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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む鼻孔をくすぐる甘いフェロモンに身体が一気に熱くなった。発情した。頭より先に本能で理解する。
かかり付けの病院での検査ではかなり稀な『ネオオメガ』だと診断された。
『ネオオメガ』とは『運命の番』が現れない限り発情期がこないオメガだと教えられた。
『運命の番』と出会えるのは極めて低く、死ぬまで出会わない事の方が多いらしい…それこそ可能性としては転勤族か強運の持ち主くらいだろう。
徐々に思考能力が低下してきている事を自覚しつつ、フラつきながらも安全な場所…オメガ専用の保健室へと身体を動かそうとした時に、数名の声が聞こえた。その声に息がつまり、動きも止まった。
「何か甘い匂いがする」
「あー言われてみれば確かに…」
「これって発情したオメガじゃねーの?」
「あ~ヤバいな…お前、勃ってね?」
「そういうお前もじゃん」
「ハハッ…本当だ」
「なぁ、コレはオメガが悪いよな?」
「発情期に学校に来るのが悪いな」
「自業自得ってヤツ?」
「寧ろこっちが被害者だろ」
なんて言って下品に笑っている…オメガのフェロモンに反応するのはアルファもしくは男のベータだけだ…
サッと血の気が引いた。数にして大体4人から5人…捕まってしまったら終わりだ…
逃げないと!!そう思って力の入らない身体を叱咤して走り始める。
☆
どれだけ走ったのか分からない。あの場所からかなり離れているのか、あまり離れていないのか…全く距離感がわからなかった。
トイレの個室へと逃げ込むと、個室の扉を閉め施錠する。
頭の中は『ヤバい』『どうしよう』で一杯だった。痛いくらいに警鐘が鳴っている…
泣きたくもないのに涙が溢れた。壁に背を預けズルズルと座り込むと、体育座りをしてそこに顔を埋めた。徐々に強くなるオメガの本能。
熱くなる身体…今まで濡れなかったソコが精液を欲しがり先程よりも濡れている…呼吸するのも辛くなった。
先程のアルファかベータに身を開いたら楽になるのだろうか…という恐ろしい考えが過ぎったが、なけなしの理性で否定する。
どれだけそうしていたのか、時間の感覚が全く分からないなか、複数人の足音が近づいてきた。
身体が震えた。発情が先程よりも進んでいるのだろう聞こえてきた声が何を言っているのか分からなかった…
ただ、分かったのはトイレの扉を破壊され、抱き上げられた事だけだった…
「ようやく見つけたー・・・俺のオメガ」
その台詞を最後に僕は意識を失った……。
*
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