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兄の行動は読めない
しおりを挟む『継続は力なり』
とは、よく言ったものだ。
高校では一年目の途中から交代で副会長。ニ年目に生徒会長となった。
生徒会長になったらそこで終わりではなく、ことあるごとに手腕を問われる。生徒会役員がいるため一人ではないのが救いだ。
生徒会長を目指すきっかけは、数年前に卒業をした出来る兄の影響だ。両親は兄を見習えというが、優秀すぎる兄を持つ弟の気持ちも考慮してもらいたい。
両親の教育方針は、兄ができたことは、弟もできて当たり前というスタンス。
裏を返せば、できなかったら無能と言われているような、無言の圧力があった。
「ただいま」
「おかえり」
両親は共働き。帰りはいつも遅い。誰もいないと思いながらも、玄関で声を上げれば返ってくる声があった。
この声は兄である。
リビングから聞こえてきた。
「こちらに戻っていたんですか?」
「あぁ、近くに寄ったから休憩中」
昨年、兄は有名大学を卒業し大手会社に就職した。同時に家を出て自立した独身生活を送っている。
眉目秀麗の上に勉学も運動神経も人付き合いも、とパーフェクトな兄なので、ずいぶんと引け目を感じていた。
兄弟という以外あまり接点もなく、兄は弟に対して無関心だったので話すことは少なかったように思う。
手に持っているスマホからエロい喘ぎ声がガンガン聞こえてくるのは気のせいだろうか。──いや、気のせいじゃなかった。今も聞えてくる。音量を下げようとは思わないのか。
「仕事中ですよね。なんでえっちな動画を見ているんです……?」
おいでおいでと、手を振るので仕方がなく兄の元へ向かう。
「勧められてな。朋はコレ見て勃つか?」
「ひぃ!」
金髪の美女が男に跨り腰を振っているのが見えた。
飛び退りすぎて体勢を崩し兄に腕を引っ張られる。
ソファの上にいる兄に馬乗りになってしまった。まるで今見た美女の真似をしているようで無駄にドキドキする。
「そこまで慌てるようなことか? ちなみに高校生の朋はどの程度の硬度を保てるのか知りたい。これを見てどう感じるか感想を聞かせて欲しいな」
──硬度ってなんの?!
突きつけるように目の前にエロ動画を寄せてくるので嫌でも目に入る。
「うわぁっ! やめてくださいっ!」
しかも、あろう事か、兄があらぬ場所へ触ろうとしてくるので、伸ばされる手をたたきおとす。
しまいには両手を兄に片手で拘束された。
「あっ、ダメッ! 触っちゃ、やぁっ!」
兄の手が無造作に硬くなったものに触れて身体が強ばった。
刺激され身体が跳ねるのを抑えられず、震えながらイッてしまったことに、羞恥から横に顔を背ける。
「…………」
泣きそうだ。いや、視界が少しだけ歪んでいるだけだろう。
この手のことに興味がない訳ではないが、えっちな気持ちになると反応してすぐに勃ってしまう。
兄の視線がじっと僕に注がれている。
「な、なに?」
「なんで気づかなかったんだろう」
目をキラキラさせているこの兄は、一体何を言っているんだろうか。
「女に勃たないという問題ではなく、そもそも興味の嗜好性が別にあったということなのか!」
ポンッと手を打ち、速やかに会社へ戻っていった。
それもどうかと思いますと、言いたかったがあの兄にツッコミを入れようものなら面倒くさいことになるのは目に見えている。
相変わらず兄の行動は読めない。
僕はため息をつきながら、身体を洗うために風呂場へと向かった。
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