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ベルサス(7):リズウェンside
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サラさんの店から出てからベルサスに振り返る。
彼と繋いだ手が無ければ平常心では居られないような、苛立ちに襲われていた。
「ベルはサラさんと仲がよろしいのですね」
「へ?」
二人がただならぬ関係だとは思わない。
5歳児じゃなくなっただろうベルサスと、視線を交わすやりとりを私の前で繰り広げるのはさすがに腹が立った。
「どれくらい記憶が戻っているんですか?」
「ど、どれくらい?」
焦るベルサスに追い打ちをかけるような言葉をかけてしまう。
「私を好きなんですよね?」
「あ、あぁ。それはもちろん!」
ホッとした。好きじゃないなんて言われたら泣いてしまう所だった。
これは嫉妬心だ。醜い感情が湧き出てくるのを止めることができない。
気持ちを落ち着かせようと、話題を変えようと試みる。告白されてから、いつかは聞きたいと思っていたことだ。
「なにがきっかけで私のことを好きになったかお聞きしてもよろしいですか?」
「あー、うん。実のところ最初は苦手だった」
その言葉に絶句する。
最初は苦手、その言葉に自分はベルサスに何をしてしまったのだろうかと振り返るが、沢山ありすぎてよくわからない。
恥ずかしくて、刺々しい態度はいつもとっていたし、可愛くない言葉ばかりかけていたのを思い出す。
後悔と不甲斐なさにすぅっと血の気が引いていく気がした。
大通りで話すには恥ずかしいからと、ベルサスに細い路地へとなすがままに連れ込まれる。
一歩はいると日常の喧騒から離れたように、生活音を遠くに感じた。
狭い道と大通りの間には、ルストが背を向けて立っているのが見える。
壁を背に立たされ、ベルサスの腕が私を閉じ込めるように壁についているので、更に隔たれた空間にいるようだった。
とても距離が近い。
「勘違いしないで欲しいんだけど、リズのことは、す、好きだから!」
「でも……」
そう、でも、と思ってしまう。
思い返せば数々の傲慢な振舞いは、ベルサスにとって目に余るものであっただろう。
「リズの言ってくれる言葉は、ハッキリしていて傷つくこともあったけれど、本当のことだし、それで考え方も独り善がりにならなくて助かっていた」
「ベル……」
ベルサスの優しさが胸に響く。
「苦手だったのは、嫌われていたのかと思っていたからで。あるパーティーで、リズウェンがご令嬢に連れ込まれた所を助けたあたりから気になりだしたんだ」
「え?」
私が気づかずに助けられることなんてあるのだろうか。
「新人の騎士が慣れたご令嬢の餌食になるのはよくあることだから……」
その頃は規律が整っておらず、好き放題に騎士を誘惑するような男女が多かった。騎士も息抜きとして楽しめるので、拒む者も少なかったからだろう。
今は円卓に集まった師団長同士の話し合いにより規律の整備はされている。
「リズがパーティーで、ご令嬢に興味を示していなかったのはわかってたんだ。それなのに、足元も覚束無い状態で、腕を取られて部屋に連れ込まれていたから、何かトラブルにでも巻き込まれたのかと思って、申し訳ないが後をつけたんだ」
丁度よくベルサスがいたと言うことなのだろうか。
「二人が入った先の部屋からすぐに大きな物音が響いて、続くように俺も入ったんだ。そこには意識のないリズに覆いかぶさろうとしているご令嬢がいて、警備中の隊員だから体調を崩したのかもと連れ出したんだ」
恐ろしいことに記憶がない。
もし、気にしてくれていなかったら、令嬢に既成事実を突きつけられていたかもしれない。
ベルサスとの今がない可能性があったことに恐怖を抱く。
「リズは睡眠薬を盛られていたから、そのまま寝ちゃうし、首にしがみついたまま俺から離れようとしないし、結局、その頃の副師団長であるリズの叔父さんがくるまで抱っこしてたんだよ」
「俺の義父でもあるから、おかしな事にはなっていないと説明してあるよ」と、つけ足して苦笑する。
「……それは大変ご迷惑をおかけしました」
申し訳ない気持ちで謝れば、迷惑じゃない、という優しい言葉が帰ってきた。
しかし、そんな身も守れない男をどうやって好きになったのだろうかと不思議になる。
「その後に、ミミズを土に戻す奇特な作業をしているリズを見かけて。あぁ、好きだなって思ったんだ」
「ミミズ……」
ミミズが、ベルと私の仲を取りもった?!
……それはちょっとどうかと思う。
「ものすごく嫌そうな顔で、ミミズを移動させるものだから面白くて。なんでそんなことしてるのか聞いたんだ」
「私の新人時代に、ベルと会話をした覚えはないのですが……」
「ミミズを葉っぱに乗せるのに苦労しているようで、振り返らなかったからな」
過去の自分が必死すぎて損してる気がする。
「リズはね、こう言ったんだ。『ミミズは土の中の英雄らしいですよ』って。吹いたね」
クスリと笑うベルサスはどこまでも優しい視線を送ってくる。優しすぎて居た堪れない。
小さい時に出会った少年が、そんなことを言っていたそれを、私が勝手に土の中の英雄なのだと解釈しただけなのだ。
だから、真に受けないで欲しい。
「俺もそう思っていたからね」
「え?」
ベルサスもミミズを英雄視していたということだろうか。
ベルサスの方がこの国を守る英雄だろうに。
「土に力を分け与えて、暗闇の中で誰にも褒められることなく、役立つことをしてるんだってさ。見た目はアレでもカッコイイよな」
あの時に言っていた少年の言葉に似てはいないだろうか。幼少の頃のことをすべて覚えているわけではないが、そんなことを言ったのは、後にも先にも、あの少年ただ一人だった。
もしかしてあの少年がベルだった?
ベルサスがカチリと眼鏡を外す。
「リズ。俺はね、リズしか好きじゃないし、リズしか愛さない」
唇が触れそうな距離で紡がれるひとつひとつの言葉に、熱い吐息が零れる。
次の瞬間にはその吐息ごと飲み込まれた。
待ちわびたような唇の熱に心と視界が揺れる。
「んっ……」
深く口づけられ、差し入れられた分厚い舌が上顎の粘膜を優しくなで、歯列を丁寧になぞっていく。
縮こまる舌を絡めとられ、ベルサスの擦る舌のざらりとした感触に腰が知らずに震えた。
「はぁ……んっ」
お互いの魔力が混じり、繋がれた指にはめられた指輪からも気持ちよさが流れ込んでくるようだ。
どうしようもなく身体が熱い。
舌を優しく誘導され、強く吸い上げられてから、そっと唇が離れる。
「記憶が戻った」と、嬉しそうに微笑むその顔が愛おしく、もっと繋がっていたいと思ってしまうのは、ベルサスを求める欲深い気持ちがあるからなのだろう。
てらりと光る唇を舐める赤い舌さえ、ベルサスは艶めかしい。
「リズ、そんな顔をしていたら、止まらなくなる」
ベルサスが戯るようにして、おでこを突き合わせてくる。
ハッとして、ここが外であり、狭い路地だったことを思い出す。自分がこんなに快楽に弱いとは思わなかった。
「それは嫌ですけど、ベルの舌が気持ちよくて、もっと繋がっていたかったです」
素直にそう言えば、ベルサスがギュッと抱きしめてくれる。
『小悪魔……!!!』
何事か呟き、兎のようにふるふるとベルサスが震える。
やはり、ベルサスを守るのは自分の役目なのだと抱きしめ返す。
少し気持ちを落ちつかせて、狭い路地から手を繋ぎ、眼鏡をかけ直したベルサスはルストに声をかけた。
「ルスト、悪かったな」
「お待たせしました」
両腕を組んで待っていたルストは、振り返ってやっとか、という表情を隠しもせず向ける。
「面倒くさい夫婦ですね。愛は確かめあえたんですか?」
「「………」」
顔を二人して赤らめれば、ものすごく嫌そうな顔をして、遠くの空を見上げた。
「口から砂糖を吐き出しそうです。さっさと用が済んだら帰りましょうよ」
ルストが今度は先を歩いている。
それを追うようにして、ベルサスと並んで歩く。
「リズ、媚薬って嫌いだよな?」
ぽそりと大通りの賑わいに、声が消えそうなほど小さな声でベルサスが問う。
「あんなもの、この世から消えてくれないかと思っています」
人を狂わせる薬だ。いい思い出などひとつもない。
「だよな。もし、一度だけ媚薬を使ったら、二度と媚薬の効果にあてられないとしたら使うか?」
「それが本当なら使うのも吝かではありません。もちろんベルが責任もって私を面倒見てくれるならですけど」
「ほ、本当に?」
嬉しそうなベルサスに微笑ましくなるが、そんな都合のいい媚薬などあるのだろうか。
「騙されてないでしょうね?」
「うーん、王家とも交流のあるキャラバンだったから身元は割れているけど、その薬の効果が信用できるかわからない」
「購入したんですね」
ため息をこぼすのをなんとか堪える。買ってしまったものは仕方がない。
「な、なんでわかるんだ?! いいものだと思って……リズだって媚薬には悩まされてきたよな? 俺もそうだけど……」
「はっ?! 使いましょう。今すぐにっ! ベルに、媚薬を盛る阿呆がいるなんて許せませんっ!」
ベルサスも被害にあったというのならば腹立たしいことこの上ない。
「今、持ってないし! 持っててもこんなとこで使わせるわけないだろ?! 夜! 夜に使おう? ね! ね!?」
どこか必死なベルサスに、不承不承頷く。
「わかりました」
媚薬を使うことに抵抗はまだある。
ベルサスとなら大丈夫と思う気持ちも、もちろんある。
ただ、初めてのことなのに快楽だけを追い求めたらと思うと、少し不安になった。
彼と繋いだ手が無ければ平常心では居られないような、苛立ちに襲われていた。
「ベルはサラさんと仲がよろしいのですね」
「へ?」
二人がただならぬ関係だとは思わない。
5歳児じゃなくなっただろうベルサスと、視線を交わすやりとりを私の前で繰り広げるのはさすがに腹が立った。
「どれくらい記憶が戻っているんですか?」
「ど、どれくらい?」
焦るベルサスに追い打ちをかけるような言葉をかけてしまう。
「私を好きなんですよね?」
「あ、あぁ。それはもちろん!」
ホッとした。好きじゃないなんて言われたら泣いてしまう所だった。
これは嫉妬心だ。醜い感情が湧き出てくるのを止めることができない。
気持ちを落ち着かせようと、話題を変えようと試みる。告白されてから、いつかは聞きたいと思っていたことだ。
「なにがきっかけで私のことを好きになったかお聞きしてもよろしいですか?」
「あー、うん。実のところ最初は苦手だった」
その言葉に絶句する。
最初は苦手、その言葉に自分はベルサスに何をしてしまったのだろうかと振り返るが、沢山ありすぎてよくわからない。
恥ずかしくて、刺々しい態度はいつもとっていたし、可愛くない言葉ばかりかけていたのを思い出す。
後悔と不甲斐なさにすぅっと血の気が引いていく気がした。
大通りで話すには恥ずかしいからと、ベルサスに細い路地へとなすがままに連れ込まれる。
一歩はいると日常の喧騒から離れたように、生活音を遠くに感じた。
狭い道と大通りの間には、ルストが背を向けて立っているのが見える。
壁を背に立たされ、ベルサスの腕が私を閉じ込めるように壁についているので、更に隔たれた空間にいるようだった。
とても距離が近い。
「勘違いしないで欲しいんだけど、リズのことは、す、好きだから!」
「でも……」
そう、でも、と思ってしまう。
思い返せば数々の傲慢な振舞いは、ベルサスにとって目に余るものであっただろう。
「リズの言ってくれる言葉は、ハッキリしていて傷つくこともあったけれど、本当のことだし、それで考え方も独り善がりにならなくて助かっていた」
「ベル……」
ベルサスの優しさが胸に響く。
「苦手だったのは、嫌われていたのかと思っていたからで。あるパーティーで、リズウェンがご令嬢に連れ込まれた所を助けたあたりから気になりだしたんだ」
「え?」
私が気づかずに助けられることなんてあるのだろうか。
「新人の騎士が慣れたご令嬢の餌食になるのはよくあることだから……」
その頃は規律が整っておらず、好き放題に騎士を誘惑するような男女が多かった。騎士も息抜きとして楽しめるので、拒む者も少なかったからだろう。
今は円卓に集まった師団長同士の話し合いにより規律の整備はされている。
「リズがパーティーで、ご令嬢に興味を示していなかったのはわかってたんだ。それなのに、足元も覚束無い状態で、腕を取られて部屋に連れ込まれていたから、何かトラブルにでも巻き込まれたのかと思って、申し訳ないが後をつけたんだ」
丁度よくベルサスがいたと言うことなのだろうか。
「二人が入った先の部屋からすぐに大きな物音が響いて、続くように俺も入ったんだ。そこには意識のないリズに覆いかぶさろうとしているご令嬢がいて、警備中の隊員だから体調を崩したのかもと連れ出したんだ」
恐ろしいことに記憶がない。
もし、気にしてくれていなかったら、令嬢に既成事実を突きつけられていたかもしれない。
ベルサスとの今がない可能性があったことに恐怖を抱く。
「リズは睡眠薬を盛られていたから、そのまま寝ちゃうし、首にしがみついたまま俺から離れようとしないし、結局、その頃の副師団長であるリズの叔父さんがくるまで抱っこしてたんだよ」
「俺の義父でもあるから、おかしな事にはなっていないと説明してあるよ」と、つけ足して苦笑する。
「……それは大変ご迷惑をおかけしました」
申し訳ない気持ちで謝れば、迷惑じゃない、という優しい言葉が帰ってきた。
しかし、そんな身も守れない男をどうやって好きになったのだろうかと不思議になる。
「その後に、ミミズを土に戻す奇特な作業をしているリズを見かけて。あぁ、好きだなって思ったんだ」
「ミミズ……」
ミミズが、ベルと私の仲を取りもった?!
……それはちょっとどうかと思う。
「ものすごく嫌そうな顔で、ミミズを移動させるものだから面白くて。なんでそんなことしてるのか聞いたんだ」
「私の新人時代に、ベルと会話をした覚えはないのですが……」
「ミミズを葉っぱに乗せるのに苦労しているようで、振り返らなかったからな」
過去の自分が必死すぎて損してる気がする。
「リズはね、こう言ったんだ。『ミミズは土の中の英雄らしいですよ』って。吹いたね」
クスリと笑うベルサスはどこまでも優しい視線を送ってくる。優しすぎて居た堪れない。
小さい時に出会った少年が、そんなことを言っていたそれを、私が勝手に土の中の英雄なのだと解釈しただけなのだ。
だから、真に受けないで欲しい。
「俺もそう思っていたからね」
「え?」
ベルサスもミミズを英雄視していたということだろうか。
ベルサスの方がこの国を守る英雄だろうに。
「土に力を分け与えて、暗闇の中で誰にも褒められることなく、役立つことをしてるんだってさ。見た目はアレでもカッコイイよな」
あの時に言っていた少年の言葉に似てはいないだろうか。幼少の頃のことをすべて覚えているわけではないが、そんなことを言ったのは、後にも先にも、あの少年ただ一人だった。
もしかしてあの少年がベルだった?
ベルサスがカチリと眼鏡を外す。
「リズ。俺はね、リズしか好きじゃないし、リズしか愛さない」
唇が触れそうな距離で紡がれるひとつひとつの言葉に、熱い吐息が零れる。
次の瞬間にはその吐息ごと飲み込まれた。
待ちわびたような唇の熱に心と視界が揺れる。
「んっ……」
深く口づけられ、差し入れられた分厚い舌が上顎の粘膜を優しくなで、歯列を丁寧になぞっていく。
縮こまる舌を絡めとられ、ベルサスの擦る舌のざらりとした感触に腰が知らずに震えた。
「はぁ……んっ」
お互いの魔力が混じり、繋がれた指にはめられた指輪からも気持ちよさが流れ込んでくるようだ。
どうしようもなく身体が熱い。
舌を優しく誘導され、強く吸い上げられてから、そっと唇が離れる。
「記憶が戻った」と、嬉しそうに微笑むその顔が愛おしく、もっと繋がっていたいと思ってしまうのは、ベルサスを求める欲深い気持ちがあるからなのだろう。
てらりと光る唇を舐める赤い舌さえ、ベルサスは艶めかしい。
「リズ、そんな顔をしていたら、止まらなくなる」
ベルサスが戯るようにして、おでこを突き合わせてくる。
ハッとして、ここが外であり、狭い路地だったことを思い出す。自分がこんなに快楽に弱いとは思わなかった。
「それは嫌ですけど、ベルの舌が気持ちよくて、もっと繋がっていたかったです」
素直にそう言えば、ベルサスがギュッと抱きしめてくれる。
『小悪魔……!!!』
何事か呟き、兎のようにふるふるとベルサスが震える。
やはり、ベルサスを守るのは自分の役目なのだと抱きしめ返す。
少し気持ちを落ちつかせて、狭い路地から手を繋ぎ、眼鏡をかけ直したベルサスはルストに声をかけた。
「ルスト、悪かったな」
「お待たせしました」
両腕を組んで待っていたルストは、振り返ってやっとか、という表情を隠しもせず向ける。
「面倒くさい夫婦ですね。愛は確かめあえたんですか?」
「「………」」
顔を二人して赤らめれば、ものすごく嫌そうな顔をして、遠くの空を見上げた。
「口から砂糖を吐き出しそうです。さっさと用が済んだら帰りましょうよ」
ルストが今度は先を歩いている。
それを追うようにして、ベルサスと並んで歩く。
「リズ、媚薬って嫌いだよな?」
ぽそりと大通りの賑わいに、声が消えそうなほど小さな声でベルサスが問う。
「あんなもの、この世から消えてくれないかと思っています」
人を狂わせる薬だ。いい思い出などひとつもない。
「だよな。もし、一度だけ媚薬を使ったら、二度と媚薬の効果にあてられないとしたら使うか?」
「それが本当なら使うのも吝かではありません。もちろんベルが責任もって私を面倒見てくれるならですけど」
「ほ、本当に?」
嬉しそうなベルサスに微笑ましくなるが、そんな都合のいい媚薬などあるのだろうか。
「騙されてないでしょうね?」
「うーん、王家とも交流のあるキャラバンだったから身元は割れているけど、その薬の効果が信用できるかわからない」
「購入したんですね」
ため息をこぼすのをなんとか堪える。買ってしまったものは仕方がない。
「な、なんでわかるんだ?! いいものだと思って……リズだって媚薬には悩まされてきたよな? 俺もそうだけど……」
「はっ?! 使いましょう。今すぐにっ! ベルに、媚薬を盛る阿呆がいるなんて許せませんっ!」
ベルサスも被害にあったというのならば腹立たしいことこの上ない。
「今、持ってないし! 持っててもこんなとこで使わせるわけないだろ?! 夜! 夜に使おう? ね! ね!?」
どこか必死なベルサスに、不承不承頷く。
「わかりました」
媚薬を使うことに抵抗はまだある。
ベルサスとなら大丈夫と思う気持ちも、もちろんある。
ただ、初めてのことなのに快楽だけを追い求めたらと思うと、少し不安になった。
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