18 / 51
大事なお話なんです
しおりを挟む
着崩した隊服を纏うリルは、たてがみのような黒髪に黒目をしている。
やけに貫禄があり同じ師団長と言われても誰も疑わないかもしれない。
「お手っ! 伏せ! 待てっ! ちんちんっ!」
人型になってしまったが、リルは俺に従順だった。──しかしなんで、ちんちんという言葉なんだろう。その姿が丸見えになるから??
ジルベルトが憐れみの籠った目で、こちらを見ている。
「クラウ師団長、やめてあげてください。見ているこちらの胸が痛みます!」
犬のしつけを大の男に施しているように見えるらしい。
──そんな風に見えていたのか。良く考えれば確かにそうかもしれない。今度遊ぶ時は獣型になってもらってからにしよう。丸見えだけどな。
隣に座るリルの頭をよしよしと撫でると嬉しそうに擦り寄ってきた。
俺からしたらリルは小さい頃と同じ大事な友達だ。
それがソロプレイヤーという高難度の妄想にまで思考を及ばせていたのには驚いたが、それもまた成長であると喜ぶべきなのだろう。
あんないかがわしい妄想プレイを教えた野郎を見つけたらタダでは置かないが。
木のスプーンで野菜の入ったスープを掬っては、リルに餌付けをする。見えない尻尾がブンブン振られているように感じられた。リルもご機嫌だ。
「クラウ師団長、甲斐甲斐しく世話を焼かなくても、リルだってスープくらい自分で飲めますよ?」
俺がやっていることをハーバーは羨ましそうな顔をして眺めている。飼い主だからリルの餌付けに参加したいのだろう。
それに反応したのはジルベルトだ。
「独り占めですもんね」
そう言われたハーバーは、ニコニコした笑顔なのに機嫌が悪そうだ。その気配が穏やかではないように感じるのはなぜだろうか。
「とにかく、嬉しそうでなによりですよ。いろいろと躾を教えたのは私ですし、責任もありますからね」
もしかして、あっち方面を教えたのもこの男なのか?
「ハーバー、あとで俺とゆっくり話をしようか?」
──純粋な毛玉を弄んだ報いは受けてもらわねば!
「承知いたしました。私もお話をしたかったので丁度良かったです」
頬を染め熱に浮かされたような表情をするハーバーに薄ら寒いものを感じる。
「一応言っておくが、リルの話だぞ?」
「なに? 僕の話? 混ぜて?!」
「そうだな。今は、リルの話をしようか。俺はすごくリルのこと知りたい」
「もちろんいいよ!」
リルの明るい表情を見ると救われる気がする。
当時、絶影を放ち意識を失った俺は、目覚めた先で毛玉を見つけることができなかった。
だから、毛玉は俺の絶影に飲み込まれてしまったのだとずっと思っていたのだ。
生きていてくれて嬉しい。心の底からそう思う。
そして、リルから聞かされた内容は、気を失っている俺をいつも様子を伺っていた男が現れて馬車で連れて行ってしまった、ということだった。
リルも追いかけたが、引き離され途中で迷子になり、ラズロ・ハーバーに拾われ面倒を見てもらうことになったという。
一同の視線がハーバーに向く。ハーバーは微動だにせず笑顔でスルーしている。
「ラズロの匂いにベルの匂いが微かにしたんだ。逢いたくて逢いたくて、人化できたの。それでね」
リルの話を遮るようにハーバーがあとを継いだ。
「そうでしたね。それでリルがクラウ師団長に逢いたいと言うので、人の世界の流儀を一から教えたという訳です。時間がそれなりに掛かったあげく、あんな出逢いを想定していた訳ではなかったのでハラハラしました」
──やはりエッチなことも教えたのか! 一言物申さねば!
「ジルベルト、ハーバーと話したいからリルの面倒を頼む」
いきなり二人にしてくれという言葉に、驚いた様子を見せたもののジルベルトは、リルの手を取ってテントの外に向かってくれる。
「え? えぇ、わかりました。リル行きますよ」
「大事なお話なの?」
「そうですよ。邪魔をしないようにしましょうね。きっと悪いことにはなりませんよ」
「わかった」
コソコソ話しながら、二人はテントの外に出ていった。
どういったことをリルに教えたのか知らなければ、前もって対処も心構えもできないし、一言物申したい。それに急に襲われでもしても困るのだ。
「俺に隠し事は頂けないな」
「クラウ師団長にはお見通しという訳ですか」
「当然だ」
「どこまでご存知で?」
──どこまでエロいことを教えたか知ってんのかって、こと? そんな破廉恥なこと知らないんだけど!? ソロプレイヤーだけじゃなく、リルはパーティープレイまで経験済みということか?! 俺なんてまだソロプレイしか経験したことないのに!
「ソロでいろいろとやらかしていたようだな。ずいぶん前から仕込んでいたのだろう? 楽しかったか」
──あのリルに仕込むなんてフワフワした顔に似合わず、あっち方面は百戦錬磨ってことだよな。リルが妄想ソロプレイしちゃうくらいだから……。
「おや、過去の私の事までご存知で。今回は容易いと思っていたのですがこれがなかなか、時間がかかる作業でしてね。貴方を知れば知るほど心が踊りましたよ」
くつくつと笑うハーバーに、あの優しげな面影は見当たらない。
──リルが俺を探していると聞いたから調べていたという訳か。なにをそんなに心を躍らせていたのか知らないが、その間にもリルに調教という名の仕込みをしていたんだな!
腹立たしい気持ちを落ちつかせるように、脚を組みかえながら、一息入れる。
「手を引く気はないか。技術を活かす先ならここでなくてもあるだろう?」
──これ以上リルに高度な技術を仕込まれても困るのは恐らく俺だ。それに、リルが一人の相手じゃ満足できない身体になってしまったらどうしてくれるんだ!
「いろいろと時間を掛けていますからねぇ。それに乗り換えにも手間がかかるんです。そうですね。貴方が私を受け入れてくれたら考えてもいいですよ」
──受け入れる? ナニを??!
「それは少し難しい話だな」
言葉じりに被せるよう返事をかえしてしまった。
信じたくないが、こいつもなんだかんだ言って、俺に突っ込みたがっている奇特な相手のようなのだ。
「貴方なら造作もないことでしょう? 貴方の中にイレさせてくれれば、安らげると思うんです」
──は? ナカニイレル? ナニヲ?!
「簡単に言ってくれる」
俺は安らげる気が全くしない。
「私の居場所を作っていただくだけで貴方の手中に転がり込むんですよ? お得だと思うんですよねぇ」
急に話が変わったようだ。無駄にドキドキしてしまった。
わかることと言えば、リルとハーバーの居場所がないから、作って欲しいという事だけだ。
俺の家はリズウェンと二人だけで住みたかったが、婚姻すると守るものが増えると言うし、そういうことなのかもしれない。
「自分の身は自分で守るなら吝かではないが、俺の住処でいいか?」
「もちろんですよ。でも、結局貴方はお優しいから、守ってくれるんでしょうね。交渉成立です。まぁ、ご存知だとは思いますが、私の本当の名はルスト・ケルマと申します。以後、良しなに」
そう言って、変装を解くようにして知らない顔が現れた。
銀色の長い髪に白皙の肌。金色の眼。女性のように整った容貌。リルと少し似ているだろうか。
俺の膝の上に乗り上げ、抱きついてくる。リルよりも華奢な体躯だが、締めつける力は男らしい。
──ちょっ、だれっ?! ふわふわなラズロ・ハーバーはどこに行ったんだ?!
やけに貫禄があり同じ師団長と言われても誰も疑わないかもしれない。
「お手っ! 伏せ! 待てっ! ちんちんっ!」
人型になってしまったが、リルは俺に従順だった。──しかしなんで、ちんちんという言葉なんだろう。その姿が丸見えになるから??
ジルベルトが憐れみの籠った目で、こちらを見ている。
「クラウ師団長、やめてあげてください。見ているこちらの胸が痛みます!」
犬のしつけを大の男に施しているように見えるらしい。
──そんな風に見えていたのか。良く考えれば確かにそうかもしれない。今度遊ぶ時は獣型になってもらってからにしよう。丸見えだけどな。
隣に座るリルの頭をよしよしと撫でると嬉しそうに擦り寄ってきた。
俺からしたらリルは小さい頃と同じ大事な友達だ。
それがソロプレイヤーという高難度の妄想にまで思考を及ばせていたのには驚いたが、それもまた成長であると喜ぶべきなのだろう。
あんないかがわしい妄想プレイを教えた野郎を見つけたらタダでは置かないが。
木のスプーンで野菜の入ったスープを掬っては、リルに餌付けをする。見えない尻尾がブンブン振られているように感じられた。リルもご機嫌だ。
「クラウ師団長、甲斐甲斐しく世話を焼かなくても、リルだってスープくらい自分で飲めますよ?」
俺がやっていることをハーバーは羨ましそうな顔をして眺めている。飼い主だからリルの餌付けに参加したいのだろう。
それに反応したのはジルベルトだ。
「独り占めですもんね」
そう言われたハーバーは、ニコニコした笑顔なのに機嫌が悪そうだ。その気配が穏やかではないように感じるのはなぜだろうか。
「とにかく、嬉しそうでなによりですよ。いろいろと躾を教えたのは私ですし、責任もありますからね」
もしかして、あっち方面を教えたのもこの男なのか?
「ハーバー、あとで俺とゆっくり話をしようか?」
──純粋な毛玉を弄んだ報いは受けてもらわねば!
「承知いたしました。私もお話をしたかったので丁度良かったです」
頬を染め熱に浮かされたような表情をするハーバーに薄ら寒いものを感じる。
「一応言っておくが、リルの話だぞ?」
「なに? 僕の話? 混ぜて?!」
「そうだな。今は、リルの話をしようか。俺はすごくリルのこと知りたい」
「もちろんいいよ!」
リルの明るい表情を見ると救われる気がする。
当時、絶影を放ち意識を失った俺は、目覚めた先で毛玉を見つけることができなかった。
だから、毛玉は俺の絶影に飲み込まれてしまったのだとずっと思っていたのだ。
生きていてくれて嬉しい。心の底からそう思う。
そして、リルから聞かされた内容は、気を失っている俺をいつも様子を伺っていた男が現れて馬車で連れて行ってしまった、ということだった。
リルも追いかけたが、引き離され途中で迷子になり、ラズロ・ハーバーに拾われ面倒を見てもらうことになったという。
一同の視線がハーバーに向く。ハーバーは微動だにせず笑顔でスルーしている。
「ラズロの匂いにベルの匂いが微かにしたんだ。逢いたくて逢いたくて、人化できたの。それでね」
リルの話を遮るようにハーバーがあとを継いだ。
「そうでしたね。それでリルがクラウ師団長に逢いたいと言うので、人の世界の流儀を一から教えたという訳です。時間がそれなりに掛かったあげく、あんな出逢いを想定していた訳ではなかったのでハラハラしました」
──やはりエッチなことも教えたのか! 一言物申さねば!
「ジルベルト、ハーバーと話したいからリルの面倒を頼む」
いきなり二人にしてくれという言葉に、驚いた様子を見せたもののジルベルトは、リルの手を取ってテントの外に向かってくれる。
「え? えぇ、わかりました。リル行きますよ」
「大事なお話なの?」
「そうですよ。邪魔をしないようにしましょうね。きっと悪いことにはなりませんよ」
「わかった」
コソコソ話しながら、二人はテントの外に出ていった。
どういったことをリルに教えたのか知らなければ、前もって対処も心構えもできないし、一言物申したい。それに急に襲われでもしても困るのだ。
「俺に隠し事は頂けないな」
「クラウ師団長にはお見通しという訳ですか」
「当然だ」
「どこまでご存知で?」
──どこまでエロいことを教えたか知ってんのかって、こと? そんな破廉恥なこと知らないんだけど!? ソロプレイヤーだけじゃなく、リルはパーティープレイまで経験済みということか?! 俺なんてまだソロプレイしか経験したことないのに!
「ソロでいろいろとやらかしていたようだな。ずいぶん前から仕込んでいたのだろう? 楽しかったか」
──あのリルに仕込むなんてフワフワした顔に似合わず、あっち方面は百戦錬磨ってことだよな。リルが妄想ソロプレイしちゃうくらいだから……。
「おや、過去の私の事までご存知で。今回は容易いと思っていたのですがこれがなかなか、時間がかかる作業でしてね。貴方を知れば知るほど心が踊りましたよ」
くつくつと笑うハーバーに、あの優しげな面影は見当たらない。
──リルが俺を探していると聞いたから調べていたという訳か。なにをそんなに心を躍らせていたのか知らないが、その間にもリルに調教という名の仕込みをしていたんだな!
腹立たしい気持ちを落ちつかせるように、脚を組みかえながら、一息入れる。
「手を引く気はないか。技術を活かす先ならここでなくてもあるだろう?」
──これ以上リルに高度な技術を仕込まれても困るのは恐らく俺だ。それに、リルが一人の相手じゃ満足できない身体になってしまったらどうしてくれるんだ!
「いろいろと時間を掛けていますからねぇ。それに乗り換えにも手間がかかるんです。そうですね。貴方が私を受け入れてくれたら考えてもいいですよ」
──受け入れる? ナニを??!
「それは少し難しい話だな」
言葉じりに被せるよう返事をかえしてしまった。
信じたくないが、こいつもなんだかんだ言って、俺に突っ込みたがっている奇特な相手のようなのだ。
「貴方なら造作もないことでしょう? 貴方の中にイレさせてくれれば、安らげると思うんです」
──は? ナカニイレル? ナニヲ?!
「簡単に言ってくれる」
俺は安らげる気が全くしない。
「私の居場所を作っていただくだけで貴方の手中に転がり込むんですよ? お得だと思うんですよねぇ」
急に話が変わったようだ。無駄にドキドキしてしまった。
わかることと言えば、リルとハーバーの居場所がないから、作って欲しいという事だけだ。
俺の家はリズウェンと二人だけで住みたかったが、婚姻すると守るものが増えると言うし、そういうことなのかもしれない。
「自分の身は自分で守るなら吝かではないが、俺の住処でいいか?」
「もちろんですよ。でも、結局貴方はお優しいから、守ってくれるんでしょうね。交渉成立です。まぁ、ご存知だとは思いますが、私の本当の名はルスト・ケルマと申します。以後、良しなに」
そう言って、変装を解くようにして知らない顔が現れた。
銀色の長い髪に白皙の肌。金色の眼。女性のように整った容貌。リルと少し似ているだろうか。
俺の膝の上に乗り上げ、抱きついてくる。リルよりも華奢な体躯だが、締めつける力は男らしい。
──ちょっ、だれっ?! ふわふわなラズロ・ハーバーはどこに行ったんだ?!
15
お気に入りに追加
326
あなたにおすすめの小説
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる