2 / 88
鬼の花嫁―本編―
00
しおりを挟む身体の違和感とあらぬ場所の激痛で目が覚めた。あまりの痛みに呻き声が出た。喉もヒリヒリと痛い。
しかも、身体がギシギシと軋んで動かし辛いという有り難くないおまけ付き。
ボヤける視界をどうにかしたくて瞬きを繰り返すと次第に視界がクリアになってくる。
忙しなく視線だけを動かしていると「目を覚まされたのですね。体調はどうですか?」というおっとりした優しそうな女性の声とともに顔を覗き込まれた。
声の主は声と同じように目尻が優しそうに下がったおっとりとした美人さんだった。
けれど、目の奥に見える感情は全く読めなかった。
「声は出せそうにありませんね。今、飲み物を用意しますね。」と言って扉の前に控えていた誰かに飲み物を持ってくるように声をかけたようだ。
戻って来た彼女は"頷く"もしくは"首を振る"という意思表示をお願いしますね。と前置きしたあと「ここがどこであるのかなど説明しますね」と続ける。
その言葉に痛みを我慢して頷く事しか出来なかった。
ここは神木 紅輝という鬼の部屋だという。鬼とは何だ?と思ったが詳しく話してくれるらしい。
鬼は通常、人間とかわらない姿をしており人間に混じって生活をしている。
人間よりも身体が丈夫で傷の治りも遥かに早い。病気なんて殆んどしないし、しても重症化しない。
運動能力や感覚器官など全てにおいて人間では遠く及ばない存在で容姿も整っている者が大半を占めているらしい。
鬼には鬼化というものがあり、怒りで感情が高ぶると黄金に目が染まり、少し角が生えると教えてくれた。
その怒りが頂点に達すると鬼化に合わせてその鬼特有の紋章が現れる…らしい。
鬼の子どもは人間のΩから生まれる。
ちなみに付け足すなら、鬼の子どもはαのみしか生まれない。
より優れたΩ (伴侶とも言う)を娶るのだ。
優れたの中には容姿も入っているのだとか。
強い鬼ほど情に厚く伴侶を何よりも大切にする。
『先祖返りの血が濃い』とされる鬼と『先祖返りの血が薄い』とされる鬼がおり、鬼にも優先順位がある。
『先祖返りの血が濃い』ほど高貴とされ、『先祖返りの血が薄い』ほど下になる。
所謂、上下関係が生まれる。
その血が濃い鬼に従う1つ下のランクの鬼がいる。
その鬼にも伴侶は居るが、自分のランクより上の鬼の伴侶を庇護するグループに所属している場合がほとんどらしい。
『"鬼神"』を意味する『神木』を名乗るのは頂点に立つ者のみで、現『神木』より『先祖返りの血が濃い者』が生まれた場合は、『代替わり』して、ランクが1つ下がる決まりがある。
歴代の中にはそれが気に入らない先代の『神木』も居て、次の『神木』を排除しようとする動きも出てきたりして鬼の世界も一筋縄ではいかないらしい。
初代を除いた歴代の中でも群を抜いて『先祖返りの血が濃い者』が神木 紅輝という名の男の鬼らしい。
通常の鬼化は勿論だが、更に上の初代以外出来なかったとされる『完全な鬼化』が出来るらしく、その姿は神々しいらしい。
先代から命を狙われた時に僅か2歳にして、1度だけ完全な鬼化をしたのだとか、、、
立派な角が生え肌も真っ白に変わり、特有の紋章も全身に浮かび上がり戦闘能力も通常の鬼化をした鬼よりも圧倒的に強く、襲ってきた先代を逆に軽く排除してしまったらしい。
『神木』の伴侶は良い意味でも悪い意味でも特別で、番になれば更に特別のようだ。
鬼に優先順位があるのと同じように伴侶にも優先順位がある。
伴侶の頂点に立つのが番で次に嫁と呼ばれる存在である。
鬼が怒るのは番と嫁に何かあった時なのだとか…
番に危害を加えようとすると特に容赦ないらしい。
鬼は長寿で平均寿命は500歳でその間に何人もの嫁を娶る。
だが、番となれるのは生涯で1人だけらしい。
嫁の中から番を選ぶ者がほとんどであり、何人も居るので統率させる為だという。
番になった嫁に、なれなかった嫁は逆らえない。
ここでも上下関係が生まれる。陰湿な事をする者もいれば嫁同士仲が良い場合もある。
嫁との身体の相性が良ければ子どもを授かる。
性交をしたからといって必ず出来るとは限らない…寧ろ生まれないのがほとんどなので、子孫を残すため沢山の嫁を迎えるのだとか。
番となった嫁の項には噛み跡とその鬼特有の紋章が刻まれている。
ただの嫁は項に噛み跡があるだけ。なので頂点に立っているのが誰なのか直ぐに分かるらしい。
番は鬼よりかなり劣るが一般の人間より能力が上がり、怪我や病気の治りもはやくなり、紋章を刻んだ鬼と生涯を共にする運命となる。
寿命も同じくらい延びるという。極端な話し鬼が死ねば番も死ぬ。ただし、逆は無いらしい。その点、嫁は人間と大差ないようだ。
番といっても所詮は人間に毛がはえた程度でしかなく、鬼からすれば脆弱以外の何者でもないので、稀に伴侶を攻撃してくる鬼もいて危険な場合もある。
そのために庇護するグループが存在するのだとか。
庇護するグループといっても信頼なくしては伴侶は護れないので、信頼できる鬼がつく事になる。
その辺の仕組みは鬼たち以外知り得ないが、聞くと教えてくれるだろう。と言われたが…
僕に紋章を刻んだ鬼が何を考えているのか分からない以上、闇雲に近づくべきではありませんが…と付け加えられたので背筋がゾッとした。
通常は嫁と同じように庇護するグループに護られている。嫁を護っている鬼の中でも一番強い鬼が番につくらしい。
番しか居ない場合には交代もしくはペアを組んで庇護にあたるらしい。
暗黙の了解で鬼専門の機関が存在しており、鬼の伴侶となった人のためにいろいろな手続きを円滑にするためだと教えてくれた。
それと、一般の人間には闇雲に危害を加えてはダメだという決まりがあって規則などを取り締まる役割も担っているようだ。
「ザックリと説明させて頂きましが、ここまでで何か質問はありますか?」と聞かれたので首を振っておく。
「混乱している事でしょう。何か分からない事があれば遠慮なく仰ってくださいね」と微笑まれたので頷いておく。
それを見届けた彼女は少し真剣な顔になり「どこまで覚えていらっしゃいますか?」と聞いてきた。
その言葉で初めて自身に起こったこれまでの事を思い返したー・・・
*
6
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
*
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***
全ては“自己責任”でお読み下さい。
*
お気に入りに追加
993
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺にとってはあなたが運命でした
ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会
βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂
彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。
その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。
それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる