上 下
13 / 91
Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜

11

しおりを挟む
 
 神無月様怖い人はお風呂のマットの上にあぐらをかいて座ると、膝の上に折りたたんだタオルを置き、その上へ僕を座らせた。
 背後から感じる体温に意図せず身体が熱くなる。

 気にした素振りもなく神無月様怖い人は僕の頭を優しく洗った。僕の耳に少し触れた彼の指先に反応して声が出そうになったが、洗い終わるまで何とか耐え続けた。

 頭を流し終わると、ボディソープと表記されたラベルのボトルを当たり前のように手に取る。
 思わず「嫌だ」と言って膝から降りようと軽く暴れた。
 すると、びっくりした様子ではあったが、それも一瞬で僕のお腹に素早く長い腕が回ってきた。

 その触れた所が僕の感じる場所だったので短く喘いでしまった。直後、神無月様怖い人が背後でピクリと動いたのが分かった。

 だが、それだけだった。くるりと身体を反転させられ抱き直された僕は浴室に準備されていたしっかりとした作りのシャワーチェアに座った神無月様怖い人は僕をその上に座らせる。

 膝に跨り向かい合う体勢で座っている状態だ。

 僕が恥ずかしいからという理由で暴れたとしても、ピクリとも動かない安定感のある椅子だった。しっかり神無月様怖い人が僕の身体を固定しているのも大いにあるけど…



 押したところで椅子は勿論だが、目の前の神無月様怖い人も全く動かない。
 それどころかボディソープを泡立てると素手で洗い始めた。背筋がゾワゾワとし始める。

 ソレが快感に変わっていくのに時間はかからなかった。泡のついた掌が肌を滑る度にやらしい音がする。

ー洗ってくれているだけなのに…

 漏れそうになる声を必死で抑えていたが、知らず知らずの内に腰が揺れ始めており、陰部を目の前にいる神無月様怖い人へ擦り付けていた。

 密着した状態であり、寝室よりも音が響いている上に、首筋が目の前にあるのでダイレクトにフェロモンが匂うこの状況…冷静になれるはずもない…

 鼻から抜けるような甘ったるい声が出た。しかし、目の前の神無月様怖い人は顔色を変えることは全くなく、知らない間に全身が泡だらけになっていた。

 全身の泡を落とす為にシャワーを掴んだ。
 神無月様怖い人はシャワーのお湯が僕にかからないように温度調整をしている。そして、優しく撫でるように僕についている泡を流し始めた。

 全て流し終わるのに時間はかからなかった。そして、情けなく前を勃たせて後ろを濡らしている僕をシャワーチェアに座らせる。

 僕の状況なんて分かっているだろう神無月様怖い人は僕が濡れない距離でシャワーを浴びている。

 正常に思考が働いていれば絶対にしない。
 目の前でシャワーを浴びている姿を食い入るように見るなんて…


 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

運命を知っているオメガ

riiko
BL
初めてのヒートで運命の番を知ってしまった正樹。相手は気が付かないどころか、オメガ嫌いで有名なアルファだった。 自分だけが運命の相手を知っている。 オメガ嫌いのアルファに、自分が運命の番だとバレたら大変なことになる!? 幻滅されたくないけど近くにいたい。 運命を悟られないために、斜め上の努力をする鈍感オメガの物語。 オメガ嫌い御曹司α×ベータとして育った平凡Ω 『運命を知っているアルファ』というアルファ側のお話もあります、アルファ側の思考を見たい時はそちらも合わせてお楽しみくださいませ。 どちらかを先に読むことでお話は全てネタバレになりますので、先にお好みの視点(オメガ側orアルファ側)をお選びくださいませ。片方だけでも物語は分かるようになっております。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけます、ご注意くださいませ。 物語、お楽しみいただけたら幸いです。 コメント欄ネタバレ全解除につき、物語の展開を知りたくない方はご注意くださいませ。 表紙のイラストはデビュー同期の「派遣Ωは社長の抱き枕~エリートαを寝かしつけるお仕事~」著者grottaさんに描いていただきました!

運命を知らないアルファ

riiko
BL
オメガ嫌いの西条司は女性アルファとしか付き合わない、そんな中やたらと気になるオメガを見つけた。 運命やフェロモンという不確かなモノではなく、初めて本気で惹かれた唯一のオメガにはとんでもない秘密があった!? オメガ嫌い御曹司α×ベータとして育った平凡Ω オメガ主人公がお好きな方は『運命を知っているオメガ』をお読みくださいませ。こちらはその物語のアルファ側のお話です。このお話だけでも物語は完結しますが、両方読まれると答え合わせが楽しめます。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけます、ご注意くださいませ。 コメント欄はそのまま載せておりますので、ネタバレ大丈夫な方のみご覧くださいませ。 物語、お楽しみいただけたら幸いです。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

もし、運命の番になれたのなら。

天井つむぎ
BL
春。守谷 奏斗(‪α‬)に振られ、精神的なショックで声を失った遊佐 水樹(Ω)は一年振りに高校三年生になった。 まだ奏斗に想いを寄せている水樹の前に現れたのは、守谷 彼方という転校生だ。優しい性格と笑顔を絶やさないところ以外は奏斗とそっくりの彼方から「友達になってくれるかな?」とお願いされる水樹。 水樹は奏斗にはされたことのない優しさを彼方からたくさんもらい、初めてで温かい友情関係に戸惑いが隠せない。 そんなある日、水樹の十九の誕生日がやってきて──。

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで

深凪雪花
BL
 候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。  即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。  しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……? ※★は性描写ありです。

花婿候補は冴えないαでした

BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ
BL
テオクウィントス帝国では、 アルファ・べータ・オメガ全階層の女性のみが感染する奇病が蔓延。 特効薬も見つからないまま、 国中の女性が死滅する異常事態に陥った。 未婚の皇帝アルベルトも、皇太子となる世継ぎがいない。 にも関わらず、 子供が産めないオメガの少年に恋をした。

処理中です...