声が口から漏れ始める。
 その声を聞いた紅輝は目を細めた後、少し微笑んで今度は少し強めに愛撫を始めた。

 この手をこの感覚を僕は知っている―…漠然とそう感じた…



 本人よりも身体の事を分かっているようで、感じる場所を的確に攻めてくる。
 身悶えしてイヤイヤと首を振るが全く止めてくれない。

 「やぁ…あっ…ぁああっ…」

 御披露目の時先程のキスで半勃ちしていた自身は少しの刺激にも敏感に反応してしまい完全に勃起してしまっており、健気に揺れている。

 パンツは知らぬ間に脱がされていた。ベッドの上には無かった。完全に裸体を晒してしまっているのだ。
 この貧相な身体を紅輝この鬼の眼前に…その事実に熱が顔に集まり羞恥心で涙まで浮かんできた。

 紅輝は妖艶ようえんな笑みを浮かべて涙を舐めとると、既に硬く立ち上がっていた胸についている2つの飾りを手で執拗しつように撫で回し、軽く引っ掻くように弾いたり、時には片方を舌先で転がしている。

 「ひゃあっ…んくっ…」

 声が漏れ、恥ずかしいあまり手の甲に噛み付いて声を抑えると、それに気づいた紅輝は優しい声音で「傷付くぞ」と言って、その手を優しくではあるが、的確な力加減・・・・・・で引き剥がし、片手で僕の両手首を拘束してベッドに縫いつけた。

 外すことは出来ないが、両手首は全く痛くなかった。一応、その辺は気遣ってくれているらしい。
 どうすることも出来ず、声が抑えられない上に情けない顔を見せたくなくて顔を背けると噛み付くような深いキスで正面に戻されるのだ。

 「ふん…んっ…んん…はぁ…ん」

 身体を滑るように這う手や深いキスによって快楽が呼び起こされ、思考回路も鈍り始める。
 知らぬ間に解放されていた両腕を気がつけば紅輝の首に回していた。
 どのような刺激であっても身体は覚えているらしく、直ぐに快楽を拾って歓喜で身体が震え、感じてしまうのだ。

 「あっ…」

 不意に深く口付けていた唇が離され顔が離れていく。
 それが何だかとても寂しく感じてしまい、離れていく顔を追いかけて自分から慣れないキスをしてしまった。口元に軽く触れるだけのキス。
 キスと呼ぶにはあまりにお粗末な気もするが、自分はこれで精一杯である。

 紅輝が少し驚いて目を見張ったが、それも一瞬で嬉しそうに目尻が下がった。
 イケメンがやると破壊力が凄い…

 後ろの疼きを強く感じ、Ωオメガ特有のソコが粘着性のある体液を分泌してぐずぐずにとろけけきっている。こうなると冷静に話なんて出来ない。

 「はぁ…んっ…やぁあぁん…あっ…ぁあっ!」

 喘ぐ声が止まらなくなり始め、後ろもぐちゃぐちゃに濡れて愛液が滴り落ちているのが分かる。
 その上、前も触って欲しいと主張しており、テラテラとやらしく光ながら揺れている。

 紅輝は少し意地悪らしい。そこには直接触れずに酷くもどかしい触りかたをしてくるのだ。
 両足を広げられ、その真ん中に陣取った紅輝の太ももに押し付けるようなかたちで誘うように勝手に腰が動く。

 その様子を見た紅輝はさらに笑みを深めた…



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【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
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【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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