41 / 51
一緒にお風呂!
しおりを挟む
「やだ!」
「うわーーーっ!」
「あのね! リルがごろんってお腹を見せたの!」
とても愉快だった。
やったことのない暴れ方をして、やったことのない甘え方をして、たくさんのわがままを言う。
目の前の人は困ったような笑顔をして、それに応えてくれる。
嬉しかった。
夜も寝る前に必ず頭を撫でてくれて、その人の隣で安心して眠った。
母親が夢にでてきて、『もうベルサスは一人じゃないわね』と言って微笑んでいた。
母と離れてからは、一人ではなかったし常に自分の周りには誰かしらいたはずだ。
だから、本当のところその言葉の意味はよくわからない。
わからないが、気持ちは伝わってくる。
ホッとした気持ちだ。
なぜか、そう思えた。
夜中に目が覚めて、目の前の人を見る。
大事な人だとわかる。
記憶の中に『うるわしのはな』とよんでいた気がする。
どこか儚げなのに強く気高く清廉とした人だ。
ずっと見てきた人。
人と比べられようもないほど大好きな人。
涙が沢山溢れてきて、どうしようもなくて、着ていた服で涙を押さえる。
大事な人がそばに居ることが信じられないほど嬉しい。
そうしたら、もっと涙が溢れてきてもう片方の袖口で涙を拭う。
それから、涙が止まるのを待った。
涙は止まったけれど、腕の部分も、胸の部分も、びしびしょに濡れて気持ちが悪かった。
シャツは脱いでヘッドボードの端に置く。
そうしたら何かが落ちた。
茶色の紙袋だ。
袋から出してみるとペラペラの布と布につながった紐。
以前、自分がリズウェンのために買ったものらしいことは記憶にある。
でも、なんで買ったのか、何が良かったのか、その気持ちは思い出せない。
それよりも、あの犬につけたら面白いだろうなと思った。
あの犬たちも自分にとって大事な犬のはずだ。
でも、思い出せない。
欠けた記憶に不安はある。
だからと言って、リズウェンにそれを見せたくはない。
いそいそとベッドの中に入る。
リズウェンの身体をそっと抱きしめると不安なんて吹き飛び、満たされた気持ちになった。
大事な人。
もっとこの大事な人にわがままを言って、困らせたり、優しくされたい。
さらりとした額に口づける。
──ずっとそばにいて。
祈るように呟き、再び眠りに落ちた。
リルと朝から追いかけっこしていたら、玄関に近づくなと言われた。
誰か来たらしい。
けれど、逃げ回っていたリルが玄関の方へ向かってしまう。
捕まえようとしてリルにしがみつくとすぐ目の前にはリズウェンの後ろ姿があった。
そこには精霊と言われるカッパがいて、途中でリズウェンに睨まれて悲しかったが、好奇心には勝てずチラリと覗く。
精霊など見たことがない。
お祈りでも捧げた方がいいのかな。
二人が話していると、カッパの後ろに男がいきなりあらわれてカッパに襲いかかった。
しかし、男はニヤニヤとこちらを見ていた。カッパのニヤニヤとはまた違う嫌な笑いだった。
忘れようとリルのふさふさの背中に顔をくっつける。
ハッとしてリズウェンを探す。そばにいることにホッとした。
ホッとしたらリズウェンの勇姿が誇らしくなった。
リズウェンは剣も使わずに、男を土に埋める魔術を一瞬のうちに放ったのだ。
──すごいっ。なんてカッコイイんだ!
大好きなリズウェンはこんなにも強くて美しい。
リズウェンを見ているだけで胸がドキドキと高鳴る。
捕まえられた男はチラリとこちらを見て、何かを飛ばしたように見えた。
リズウェンを見れば、カッパと話していて気づいていないようだった。
それがなんだったのか、知っているようでもあったが思い出せなかった。
リズウェンがシャワーに入るから、朝食を食べていてと言う。
朝食よりもリズウェンとシャワーを浴びたいと言って、一緒に入ろうとすれば怒られた。
「やだやだやだ、はいるっ!」
駄々をこねるのは難しいと思っていたが、心のままに従うとそれも楽にできる。
「ちょっ、わ、わかりましたから少し待ってくださいっ!」
湯が止まった音がする。
「なんでまつの? やだ、はいる!」
扉の魔石に手をかざせば難なく開いた。
「ふ、服はっ?!」
リズウェンは腰に一枚タオルを巻いた状態で、振り返るように壁にへばりついている。
「ぬいできたっ!」
真っ裸の自分はリズウェンとシャワーを浴びることが嬉しくて、リズウェンの背中にピタリとくっつく。
「……本当に記憶が戻ってないんでしょうね?」
壁に顔を向けてしまったから表情は伺えない。
だけれど、リズウェンの耳の端が赤くなっているのはわかる。
「ん、そうだね」
その赤くなった耳になぜだか喜びを感じて、するりと撫でれば「ひぇ?!」と声を上げてリズウェンは身体を竦ませた。
パッと、耳を覆うように手で防がれるとそれ以上は触れられない。
「ベベベベベ、ベルッ?! あああああ洗って差し上げますから、め、目を閉じていてくださいっ!」
「うん」
大人しく目を閉じれば、抱いていた腰をはずそうとしてくる。
「ベル、手をはずして……」
「やだ」
「………」
リズウェンは諦めたのか、お湯がザーッと流れ出し始めたので、少し目を開けて盗み見る。シャワーの前に移動したリズウェンが一緒に湯を頭から被っていた。
湯を止めると、リズウェンは壁に掛かっている液状の石鹸で泡を立てている。
見慣れた浴槽。
ここは自分の家で、そこにリズウェンがいる。
少しの違和感が大きく波紋となって広がっていく。
俺の周りにいた人達は、いろいろな声をかけてきた。お前たちは誰なのかと、更に不安を呼び起こした。
リズウェンだけは会った時からわかった。
大事な人だと。
犬も大事な……家族で、フェンリル……で。
毛玉が大きくなった姿だ。毛玉?
そうだ。
俺が──。
くるりと目の前の大事な人が、緩めた腕の中で大きな泡を手に盛って振り返った。あまりの楽しそうなことに、まとまりかけていた思考がすっ飛んだ。
「すごいねぇ!」
「そうでしょうとも、ベルの家のものは高級品ばかりなので、とても泡立ちがよく肌にも良いのです……って、目を開けているではないですか! ……仕方ありませんね。ほら、この泡気持ちがいいでしょう?」
二人で目を輝かせながら、キメの細かい泡を見る。それをほっぺにふわふわとつけられる。
リズウェンの嬉しそうな表情を見ているとこちらも嬉しくなる。
以前、リズウェンと使うものならと、厳選して選んだものだと記憶の中にある。
「洗ってもらうのは気持ちがいいねぇ、わぷっ」
「それは良かったです。前の家では当たり前のように洗われていましたが、普段は意識することもなく済ませちゃいますからね」
「洗ってもらってたの?」
「えぇ、貴族ではみなそうかと」
「俺もリズを洗う!」
「え?」
「だめ?」
悲しそうに眉を下げると、リズウェンの表情が困った顔になる。
「…………」
「だめ? やってもらったからお礼にやりたいだけだよ」
「…………わかり……ました。背中をお願いできますか」
「やったぁ!」
たくさん泡をたてて、リズウェンの背中に泡を撫でるように置いていく。ひくりと身体が緊張して、泡を置いているだけだとわかると弛緩させた。
脇腹を泡で滑らすとくすぐったいのかリズウェンの声が漏れる。
「っん……は? わ、わっ!」
急に我慢ができず、抱きしめたくなってそのままリズウェンの腹に手を回す。
「リズ、リズ、リズッ」
何に我慢が出来ないのか、もどかしい気持ちをリズウェンを抱きしめることで解消しようとしたが、更に悪化をしたようだ。
「なななななんですかっ?!」
「ちんこ勃った!」
「ふぁ?! ひっ!!」
ぐいぐいとリズウェンの腰に押し付ける。
「リズは? リズも勃った? お揃い??」
腹に回していた手を下げれば、弾力のあるものが腕に触れる。それ以上は手を取られたので触れられなかった。
「さ、触らないでくださいっ!」
顔を真っ赤にさせたリズウェンに、気持ちが高揚してどうしようもなくなる。
「リズも勃ってた!」
慌てふためくリズウェンの可愛らしさに、つい言葉にしてからかいたくなる。
「そういうことは、見て見ぬふりをするものですっ! それに、だ、誰だって好きな人に触れられればこうなるんですよっ! ~~~っ?!?!」
同じ気持ちなのかと喜びが身体を駆け巡り、さらに押し付けている部分が元気になった。
「うれし……ぎゃーーー!!!」
強く抱きしめようとした途端、勢いよく狙ってそこに掛けられた。
お股の間がヒョッとなる。
「冷水です」
冷たい上に水圧が高くてものすごく痛い。
「冷たいぃぃーーーー!」
「ほら、元に戻りました」
自分の股間を見て縮こまっている哀れなものを見た。荒療治過ぎやしないか……。
リズウェンの腰に巻いたタオルもなだらかだ。
「リズ自分にも水をかけたの?」
「当然でしょう? ベルだけなんて、そんな酷いことはしませんよ」
「リズ、好き。大好き」
「っ?!?!」
「愛してるっ」
「記憶が戻ったんですか?!」
「………なんのこと……わぷっ、ぎゃーーー!!!」
「くっつきすぎですよ」
「冷たい、冷たい!!!」
容赦なく水を掛けてくるリズウェンだが、とても優しくて、可愛くて、恥ずかしがり屋だと思う。
少しずつ記憶が戻ってきているようだ。
5歳児だと思われていること。
暗殺者に狙われだしたこと。
皆に心配させていること。
一番リズウェンに迷惑を掛けていること。
記憶が戻ってきていることを伝えるのは、もう少し待ってくれないだろうか。
これからやってくるだろう暗殺集団は一人で片付けるから、もう少し。
「うわーーーっ!」
「あのね! リルがごろんってお腹を見せたの!」
とても愉快だった。
やったことのない暴れ方をして、やったことのない甘え方をして、たくさんのわがままを言う。
目の前の人は困ったような笑顔をして、それに応えてくれる。
嬉しかった。
夜も寝る前に必ず頭を撫でてくれて、その人の隣で安心して眠った。
母親が夢にでてきて、『もうベルサスは一人じゃないわね』と言って微笑んでいた。
母と離れてからは、一人ではなかったし常に自分の周りには誰かしらいたはずだ。
だから、本当のところその言葉の意味はよくわからない。
わからないが、気持ちは伝わってくる。
ホッとした気持ちだ。
なぜか、そう思えた。
夜中に目が覚めて、目の前の人を見る。
大事な人だとわかる。
記憶の中に『うるわしのはな』とよんでいた気がする。
どこか儚げなのに強く気高く清廉とした人だ。
ずっと見てきた人。
人と比べられようもないほど大好きな人。
涙が沢山溢れてきて、どうしようもなくて、着ていた服で涙を押さえる。
大事な人がそばに居ることが信じられないほど嬉しい。
そうしたら、もっと涙が溢れてきてもう片方の袖口で涙を拭う。
それから、涙が止まるのを待った。
涙は止まったけれど、腕の部分も、胸の部分も、びしびしょに濡れて気持ちが悪かった。
シャツは脱いでヘッドボードの端に置く。
そうしたら何かが落ちた。
茶色の紙袋だ。
袋から出してみるとペラペラの布と布につながった紐。
以前、自分がリズウェンのために買ったものらしいことは記憶にある。
でも、なんで買ったのか、何が良かったのか、その気持ちは思い出せない。
それよりも、あの犬につけたら面白いだろうなと思った。
あの犬たちも自分にとって大事な犬のはずだ。
でも、思い出せない。
欠けた記憶に不安はある。
だからと言って、リズウェンにそれを見せたくはない。
いそいそとベッドの中に入る。
リズウェンの身体をそっと抱きしめると不安なんて吹き飛び、満たされた気持ちになった。
大事な人。
もっとこの大事な人にわがままを言って、困らせたり、優しくされたい。
さらりとした額に口づける。
──ずっとそばにいて。
祈るように呟き、再び眠りに落ちた。
リルと朝から追いかけっこしていたら、玄関に近づくなと言われた。
誰か来たらしい。
けれど、逃げ回っていたリルが玄関の方へ向かってしまう。
捕まえようとしてリルにしがみつくとすぐ目の前にはリズウェンの後ろ姿があった。
そこには精霊と言われるカッパがいて、途中でリズウェンに睨まれて悲しかったが、好奇心には勝てずチラリと覗く。
精霊など見たことがない。
お祈りでも捧げた方がいいのかな。
二人が話していると、カッパの後ろに男がいきなりあらわれてカッパに襲いかかった。
しかし、男はニヤニヤとこちらを見ていた。カッパのニヤニヤとはまた違う嫌な笑いだった。
忘れようとリルのふさふさの背中に顔をくっつける。
ハッとしてリズウェンを探す。そばにいることにホッとした。
ホッとしたらリズウェンの勇姿が誇らしくなった。
リズウェンは剣も使わずに、男を土に埋める魔術を一瞬のうちに放ったのだ。
──すごいっ。なんてカッコイイんだ!
大好きなリズウェンはこんなにも強くて美しい。
リズウェンを見ているだけで胸がドキドキと高鳴る。
捕まえられた男はチラリとこちらを見て、何かを飛ばしたように見えた。
リズウェンを見れば、カッパと話していて気づいていないようだった。
それがなんだったのか、知っているようでもあったが思い出せなかった。
リズウェンがシャワーに入るから、朝食を食べていてと言う。
朝食よりもリズウェンとシャワーを浴びたいと言って、一緒に入ろうとすれば怒られた。
「やだやだやだ、はいるっ!」
駄々をこねるのは難しいと思っていたが、心のままに従うとそれも楽にできる。
「ちょっ、わ、わかりましたから少し待ってくださいっ!」
湯が止まった音がする。
「なんでまつの? やだ、はいる!」
扉の魔石に手をかざせば難なく開いた。
「ふ、服はっ?!」
リズウェンは腰に一枚タオルを巻いた状態で、振り返るように壁にへばりついている。
「ぬいできたっ!」
真っ裸の自分はリズウェンとシャワーを浴びることが嬉しくて、リズウェンの背中にピタリとくっつく。
「……本当に記憶が戻ってないんでしょうね?」
壁に顔を向けてしまったから表情は伺えない。
だけれど、リズウェンの耳の端が赤くなっているのはわかる。
「ん、そうだね」
その赤くなった耳になぜだか喜びを感じて、するりと撫でれば「ひぇ?!」と声を上げてリズウェンは身体を竦ませた。
パッと、耳を覆うように手で防がれるとそれ以上は触れられない。
「ベベベベベ、ベルッ?! あああああ洗って差し上げますから、め、目を閉じていてくださいっ!」
「うん」
大人しく目を閉じれば、抱いていた腰をはずそうとしてくる。
「ベル、手をはずして……」
「やだ」
「………」
リズウェンは諦めたのか、お湯がザーッと流れ出し始めたので、少し目を開けて盗み見る。シャワーの前に移動したリズウェンが一緒に湯を頭から被っていた。
湯を止めると、リズウェンは壁に掛かっている液状の石鹸で泡を立てている。
見慣れた浴槽。
ここは自分の家で、そこにリズウェンがいる。
少しの違和感が大きく波紋となって広がっていく。
俺の周りにいた人達は、いろいろな声をかけてきた。お前たちは誰なのかと、更に不安を呼び起こした。
リズウェンだけは会った時からわかった。
大事な人だと。
犬も大事な……家族で、フェンリル……で。
毛玉が大きくなった姿だ。毛玉?
そうだ。
俺が──。
くるりと目の前の大事な人が、緩めた腕の中で大きな泡を手に盛って振り返った。あまりの楽しそうなことに、まとまりかけていた思考がすっ飛んだ。
「すごいねぇ!」
「そうでしょうとも、ベルの家のものは高級品ばかりなので、とても泡立ちがよく肌にも良いのです……って、目を開けているではないですか! ……仕方ありませんね。ほら、この泡気持ちがいいでしょう?」
二人で目を輝かせながら、キメの細かい泡を見る。それをほっぺにふわふわとつけられる。
リズウェンの嬉しそうな表情を見ているとこちらも嬉しくなる。
以前、リズウェンと使うものならと、厳選して選んだものだと記憶の中にある。
「洗ってもらうのは気持ちがいいねぇ、わぷっ」
「それは良かったです。前の家では当たり前のように洗われていましたが、普段は意識することもなく済ませちゃいますからね」
「洗ってもらってたの?」
「えぇ、貴族ではみなそうかと」
「俺もリズを洗う!」
「え?」
「だめ?」
悲しそうに眉を下げると、リズウェンの表情が困った顔になる。
「…………」
「だめ? やってもらったからお礼にやりたいだけだよ」
「…………わかり……ました。背中をお願いできますか」
「やったぁ!」
たくさん泡をたてて、リズウェンの背中に泡を撫でるように置いていく。ひくりと身体が緊張して、泡を置いているだけだとわかると弛緩させた。
脇腹を泡で滑らすとくすぐったいのかリズウェンの声が漏れる。
「っん……は? わ、わっ!」
急に我慢ができず、抱きしめたくなってそのままリズウェンの腹に手を回す。
「リズ、リズ、リズッ」
何に我慢が出来ないのか、もどかしい気持ちをリズウェンを抱きしめることで解消しようとしたが、更に悪化をしたようだ。
「なななななんですかっ?!」
「ちんこ勃った!」
「ふぁ?! ひっ!!」
ぐいぐいとリズウェンの腰に押し付ける。
「リズは? リズも勃った? お揃い??」
腹に回していた手を下げれば、弾力のあるものが腕に触れる。それ以上は手を取られたので触れられなかった。
「さ、触らないでくださいっ!」
顔を真っ赤にさせたリズウェンに、気持ちが高揚してどうしようもなくなる。
「リズも勃ってた!」
慌てふためくリズウェンの可愛らしさに、つい言葉にしてからかいたくなる。
「そういうことは、見て見ぬふりをするものですっ! それに、だ、誰だって好きな人に触れられればこうなるんですよっ! ~~~っ?!?!」
同じ気持ちなのかと喜びが身体を駆け巡り、さらに押し付けている部分が元気になった。
「うれし……ぎゃーーー!!!」
強く抱きしめようとした途端、勢いよく狙ってそこに掛けられた。
お股の間がヒョッとなる。
「冷水です」
冷たい上に水圧が高くてものすごく痛い。
「冷たいぃぃーーーー!」
「ほら、元に戻りました」
自分の股間を見て縮こまっている哀れなものを見た。荒療治過ぎやしないか……。
リズウェンの腰に巻いたタオルもなだらかだ。
「リズ自分にも水をかけたの?」
「当然でしょう? ベルだけなんて、そんな酷いことはしませんよ」
「リズ、好き。大好き」
「っ?!?!」
「愛してるっ」
「記憶が戻ったんですか?!」
「………なんのこと……わぷっ、ぎゃーーー!!!」
「くっつきすぎですよ」
「冷たい、冷たい!!!」
容赦なく水を掛けてくるリズウェンだが、とても優しくて、可愛くて、恥ずかしがり屋だと思う。
少しずつ記憶が戻ってきているようだ。
5歳児だと思われていること。
暗殺者に狙われだしたこと。
皆に心配させていること。
一番リズウェンに迷惑を掛けていること。
記憶が戻ってきていることを伝えるのは、もう少し待ってくれないだろうか。
これからやってくるだろう暗殺集団は一人で片付けるから、もう少し。
12
お気に入りに追加
326
あなたにおすすめの小説
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる