4 / 21
兄のアレは瀕死
しおりを挟む「ただいま」
「おかえり」
兄はまた性懲りもなくきている。
リビングをそっと覗こうとしたら目の前に兄が立っていた。
「ふぁっ?!」
「待っていた」
今まで僕に興味の欠片もなかったはずだが、この間といい、どういう風の吹き回しなのか。
腕を取られてリビングのソファーに誘導される。そのソファーに兄が腰かけ、兄の膝の上に僕が乗せられた。
前回もだが、この構図はおかしい。
「今日はこれを見てもらおうと思って」
前回と同じように動画を見せようとする。
警戒しながら薄目で画面を見ると、壮大な草原に突き抜けるような青い空が映っている。
そこには、シマウマが群れで走り、ライオンの子どもが母親に連れられながら、狩りの見本を見せている野生動物の動画だった。
薄目をやめて改めて内容を見る。
えっちな動画でなくホッとした。
しかし、すぐに場面は切り替わり、ワイルドな営みが映し出される。
「はわわわわわっ!!?」
あっという間にズボンの前が窮屈になった。
ライオンの交尾ごときで勃つとは、我ながら情けない。
「これもか? 朋は節操がないな」
兄はため息をついて顔を横に振る。
なぜそんな呆れた顔をするのか。
──理不尽!!
触れていた指先で形をなぞるように撫でられる。当然触れた瞬間にイッてしまった。
「~~~~っ!!」
撫でられているので、感覚がイッたままなのが辛い。
片手で自分の口元を押さえるが、跳ねる腰は抑えられず兄にしがみつく。
「気持ちよさそうだな」
羨ましそうな視線を向けられ、イラッとした。
この人ならざるロボ兄に、ダメなことだと理解してもらわなければならない。
ということで、同じことを相手にやり返せば、嫌なことなのだと相手は理解すると速水くんは言っていた。
はぁはぁと何回か呼吸を落ちつかせてから、辱められた腹いせのように兄の股間に触れる。
ほんの少しだけ反応はあったような、ないような?
自分のような反応はない。
数度擦ると少しひくりと反応があった。
やはりそれ以上の反応はない。
兄のアレは瀕死なのだろうか?
「朋……」
はぁ、と息を吐く兄に視線を移す。
兄は少し目元を赤くし瞳を潤ませていた。
「な、なに?」
兄に何が起こったのかと心配になる。
「ありがとう」
──なにが?!
嫌がらせを、嫌がらせで返しただけなのに、兄はお礼を言ってきた。
疑問符をいくつも浮かべていると、兄のアレの上に置いていた両手をとられ、再び感謝される。
「今まで反応したことがなかったのに、朋に触れられて生きてるんだって実感した」
やはり瀕死だったのか。
でも、なぜ蘇生したのか謎だ。
「そ、そうですか……それは良かったです?」
「だから、練習をしたいんだ」
「はい?」
「当然、勃たせる練習だ」
聞き間違いだろうか。少し耳が誤変換を起こしたらしい。
「もう一度オネガイシマス」
「勃たせる練習だ」
デジャブとはこのことか。
「が、頑張って?」
ソロプレイがオススメ、と気づいてもらいたい気持ちで応援した。
兄が首を捻って、顎に手を当てる。
「朋はすぐにイッちゃうことを気にしているんだよな?」
「え? まぁ、そうですね……」
気にしていることを言わないで欲しい。
「お互い助け合いが必要だと思うんだ」
「助け合い?」
唇を引き結び力強く兄が頷く。
「俺は試行錯誤した上で、ひとりだけの改善は見込めないということに先ほど思い至った。朋もひとりで改善しようとしても、成果が見られなかったという事だろう?」
ひとりで練習なんてしてないし、そもそも時間が解決してくれるものだと考えていたから、改善しようとする前段階で止めている。
もちろん、諦めているわけでなく、未来に託しているだけだ。
なので、うーんと唸るしかない。
そんなもの肯定も否定もしたくないから。
「お互いの利になるならば、協力すべきだと思う。これは、険しい道のりで、とても過酷なものになるだろうが力を合わせれば、よりよい未来を作れるはずだ」
空気を読まずに、兄は先に話を進めるので聞くのを放棄した。
「…………」
こちらはヌルヌルする中身が気になって気になって仕方がないのだ。敏感になって布が擦れるだけでも辛い。
そそくさと兄の膝から降りて風呂場へと向かった。
20
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
兄上の五番目の花嫁に選ばれたので尻を差し出します
月歌(ツキウタ)
BL
今日は魔王である兄上が、花嫁たちを選ぶ日。魔樹の華鏡に次々と美しい女性が映し出される。選ばれたのは五人。だけど、そのなかに僕の姿があるのだけれど・・何事?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
【完結】【番外編】ナストくんの淫らな非日常【R18BL】
ちゃっぷす
BL
『清らかになるために司祭様に犯されています』の番外編です。
※きれいに終わらせたい方は本編までで留めておくことを強くオススメいたします※
エロのみで構成されているためストーリー性はありません。
ゆっくり更新となります。
【注意点】
こちらは本編のパラレルワールド短編集となる予定です。
本編と矛盾が生じる場合があります。
※この世界では「ヴァルア以外とセックスしない」という約束が存在していません※
※ナストがヴァルア以外の人と儀式をすることがあります※
番外編は本編がベースになっていますが、本編と番外編は繋がっておりません。
※だからナストが別の人と儀式をしても許してあげてください※
※既出の登場キャラのイメージが壊れる可能性があります※
★ナストが作者のおもちゃにされています★
★きれいに終わらせたい方は本編までで留めておくことを強くオススメいたします★
※基本的に全キャラ倫理観が欠如してます※
※頭おかしいキャラが複数います※
※主人公貞操観念皆無※
【ナストと非日常を過ごすキャラ】(随時更新します)
・リング
・医者
・フラスト、触手系魔物、モブおじ2人(うち一人は比較的若め)
・ヴァルア
【以下登場性癖】(随時更新します)
・【ナストとリング】ショタおに、覗き見オナニー
・【ナストとお医者さん】診察と嘯かれ医者に犯されるナスト
・【ナストとフラスト】触手責め、モブおじと3P、恋人の兄とセックス
・【ナストとフラストとヴァルア】浮気、兄弟×主人公(3P)
・【ナストとヴァルア】公開オナニー
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
18禁BLゲームの攻略対象の弟に転生したら皆(攻略対象)が追ってくるんですが?!
雪白 ひな
BL
ごく普通?の男子高校生がBLゲームに転生しちゃいます!
誤字がありましたらコメントで教えて下さると嬉しいです!!
感想書いてくれたら嬉しいです✨やる気スイッチにします!
それと少しでもこの作品を面白いなど思ってくれたら、拡散もお願いします!!
投稿する日にちは2日に1話にします!
兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)
みかん畑
BL
王位継承権の関係で嫌われていた弟が兄を庇って女体化の呪いにかかった後のお話です。
ハッピーエンド保証。ジャンルは分かりません。甘々の溺愛系です。
微エロあり、ご注意を。
9/12 恋愛⇒BLに移しておきます。TSモノのBLなので苦手な方は回避お願いします。
9/18 本編完結済みですがたまにチマチマ更新します。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる