鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

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 身体の違和感とあらぬ場所の激痛で目が覚めた。あまりの痛みに呻き声が出た。喉もヒリヒリと痛い。
 しかも、身体がギシギシと軋んで動かし辛いという有り難くないおまけ付き。
ボヤける視界をどうにかしたくて瞬きを繰り返すと次第に視界がクリアになってくる。

 忙しなく視線だけを動かしていると「目を覚まされたのですね。体調はどうですか?」というおっとりした優しそうな女性の声とともに顔を覗き込まれた。

 声のあるじは声と同じように目尻が優しそうに下がったおっとりとした美人さんだった。
 けれど、目の奥に見える感情は全く読めなかった。

「声は出せそうにありませんね。今、飲み物を用意しますね。」と言って扉の前に控えていた誰かに飲み物を持ってくるように声をかけたようだ。

 戻って来た彼女は"頷く"もしくは"首を振る"という意思表示をお願いしますね。と前置きしたあと「ここがどこであるのかなど説明しますね」と続ける。
 その言葉に痛みを我慢して頷く事しか出来なかった。

ここは神木かみき 紅輝こうきというの部屋だという。鬼とは何だ?と思ったが詳しく話してくれるらしい。
鬼は通常、人間とかわらない姿をしており人間に混じって生活をしている。
 人間よりも身体が丈夫で傷の治りも遥かに早い。病気なんて殆んどしないし、しても重症化しない。
 運動能力や感覚器官など全てにおいて人間では遠く及ばない存在で容姿も整っている者が大半を占めているらしい。

 鬼には鬼化おにかというものがあり、怒りで感情が高ぶると黄金に目が染まり、少し角が生えると教えてくれた。
 その怒りが頂点に達すると鬼化に合わせてその鬼特有の紋章が現れる…らしい。

鬼の子どもは人間のΩオメガから生まれる。
ちなみに付け足すなら、鬼の子どもはαアルファのみしか生まれない。
より優れたΩオメガ (伴侶はんりょとも言う)をめとるのだ。
優れた・・・の中には容姿も入っているのだとか。
強い鬼ほど情に厚く伴侶はんりょを何よりも大切にする。

先祖返りの血が濃い強い鬼』とされる鬼と『先祖返りの血が薄い弱い鬼』とされる鬼がおり、鬼にも優先順位ランクがある。

先祖返りの血が濃い強い鬼』ほど高貴とされ、『先祖返りの血が薄い弱い鬼』ほど下になる。
 所謂、上下関係が生まれる。

 その血が濃い強い鬼に従う1つ下のランクの鬼がいる。
 その鬼にも伴侶はんりょは居るが、自分のランクより上の鬼の伴侶はんりょを庇護するグループに所属している場合がほとんどらしい。

 『"鬼神おにがみ"』を意味する『神木かみき』を名乗るのは頂点・・に立つ者のみで、現『神木かみき』より『先祖返りの血が濃い者強い鬼』が生まれた場合は、『代替わり神木の姓を返上』して、ランクが1つ下がる決まりがある。

 歴代の中にはそれが気に入らない先代の『神木かみき』も居て、次の『神木かみき』を排除しようとする動きも出てきたりして鬼の世界も一筋縄ではいかないらしい。

 初代を除いた歴代の中でも群を抜いて『先祖返りの血が濃い者強い鬼』が神木かみき 紅輝こうきという名の男の鬼らしい。

 通常・・鬼化おにかは勿論だが、更に上の初代以外出来なかったとされる『完全・・鬼化おにか』が出来るらしく、その姿は神々しいらしい。

 先代から命を狙われた時にわずか2歳にして、1度だけ完全・・鬼化おにかをしたのだとか、、、

 立派な角が生え肌も真っ白に変わり、特有の紋章も全身に浮かび上がり戦闘能力も通常の鬼化おにかをした鬼よりも圧倒的に強く、襲ってきた先代を逆に軽く排除してしまったらしい。

 『神木かみき』の伴侶はんりょは良い意味でも悪い意味でも特別で、つがいになれば更に特別のようだ。

鬼に優先順位ランクがあるのと同じように伴侶はんりょにも優先順位ランクがある。
 伴侶はんりょの頂点に立つのがつがいで次によめと呼ばれる存在である。

 鬼が怒るのはつがいよめに何かあった時なのだとか…
 つがいに危害を加えようとすると特に容赦ないらしい。

 鬼は長寿で平均寿命は500歳でその間に何人ものよめめとる。
 だが、つがいとなれるのは生涯で1人だけらしい。

 よめの中からつがいを選ぶ者がほとんどであり、何人も居るので統率させる為だという。
 つがいになったよめに、なれなかったよめは逆らえない。
 ここでも上下関係が生まれる。陰湿な事をする者もいればよめ同士仲が良い場合もある。

 よめとの身体の相性が良ければ子どもを授かる。
 性交をしたからといって必ず出来るとは限らない…寧ろ生まれないのがほとんどなので、子孫を残すため沢山のよめを迎えるのだとか。

 つがいとなったよめの項には噛み跡とその鬼特有の紋章が刻まれている。
 ただのよめは項に噛み跡があるだけ。なので頂点に立っているのが誰なのか直ぐに分かるらしい。

 つがいは鬼よりかなり劣るが一般の人間より能力が上がり、怪我や病気の治りもはやくなり、紋章を刻んだ鬼と生涯を共にする運命さだめとなる。

 寿命も同じくらい延びるという。極端な話し鬼が死ねばつがいも死ぬ。ただし、逆は無いらしい。その点、よめは人間と大差ないようだ。

つがいといっても所詮は人間に毛がはえた程度でしかなく、鬼からすれば脆弱以外の何者でもないので、稀に伴侶はんりょを攻撃してくる鬼もいて危険な場合もある。
 そのために庇護するグループが存在するのだとか。

庇護するグループ・・・・・・・・といっても信頼なくしては伴侶はんりょは護れないので、信頼できる鬼がつく事になる。
 その辺の仕組みは鬼たち以外知り得ないが、聞くと教えてくれるだろう。と言われたが…

 僕に紋章を刻んだ鬼が何を考えているのか分からない以上、闇雲に近づくべきではありませんが…と付け加えられたので背筋がゾッとした。

 通常はよめと同じように庇護するグループ信頼できる鬼に護られている。よめを護っている鬼の中でも一番強い鬼がつがいにつくらしい。

 つがいしか居ない場合には交代もしくはペアを組んで庇護にあたるらしい。


 暗黙の了解で鬼専門の機関が存在しており、鬼の伴侶はんりょとなった人のためにいろいろな手続きを円滑にするためだと教えてくれた。
 それと、一般の人間には闇雲に危害を加えてはダメだという決まりがあって規則などを取り締まる役割も担っているようだ。



「ザックリと説明させて頂きましが、ここまでで何か質問はありますか?」と聞かれたので首を振っておく。
「混乱している事でしょう。何か分からない事があれば遠慮なく仰ってくださいね」と微笑まれたので頷いておく。

それを見届けた彼女は少し真剣な顔になり「どこまで覚えていらっしゃいますか?」と聞いてきた。


その言葉で初めて自身に起こったこれまでの事を思い返したー・・・
 
 
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●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
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全ては“自己責任”でお読み下さい。


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