兄のやり方には思うところがある!

野犬 猫兄

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一石二鳥……いや、三鳥

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「兄さん、僕に隠し事はないですか?」

 兄が何もいってこないので、就寝時にそれとなく話にのせてみた。

 ベッドのそばに置かれた座り心地の良さそうな椅子に腰掛けながら本を読んでいるのをやめた兄はこちらに視線を向ける。

「多少はあるが朋に伝えるほど重要な案件はないぞ」

 しれっと否定する兄を複雑な気持ちで見つめる。家族になる相手を紹介することは一大事だと思うのだが、兄にとっては重要なことだとは思っていないらしい。

 速水くんのお兄さんと恋人同士になったことなど微塵も感じさせない姿に疑問を持つ。

 ──本当に?

 隠したい何かがあるのだろうかと穿った考えをもってしまう。

「ところで速水くんのお兄さんはどうされましたか? お知り合いだったんですよね? 文化祭の時は気づいたら二人が生徒会室からいなくなっていたので気になっていました」

「あぁ、アイツな。仕事先の相手だよ」

 ──『アイツな』?!

 速水くんのお兄さんを親しげな呼び方をしたことで恋人説が濃厚になってしまった。心臓が早鐘を打ちはじめる。

「に、にににに兄さんは、ハァハァ」

 これはまずい。動悸と息切れと極度の緊張で喉はカラカラ、もはや酸欠状態だ。

「過呼吸か?!」

「だ、大丈夫です。落ち着けば問題ありません」

 なぜか自分のパジャマを脱いで口に当ててくる。──殺す気か!?

 押しつけてくる腕をぺしりと叩けば簡単にはずれた。

 呼吸が楽になるまで兄は心配そうに背中を撫でてくれている。

 兄の視線や撫でる手が優しさに満ち溢れていると思えたのは初めてかもしれない。

 兄を好きだと自覚したからだろうか。

 直接尋ねるのは死刑宣告を率先して聞くようで勇気がいる。このままでは心臓がもちそうにない。

 モヤモヤする気持ちはあるが、兄が伝えてくれるまで待つしかないようだ。

 断腸の思いではあるが、兄の為なら祝福もしたいと思う。

「平気か? 辛いようだったら言ってくれ」

 その優しさが今の僕にとってはつらい。
 聞きたいのは『恋人』ができたかどうか、兄の『好きな相手』な訳だが、これ以上は墓穴を掘りそうで話を続けるのを諦めた。

「ほら、兄さん寝るんでしょう? いつまでも本を読んでいないでベッドに入ってください」

「特訓は……?」

「しっかり睡眠を取ることが特訓です!」

「……そうか、わかった」

 素直に頷いて布団へ入る兄を可愛いと思ってしまった僕は、想いを霧散させるには当分先だと感じた。

 ヘッドボードのライトを消し、枕を背に当てて兄の様子を窺う。布団に入ったばかりの兄は眠るまでに時間がかかりそうだった。

 子守唄なんて知らないし、赤ん坊でもない兄をどうやって寝かしつけたらいいのかもわからない。

「眠れませんか?」

「あぁ、まだベッドに入ったばかりだからな」

 そっと兄の髪に触れる。

 優しく撫でることくらいしかできないが、何もしないよりはいくらか僕の気が紛れる。

「どうですか?」

「気持ちがいい」

「それは良かったです」

 暗闇の中、温かで優しい気持ちにさせる空間がそこにはあった。兄と一緒だと寂しくもないし不思議と心が休まる。

 しばらく撫でていると健やかな寝息が聞こえてきた。

 こんなに簡単に寝るとは思わなかった。僕が感じたように兄も心を休めることができたのだろうか。そうだといいなと僕は思う。

 ロボのような無表情の兄とは思えないほど穏やかな寝顔だ。

 まるで僕が母親のような構図に苦笑が漏れる。

 さて寝るか、と寝ている兄の隣りに滑り込むように布団に入った。兄が目を覚ます気配はない。

 ひとつあくびをして目を閉じた。



 朝起きたら兄が僕に絡まっていた。身動きもできない。

 そして違和感に気づく。尻になにかが出入りしているようだった。腰がウズウズしてゾクゾクとする。

「兄さん、なにしているんですか……」

「今さっき起きたところだ。こんなに眠れるとは思わなかった。朋効果だと思う」

 そんなこと聞いてない。

「指を僕の尻に突っ込んでいるのはどういうわけでしょうか?!」

「朝練という特訓だ。俺のが少し回復したと思わないか? 確認してみてくれ」

 確認と言われてゴクリと喉が鳴ってしまった。

 言わずもがな確認するのは兄の兄だろう。

 何度も触れてはいるが好きだと自覚してからは初めて触れる。

「……じゃ、じゃぁ、兄さんの秘所に触れますよ」

「あぁ、確かめてくれ」

 パジャマのズボンを下げようとしたら、ダイレクトに触れた。
 いきなり素肌に接触するとは思わなかった。そういえば触れているのはなめらかな肌だ。

 驚きはしたものの、気持ちを切り替える。まずは兄のことだろう。いまだ柔らかさはあるが芯を持ったように硬さと張りが出てきたように思える。

 瀕死は脱却したらしい。生命力の神秘を目の当たりにした気持ちでうっすらと涙がでてきた。

「すごいです! ちゃんと元気が出てきたようですね! ところで兄さんはなぜ裸なんですか? あれ? ぼ、僕まで?!」

 昨日着ていたパジャマが消えている。僕まで裸になっていた。

「これなら効率的だからな。朋を抱いて眠れば温かいし一石二鳥、いや三鳥だ」

 そう言って尻に続き、乳首まで弄り始める。

「う、うあーーーっ!」

 そして兄に追い詰められ呆気なくイかされてしまった。
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